とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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上条美琴の禁書目録こぼれ話アンソロジー




美琴「あれ? 何でこの話を今さら? もう(上琴)ネタは無いはずなんだけど?」
禁書「ふっふっふっふっふっふ」
上条「しかも、もうゲスト紹介前にインデックスがいるし。あと何その笑い? 結構怖い」
禁書「ふっふーん。世の中にはちゃんと前回の私の扱いに同情してくれた人がいたんだよ。それが、とうまと短髪のイチャスレだろうと――――つまり!」
美琴「アンタとこいつの話を掘り下げるってこと? 止めた方が良いと思うな。いろんな意味で」
禁書「べー。大人の事情なんて知ったこっちゃないもん! 絶対やるし、ちゃんと助っ人も呼んできたんだから!」
上条&美琴「「助っ人!?」」
??「んー二人だけではこのジョジョネタは分かり辛いですわね」
上条「んな!? この声、白井黒子か!? 原作1巻ではまだお前、登場してないだろ!?」
黒子「どうして、改めてフルネームなのかは存じ上げませんが――――確かにわたくし、原作1巻には登場していませんけれども、アニメの1巻エピソードではちゃんと出ておりますし、そもそもこの時のわたくしは学園都市で起こっていた事件を追ってましたの。ですから登場する機会がなかっただけですわ」
美琴「あっそうか。時系列的には幻想御手【レベルアッパー】事件のときと被るわね」
上条「いやいや、それは後付け設定だから。原作1巻が出たときはまったく構想になかったお話だから」
禁書「どう短髪! この強力な援軍! 普段は短髪に完全無敵に余すところなく協力的なくろこだけど、今回限りは間違いなく私の助っ人なんだよ!」
黒子「ほーっほっほっほっほっほっほ! その、通りっ! 今回ばかりはお姉さまを敵に回してでもインデックスさんの味方をさせていただきますわ!」
上条「え? 何その笑い? というか胸を張って、腰に手を当てて、ビシッと指差すそのポーズ、何か白井というより別の誰かを想像しちゃうんだけど!?」
美琴「婚后さんに似てないこともないけど、婚后さんよりも突き抜けてるっぽいし――――てか、誰か分かる人の方がもう少ないんじゃない?」



「おなかへった」
「………………………………………………………………」
「おなかへった」
「……、」
「おなかへった」
「…………、」
「おなかへった、って言ってるんだよ」


禁書「やったぜ! 初セリフ! って、待つんだよ! 確かに私ととうまのファーストコンタクトはこれだったけど、これじゃ私、第一印象とっても悪いかも!!」
上条「今さら何言ってやがる。しかしまあ、これはあれだ、大事なことだから4回言ったんだよな?」
黒子「これはさすがにフォローのしようがありませんわよインデックスさん……」
美琴「でも、アンタ(上条当麻)の反応は妥当ね。私たちでもこうなるわよ。いきなりベランダに引っかかっていた干しイカっぽいのが傲岸不遜に喋り出したら」
禁書「だ、誰が侵略に来た娘でゲソ!!」
美琴「……いや……アンタ(インデックス)、ノリノリだし……」



「私の名前はね、インデックスって言うんだよ――――あ、魔法名ならDedicatus545だね」
「もしもし? もしもーし? 一体ナニ星人と会話中ですかこの電波はー?」
 ――――最悪な事に、このインデックスと名乗る不思議ギンパツ女の子は床をゴロゴロしちゃうぐらいこの部屋を気に入ってしまったらしい。
 まさかこれも上条の『不幸』が呼んで来たんだろうか? だとすれば嫌過ぎる。


