とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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小ネタ 11月22日はいい上琴の日



「これとこれと、あとこれもっと」

「お、おい、御坂、買いすぎじゃないか……?」

「何言ってんのよ。まだまだこれからこれから」

 とあるスーパーの一角。
 黒を基調とした学生服を着た少年と、ベージュ色のブレザーにチェック柄のスカートを履いた少女が綺麗に並べられた食品を見回している。
 野菜コーナーを見終え、今は肉製品を見比べしている途中だ。
 既に少年―ー上条当麻の手にある買い物カゴの半分は様々な野菜で埋まっている。
 まだまだ増えるであろう荷物を想像しながら上条はため息をつき、

「大体これだけ買ってどうすんだよ。まだ冷蔵庫にあったと思うし、腐らせるだけだぞ」

「ほんとに何言ってんだか。今日買ったのは全部使うに決まってんでしょ」

 両手にある吟味していたであろう肉製品の片方を入れ、御坂美琴は呆れたように返した。
 商品の値段を見て「うえ」と上条は漏らす。普段ならば絶対に買わない値である。
 
「お前さ、ウチのご飯をパーティ仕様にでもするつもりか? インデックスでも呼ぶか?」

 上条の言葉に美琴は追加しようと選んでいた手を止め、こちらを見た。一目で睨んでいるとわかる目つきだ。

「アンタさ、今日が何の日かまさか知らないわけ?」

「え、えっと11月22日ですよね。あ、あの美琴さん? もしかして怒ってます?」

「怒ってないわよ」
 
 ふん、と美琴はそっぽを向き商品選びを再開した。
 間違いなく怒っている。何だかんだで先ほどまで上機嫌で商品を選んでいたというのに。
 インデックスの名前を出したのが間違いだったのだろうかと首をかしげるが、しかし二人の関係はそこまで険悪ではない。むしろここでインデックスの名前が出たのは、彼女が結構なペースでお呼ばれしており、必然的に量が多くなるからこそなのだが……。
 
「な、なあ、ヒントをください。ほら、上条さん馬鹿なもんだから、な?」

「……」

「いやいやいや! 無言で商品入れるのが凄く怖いですから! 上条さんにもう一個カゴ持たせる気まんまんですよね!」  
 
「……日にちを語呂合わせしてみたら」

「語呂? 11月22日だから……いちいち、に、いに、にい、いや、11(いい)か? じゃあ2は、いいにに、いふ、いいふう……ぶっ! ちょっと待て、俺たちはまだ学生だぞ!」

「なななななに勘違いしてんのよ! 景気付けに決まってんでしょ! 夫婦とか本気にするな!」

「商品を振り回すのはやめろー! あと大声で夫婦なんて言わないで!」

 顔を真っ赤にしている美琴をなんとかなだめるが、時すでに遅し。
 周りからは奇異な視線や、くすくすと笑い声が聞こえてくる。美琴も状況に気がついたのか身を縮め急に黙ってしまった。顔はまだ赤いままで。
 居たたまれなくなってしまった上条は、美琴が持っていた商品を奪ってカゴに入れ、その手を取る。

「ほら、行くぞ」

「ちょ、ちょっと」

「これぐらいで気にすんな。景気付けなんだろ? 美味い飯にしてくれよ『美琴』」

「あ……」

 それまでうつむいていた美琴が顔を上げた。「どうした?」という上条の問いかけに、美琴は緩やかに首を横に振った。そして、取られた手を力強く握りなおし、彼女は言う。 

「うん……頑張るから『当麻』」


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