とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/未来からの来訪者/Part03

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~2nd day ういくろてん~


「むぅ……」

カーテンの隙間から入る木漏れ日に麻琴は眠い目をこすりながら起き上がる。
常盤台の寮で培った生活習慣から目覚ましがなくても大体同じ時間に起きてしまう。

「ふぁあ~」

ん~と伸びをして大きく欠伸をする。
目覚めは悪くない。
まだ隣で寝ているインデックスを起こさないように、そっとベッドから抜け出す。
洗面所に向かい顔を洗う。
冷たい水に刺激され、脳が活性化していく。
浴室の方に目をやると、中から静かな寝息が聞こえてくる。
どうやら、彼女の父親はまだ寝ているようだ。
起こすのも可哀想だなと思った麻琴はキッチンに向かった。

「ま、しばらく厄介になるし、麻琴様直々に朝ご飯を用意してやりますか」

冷蔵庫に残ってた食材を取り出し、調理を始める。
さすが常盤台に通っているだけはあるのだろう、その手際は非常に洗練されている。
しかし、これだけの調理スキルを持つ麻琴だが納得がいかないことがひとつ。
昨日の美琴のカレーだ。
今は麻琴が本来いた時代より20年も前。
つまり、麻琴と美琴は同じ年齢なのだ。
それなのに…明らかに料理の腕で負けている。
母である美琴が料理が上手いのは当然知っている。
しかし、それは主婦としての経験があるがゆえのものだと思っていた。
だが、昨日食べたカレーは元の時代で食べたものよりわずかに何かが足りない感じではあったが、自分が作れるものより数段上だった。

「お母さん。どこであの料理の腕を身につけたんだろう。同じ常盤台で習っている筈なのに」

朝食を作りながら麻琴がむむぅと唸る。
麻琴は知らない。
美琴が上条においしい手料理を食べさせるためだけに、土御門舞夏から手解きを受けていたことを。


しばらくすると、食事の臭いにつられたのかインデックスが起きてくる。

「まこと。おはよ~なんだよ」

「おはよ。インデックスさん。もうすぐ食事の用意が出来るから顔を洗ってくるついでにお父さん起こしてきてくれない?」

わかったんだよ。とインデックスは眠そうに目をこすりながら、洗面所の方にややふらつきながら向かっていく。
なんだか危なっかしい。
未来では、まさに淑女といった感じのシスターなのになぁと未来と今のインデックスのギャップに首をかしげる。
一体、今のインデックスに何が起これば、あの未来のインデックスになりえるのか。
実はこれが未来で都市伝説になっているとは誰も知らない。

―――

朝食を食べ終わった頃、上条の部屋に荷物を持った美琴が現れた。
昨日の夜、美琴が帰る前に約束していたからだ。
麻琴が着る為に、美琴の私服を持ってくると。
突然未来からこの時代に飛ばされた麻琴は、当然のように着の身着のままである。
そのことに気がついた美琴が、どうせ制服着用の義務のせいでめったに着れないし、とのことで持って来ることになったのだ。
美琴と麻琴は容姿も体型もそっくりなのは昨日の時点で分かっているので服のサイズも問題ない。

「これくらいあれば、しばらく着替えに困らないでしょ」

「サンキュー、お母さん。おぉ~、これ可愛い……」

早速、美琴が持ってきた服を広げ見比べる。
一枚一枚手にとって自分の身体に当ててみる。
麻琴も常盤台の生徒だ。
やはり普段は制服着用義務があるため、こういう私服を選べるというのは楽しいのだろう。
これとこれを合わせてみたら?とか、こういう着こなしは?とか、母娘二人は楽しそうに話し合っている。
しばらくして、何を着るか決まったようで、麻琴はそれらを持って洗面所の方に向かっていった。
早速、着替えるつもりのようだ。

「いつも制服だから知らなかったけど、美琴も結構私服持ってるんだな」

「そりゃ、まぁね。普段着れないって分かってても、気に入るとつい……ね」

なんだか美琴が罰の悪そうな表情を浮かべる。
節約命の上条に無駄遣いをしていると思われるんじゃないかと心配になってしまったのだ。
しかし、上条はそんなことを気にするでもなく―――

