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三つの鎖 11 前編 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/01/06(水) 11:42:31 ID:8q90I2O4
三つの鎖 11
「よし」
朝。わたし加原梓はみそ汁の味見をしてガッツポーズ。会心の出来だ。今日の朝ごはんは兄さんの好きな魚を塩焼き。お弁当も家族四人分完成している。
今日は私が食事の担当だ。一週間のうち、三日ずつ兄さんと食事当番を分担することにした。一日交替にしないのは、食料の買付をしてから交替することで献立の組み立てをやりやすくするためだ。日曜だけ一緒に作る。
本当は毎日一緒に料理をしたいけど、いつまでも甘えてはいけない。兄さんには夏美がいるのだから。
「珍しいわね。幸一君が寝坊なんて」
京子さんが食器を並べながらのんびりと言った。確かに珍しい。
「お母さん。兄さんを起こしてくるね」
私はエプロンを外し二階に上がった。兄さんの部屋のドアをノックする。反応なし。
「兄さん。入るよ」
ゆっくりとドアを開け覗き込む。ベッドの布団が盛り上がっている。近づいて覗き込むと兄さんは寝ていた。
「兄さん?」
様子がおかしい。寝苦しそうだ。頬に触れるとびっくりするほど冷たい。兄さんの汗が手を濡らす。
私は思わず兄さんにふれた自分の手を凝視した。手が震える。自然と息が荒くなる。私は兄さんの汗でぬれた手を舐めた。
兄さんの味。頭がくらくらする。
いけない。私は何をやっているんだ。私は頭を振って深呼吸して寝ている兄さんを見下ろした。
「兄さん。起きて」
揺らしても兄さんは寝苦しそうにするだけ。悪い夢でも見ているのだろうか。
「兄さん!」
私は兄さんの頬をぺちぺちと叩いた。突然、兄さんはガバッと起き上がった。びっくりした。
兄さんは胸に手をあて荒い息をつく。大きく上下する肩、震える体、苦しそうな表情、額に浮かぶ汗。
「ど、どうしたの」
私の問いかけに兄さんは答えない。ただ荒い息をつくだけ。
「兄さん。大丈夫?」
私は心配になって兄さんを覗き込んだ。兄さんは深呼吸している。
珍しい。兄さんは人前では常に落ち着いている。こんな風に人前で分かるぐらい深呼吸する事は滅多にない。
「おはよう梓」
兄さんが私にほほ笑む。いつも通りの笑顔なのに、不安を感じさせるのは何でだろう。
「兄さん大丈夫?うなされていたみたいだけど」
「変な夢でも見たのかな。大丈夫だよ」
本当に大丈夫なのかな。とても大丈夫には見えない。
兄さんは布団から出た。足取りはしっかりしている。私の思い過ごしだろうか。
「寝坊しちゃったな。朝ごはんはできている?」
落ち着いた声。さっき感じた不安は勘違いかな。いつも通りの兄さんだ。
「お魚を塩焼きにしたよ」
私はそう言って兄さんと一緒に下に降りた。味噌汁も味わってほしい。今日は会心の出来だから。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「いってきまーす」
私は一足先に一人で家を出た。
ワンっと犬の鳴き声が聞こえる。
「梓ちゃんおはよう」
シロを散歩している春子が挨拶してきた。相変わらず黒い犬だ。
「おはよう春子。シロ」
シロはワンと吠えた。挨拶のつもりだろうか。
「今日は一人なの?」
春子は不思議そうに私を見た。確かにここ数日からは兄さんと一緒に登校しているから不思議に思うのかもしれない。
「今日は日直」
本当なら兄さんと行きたいけど、今日はそうはいかない。ふと違和感を感じた。なんか、春子がいつもより内股っぽい気がする。気のせいだろうか。
「そうなの。いってらっしゃいね」
