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上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/10スレ目ログ/10-839 - (2010/07/04 (日) 13:46:29) の最新版との変更点
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2chの美琴スレで上琴SS投下したけどスレチな空気だったのでこっちにURLだけ甜菜。
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1277732486/423-424
5巻裏を見て、いてもたっても居られなくなって気付いたら書いてた。オチが投げやりだが、うん、まぁ。
『とある処暑の試作菓子(ボロボロクッキー)』
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「で、何用なんです御坂サン?上条さん的に退院したばかりなので静養していたいんですが」
「ちょろっと、試したい物があるのよ。ついてきなさい!」
---
8月24日午後1時。とある無能力者と超能力者が戦った3日後の出来事。
不幸少年上条当麻は、退院後すぐに常盤台中学の一室に連れられていた。
上条は盛夏祭の時にある程度校舎を回った記憶があるため、恐らくは家庭準備室の類と推察できた。
『確定』でなく、『推察』と言うのには訳がある。
嫌に広い隣の部屋には食器棚、キッチン、冷蔵庫、という古き良き家庭室的構造となっている。
だが現在上条のいる一室は、一流のカフェのような様式が揃っていたのだ。
待合室にあるようなソファーまで設置されてるあたり、かなり本格的な物を感じる。
空調の利いた部屋にソファーにぐったりと座る上条はふと呟く。
「まさかとは思うが、常盤台のお嬢様は家庭科で作った料理をこの豪華カフェ仕様休憩室で紅茶片手に嗜むのではあるまいて?」
「そんな感じよ、たまに教師や先輩後輩、VIPやPTAの人が現れるんだけどね。」
色々推察を広げていた所、貧乏学生には一生縁のなさそうな一室に連れてきた御坂美琴本人が登場した。
その手には何故か皿を持って。
「このクッキーは何なんです?こんな恋人的ハッピーイベントを立てた覚えは特に・・・」
「バ、バカ言ってるんじゃないわよっ!?勘違いしないでよね、あの後たまたま友達の間でクッキーを作る事になって、学校のキッチンを借りて作っただけよ!」
上条はクッキーを知っていて、知らない。
女の子の手作りクッキーがボロボロになるという設定も、どこかのアニメで見た『知識』だ。だが『味』は知らない。
基本的に菓子の類はインデックスに食い散らかされているため、1ヶ月程前に記憶を失った上条にとってはこの手の菓子の味が分からないのだ。
この前美琴がくれたクッキーはインデックスが鳶の如く掻っ攫ったし、半分興味で御坂妹の黒コゲボロボロクッキーを全部食べて退院する日が1日伸びた程だ。
「なるほど、試すってのはそういう事か。俺はこれを食べて評価すればいいのか。しかし何でその『友達』じゃなくて俺なんだ?」
「呑み込みが早くて助かるわ。こういうのは複数の人の意見を聞いて参考にする物だって思うのよ。・・・それに」
「それに?」
少し顔を赤らめた美琴は、上条から顔を逸らし、ソファーの肘掛に座る。
「・・・アンタが手作りクッキーが良いって言ったのをたまたま思い出して、取っておいたのよ。」
恥ずかしさのためか背中を向けた美琴をそっけに、上条は一筋の涙を零していた。
我に返った美琴は首を振り返り、上条の涙に気付く。
「うう、クッキー・・・初めての、クッキー・・・」
「え、ちょ、流石に泣くほどの物じゃないでしょ?もしもーし?」
暴食ニートシスターから記憶喪失まであらゆる事情を知らない美琴からすれば、自分のクッキーという事に感涙してる物に見えた。
もしかしたら、喜んで貰えるかもしれない。でも、もっと喜んで貰いたい。
ぼーっ とそんな事を無意識に思ってると、美琴は体から力が抜けて体は上条の膝元にずり落ち始めた。
「あ・・・」
「ちょ・・・!」
美琴は皿からクッキーが落ちないようにと力を入れるが、既に体は倒れかけていた。
そして、上条はとっさに身を構えた。倒れる女子を掬い抱える、というシチュエーションに上条はインデックスや姫神でいささか慣れていたのだった。