「ふ~ん。おっ、これなんて美琴が着たら似合うだろうなぁ」

「そ、そうかな。ちょっと大人っぽ過ぎたかなって思ってたんだけど」

目に付いた一着の服を手に取る。
確かに、少女趣味な美琴にしては大人っぽいデザインのものだが、十二分に美琴の魅力を引き出しそうなものだった。

「いやいや、ぜってぇ似合うって。まぁ、どれ着ても似合うし、可愛いだろうけどな」

「ふぇっ!? か、かかかかわい……」

何気ない上条の一言に、美琴の顔が一瞬で真っ赤に染まる。
ぷしゅ~と頭から湯気でも出ていそうな雰囲気だ。

「こっちの服も美琴の雰囲気にあってるよな。これを着た美琴、可愛いだろうなぁ」

別の服を手に取り、上条は無意識に追い討ちをかける。
すでに美琴はあぅあぅと嬉し恥ずかしテンパり中で目を回しそうだ。
麻琴が着替え終わって戻ってきた頃には、ふにゃふにゃになった美琴が上条に抱きとめられていた。
それだけで、またお母さん漏電したのか、と何となく経緯が分かってしまう。
結局、美琴の意識が戻り立ち直ったのは遅刻ギリギリの時間になってからだった。
どたばたと慌てて部屋を出て行く二人を見送った麻琴は、このあわただしい両親は未来でもこの時代でも変わらないなぁと、妙な感心をするのだった。
尚、インデックスは食後、お腹いっぱいで幸せそうに寝てたりする。

――――――

昼食をインデックスと一緒に食べた後、麻琴は未来に帰る何らかの情報がないか探すためという名目で、散歩していた。
わざわざ名目で、と付けたのは半分以上は単にこの時代の学園都市内を見て回りたいだけだったりするからだ。
まずは昨日、自分が立っていた公園に行ってみたが、当然のように何も変わった所はなかった。
常盤台の寮から学校への道は、美琴が調べると言っていたが、時間もあるので念のため歩いてみる。
特に自分の電磁波レーダーに引っかかるようなものもなく、おかしなものも見つからなかった。
この時代のIDがなく学び舎の園へは入れないため、この中は美琴に任せるしかない。
しばらく散歩を続けていた麻琴だったが、さすがに疲れたのか、近場の公園で休憩することにした。
自販機を見つけ、朝に美琴から小遣いとしてもらっていた一万円札を取り出す。
麻琴自身も多少は持ってはいたのだが、それは未来の貨幣であり使えない。
お金を自販機に入れる。
――――反応なし

「あれ? えっ、ちょっ!」

ガチャガチャと返却レバーを動かすが、やはり何も起こらない。

「そ、そんな。飲み込まれた。上条さんの全財産が……不幸だ……」

上条譲りの不幸体質は麻琴の中で遺憾なく、その不幸さを発揮しているようだ。
麻琴は教えられてはいなかったが、過去にあのいつもの自販機で美琴も一万円札を飲まれたことがあるというのは、不思議な因果である。

(うぅ、どうする? 常盤台中学内伝のあの技を使う? でもそれだとジュースが出てくるだけなのよね。ならば電子制御いっちゃう? あぁ、でもあたし、お母さんよりそういう細かい作業の精度粗いんだよなぁ。うぅ、ホントに不幸だ)