「いや、春子も学校に行くでしょ」
私がそう言うと春子は笑った。
「そうだね。お姉ちゃんうっかり」
そう言って可愛く舌を出す。春子は美人だから、本当ならきもい仕草も不思議と映える。褒めると調子に乗るから口では逆の事を言うけど。
「じゃあお姉ちゃん幸一君と一緒に登校するよ」
「兄さんをよろしくね」
そう言って私は春子と別れた。
228 三つの鎖 11 前編 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/01/06(水) 11:44:35 ID:8q90I2O4
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
梓の朝ごはんは相変わらずおいしかった。
リビングでぼんやりお茶をすすりながら僕は思った。すでにこの家には僕しかいない。父さんと京子さんは出勤し、梓は日直で先に家を出た。
頭が働いていない自覚がある。考えがまとまらない。それでも普段の習慣で既に行く準備はできている。
ぼんやりする理由。昨日の事。春子。
春子の白い裸身が脳裏に浮かぶ。泣きそうな顔も。
夏美ちゃん。今日顔を合わせていつも通り振る舞えるだろうか。結局メールに返信できなかった。
そんな事を考えているとチャイムが鳴った。僕は玄関に行き外をのぞいた。春子だ。すでに制服に着替えている。
開けるべきか迷ったけど、おどおどと不安そうな春子を見てドアを開けた。会いたくはないけど、春子とは話し合わなければならない。
「幸一君。おはよう」
ぎこちない笑顔であいさつする春子。
「おはよう」
僕はそっけなく応じた。まっすぐに春子を見られない。
「あの、あのね、よかったらお姉ちゃんと一緒に学校に行かない?」
春子はおどおどと尋ねた。時間的に登校にはまだ早い。
「いいよ。まだ登校には早いからよかったら上がっていく?お茶ぐらい出すよ」
話しあわなければ。
「本当?ありがとう」
春子はほっとしたように微笑んだ。いつもの明るい春子は見る影もない。
靴を脱ぎ家に上がる時に春子はよろめいた。咄嗟に僕は春子を支えた。
「大丈夫?」
「え、あ、う」
春子はおろおろと慌てた。春子のこんな姿は珍しい。
「どうしたの」
顔を赤くする春子。体調不良かな。
「……昨日幸一君に激しくされてちょっと、ね」
顔が熱くなる。聞くんじゃなかった。
「とりあえず上がって」
僕は春子を離して背を向けた。腕に何かが引っかかる感触。振り向くと春子は僕の袖を握っていた。
春子は何も言わずにうつむいている。僕も春子も何も言わなかった。僕と春子はそのまま歩いた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
リビングで春子を座らして、僕はお茶をいれた。ソファーに座る春子にマグカップを渡し、僕は隣に座った。微妙な距離。いつもの春子ならこの距離を無造作に詰めてきたと思う。
「あ、ありがとう」
春子は小さな声で礼を言ってお茶に口をつけた。
昨日はあれほど怒り憎かった春子だけど、今の春子の様子を見るとそんな気持ちはわかなかった。春子はまるで虐待された子供のようにおどおどしている。
見てられなかった。
「春子」
春子はびくっと体を震わせた。上目使いに僕を見る。その瞳に頼りない光が浮かぶ。
「もうやめようよ。春子には脅迫なんて向いてないよ」
春子は湯呑を両手で持ったままうつむいている。
「昔の僕たちの関係に戻ろう」
震える春子。お茶を一気に飲み顔を見上げる。今にも泣きそうな表情。
「やだ」
春子は首を横にふった。
「それだけは絶対にやだ」
そう言って春子は僕にもたれかかる。温かくて柔らかい。春子は僕の胸に顔をうずめ抱きついてきた。春子の震えが伝わる。
