とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/未来からの来訪者/Part04

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~2nd day ういくろてん~


ファミレスを出た美琴たちは銀行に来ていた。
佐天が軍資金調達のためにお金を下ろすのに付き合っていのためだ。
4人はたわいもない話をしながら空いているソファに座り佐天が戻って来るのを待っていた。
やがて、目的を達した佐天が美琴たちの元へ戻ってくる。

「すみません。お待たせしまし―――」

佐天の言葉は突然背後で鳴り響いた大音響の金属音とガラスの割れる音によってかき消された。
銀行内にいた人々が揃ってそちらに視線を向ける。
そこには、窓ガラスをぶち破って突っ込んできた一台のワンボックスカーが止まっていた。
急ブレーキをかけたのだろう、床にはブレーキ痕がしっかりとついている。
事故だろうか。
見たところ、巻き込まれて怪我をした人などはいないようだ。
あまりの出来事にあっけに取られているためか、誰も言葉が出ず、しんと静まり返る。
バンと大きな音を立てて車体後部の扉が開かれた。
それと合わせて銀行内に甲高い劈く様な不快な音が響く。
まるで頭の中をかき回されている様な不快さ。
美琴が、黒子が、初春までもがその不快さに膝をつく。
他にも何人かその音のせいか頭を抱えてうずくまっている人もいるようだ。

「え、な、なに?」

「こ、れは…キャパシティ……ダウン?」

ギリギリと歯を食いしばり美琴がつぶやく。
気を抜けば意識を持っていかれそうだ。
能力者を行動不能にしたと確認したのか、車から数名の男たちが現れた。
マスクを被って顔を隠し、手には凶悪な銃を持つものもいる。

(銀行・・・強盗?)

ジリリリリリ―――
それに気付いた行員が、警報システムを起動させる。
けたたましい警報とともに、出入り口や窓に重たいシャッターが下り、警備用ロボが待機場所から躍り出た。

<警告、速やかに武装解除し投降しな―――

ドンという重低音が警備ロボの合成音声を遮った。
胴体部に大きな穴を開け、警備ロボは沈黙する。
銃口から硝煙をあげる大型の銃を持つ男がマスク越しでもにやりと笑みを浮かべたのが分かる。
能力者をキャパシティダウンで封じ、それ以外は銃で排除する。
合理的なやり方だ。

(くっ、どうする……電撃を放つにしてもうまく狙いは定められないし、威力もたいして出せない)

超能力者、第3位、超電磁砲等と言われているくせにこんな時に役に立たないなんて。
悔しさに美琴が唇をかみ締める。
それは風紀委員である黒子と初春も同じようで悔しそうに顔を歪めていた。
まともに能力が使えない今、これだけの人数の人質がいて、犯人も複数、打つ手がない。
やがて、犯人たちは見張りやすいようにか人質を一ヶ所に集める。
能力が封じられ思うように反撃できない美琴たちも、今はおとなしくその指示に従う。
下手に動いて、誰かを負傷させるわけにはいかない。
何か反撃の糸口が見つかるまでは、おとなしくしているしかない。
そんな美琴たちをよそに、見張り役が数名、人質や周囲を警戒している。

(能力が使えれば……)

美琴は、鈍い痛みを訴える頭を抱えながら恨めしげにキャパシティダウンを積んだ車を睨む。
能力さえ使えれば、強盗の男たちのみに電撃を浴びせ戦闘不能に持ち込めるだろう。
しかし、あれがある限り能力者はその力を発揮できない。
ここまで考えて違和感に気付く。
そう、能力者は自分たちも含めたまたま来ていた他の学生たちも立つのもやっとの状況だ。
ただ一人を除いて。
横を見ると、不安げな表情の佐天涙子と、じっと様子を伺っている麻琴の姿。
昨日、美琴は確かに見た。
麻琴が自分を電撃使い(エレクトロマスター)だと言い、小さな電撃を走らせたのを。
そしてLv3以上でなければ入学できない常盤台中学の制服を着ていたことを。
それなのに、先ほどから平然と振舞っている。
このキャパシティダウンの影響をまるで全く受けてないように。

「お母さん、黒子さん聞こえる?」

麻琴が小さな声で尋ねてくる。
美琴と黒子は強盗たちにばれないように小さくうなずくいた。

「あいつらの位置と人数把握できたから、これからキャパシティダウン、ぶっ壊すわよ」

犯人たちと人質の位置関係、行員との位置関係から考えて、今なら被害は出ないから、と付け足す。
どうやって、と聞く前に麻琴が前髪に紫電を走らせ、出力を低めにした電撃の槍を四方八方に飛ばした。
電撃の槍は男たちが気付くより前に手元の銃に打ち据える。
銃を伝わり男たちの腕に電撃が流れ、痺れさせる。
ほんの少しの間、相手を痺れさせる程度の電撃。
しかし、それで十分だった。
そのわずかな時間の間に、狙いを定め、電撃の威力をあげる。

「せぇ~のっっ!」

気合を入れる声と共に麻琴の身体から強力な電撃の槍が放たれた。
今度は先ほどとは比べならないほどの電撃が無人のワンボックスカーに叩きつけられる。
バチバチッと火花を散らした後、ボンと言う破裂音が響いた。
車体後部からプスプスと煙が上がっているのが見える。
キャパシティダウンが破壊されたことを示す煙だった。
事態に気付いた男たちが、銃を構える―――が、すでに反撃は始まっていた。
カカカッと小気味いいととと共に銃身に鉄矢が数本突き刺さる。
何が起こったか理解する前に、銃を構えていた男は黒子の渾身のドロップキックで壁に叩きつけられた。