自販機に両手をつき、がくりと項垂れる。
こうなったら一か八か……と麻琴は顔を上げ、決意を込めた瞳で自販機を睨みあげた。

数分後――
そこには煙を吐き、パチパチと放電する哀れな自販機が一台、途切れ途切れの警報を鳴らしていた。

―――

「はぁはぁ。あ~、びっくりしたわ。急にバチバチ言って煙出すんだもん」

先ほどの公園からかなり離れた場所。
警報が鳴ったことであわててその場から逃げ出した麻琴は、ぜぃぜぃと肩で息をしながら道を歩いていた。
汗をぬぐい、呼吸を整える。

「うわっ!?」

「きゃっ!」

疲労から、気が抜けてたのかもしれない。
十字路で角から出てきた少女にぶつかってしまった。

「ご、ごめんなさい。よそ見してて」

「いえ、こちらこそ」

顔を上げ、ぶつかった少女を見る。
腰まで届く長い黒髪に、一輪の白い花の髪飾りを付けた快活そうな少女。
その横には、花を散りばめた様な花飾り…と言うか花畑な少女。
どこかで見た様な……と麻琴が思案していると

「あれ、御坂さん?」

「あ、ホントだ。でも髪の色が……」

ミサカ? ミサカ御坂…あぁ、なんだお母さんの旧姓じゃん。
このことに気付いたとき、目の前の少女たちが、自分の知る女性に重なった。

「あぁっ! 涙子さんに飾利さん!」

「あれ、何であたしたちの名前を、やっぱり御坂さんの関係者?」

突然名前を呼ばれた長い髪の少女、佐天涙子が訝しげに見つめてくる。
さぁっと顔が青くなる。
うかつにも口が滑ってしまった。
自分の時代ではよく知っているいるとはいえ、この時代では初対面だ。

(ど、どうしよう。無難にお母さんの親戚だって言う? 実際血の繋がりあるわけだし! あぁ、でも後で変なことになったりしない? いっそ逃げ出す?)

あぅあぅと取り乱す麻琴に更に追い討ちをかけるように事態は進行する。
ヒュンという空気を切るような音とともにツインテールの少女が佐天と初春の前に現れた。

「初春。佐天さんも、まだここにいらしたんですのね」

「あ、白井さん。すみません、ちょっと学校の用事が長引いてしまって」

変態テレポーターの異名を持つ白井黒子だった。
空間移動能力者が来ては逃げるのもほぼ無理だ。
しかも、美琴への想いはおかしな方向に全力全開だ。

「あら。そちらの方は? お姉様にそっくりですわね」

(終わったー。上条さん終了のお知らせですね、これは!)

「そうそう。今この子とぶつかっちゃいまして、御坂さんに似てるなーって」

「そこはかとなく、お姉様の匂いもする気がしますの」

ジーっと見つめてくる三人の瞳。
ますます窮地に立たされたようだ。

「あ、あの、その、えっと」

しどろもどろになりながら何か言い訳を探す。
しかしすでにテンパってしまっている麻琴にいい考えなど浮かばない。
妹達ならば、まだ双子の妹とか言えば何とかなりそうだが、あいにくと娘だ。
父親の分、美琴とは若干容姿が違う。
そこに、希望の光とも言える声がかけられた。

「黒子、先に行かないでよ。……って麻琴。アンタこんなとこで何してるの?」

テレポートに置いていかれた美琴が合流してきたのだ。
初春と佐天に軽く挨拶をし、麻琴に視線を向ける。
三人が麻琴と出会ってしまったなら仕方ない、親戚の子だと誤魔化そうかと美琴が考えていると、すっかり混乱中の麻琴が、またも口を滑らせた。

