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上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある不幸な都市伝説/Part02-1」を以下のとおり復元します。
*とある不幸な都市伝説 3 1日目 後編
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『少年』は今スーパーにいた。
お目当てはお一人様1パックの卵、タイムセールで安くなる豚バラ肉、使用頻度の高いもやしもきれかけていたはずだ。
余裕があれば本日4割引の冷凍食品コーナーも見てみよう。あとソーメンはもういらない。
そんな予定を立てていたのだが、予定は予定、そううまくいかないときもある。
卵もバラ肉も売り切れ。冷凍食品もろくな物は残っていない。もやしは買えるがそれだけだ。あとソーメンはもういらない。
少年は補習で遅くなっていた。いや補習はいつものことだが、
財布をなくし、ケータイを落とし、明日提出しなければならない宿題のプリントの束もカバンから消えていた。
それらを探し出すのにえらい時間をくってしまったのである。
結果的に教室の自分の机の中で、それらはすべて見つかったのだが、いろんな意味で泣けてきた。男だって泣きたい時がある。

(どーすっかなー…今からじゃメシ作る時間もないしな…)

少年は自分の寮にペット(?)を一匹と一人飼っている。三毛と白だ。
三毛のほうはおとなしいが、問題は白のほうだ。ハラペコがデフォルトな為、こんな時間に帰ったら

「とうまーとうまーおなかがすいたんだよ!ごはんはまだなのかな!
 はやく食べたいんだよ!ごはん!ごはん!ごはん!ごはん!」

という珍しい鳴き方をしてくる。
だったらお前が作れよ…と思う者も多いだろう。しかしそれは家主である少年によって禁止されている。
実は以前、彼女はレンジを爆発させたことがある。
本人はぼたんを押したらこうなったと泣きながら主張したが、家庭用電化製品に自爆スイッチは搭載されていない。
話し合いの結果、たまたま押した場所が爆発するツボだった。と言う結論に至る。
これは「爆砕点穴の悲劇」として語り継がれ、彼女には台所使用禁止法案が制定されたのである。

(仕方ない。ちょっと高いけど弁当でも買うか。俺もプリントやんなきゃだしな。
 …ま、一番安いのでいいよな。)

だが一番安いシャケ弁も売り切れている。店員に聞くとぼさぼさの茶髪の男が全て買い占めて言ったらしい。
どんだけ食うねん!と、顔も名前も分からないその男にツッコミを入れる。
許してやってくれ。その男もシャケ弁を買ってこなければ、ブ・チ・コ・ロ・されるという極めて特殊な状況にあるのだ。
ちなみにその男も『不幸な王子様』と肩を並べる、3種類の都市伝説の1つ『シャケ弁ハンター』と呼ばれているのだが、
それはまた別のお話。
仕方なく少年はかなりお高めの、チキン南蛮SP(スペシャル)弁当と猫缶をひとつずつ。
自分用におにぎり2個(おかかとツナマヨ)を買い、スーパーを後にした。


(はー…結局何も聞けなかったなー…)

佐天はとぼとぼ歩きながら今日のことを思い出していた。
白井から突如投下された爆弾発言。『逢引』と『ペア契約』。
あの後も何度も御坂から聞きだそうとしたのだが、浅いところから攻めようとすると、はぐらかされる。
かと言って、深いところに踏み込もうとすると罠カード「漏電」が発動する。
このカードは、相手プレイヤーに直接雷属性のダメージを与え、LPを0にするという恐ろしい効果を持つ。
当然、公式大会では禁止されている。
そんなこんなで時間が過ぎ、最後は

「アー!もうこんな時間ダワー!黒子!早く帰らないと寮監に怒られるわよ!
 さー帰ろう!今すぐ帰ろう!」

と、半ば強引に解散させられ【にげられ】た。

(こーなったら上条さんを連れて来るしかないよね。やっぱり。
 ていうかあたしも会って見たいし。)

もはや「都市伝説の人」に会いたいから、「御坂の好きな人」に会いたいへ佐天の思考はチェンジしている。

(よし!明日上条さんの高校に言ってみよう!初春に聞けば場所も分かるし!)