「幸一君。お姉ちゃんを抱きしめて」
「春子。お願い」
「幸一君。お姉ちゃんはお願いしてるんじゃないよ」
春子は顔をあげた。唇をかみしめ僕を見上げる。
「分かっているでしょ」
脳裏に夏美ちゃんの笑顔が浮かんで消えた。
「抱きしめて」
僕は春子の背中に腕を回した。思ったより小さな背中。
「お姉ちゃんにキスして」
眼を閉じ唇を突き出してくる春子に、僕は唇を重ねた。ふれ合うだけのキス。
「昨日みたいに強引にしないんだ」
229 三つの鎖 11 前編 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/01/06(水) 11:47:01 ID:8q90I2O4
春子は目を開け僕を見た。微かに桜色に染まったした頬。僕が頭を横に振ると、春子は僕の胸に顔をうずめた。
「昨日の幸一君怖かったよ」
僕の腕の中で春子は微かに震えた。
「すごく強引で無理やりで。ちょっと痛かったよ」
昨日の僕。怒りにまかせて春子を蹂躙した。
「お姉ちゃんのお尻なんてまだ痛いよ。首筋にキスの痕も残ってるし」
春子の首筋。バンドエイドが貼られている。キスの痕を隠すためか。
「後ろからされながら幸一君に罵倒されるの、本当に怖かったんだよ」
春子は僕の胸から頭を離し顔をあげた。上気した頬に潤んだ瞳。まぎれもなく怯えた表情。
優しくしたいのを僕は歯をくいしばって耐えた。
「原因は分かっているだろう」
春子を抱きしめる腕に力がこもる。
「春子は僕を脅迫している。夏美ちゃんを裏切る事を強要した」
「んっ。幸一君。痛いよ」
春子は苦しそうに身をよじらせた。僕は自分を抑えた。腕の力を抜く。
「あのね、怒らないで聞いてね」
春子は上目使いに僕を見上げた。怯えているのか期待しているのか分からない表情。
「幸一君と夏美ちゃんがしているの見てね、幸一君すごく優しく見えたの。見てても分かったよ。幸一君が我慢してるって」
夏美ちゃんの小さな体が脳裏に浮かぶ。小柄で力を折れると折れそうな細い体。
「優しくしたかったんだ」
「うん。だからお姉ちゃんにも優しくしてくれると思ってた。でも昨日の幸一君はケダモノみたいだった」
体を震わす春子。確かに昨日の僕はひどかったかもしれない。春子に対する怒りの他に、男としての欲望をぶつけたのかもしれない。
「ごめん」
謝るのもおかしな話だけど、素直に春子に悪いと思った。
「いいよ。幸一君ならどんな事をされてもいい」
恥ずかしそうに僕を見上げて微笑む春子。頬が熱くなるのを自覚した。
「それにね、お姉ちゃんね、幸一君に強引にされるのね、怖かったけどちょっと嬉しくて気持ち良かったの」
春子は再び僕の胸に顔をうずめた。
「お姉ちゃんって変態さんなのかな」
春子の息が熱い。頭がくらくらする。腕の中の春子が柔らかい。
僕は春子をゆっくり引きはがした。
「そろそろ学校に行こう」
「あ。そうだね。もうこんな時間だよ」
春子の笑顔。外見だけはいつも通りの明るい表情。でも付き合いの長い僕には無理しているのがはっきり分かる。やっぱり春子に脅迫なんて向いていない。
僕は立ち上がった。これ以上春子と一緒にいると頭がおかしくなりそうだった。
登校中、僕と春子は何も話さなかった。何も話せなかった。触れ合う事すらなかった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
お昼休み。私は立ち上がって梓に話しかけた。
「あずさー。お兄さんの教室に行かない?」
梓は呆れたように私を見た。
「あのね夏美、私をだいにしないで堂々と行けばいいでしょ」
「いやさ、恥ずかしくて」
「変に気を使わないの」
私の背を梓は押し出した。
「私の作った弁当の感想だけ聞いて来て」