美琴「うわー何か本当に印象悪いわよアンタ。不幸が召喚した上にしかも『嫌過ぎる』って。前に『こんなの』扱いされた私よりも下じゃない?」
禁書「ちょっととうま! これは酷過ぎるかも!!」
上条「待て待て待て! 落ち着け、三角釣り目になるな、噛みつくための事前準備をするな!」
禁書「言い訳だけなら聞いてあげるかも」
上条「言い訳じゃねえって! 今の『俺』はこれを知らないんだよ! この当時の『俺』は今の『俺』じゃないから!!」
美琴「あっそうか。言われてみればそうね」
禁書「むー……なんだかやるせないかも……このやり場のない怒りはどこにぶつければ…………」
黒子「…………なんだかこれではわたくしの計画が発動できませんわ…………」



次の瞬間、プレゼントのリボンをほどくようにインデックスの衣服がストンと落ちた。


美琴「……………………」
禁書「……………………」
上条「……………………」
黒子「……………………」
禁書「ふ、ふん! どう短髪! 古来から主人公と性的ハプニングが起こるヒロインがメインヒロインで主人公といい関係になれるって絶対的不変の法則があるんだよ!」
美琴「んな!? そ、それだったら私だってあるわよ! ついこの前だってこいつが私の胸を触ってきたし!!」
禁書「うぐっ……! わ、私だってあるもん! 闇咲逢魔って人にさらわれかけたときに!! それに私ととうまは何度か抱き合ってるかも!!」
美琴「そ、それくらい何よ! 私だって、押し倒されたり抱き寄せられたりツーショット写真撮ったり手を繋いで町中を歩き回ったりとか!!」
禁書「う゛っ! そ、そうだ! 私がとうまに裸見られたのはこの時、一回だけじゃないんだよ! この後も何度かあって――――!!」
美琴「げ……、そこまで…………! で、でも新約になってからはコイツ、私の夜の呼び出しに応じたり、一緒にハワイ行ったり、この前も阿吽の呼吸で最高のコンビネーションを魅せたりしたもん! というかアンタ! 新約になってから全然出番ないじゃない!! むしろ、私とコイツで共闘してることが多いわよ!!」
禁書「ぐ…………痛いところを付いてくるかも…………」
美琴「ふっふーん♪ 特にハワイまでの飛行機はコイツ、高いところが怖くてずっと隣に座る私の手を握ってたのよね! 6時間も!」
禁書(イギリス行ったときのとうまは別に高所恐怖症じゃなかったからそんなイベント無かったのに!?)
上条(ハワイに関しては、原作は描写なしなんで真実は闇の中なんだが…………)
黒子「…………いつになくお姉さまが素直でございますの…………まるであの日の地下街のときのようですわ…………」
上条「そういや白井ともあったな。確かお姫様抱っこ、だっけ。まあ、アレが性的ハプニングに入るかどうかは疑問だけどな。けど、お前は俺に興味ないよな?」
黒子「――――!! 今、この状況で何を暴露してやがりますの!? 確かにわたくしはあなたに異性としての興味はございませんが場を弁えてくださいませ!!」
美琴&禁書「「お姫様抱っこ!?」」
上条「え!? いきなり矛先こっち!?」
黒子「違いますわよ! あなたではなくわたくしですわ!!」
美琴「く~~~ろ~~~こ~~~詳しく、話してくれる、わ・よ・ね?」
禁書「……お姫様抱っこ……原作全女の子キャラ憧れの的、『とうまからのお姫様抱っこ』……私や短髪でもまだ無いのに、くろこ…………」
黒子「いえ……あの……それはですね……」



「ステイル=マグヌスと名乗りたい所だけど、ここはFortis931と言っておこうかな」



美琴「何、このキザな奴。私こういうタイプが一番嫌いなのよね。嫌味で相手を見下しているって感じがするのって本当に虫唾が走るわ」
上条「まあ、キザったらしい態度はしてるが案外良い奴だぜ。特にインデックスのためになると全世界を敵に回してでもこいつはインデックスを守ろうとするだろうよ」
美琴「まあ、なんて素晴らしい方なのかしら。ねえ、アンタ、こういう男の人って滅多にいないわよ。こいつはアンタをほったらかしにしてどこへでもホイホイ行っちゃうから、いつも傍にいてくれるこの英国紳士の方が良いんじゃない?」
禁書「何で急にコロッと変わるのかな?」
黒子「しかも何ですの? その溢れんばかりの笑顔は」