ひょっとしてこれはストーカーなのかな?と一瞬頭によぎったが、
御坂さんの恋の行方【こんなおもしろいこと】ほっとけるかー!と思い直した。
この子は本当にいつでもテンションが高いなぁ。

ちょっとコンビニでも寄ろうかなと思った瞬間

「きみひとり~?あぶないよ~こんな時間に~俺たちが家まで送ってあげるよ~。」

声をかけられた。
相手は3人組の男性達【スキルアウト】。明らかにこの人たちと一緒のほうが危ないといった風貌だ。
1人目はくすんだ金髪で両耳と唇にピアス。声をかけてきた男だ。
2人目は左腕と左頬にタトゥーを彫ったスキンヘッドの男。
3人目は鉄下駄を履き、学ランを着て、葉っぱをくわえた大男。
…3人目だけなんか違くね?などといっている場合ではない。

(ヤバイヤバイヤバイヤバイ!!)

LEVEL0の中学1年生佐天に、ヤンキーふたりと番長ひとりをたおすスキルはない。
何回やっても何回やっても、E缶だけは最後まで取っておいても倒せないだろう。
どうすればいいかアワアワしていると、

「あーいたいた土御門。悪いな、買い物してて遅くなっちまった。」

ツンツン頭の少年が乱入してきたのである。
ツチミカドとはどうやら佐天にたいしていった名前のようだ。
なるほど、偽名を使えばノートに名前を書き込まれても死ぬことはない。

「それじゃーツレがお騒がせしましたー…」

そういいながら佐天【ツチミカド】の腕をつかむ少年。
佐天はその少年の顔に見覚えがあった。初春のパソコンで見たはずだ。
御坂から話を聞こうとしたはずだ。明日会いに行こうとしてたはずだ。
LEVEL0なのに電撃が効かず、「不幸だぁー!」という口癖を持つ。
戦闘力は4か5程度。ヤムチャ位しか倒せない。
都市伝説『不幸な王子様』にして、御坂美琴【しんゆう】の想い人。
          上条当麻がそこにいた。

上条【じゃまなやつ】の乱入にスキルアウトの3人の目つきが変わる。

「なんだよお前~その子は俺たちに用があるんだぜ~?」
「邪魔すんじゃねぇぞゴルァ!殺されてぇのかゴルァ!」
「おなごじゃい…本物のおなごじゃい!逃がしてたまるかい!!」

3人目はちょっとだまれ。あと偽者のおなごって何だ。

「いやいやいや。だからコイツ俺の友達なんですって。な!土御門?」
「ええ!そりゃあもう!このツチミカドはあなたの友達ですよ。ハイ!」

空気が読めてノリもいい子で助かった。と、上条は思った。
以前、とあるビリビリ中学生を助けたようとしたときはえらい目にあったものである。
もっとも、そのときの記憶は『今』の上条にはないのだが…
ちなみに佐天は頭をフル回転させ、この状況をどうするか、ではなく下の名前を考えていた。

(よし!ツチミカド・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールにしよう!)

何でこんな余裕あるの?そんな名前の日本人がいるか。本当に覚えられるのかお前。随分すごい魔法が使えるんでしょうね!
…いかんツッコミきれない。ノリが良すぎるのもどうかと思う。

じゃーそーゆーことで…とその場を逃げようとする上条だったが、突然

「うおーーー!!逃がさん!!おなご!!逃がさんどーーーー!!!!」

と3人目がブチ切れた。 かぁ!気持ち悪ぃ!やだお前ぇ!
ついでに両手も燃えている。発火能力者。LEVELも3はありそうだ。
ぬうぇい!という掛け声とともに、両手の炎は上条めがけて投げられた。
直撃した!…はずだった。が、上条は無傷だった。傷どころか服も燃えていない。