「了解です!」
私はお兄さんのクラスに向かって走り出した。
お兄さんの事を考えるだけで頬が熱くなる。会いたい。昨日寝る前に出したメールに返信は無かった。きっともう寝ていたんだ。今日はまだ一度も会ってない。
お兄さんの教室をこっそりのぞく。お兄さんはいなかった。ちょっと残念。
ハル先輩が私に気がついて近寄ってきた。
「もしかして幸一君?」
「えっと、そうです」
「約束してたの?」
あ。
「いえ、してません」
「幸一君クラスメイトと食べる時は大体食堂で食べるよ」
そうなんだ。考えてみたら私はお兄さんの事あまり知らない。知り合ってそんなに経ってないのもあるし、普段一緒にいることも少ない。
ちょっと寂しいかも。
230 三つの鎖 11 前編 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/01/06(水) 11:49:29 ID:8q90I2O4
「今から行く?」
「いえ、お兄さんにもお付き合いがありますし」
お友達といるなら邪魔したくはない。
「じゃあ私と一緒に食べない?」
ハル先輩は弁当を掲げた。
「いいんですか?」
「今日は一人で食べようと思っていたから。一緒に食べてくれたら嬉しいな」
ハル先輩って社交的なイメージだから一人で食べるってのが珍しく感じた。でもいいか。お兄さんの事を教えてもらえるかもしれないし。
「私でよければ喜んで」
「じゃあ静かなところで食べようかな。ついて来て」
私とハル先輩は並んで歩きだした。
「どこで食べるんですか?」
「生徒会準備室。使ってないから静かだよ」
生徒会準備室。聞いたことがない。ハル先輩はどんどん人気のないほうへ歩く。こっちの先には使われる教室が無く、誰もいない。私も来た事がない。
ふとハル先輩の首筋にバンドエイドが貼ってあるのを見つけた。虫にでも刺されたのかな。
「ここだよ」
ハル先輩はドアを開けた。生徒会準備室は意外と綺麗だった。整理され掃除されている。何故かベッドがある。
「使ってないのに綺麗ですね」
「私のお気に入りの場所だから」
「あのベッドは何ですか?」
「ふふふ。私のお昼寝スペース。今日はここでお弁当にしようかな」
ハル先輩はベッドに座った。横をぽんぽんと叩く。私は少し変な気分になりながら並んでベッドに座った。膝の上にお弁当を乗せてふたを開く。
「今日はカレーじゃないんだ」
「いえ、カレーコロッケはあります」
そんな事を話しながらのんびり食事する。
「幸一君とはうまくいってる?」
突然の質問に思わず顔が熱くなる。
「えっと、はい」
どうなんだろう。まだ付き合いだして数日だし。でも、付き合ってすぐにお兄さんとしちゃったんだ。うわー。
ハル先輩はにこにこしている。
「何か悩みとかは無いの?」
悩み。たくさんある。
「もっと一緒にいる時間が欲しいとかは思いますけど、お兄さんの邪魔にはなりたくないです」
「もー。幸一君ったらいけないなー。女の子に寂しい思いさせちゃだめだよ」
ぷりぷり怒るハル先輩。ちょっと可愛い。
「なんなら私から幸一君に言ってあげようか?」
「いえ。それはずるい気がします。今日にでも放課後お誘いしてみます」
うう。言うだけで恥ずかしい。お兄さんと放課後デート。
「ふーん。他に悩みとかは無いの?幸一君は優しすぎて奥手なところがあるからね」
むむむ。ハル先輩の言う通りだ。さすが幼馴染。優しいのか遠慮しているのか分からないけど、お兄さんから私に何かを求めるという事はない。
もう一つの大きな悩み。だめだ。考えるだけで体が熱くなる。
「夏美ちゃん大丈夫?」
気がつけばハル先輩が心配そうに顔を覗き込んでいた。綺麗な顔。ハル先輩は本当に綺麗だと思う。綺麗だけど親しみやすい美人。ある意味、梓とは対極の美人。いいな。
