とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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とある彼女と上条当麻・後日談

とある彼女と上条当麻 の続編です。



(1月1日、元旦。神奈川県中心部から少し離れた上条宅)

「アイツ、遅いわね」

完全復帰を果たした御坂は上条の両親と彼女の母親が和気藹々と話している中でボソッと呟いた。

「まぁ上条君は社会人だから色々忙しいんだろうし。常盤台の教師なんだって?」
「そう、アイツ高校の時は私より馬鹿だったのに、今じゃあ教えてもらう側に……」

御坂は悔しそうに言った。

「当麻さんは本当に馬鹿だったんですね」
「でも、ほら。学園都市の一流大学も出て教師になったじゃないか」

詩菜が一言こぼしたのを聞いてすかさず、刀夜がフォローした。
なかなか大きいテーブルの上には数々の見栄える料理がある。
彼らは主賓とも言える彼を待っているのだが……帰ってこない。
御坂は耐え切れず、最新型のスマートフォンを取り出して上条当麻と表示された電話帳を開いて電話をかけた。
規則的にプルルルルと鳴ってはいるのだが、出る気配はない。
突然、ブチッと音がして上条の荒い息が御坂の耳元へ入ってきた。

「遅いわよ……」
『悪い悪い!さっき新幹線出て、今走ってる!』
「もう付くの?」
『まだあと10分ぐらいかかりそうだ!先食っといてくれ!』
「りょーかい」

折りたたみ式ケータイ電話と違うのは、通話終了と表示されている画面にタップすればいいだけだ。
難点は顔などの油で汚れることか。

「あと10分ぐらいだって」

持っていたスマートフォンが振動した。
電話かメールか、流石に体内年齢では14、5歳だとしても実際年齢は22歳の御坂は着信音も普通だった。
表示されているのは上条当麻ではなく、いつ交換したのかも忘れた一方通行だった。

『おい、オリジナル。揃ってねェのお前だけだぞ」
「なんの話よ」
『はァ?この前話ししただろ?レベル5が集まるからてめェもこいって』

覚えがない……ワケじゃかった。
正確には思い出した。なんでも超能力者が6人集まるから来いと主催者の未元物質(ダークマター)に誘われていたのだ。

「無理よ、今実家」
『はァ、どこだ』
「神奈川。アンタら学園都市でやってるのよね」
『ちげェよ。上条ン家でやるンだよ。アイツも了承済みだ』
「はぁ!?聞いてないわよ!?そんなの!!」

御坂の叫びが上条宅に響き渡る。
何事か、と皆の視線が一斉に御坂へ向けられた。



『じゃあ、てめェも来いよ』
「ちょっ」

徐ろに電話が切られた。
相変わらず一方通行だな、と感心した……ワケでもなかった。
若干、パニックになりつつあった。

「美琴ちゃん、どうしたの?」
「ほ、他のレベル5がここに、来るって……」
「他のレベル5って……美琴さんが第三位なんですよね?じゃあ他の何位さんが来るわけなんですか?」
「そ、そういうことです」
「でもそれなら足りないかもな。ご飯。行ってきましょうか?買い出し」

他のメンバーはレベル5が来ようとなんの問題もないらしい。
特に家主である上条刀夜と詩菜じゃあもう招待する準備まですると言い出した。
御坂はその寛容さというか何かに感心した。
と、インターフォンが鳴った。
インターフォンに映るカメラを確認すると、『あの服』を着た上条当麻だった。

「ああ、そういえば」

御坂はそんな事を呟いて、ドアを開けた。

「おお、御坂!すまないなぁ」

それ程多くない荷物。
上条は靴を脱いで、リビングに入っていく。

「あら、当麻さん。おかえりなさい」
「ん?上条君、その服……もしかして常盤台の?」
「ああ、よくわかりましたね。一応、義務付けられてますんで」

常盤台は教師も制服を着なければならないという規則がある。
糞真面目の守っているのは上条くらいのものだが、なかなか似合う。
常盤台の生徒が来ている薄茶色のカーディガンに白いYシャツ。
ズボンは中高生が制服として着ているような、普通のズボンだ。
上条の腕元には警備員(アンチスキル)の腕章が付けられていたが、それを外してテーブルの上においた。