「よそ見してんじゃないわよッ!」

突然の出来事に気をとられた瞬間、男たちを美琴の電撃が薙ぎ払う。
寸分の狂いもなく男たちの元に、意識を奪う程度に電圧を調整された電撃が襲い掛かる。
小さく悲鳴を上げて、男たちは昏倒する。
まさに一瞬の出来事だった。
まぁ、レベル5の電撃使いにレベル4の空間移動能力者がいるのだから当然と言えば当然なのだろう。

「ジャッジメントですの! 強盗の現行犯で拘束しますわ」

腕章をつけた黒子が、最初に蹴り飛ばした男の前に現れる。
完全に気を失っていて聞こえてないようだが、気にする必要もない。
てきぱきと犯人の男たちを拘束していく。
こうして強盗の男たちは、駆けつけてきた警備員にそのまま引き渡され、事件は解決した。
黒子と初春が事件現場にいた風紀委員ということでなにやら事情聴取を受けていたが、麻琴のことに
関しては前もって適当に誤魔化してもらうように伝えてあるので問題ないはずだ。

事情聴取も終わり、解放された一行は、元の目的地に向けて歩いていた。
佐天や初春は、何事もなく事件が解決したことに安堵しているようだ。
ただ、美琴だけはなにやら難しい顔をしていたが。

「お姉様、どうかなさいまして?」

それを感じ取った黒子が声をかける。

「ん~。いや、何でさっきキャパシティダウンの影響下で麻琴が普通に能力使ってたのかなって」

美琴の言葉にはっとして3人が麻琴の方を見る。
キャパシティダウンの影響下ならば、レベル5の美琴でさえまともに能力が使えなくなるはずなのに、
先ほど麻琴は明らかに正確な狙いと出力を持った電撃で男たちを打ち据えていた。
普通に考えてあり得ることではない。

「そう言えばそうですわね。麻琴さん、貴女何をしたんですの?」

「何をって言われても……あたしはそういう体質だからとしか」

「た、体質ぅ~?」

信じられないと言った声を上げる。
それはそうだろう、キャパシティダウンに影響されない体質ってどんな体質なのか4人とも想像もつか
ない。

「えぇ~っと。なにやら説明すればいいのか」

困ったように麻琴が頭をかきながら考える。

「お父さんの力、お母さんは知ってるよね?」

「幻想殺し(イマジンブレイカー)だっけ、能力とか異能と呼ばれるものであれば神の奇跡でさえ打ち
消すって言う」

美琴が間髪いれずに答える。
上条の右手のことについては、この間詳しく聞いたばかりだ。

「それって都市伝説の?」

佐天が以前あるサイトに載っていた記事を思い出す。
―どんな能力も効かない男―
実在するとは思わなかった。

「あまり言いふらさないでね。アイツ、そういうの嫌みたいだから」

美琴の言葉に佐天がこくこくとうなずく。

「で、その幻想殺し、あたしにもちょっと遺伝してるのよね」

「……それっておかしくないですか? 御坂さんの話だとイマジン…ブレイカーでしたっけ、それは
、どんな能力も打ち消すんですよね。でも麻琴ちゃんはさっき電撃を撃ってましたよね?」

初春があごに人差し指を当て小首をかしげて疑問を投げかける。
幻想殺しがあらゆる異能を打ち消すなら、自身の能力も打ち消してしまうはず。
その証拠のように上条も幻想殺し以外は特に能力を持たないレベル0だ。
幻想殺しを継いでいると言いつつ、同時に電撃使いの能力を持つ麻琴。
明らかに矛盾した存在である。

「だから、あくまでもちょっとなのよ」

ちょっと? と頭の上に疑問符を浮かべ見詰め合う。

「幻想殺しの欠片っていうのかな、あたしのは幻想阻害(イマジンキャンセラー)って言って、触れて
いる相手の演算やAIM拡散力場に干渉して乱し、能力の発動そのものを邪魔するの。発動を邪魔するだ
けだから、能力による攻撃そのものは打ち消せないし、発動された後には対応できないけどね」

「まるで、歩くキャパシティダウンですわね」

「触れた相手限定だけどね。それにお母さんみたいにレベル5相手だとよくて1割減くらいだし」

黒子の言葉にうなずきながら補足を加える。

「でも、それと麻琴ちゃんがキャパシティダウンが効かないのは関係あるの?」

「大有りなのよ。幻想阻害、あたし自身にも影響があってね。つまりキャパシティダウンを受けよう
が、元から常時乱されていて、それを補正しながら能力を使ってるあたしには、どちらにしろ乱れた
演算を補正するのには変わらないから効果ないのよ」

「それって、物凄いことなんじゃ……」

「実際は微妙なもんよ……。完全な補正が出来るわけじゃないから、あたし自身の能力だって1~2割
パワーも精度も落ちるし」

不幸体質にもなるしね、と誰にも聞こえないように小さくつぶやく。
上条当麻から受け継いだ、幻想殺しの欠片『幻想阻害』
触れていれば、あらゆる異能の発動をある程度妨害する能力。
しかし、それは上条当麻が神の加護すら打ち消しているように、麻琴が受けた神の加護の発動を邪魔
している。
一応、加護を受けはしているので、上条に比べれば不幸体質の度合いは幾分かマシではあるようだが。
自分の不幸体質を思い、少しだけ落ち込んだ。