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上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/22スレ目ログ/22-655 - (2013/01/30 (水) 08:19:12) のソース

*選択と決着 3
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行間 選択


人生は選択の積み重ねだ。
右か左か、進むか退くか、何を拾い、何を捨てるか。
その積み重ねが他者を巻き込み、時間を進める。

これは、ある少年の人生で起こるべくして起こった物語。 



第二章 宿敵


「婚后さん!! 御坂様がホテルを出て南の方へ向ってます!!」

「へ? なぜ急に?? と、とりあえず追いましょう!! 怪人ウニ猿にはお気をつけてくださいな」

「「「「はい!!!!」」」」

(よしっ。追ってきた!!)

常盤台中学の一団が一斉に動く。
この異様な光景を前に周囲は騒然となった。



一方こちらでは一台の車が停まっていた。
運転席の男は考える。

(なんか話しかけるべきなの?)

金髪に染めました。と主張するぼさぼさの髪、すすけたジャージ姿のチンピラである。
名を浜面仕上といった。
彼は、動くことを選ぶ。

「なあ、お前も大将や第三位に借りがあ「殺すぞ」すみません」

助手席にも人がいた。
鋭いナイフをイメージさせる、女にも見える少年。
学園都市の第一位、一方通行である。

(えーと、俺は、フレメアを迎えに行ったんだよな。そしたら、ミニ第三位もいて、こいつも迎えに来てて、そしたら電話が鳴って……)

「来たぞ」

怪訝な顔をした浜面にも騒ぎの音が聞こえる。

「待ってください!! 上条さん!!」

「なぜ逃げるのですか!!? 上条当麻!!」

あいつも大変だなーと考えていたら、後ろに誰かが飛び乗った。
見慣れてしまったツンツン頭だ。

「とりあえず北に!!」

「タクシーじゃねェンだぞ?」

「お前の運転じゃないだろ……」

ミラーを見ると、数人の女性が人間とは思えないスピードで接近していた。

「魔術か(数人だが妹達もいやがるな)」

「やれやれ、ま、借金返済ドライブ。楽しみますか」


それから数分後、ポンコツ自販機前にて、
一組のカップルが合流を果たしていた。

「美琴!!」

「当麻!!」

全力で駆けより抱擁しあう二人。
約一週間ぶりの再会であった。


しかし、この時まだカーチェイスも常盤台鬼ごっこも終わっていない。 



「追いつきましたわ!! 御坂さん!! なぜ逃げたのか教えてくださ……!!?」

婚后光子は御坂と話すことを諦める。

相手が御坂美琴ではなくなっていったからだ。

「あーここまでくればいいかな?」

御坂美琴の容姿に亀裂が入り別人の顔がのぞく。
一見、少女にも見えなくない。線は細く腰まで金髪を伸ばし、黄色と黒を基調とした服を着ていた。

「俺のことはトールとでも呼んでくれ。しかし敵とはいえ、応援していた二人がくっつくとうれしいね。ちょっと手伝いたくもなるってもんだ」

「……御坂さんはどこですの??」

「ピンピンしてる……って言っても信じないだろ? そうだなあ、俺に攻撃をかすらせるぐらいできたら教えてやるよ」

婚后をはじめ、湾内、泡浮といった常盤台の面々が戦闘態勢に入る。

「ざっと二十人か。しっかし、『傷つけるな』ねえ、提案したのこっちだけど」

怪物は嬉々と続ける。

「そんなハンデじゃ経験値になりえねぇぜ。あいつの真似して右手だけでやってみっか?」



あきらかにスピード違反の運転手は呟く。

「ついてきてるな……」

ショートカットで槍を持った少女、赤毛で修道服を着た少女が鏡に映る。
周囲が平然としているのは学園都市だからであろう。

「なんとか逃げき「おい」なんだよ?」

一方通行が会話を妨げる。

「いつまでそのままなンだ?」

「海原」

上条の顔で海原と呼ばれた男が微笑む。

「そうですね、相手の目が良すぎますし、途中でやめるわけには……。土御門さんの連絡待ちですね」

「大将の敬語って気色悪いな」

「……お前、後ろのをなンとかしやがれ」

「一定の距離保てばいいんだろ? お前は?」

一方通行は屋根に登りながら答える。

「向こォも真打ち登場らしィ」

トンッ、と何かが屋根に何かが乗った音がした。

「上条当麻を返していただきます」

「どォせ、ここにはいねェっつても奪い取るつもりなンだろ」

この決断は妹達をまた悲しませるかもしれない。
しかし、

『あなた、お姉様を助けてあげてって、ミサカはミサカは無理を承知で!!……』

彼は選択した。

「こっから先は人の恋路、他人に踏み込む権利はねェンだよ!!」 



話は数刻前にさかのぼる。

「というわけで、姿を借りた礼を言いに来たんだぜ」

「今の要領で変身して、大覇星祭の前日に私の姿でアイツと会ったと、……ん?」

なんかひっかかる。胸に。
忘れてはならない出来事があったような……?

「ちょうど上条ちゃんと電話中なんだろ、代わってよ」

「え!!? うん」

必死に思い出しながら電話を渡す。

『トールか?』

しかしその思考は次のトールの言葉に中断された。

「いやぁ、ファミレスでの会話や鉄橋での告白頑張ったねぇ」

『「えっ?」』

「そのあと周囲に弄られてあたふたしたり、勉強会の際に距離が近くてドギマギしたり、遠くにいても相手からのメール見て同時にニヤニヤしたり……」

『「なっなんでそれを知って!!?」』

「そりゃあ、あっちこっちにハッキングして……」

『ぎゃァァァあああああああああああああああ!! 俺の青春が再びィィィいいいいいいいいいい!!!』

「ふにぁぁあああああああああああああ!!」

もがき苦しむ上条、涙目で猫パンチする美琴。
そんな二人が落ち着き、ようやく本題に入る。

『俺が囮になってやる。そっちはなんとか抜けられるか?』

「……ああ、こっちにも助っ人が来たところだ」

それを聞き、上条と同じ顔をした人物が微笑んだ。



そんなこんなでこの状況。
あの二人は数十分経っても抱き合ったままだった。
長すぎる。

「……」「……」

情報を整理しよう。
彼らは告白した後も、補習などでろくに遊べていない。
約一週間ぶりの再会である。
勉強会等で距離が近いくらいでドギマギする。
つまり、


「恋人同士で手をつなぐ」すらまだクリアしていない、初恋カップルであった。
それが勢いで抱き合ってしまっている。そのため、


(えっ!!? この後どうすればいいの美琴いい匂い。肩を掴んでそっと離せばいいのか美琴柔らかい。それとも声をかけるべきなのか美琴かわいい)

(当麻の胸板当麻の胸板当麻の胸板当麻の胸板当麻の胸板当麻の胸板当麻の胸板当麻の胸板当麻の胸板当麻の胸板当麻の胸板当麻の胸板……)

ま~たパニックに落ちていた。

二人だけの空間の出来上がりである。
自分の親友たちがガチバトル中だというのに。
いや、正常な判断は無理だろうな、うん。
せめてもの救いは、公園どころかその周囲に人っ子一人いないことだろう。


こんな昼間に一人もいない??


「もう十分以上待っているんだ、いい加減にしてくれ」

上条はとっさに美琴を後ろにかばう。
言葉の発信者を確認すると、思わず口が動いていた。

「……ステイル?」

「ふぅ、いろいろと決着をつけにきたよ、宿敵」 








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