「お、お母さぁん……」

薄っすら涙目で、すがるような視線を向けてくる娘に美琴の母性本能が刺激される。
思わず抱きしめてなでてやりたい衝動に駆られたが中一トリオの声で中断された。

「お、お母さん!? 御坂さんが!??」

「ぬっふぇ!?」

「お、おおお姉様ぁぁあああぁ、どういうことですのーー!!」


結局、黒子たち三人には麻琴が未来からきた自分の実の娘であると説明することになった。
もちろん、父親である上条に関することは伏せて。

「御坂さんの未来の娘さん…」

「どうりでそっくりなわけですね。麻琴ちゃんはお母さん似なんですね」

「お姉様のお嬢様。ウヒウヒヒヒ」

「黒子……。麻琴になんかしたら真っ黒焦げじゃすまないわよ」

奇妙な笑い声を発しながら、怪しげな手付きで麻琴を見つめる黒子に、美琴がバチッと電撃を走らせ牽制する。

「な、何をおっしゃられてますの。わたくしがそんなはしたない真似するわけございませんわ」

だらだらと汗を流し視線をそむける。
明らかに、下心全開でしたと言わんばかりの態度である。

「さすが白井さん。歪みないな~」

「白井さんから変態を取ったら何も残りませんしね。変態だからこそ白井さんなんです」

「初春!? 何か言いまして?」

初春の暴言とも取れるような言動に黒子が、ギロリと睨む。

「ところで、御坂さんの未来の旦那様ってどんな人なんですか?」

「えっ!?」

「あ、私も知りたいです。あの常盤台のエースをお嫁さんにしちゃう人。きっと凄い方なんでしょうね」

わくわくとした視線を向けてくる佐天と初春。
佐天さんめ、余計なことを、なんて心の中で思いつつ、どう誤魔化すか必死に考えを巡らせる。

「あ、あのね。この子の父親のことは聞いてないのよ! ほ、ホントよ」

あせあせと、明らかに取り乱している。
それにいぶかしげな視線を向ける黒子。
美琴がこういう態度をとる相手は一人しか思い浮かばない。

「お姉様。もしかしてあの類人猿ですの?」

ポンっと美琴の顔が真っ赤に染まる。
もう、なんと言うかバレバレな態度である。

「ち、ちち違うわよ! な、何でとうm…あの馬鹿と私が、そそそそのけけ結婚とか、こ、子供とかありえないじゃない!!」

この美琴の動揺の仕方。
白井さん曰くの類人猿というのが御坂さんの想い人なんだ。と一瞬で推測した佐天は、更に確定的な情報を得るため矛先を変えた。
先ほどから何度も口を滑らせる相手へと。

「えっと、麻琴さん? 麻琴ちゃん?」

「ちゃんでいいよ涙子さん。実際は涙子さんの方が年上なんだし」

「じゃあ、麻琴ちゃんのお父さんってどんな人? 御坂さんは教えてくれないし、麻琴ちゃんが知らないってことはないよね」

にっこりとした笑みを浮かべて佐天が詰め寄る。
その微笑の下に、明らかに楽しんでますな笑顔を浮かべてるのがみえみえである。
さぁ、吐いて楽になっちまいな、という幻聴まで聞こえてきそうだ。

「お、お母さんが話したくないことを話す訳にはいかないと上条さんは思うのですよ」

しまったと思ったときにはもう手遅れで、焦ると出てしまう、いつもの口癖がこぼれた。
父譲りの、自分を苗字で呼ぶという癖が。

「へぇ、御坂さんのお相手の苗字はカミジョーさんなんですね」

佐天がにやりと意味ありげな視線を美琴に送る。
あぅあぅと美琴は真っ赤になってうつむいてしまう。

(あの類人猿がぁぁ! くぅぅ、しかし、このお姉様の恥ずかしそうな乙女の顔。それはそれでそそるものがありますわぁぁっ!)

お姉様と慕う美琴を取られた様な悔しさからギリギリと歯軋りをしながらも、その赤くなって照れている美琴がまたたまらないようで、怒りを爆発させるまでには至らなかった。

「それで御坂さん、カミジョーさんとやらはどんな人なんですか?」

「あ、あぅう……」

「御坂さんが答えないなら、麻琴ちゃんに聞いちゃいますよ?」

佐天がちらりと麻琴の方を見る。
ビクゥッと麻琴が身を強張らせた。
なんだかんだで未来の佐天にはよく言いくるめられてしまっている。
麻琴では佐天にかなわない。
それは現在でも変わらないだろう。
おそらく洗いざらい情報を聞きだされてしまう。
言わなくていいことまで。
麻琴の狼狽振りに、美琴もなんとなくそれが分かってしまった。
もう、逃げ道はないと。