ただ右手だけを前に伸ばして。

その場にいた上条以外の人間には何が起こったのかわからない。
スキルアウトの3人はどんな能力だ?と動揺し、佐天は電撃だけでなく炎も効かないという事に驚いていた。
彼の右手には幻想殺しという力が宿っている。
それが異能の力ならば、魔術だろうと超能力だろうと波動拳だろうと打ち消せる能力。

チャンス!周りはキョトンとしている。

「おい!走るぞ!」

上条はツチミカド・フランソ…え~と…ナン・ト・カカン・トカの腕を右手でつかみ走り出した。
ちなみに左手には、学生カバンとスーパーの袋がしっかりぶら下がっている。
少しして、3人が追いかけてきた。
かわいい女の子に 「待って!私を置いていかないで!」 なんて言われたら待つだろうが、
誰が好きこのんで、イカつい野郎×3に 「待てやゴルァー」 といわれて待つか。
こちとら逃げ足には自信がある。
こっちは女の子【ハンデ】を連れてはいるが、こんな不幸【じょうきょう】良くあることだ。

スーパーの袋を持ち、必死の形相で逃げる上条。
その姿はあまりにも、王子様というイメージとはかけ離れていた。
普通の高校生が、普通の中学生の腕をつかんで逃げている。
そんな今の自分たちの姿に、佐天はクスッと笑った。


どうやら撒いたらしい。
上条は本当に逃げ慣れているらしく、この辺りの地理にはくわしいようだ。
日曜7時の旅番組でしか通らないような、路地裏や狭い道をぬけて、今は開けた場所にいる。
サイコロもさぞ転がしやすいだろう。

「ここまで来りゃ平気だろ。あんた怪我とかは大丈夫か?」
「あ!おかげさまであたしはまったく何の問題もないです。」
「そっか。気をつけろよ?この辺にはあーゆーのがいるから。」
「えへへ…すみません。」
「で?おまえンちってどっち?」

   ハイ?
「いやいやいや!違いますよ!?ワタクシは紳士であって
 先ほどのようなことが起こらないようにボディーガードなどをやろうとした次第でして
 決して送りオオカミなどというゲスい真似など微塵も…」
「…プッ!…あっはっはっはっは!!」

上条の必死すぎる弁解に佐天はとうとうふきだした。
上条も分かってもらえたかと、ホッとした。

「じゃーあたしの寮までお願いします。歩きながらお話しましょうよ!『上条さん』!」





「あー何だ御坂達から聞いたのか俺の名前…」

上条はいきなり名前を呼ばれてビクッとした。もしかしたら『前の俺』の知り合いか!?と、思ったようだ。
だが話を聞けば、この佐天涙子という女の子は御坂や白井の共通の友人のようだ。

「上条さんもすごいですねその右手!どんな能力も効かないなんてムテキじゃないですか!」
「いや…そこまで便利じゃないんだけどな?あ…と、ここか?佐天の寮。」
「はい!今日は本当に色々ありがとうございました!」
「いやいいって。佐天こそ気をつけろよ。じゃあな。」
「あ!待ってください!明日お暇ですか!?」
「ん~どうだろ…補習がなければ多分…」
「だったら明日ここのファミレスに来てください!」

そういって佐天は、今日いたファミレスのチラシをカバンから出す。
何で?と、言いかけた上条に佐天はすかさず

「今日のお礼をさせてください!」

悪いとは思ったが、せっかくの好意を断るのもどうかと思い、明日会う約束をして上条は帰っていった。
紆余曲折あったが、結果的には「明日上条と会う」という当初の目的は達成された。

「よーし!明日は御坂さんも呼んで根掘り葉掘り聞きまくるぞー!
 そんでふたりをいい感じにしてー………?」

と、意気込んだところで佐天は胸がチクリと痛むのを感じた。
だが、風邪でもひいたかな?と、あまり深く考えずに、そのままカバンからケータイを取り出した。

「おっす!初春?明日なんだけどさー……」





     都市伝説 『不幸な王子様』
どこからともなく現れて、困っている女の子を助けてくれる。
そして助けられた女の子は高い確率でその人のことを

        好きになってしまう。

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