膝をがに股気味に開け、力一杯足を踏ん張るように。そして、頭をぶつけないように背中に手を回す。
気付けばホラ、お姫様抱っこの出来上がり。
「「・・・!!」」
---
上条は冷や汗をかく。現状がまずい体制だという事に。
美琴は頭が弾ける。現状を理解すると、トマトの如く真っ赤な顔へと変化した。
スパークを放ち始めた美琴に気付き、とっさに上条は右手の幻想殺しを美琴の頭に触れ、打ち消す。
お姫様抱っこの体制が互いの体を硬直させた揚句、電気を発さないように右手を使っている。
傍から見れば、お姫様抱っこし合ったカップルの片方が彼女の頭を撫でてる図にしか見えない。
「こ、このKENZENとは言えない体勢は一体なんなんでせう?新ジャンル『逆膝枕』?」
「何ワケ分からないこと言ってるのよ、アンタがやった事でしょ!事故よ事故!!」
「いやいや、御坂が勝手にずり落ちてきたんだろうが!しかもビリビリし出すし!」
「私は悪くない!というかソファーなんだから別に怪我なんてしないわよ!」
「クッキー落ちたら困るだろうが!」
「私よりクッキーの方が大事だっての!?」
「何言ってるんだお前ー!?」
不恰好な形での口論。互いに会話に夢中でお姫様抱っこの体制を解く所から考えてないため、傍から見たらカップルがイチャイチャしてる図にしか見えない。
---
そんなこんなで数刻後。慣れてきたのか、会話も急速に落ち着きを取り戻した。
「ビリビリ、もう大丈夫か?」
「も、もう落ち着いてるわよ!さっさとその右手離す!」
御坂は皿を両手から左手に持ち替え、右手で上条の手を離した。スパークも起こらなくなる。
互いに両手が自由になった事で、現在の不格好な自分達にようやく焦点が戻る。
「しかし、こうして見ると御坂もちっこいんだな。」
「ちっこい言うな!これでも160cm代あるのよ。もうこれ以上伸び無さそうだけど・・・」
「安心しろ、これでも俺もまだ身長160cm代だ。生活の都合上牛乳あまり接種してないし、あんま伸びないんだと思う。」
「なんか酷な話を聞いた気がする・・・」
牛乳と聞くとこの年頃の少女は胸の大きさを思いだす場面が定石だが、美琴はようやく思い出す。
手元にある皿にあるクッキーを。材料に牛乳を使っていた記憶がふと引っかかった。
思い出すように美琴はそれを右手に摘むと、上条もクッキーの事を思い出した。
「流石にこの体制じゃ行儀悪くありません?」
「面倒だからいいのよ、それに何だかんだで楽チンだし、何故か落ち着くし。ホラ、口開けなさい。」
イヤイヤ、と善良な心で現状を否定する上条を無視して美琴は彼の口にクッキーを捻じ込む。
ボリボリと人生初(?)のクッキーを食べた上条は率直な感想を述べていた。
「冷たい、クッキー。」
「は?」
片言を吐く上条に美琴は唖然。
「どういう意味?」
「夏場だからアイス感覚でまだ許せるけど、『作りたてのクッキー』って奴を想像してて、何か足りんなぁって・・・」
「あ・・・」
確かに美琴は手作りをしたが、結局それを『冷蔵庫で保存』してしまい、本来の鮮度や温かさを失っていたのだ。
迂闊にもレンジでの加熱を忘れてしまっていた。急いで食べて貰いたいがために。
「だから、今度は出来たてのが良いかもな。それに・・・ッ」
「それに?」
「こいつは俺の好みの問題になるから言うべきじゃないかもしれないな・・・ッッ」
「何よ、気にしないから言ってみなさい。」
「・・・俺、よく考えると牛乳ダメな時があるんだよ、特に冷たいの。何故か高確率で腹壊す"らしい"からな・・・ッッホラ、現在進行形で腹が痛くなり初めてきましたァァァッ!」
そうして、数刻続いた『お姫様抱っこ』は解かれ、上条は立ち上がりトイレへと掛け込んだ。
真夏の一室に一人残された美琴は、何故か静かな怒りが湧く。その怒りが、一緒に密接していられなくなったからであるとも知らずに。
そのため、とにかく、どうしようもなく怒りが湧くため、何かの理由を欲した。
考えてる中視界に入ったのは、手にある冷めたクッキーの皿。
クッキー。牛乳クッキー。作りたてのクッキー。手作りのクッキー。手作りの・・・『ボロボロクッキー』。
---
「何故だ、別に不幸になる要因なんて無かったはずだ!?なのに何でこんな目にー!?」
「アンタが悪いのよ、バカー!」
あの後、トイレを済ませた上条当麻は電熱で黒コゲになったクッキーを不意打ちに食わされ、もう一度トイレのお世話になったのは言うまでも無い。