「――――重要なのは魔法名を名乗り上げた事でね、僕達の間では――――殺し名、かな?」



黒子「殺し名とはまた物騒な……」
美琴「あれ? でも、アンタもコイツに自己紹介したときに『魔法名』を名乗らなかった?」
上条「…………もしかして俺殺されるところだったの?」
禁書「ち、違うんだよ! 私のは『魔術を使う魔法名』って意味だったんだよ! 殺し名のつもりだったら名乗るわけないかも!」
美琴「どうかしら? 魔術サイドの重要機密を知られたんで口封じ、ってこともあり得たんじゃない? なんたって『禁書目録一〇万三〇〇〇冊の保管庫』よ」
上条「インデックス…………」
禁書「とうま! その疑いに満ちた目は許せないかも! なんなら殺し名でもいいんだよ!!」
上条「あぎゃああああああああ!! 分かった! もう言わないから許して! 知ってるよ、お前がそんな物騒なことができないってことは!!」



「死ぬ! ホントに死ぬ! ホントに死ぬかと思った!!」


黒子「見よ! この無様なヒーローの姿を! 上条当麻は七階の手すりから飛び出して、自転車小屋の屋根を転がり落ち、自転車の中に突っ込んで、アスファルトを這うように走り、しかも! インデックスを置いてまで逃げ出している!」
禁書「(ちょ、ちょっと何かな? くろこ、そのナレーションは!)」
黒子「(決まってますわ。インデックスさんはこの後、何があったかを知ってはいますが、お姉さまは知らないのですよ。お姉さまだけから上条さんの株を下げられるチャンスですわ)」
禁書「(なるほど! さすが、くろこなんだよ! しかも、短髪の誤解を招くだけじゃなくて、知らずにとうまを軽蔑する短髪を見せてとうまに短髪を幻滅させようって報酬二重取り作戦かも!)」
黒子「(ほーっほっほっほっほっほっ! その通りですわインデックスさん! 完璧なのですよ、この作戦は!)」
上条「だが! だからと言って上条当麻がこの物語のヒーローの資格を失ったりはしない! なぜなら!」
禁書&黒子「「ん?」」


 ――――右手はとても便利だ。
 何せ、目の前のクソ野郎を思う存分、殴ることができるのだから。
 上条の拳が魔術師の顔面に突き刺さる。
 魔術師の体は、それこそ竹とんぼのように回転し、後頭部から金属の手すりへ激突した。


上条「紛れもないヒーロー! ヒーローの資格を失うとすれば! それは、戦う意思を、上条当麻が失くした時だけなのだ!」
禁書「ちょっと、とうま! 何で自分でナレーションして、しかも自分の格好いい行【くだり】を勝手に紹介するかな!?」
上条「アホか! どこの世界に好き好んで自分のカッコ悪いシーンをカッコ悪いままで流す馬鹿がいる!!」
黒子「あー……わたくしの完璧で緻密な二重トラップ計画が…………」
美琴「ふーん。アンタ、まんざら頭悪いわけでもないのね。攻略法は聞いていたとは言え、戦略的撤退と対抗手段の模索、火災報知機の機能に気付いた機転は大したもんよ」
上条「ふっ、この俺が幻想殺しとかいうチャチな能力だけに頼ってると思っていたのか? 俺だってやるときはやるんだぜ。どうだ、スゲエだろ」
禁書「短髪ととうま、お互いにお互いの好感度が上がってるかも!?」