「ああ、そう。一方通行(アクセラレータ)がここに来るとかなんとか……」
「へ……?…………しまった!忘れてたぁ!?」

上条はえー!と叫んだ。
その時だった。
再びインターフォンが鳴って、カメラに映るのはあの忌々しい第四位。原子崩し(メルトダウナー)こと麦野沈利。

『上条さんのお宅ですかー?』
「あ、ああ。私が上条さんですけど?」
『早く出てくださいよぉ?かぁみじょうとうまさん?」
「は、はい!今すぐ開けさせていただきます!!」

上条がドアを開けた。
目の前に広がるのは人気芸能人が四、五人集まっているのよりも超豪華なメンバーだった。
『隠しても隠しきれない人格破綻者』と呼ばれる七人は今、同じところに集結していた。
ここにいるメンバーだけで余裕で世界中の軍隊を相手にできる。
そんなレベルだ。

「遅いわよ、上条」
「今帰ってきたんだよ。ほら一方通行達も入れよ」

上条は家へと案内した。
上条家は意外に金持ちで家もそこそこ大きいし、インテリアもなかなか高そうだ。
まぁ貯金何億の御坂美琴には負けるが。
そういう上条もオワフ島のキューピッドアロー本店で『トランベル・ダイヤ』を混ぜたパールの指輪を作った時に予算として貯金
してあった余りの数千万が残っているのだが。

「おじゃましまァす」
「へぇ意外にオシャレね」
「流石、常識が通用しない右手の元も常識が通用しないな」

垣根が言った理由は、玄関先に山のように積まれた怪しい開運グッズの山。
家の至る所にどこで買ったかもわからない開運グッズが置いてあって、常識が通用しねぇと興奮気味だった。

「復帰オメデトさん」
「ああ、ありがと」
「今すぐそのションベン臭い下半身を吹っ飛ばしたいところだけど……上条に殺されるかもね」
「言ってくれるじゃないおばさん。今何歳よ。三十路?」
「まだ20代前半だ、クソガキ」

麦野と御坂は犬猿の仲なのか。
一方通行と垣根は違うテーブルに置かれた料理の数々にありついているし、食蜂操祈は美鈴と詩菜にその若さの
秘訣を聞き出していた。10代後半と20代前後に見えるその瑞々しい肌を見て素直に感心していた。
削板軍覇は上条と学園都市のスキルアウトの話をしたりと、それぞれが元旦を楽しんだ。
そんな所で、上条がふと言い出した。



「あれ、美鈴さん。旅掛さんは?」
「もうすぐ来ると思うんだけどね」

そんな所でうわぁぁ!と叫び声が聞こえた。
神経衰弱で削板が負けたからだ。根性!と言ってみてもやはり第七位か。
しかし世界最高峰の頭脳を持つ六人の神経衰弱はすぐ終わる。
全員がめくったカードを覚えているし、能力を使ったりして超真剣勝負なわけだ。

「あの中には混ざれねぇよ」

上条がボソッと呟いた。
ガチャッとドアが開く音がした。

「?」

御坂旅掛。御坂の父親で厳格そうに見える父親。
ギャンブルが趣味程度に好きで、最も好きなのは御坂美琴。
空いている席に腰をかけると、一喜一憂する御坂に視線を向けた。

「あの時は殴って悪かった」
「……気にしないでください」



(1月1日、元旦。夜21:00。上条宅)

「ああ旅掛さん、美鈴さん。相談があるんですけど」
「なんだ?悩める年頃だからなぁ聞いてやろう」

誰も予想してなかった。
だから、普通に相談だと思った。
誰もが自然な流れで自分自身の行動をしていた。
当たり前の事だったから。

「御坂さん」

上条は一拍置いて、そしてその一言を爆弾の様に投下した。










「娘さんを僕にください」





「ブッ!」
「ゲホッ!」
「ブフーッ!」
「はぁッ?」
「ブッ!?」

その場にいた全員が喉を詰まらせたり、吹き出したりして上条の突然の行動に驚いた。

「そろそろ、俺も身を固めたい年頃ですし」
「………、上条君。美琴ちゃんはトラックにぶつかったせいで体中に傷跡が残ってしまったの。
これじゃあ貰い手がいないなぁなんて。君がそう言ってくれるなら」

――――美琴ちゃんをよろしくお願いします。

「上条君。君は毎日病室に通っていたそうだ。だから、任せられるのは」

――――君しかいないんだ。

「……なぁ御坂……美琴。俺と結婚してくれ」






 本当に終わり。








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