そしてその後も『追いかけっこ』になったのも、語るまでもなし。
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*小ネタ とある処暑の試作菓子(ボロボロクッキー)
2chの美琴スレで上琴SS投下したけどスレチな空気だったのでこっちにURLだけ甜菜。
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1277732486/423-424
5巻裏を見て、いてもたっても居られなくなって気付いたら書いてた。オチが投げやりだが、うん、まぁ。
#asciiart(){{{
「で、何用なんです御坂サン?上条さん的に退院したばかりなので静養していたいんですが」
「ちょろっと、試したい物があるのよ。ついてきなさい!」
---
8月24日午後1時。とある無能力者と超能力者が戦った3日後の出来事。
不幸少年上条当麻は、退院後すぐに常盤台中学の一室に連れられていた。
上条は盛夏祭の時にある程度校舎を回った記憶があるため、恐らくは家庭準備室の類と推察できた。
『確定』でなく、『推察』と言うのには訳がある。
嫌に広い隣の部屋には食器棚、キッチン、冷蔵庫、という古き良き家庭室的構造となっている。
だが現在上条のいる一室は、一流のカフェのような様式が揃っていたのだ。
待合室にあるようなソファーまで設置されてるあたり、かなり本格的な物を感じる。
空調の利いた部屋にソファーにぐったりと座る上条はふと呟く。
「まさかとは思うが、常盤台のお嬢様は家庭科で作った料理をこの豪華カフェ仕様休憩室で紅茶片手に嗜むのではあるまいて?」
「そんな感じよ、たまに教師や先輩後輩、VIPやPTAの人が現れるんだけどね。」
色々推察を広げていた所、貧乏学生には一生縁のなさそうな一室に連れてきた御坂美琴本人が登場した。
その手には何故か皿を持って。
「このクッキーは何なんです?こんな恋人的ハッピーイベントを立てた覚えは特に・・・」
「バ、バカ言ってるんじゃないわよっ!?勘違いしないでよね、あの後たまたま友達の間でクッキーを作る事になって、学校のキッチンを借りて作っただけよ!」
上条はクッキーを知っていて、知らない。
女の子の手作りクッキーがボロボロになるという設定も、どこかのアニメで見た『知識』だ。だが『味』は知らない。
基本的に菓子の類はインデックスに食い散らかされているため、1ヶ月程前に記憶を失った上条にとってはこの手の菓子の味が分からないのだ。
この前美琴がくれたクッキーはインデックスが鳶の如く掻っ攫ったし、半分興味で御坂妹の黒コゲボロボロクッキーを全部食べて退院する日が1日伸びた程だ。
「なるほど、試すってのはそういう事か。俺はこれを食べて評価すればいいのか。しかし何でその『友達』じゃなくて俺なんだ?」
「呑み込みが早くて助かるわ。こういうのは複数の人の意見を聞いて参考にする物だって思うのよ。・・・それに」
「それに?」
少し顔を赤らめた美琴は、上条から顔を逸らし、ソファーの肘掛に座る。
「・・・アンタが手作りクッキーが良いって言ったのをたまたま思い出して、取っておいたのよ。」
恥ずかしさのためか背中を向けた美琴をそっけに、上条は一筋の涙を零していた。
我に返った美琴は首を振り返り、上条の涙に気付く。
「うう、クッキー・・・初めての、クッキー・・・」
「え、ちょ、流石に泣くほどの物じゃないでしょ?もしもーし?」
暴食ニートシスターから記憶喪失まであらゆる事情を知らない美琴からすれば、自分のクッキーという事に感涙してる物に見えた。
もしかしたら、喜んで貰えるかもしれない。でも、もっと喜んで貰いたい。
ぼーっ とそんな事を無意識に思ってると、美琴は体から力が抜けて体は上条の膝元にずり落ち始めた。
「あ・・・」
「ちょ・・・!」
美琴は皿からクッキーが落ちないようにと力を入れるが、既に体は倒れかけていた。
そして、上条はとっさに身を構えた。倒れる女子を掬い抱える、というシチュエーションに上条はインデックスや姫神でいささか慣れていたのだった。
膝をがに股気味に開け、力一杯足を踏ん張るように。そして、頭をぶつけないように背中に手を回す。
気付けばホラ、お姫様抱っこの出来上がり。
「「・・・!!」」
---
上条は冷や汗をかく。現状がまずい体制だという事に。