「わ、分かったわよ……」

美琴は観念した様に小さくつぶやいた。


場所は変わっていつものファミレス。
美琴への尋問真っ最中である。

「へ~。それで御坂さんを助けてくれたんですか。まるでヒーローみたいですね」

「う、うん。普段は頼りない奴なんだけど、いざというときには駆けつけてくれて助けてくれるの」

上条との出会いから色々と聞かれてしまった。
さすがに妹達の件は誤魔化したが。
最初は恥ずかしそうに小声でゴニョゴニョと言っていた美琴だったが、やがて自分の大好きな人を知ってほしいという欲求が出てきたのか勢いに乗り始め、スイッチが切り替わったように惚気ながら話していた。

「御坂さん。本当にその上条さんが大好きなんですね」

「うん。世界で一番、大好き」

心から幸せそうに微笑む。
その笑顔はまるで絵画の様に美しく、思わず見惚れてしまうようなものだった。

(ぐぬぬ。お姉様があの類人猿に好意を持っていることは知っていましたが、こうも幸せそうな顔で語られるときついものがありますわね。でも、本当にお姉様はあの類人猿、もとい上条さんのことを好きなんですのね。お姉様の幸せは黒子の幸せ、けれども、ですけれども……うぅぅ)

慕う人が幸せになる。
それは黒子にとって最も嬉しいこと。
しかし、それは黒子が与えたものではない。
祝福したい気持ちと妬みが綯い交ぜになって頭の中をぐるぐる回る。
そう簡単に割り切れる思いではない。
ちらりと麻琴の様子を伺う。
今度は麻琴が、初春と佐天に質問攻めにあっているようだった。
差し障りがない程度に未来の両親の様子を語っているようだ。
その顔は楽しそうで、嬉しそうで、幸福に満ち溢れていた。
美琴に良く似た少女の笑顔が黒子の心に染み込んでくる。
その笑顔に黒子は何か吹っ切れたように―――

(……お姉様にそっくりの麻琴さん。これから生まれてくる…これから? そ、そうですの! これから生まれてくる純粋な麻琴さんを、黒子がお世話をすれば黒子好みの淑女に育てることも出来ますの! 名付けて『黒子の黒子による黒子のためのお姉様育成計画』!!)

黒子の向かう先はやはりというかなんと言うかずれていた。
せっかくいい話になりそうだったのも台無しである。

「っ!!?」

その瞬間、麻琴の背筋をゾクゾクッとした薄ら寒い感覚が襲う。

「どうしたの麻琴?」

「いや、なんか今、もの凄く選択を誤った気がした……」

麻琴が未来で黒子から受けてきた数々のセクハラはこれが起点だったのは言うまでもない。
まぁ、その度に麻琴本人もしくは美琴の電撃で撃退はされているのだが。

「そ、そうだお母さん。昨日のカレーってさ、誰に作り方教わったの? 常盤台で習うだけじゃあの味出せないよね」

悪寒を振り払おうと、話題を変える。

「あー。あれは舞夏よ、土御門舞夏に教えてもらったの」

「舞夏さん……あぁ、あのメイドさんか」

麻琴の脳裏にメイドの中のメイドと言われている女性が思い浮かぶ。
あらゆる家事を完璧にこなし、料理の腕はプロをも凌ぐと言われている人物。
この時代ではまだそこまでは到達していないだろうが、それでもその片鱗を見せているであろう人物から教わっていれば、美琴の非常に高い調理スキルにも頷ける。

「もしかして、盛夏祭のとき白井さんを探していたメイド見習いさんですか?」

「あぁ! さすが初春。よく覚えてたね。あたしは言われて思い出したよ」

初春に続き佐天も思い出したようだ。
盛夏祭で常盤台の寮を訪れたとき、白井黒子を探しに来た小柄なメイド見習いの少女を。
そんな風に、美琴たちがおしゃべりしている傍ら、黒子は一人黙々と、いや悶々と『黒子の黒子による黒子のためのお姉様育成計画』を練りに練りこんでいた。
この道を踏み外した少女は、いつかまともな道へ復帰できるのであろうか。