「えっと、ハル先輩、そのですね、笑わないで聞いて欲しいんですけど」
ハル先輩は優しく微笑んだ。この人になら相談してもいいかもしれない。
「そのですね、私変なんです。お兄さんと、その、エッチしたいって思っちゃうんです」
あまりの恥ずかしさにうつむいてしまう。
「すごくはしたないと思いますし、なんだか変態みたいですけど、そう思っちゃうんです。その、お兄さんに私を求めて欲しいって」
お兄さんが欲しいし、お兄さんに求められたい。
「でも、自分で言うのはなんかすごく変態みたいですし、だからと言ってお兄さんは優しいですから、自分ではそんな事言いませんし」
言えない。エッチしてほしいなんて。恥ずかしすぎる。
「私って変なんでしょうか」
頭に柔らかい感触。ハル先輩が私の頭を優しくなでる。
「全然変じゃないよ」
私は顔をあげた。ハル先輩の優しい笑顔が浮かぶ。
「女の子だってエッチは好きだよ。がっつかれるのは嫌だけど、求めてくれなかったら悲しいよね。魅力ないのかなって思っちゃう」
「ハル先輩もそんな風に思うんですか」
「私にも経験あるもん」
私はびっくりしてしまった。どういう意味だろう。
「え、えっと、その、それは」
231 三つの鎖 11 前編 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/01/06(水) 11:53:14 ID:8q90I2O4
「他の人には内緒だよ」
ハル先輩は悪戯っぽく笑った。私は思った以上に動揺していた。まさか、その経験の相手って。
「特に幸一君にはね」
私は思わず安堵のため息をついてしまった。慌ててハル先輩に謝る。
「すいません」
ハル先輩はにこにこ笑って何も言わなかった。全部お見通しなんだろうな。
てかハル先輩って男の人とエッチした経験あるんだ。今まで彼氏はいないって聞いたからちょっと意外だ。隠して付き合っていたのかな。
「私ね、別に女の子から求めてもいいと思うよ。相手の男の子が鈍感だったら仕方がないよ」
「でも、はしたないって思われないでしょうか」
「幸一君を信じてあげて。幸一君もきっと反省するよ。寂しい思いをさせたって」
うーむ。でも。
「なんて言って誘えばいいでしょうか。その、え、エッチしたいなんて言えませんし」
さすがに恥ずかしい。
「じゃあね、二人きりになった時にこういえばいいよ」
ハル先輩はゴホンとわざとらしく咳をすると、胸の前で手を組んだ。
「私ってそんなに魅力ないの?二人きりになっても何もしてくれないなんて」
上目づかいに悲しそうに言うハル先輩。上気した肌。薄っすら桜色に染まった頬。潤んだ瞳。うわっ。すごく色っぽい。
「ハル先輩!エロすぎっす!」
「ふふふ。こう言えば幸一君みたいに誠実な男の子は恥をかかせないためにも絶対に求めてくるよ」
なるほど。ん?でも。
「もしですよ。付き合ってない女の子がお兄さんにそう言ったら、お兄さんはどうするのでしょうか」
「今なら僕には恋人がいるって言うだろうし、恋人がいないなら今は誰ともつき合わないと決めているって言うと思うよ。幸一君は誠実だからね。据え膳食わぬは男の恥って発想はないよ」
なるほど。
「ハル先輩!ありがとうございます」
「ふふふ。今日伝授した方法で幸一君をイチコロにしてね」
ハル先輩は悪戯っぽく微笑んだ。うわー。ハル先輩のこの笑顔ってすごく艶がある。女の私でもドキドキしてしまう。
私たちはとりとめのない事を話してお昼を過ごした。私はハル先輩に感謝した。ハル先輩のおかげでお兄さんと恋人になれたし、今も他の人にはできない相談を聞いてもらっている。
今日は頑張ってみようと思った。
最終更新:2010年01月07日 20:37