美琴は頭が弾ける。現状を理解すると、トマトの如く真っ赤な顔へと変化した。
スパークを放ち始めた美琴に気付き、とっさに上条は右手の幻想殺しを美琴の頭に触れ、打ち消す。
お姫様抱っこの体制が互いの体を硬直させた揚句、電気を発さないように右手を使っている。
傍から見れば、お姫様抱っこし合ったカップルの片方が彼女の頭を撫でてる図にしか見えない。
「こ、このKENZENとは言えない体勢は一体なんなんでせう?新ジャンル『逆膝枕』?」
「何ワケ分からないこと言ってるのよ、アンタがやった事でしょ!事故よ事故!!」
「いやいや、御坂が勝手にずり落ちてきたんだろうが!しかもビリビリし出すし!」
「私は悪くない!というかソファーなんだから別に怪我なんてしないわよ!」
「クッキー落ちたら困るだろうが!」
「私よりクッキーの方が大事だっての!?」
「何言ってるんだお前ー!?」
不恰好な形での口論。互いに会話に夢中でお姫様抱っこの体制を解く所から考えてないため、傍から見たらカップルがイチャイチャしてる図にしか見えない。
---
そんなこんなで数刻後。慣れてきたのか、会話も急速に落ち着きを取り戻した。
「ビリビリ、もう大丈夫か?」
「も、もう落ち着いてるわよ!さっさとその右手離す!」
御坂は皿を両手から左手に持ち替え、右手で上条の手を離した。スパークも起こらなくなる。
互いに両手が自由になった事で、現在の不格好な自分達にようやく焦点が戻る。
「しかし、こうして見ると御坂もちっこいんだな。」
「ちっこい言うな!これでも160cm代あるのよ。もうこれ以上伸び無さそうだけど・・・」
「安心しろ、これでも俺もまだ身長160cm代だ。生活の都合上牛乳あまり接種してないし、あんま伸びないんだと思う。」
「なんか酷な話を聞いた気がする・・・」
牛乳と聞くとこの年頃の少女は胸の大きさを思いだす場面が定石だが、美琴はようやく思い出す。
手元にある皿にあるクッキーを。材料に牛乳を使っていた記憶がふと引っかかった。
思い出すように美琴はそれを右手に摘むと、上条もクッキーの事を思い出した。
「流石にこの体制じゃ行儀悪くありません?」
「面倒だからいいのよ、それに何だかんだで楽チンだし、何故か落ち着くし。ホラ、口開けなさい。」
イヤイヤ、と善良な心で現状を否定する上条を無視して美琴は彼の口にクッキーを捻じ込む。
ボリボリと人生初(?)のクッキーを食べた上条は率直な感想を述べていた。
「冷たい、クッキー。」
「は?」
片言を吐く上条に美琴は唖然。
「どういう意味?」
「夏場だからアイス感覚でまだ許せるけど、『作りたてのクッキー』って奴を想像してて、何か足りんなぁって・・・」
「あ・・・」
確かに美琴は手作りをしたが、結局それを『冷蔵庫で保存』してしまい、本来の鮮度や温かさを失っていたのだ。
迂闊にもレンジでの加熱を忘れてしまっていた。急いで食べて貰いたいがために。
「だから、今度は出来たてのが良いかもな。それに・・・ッ」
「それに?」
「こいつは俺の好みの問題になるから言うべきじゃないかもしれないな・・・ッッ」
「何よ、気にしないから言ってみなさい。」
「・・・俺、よく考えると牛乳ダメな時があるんだよ、特に冷たいの。何故か高確率で腹壊す"らしい"からな・・・ッッホラ、現在進行形で腹が痛くなり初めてきましたァァァッ!」
そうして、数刻続いた『お姫様抱っこ』は解かれ、上条は立ち上がりトイレへと掛け込んだ。
真夏の一室に一人残された美琴は、何故か静かな怒りが湧く。その怒りが、一緒に密接していられなくなったからであるとも知らずに。
そのため、とにかく、どうしようもなく怒りが湧くため、何かの理由を欲した。
考えてる中視界に入ったのは、手にある冷めたクッキーの皿。
クッキー。牛乳クッキー。作りたてのクッキー。手作りのクッキー。手作りの・・・『ボロボロクッキー』。
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「何故だ、別に不幸になる要因なんて無かったはずだ!?なのに何でこんな目にー!?」
「アンタが悪いのよ、バカー!」
あの後、トイレを済ませた上条当麻は電熱で黒コゲになったクッキーを不意打ちに食わされ、もう一度トイレのお世話になったのは言うまでも無い。
そしてその後も『追いかけっこ』になったのも、語るまでもなし。
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