とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part02

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第一章 秋更けて冬が始まる


御坂美琴はこの世界がずっと続くと、過信していた。
そんなのは全て幻想だったのは最近知った。
全て悪いのは自分、風習ではなく自分だと保身に走った彼女は言った。

「お姉様」

変態な相棒、白井黒子が数日前から元気の無い御坂を見て言った。
しかし、お姉様と慕われる資格は無いと思っている御坂は黒子を避けれているのだが。
一度だけ、あの後メールを送ったのだが、着信拒否設定にされているらしく、メールは妙なエラーコードを共に帰ってきた。

「私って最低ね?黒子」

そう落ち込む相棒に向かって自暴自棄気味に言ってしまう。
しかし、黒子は捨てられそうな事を悲しんだりしている事で悲しんでいる事ではなく頼って貰えない事にあった。
となれば、自分から介入するしか無いなと黒子は全ての関係者である『上条当麻』から話を聞こうと初春飾利に調査を依頼した。
そんな行動性がある後輩とは相まって、御坂はもうどうでもよかったのだ。
幾度と無く、勝負を挑み、出会い、告白したあの公園の時点ではどこまでもいける気がしてた。
いつも決まって、彼の最大の武器である『幻想殺し』の右手で守ってくれた。
そして決まって、右隣に御坂が居た。
胸が高鳴ってたのもまた一種の精神病だったのだ。
二人の幻想はあの公園で始まり、あの公園で終わった。
未来は同じ、想う彼と同性になる未来が幸せで、そして『成功』した時から未来を容易く決めけていた。


「ごめんね」


茜に染まった一室で呟いた。




                                   *


御坂と別れてから二週間の時が過ぎた。
不幸は続く。
インデックスはイギリスに帰ってしまった。
上条は小うるさい同居人と衣服類が無くなってスッキリした部屋を見てため息を付いた。
彼の肩の上には寂しそうに三毛猫のスフィンクスが居たのだが、窓から出て行ってしまう。
帰って来いよーとは言ったものの上条には喪失感だけが残った。
理由はとても単純。愛想が尽かされた。
『まだ短髪の事でウジウジ悩んでるんだね。とうま、私イギリスに帰るんだよ。もう知らないかも』と言い残して心配そうな表情を浮かべていた神裂火織や目を伏せていた
ステイル=マグヌスに連れられて飛行機に乗って行った。
海原光貴には『約束も守れない男だったんですね、失望しました』と言われ、ステイル=マグヌスも『実にくだらない。君にあの子を預けた時点でこんなのは予想できたがな』と
言い捨てて上条を罵倒し、失望し、そして去っていく。

「畜生……!」

茜色に染まった部屋でベッドにもたれ掛かりながら呟いた。
何に?と聴かれると勝手に出て行ったインデックスでもなく、勝手に捨てた御坂美琴でもなく。そうさせた自分自身。
一度だけ、デートに行ったことがある。
第八学区にある少し大きな遊園地だ。手を繋いで辺りを見て回った。
途中、青髪ピアスや土御門元春に茶化されたり、一方通行や打ち止めに見つかったりなんて大変だったが楽しかった。
心に流れる温かい気持ちを今でも忘れない。
彼女が残してくれた最後の痕跡で、上条が残した最後の痕跡。

「ちくしょう……な、なんだよ!!!アイツ等……俺が一体……な、なにを……」

上条はうずくまった。
たった二週間足らずの日々だったが、輝いて見えた。
彼女が居なくなってから、同居人に愛想を尽かされ、とある男に失望され、親友には怒鳴られ、孤立し、全てが狂っていく。
暗い夜も、絶望に塗れた日々も乗り越えて来られたのは全て彼女のおかげだというのに。
何故、忘れていたんだろう。
妙なプライドで彼女の痕跡を消して、謝らないと意地を張って、時には同居人に当たった。
彼女が居たから、上条は『正常』でいられた。

「わぁぁああああああああああああッッッ!!」

大声を張り上げて泣いた。
もう時は既に遅い。
御坂という存在は上条の中では何よりも大きく輝くモノだった。
しかし、絶望し、上条は御坂との記憶を愛しさに溶かしていく。
積もり積もっていく想いは、粉雪のように儚く、そして何より幻想的なモノに変わり
御坂を、綺麗な存在として片隅に置いておくことが出来る。
そうでもしないと上条が壊れてしまう。

「……なぁ……み、みざがぁ。ご、ごめんなぁ……っ」







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