「彼女の脳の八十五%以上は、禁書目録の一〇万三〇〇〇冊に埋め尽くされてしまっているんですよ。……残り十五%をかろうじて動かしている状態でさえ、凡人とほぼ変わらないのです」
「けど、待てよ。待ってくれ。なんかおかしいだろ、インデックスには完全記憶能力があるんだろ?」
「そもそも完全記憶能力とは何ですか?」
「……一度、見たモノを、絶対に忘れない能力、だろ?」
「元々、残る十五%しか脳を使えない彼女にとっては――――自分で『忘れる』事のできない彼女が生きていくには、誰かの力を借りて『忘れる』以外に道はないんです」


美琴「ねえ、これっておかしくない?」
上条「ああ、この時の俺は後から気付いたみたいだけど、確かに言われてみればおかしい話だよな。人間の脳にゃ言葉や知識の『意味記憶』、運動の慣れ『手続き記憶』、思い出を貯蔵する『エピソード記憶』の三種類があるし、しかも百四十年分の保管が可能。一〇万三〇〇〇冊の『意味記憶』をどれだけ消化しようが関係ねえもんな」
黒子「違いますわ。一つ、誤解があるようですけれど、人間は『誰しも』が一度見聞きした情報は必ず脳にインプットされ、消えることがないのですよ」
上条「何ですと!?」
美琴「そ。つまり『忘れる』は、『いらない記憶を消去して整理してる現象』じゃなくて、『脳に貯めこまれた多くの情報に、引き出そうとする情報が埋もれてしまって呼び起こせない現象』を指すのよね。厳密には脳から一度見聞きした情報が失われることはないの。たまに起こる『フラッシュバック』や、いまわの際に見る『走馬灯』、記憶にないのに「過去に(夢の中も含めて)見たことがある」と感じる『既視感』が脳から情報が失われていないことの証明になるのよね。本当に『忘れる』ならアンタやこのちっこいのみたいに『物理的に脳細胞ごと破壊』までしないと無理」
上条「け、けど現実に俺は、お馬鹿に分類されてるわけだし、テストの点数も低いし、能力開発だって…………」
美琴「根本的なところを聞くけど、『ちゃんと』授業を『聞いてる』の? それと、インプットされた情報を呼び起こす訓練、すなわち『復習』を中心にした『勉強』をしてる? そうしないとどんどん新しい記憶に埋もれていっちゃって呼び起こせなくなるわよ。完全記憶能力が本当なら、そういった『勉強する必要が無い』んだけどね」
上条「………………うう……何も言い返せない…………」
禁書「……………………この部分は魔術の完全敗北かも」
美琴「まあ、でも、アンタは自分が思っているほど頭が悪いわけじゃないわよ。このときのキザ男をちゃんと『頭を使って』撃退できてるわけだし、勉強の仕方を変えれば、アンタの右手がどうしても邪魔してしまう能力開発以外の科目の成績は伸びるんじゃない?」
上条「そ、そうか! そうだ御坂! お前なら色んな勉強方法知ってんだろ? 俺に合う勉強方法を一緒に探してくれねえか?」
美琴「ちょ、ちょっと! その壮絶なまでの期待に満ちた目は何!? いや教えてあげてもいいけどさ! あと近い近い!!///」
禁書「とうま! なんで、短髪の手を力いっぱい握り締めてるかな!?」
黒子「…………何ですの? この流れ…………イチャイチャできるとは思えない行【くだり】から自然にイチャイチャされてますの……」



「主人公気取りじゃねえ――――――――主人公に、なるんだ」


禁書「とうま、かっこいいかも………それも、会ってたった三日の私を助けるために…………」
上条「そ、そうかなぁ……いやぁ、そうまっすぐ言われるとさすがの上条さんも照れちゃいますよ」
黒子(よぉし、よし、この流れですわよ。わたくしが望んでいたのは。さすがのお姉さまもこの行【くだり】では――――)
美琴「どうしたの黒子。何か妙に悪い顔した笑い浮かべて拳を作ってぐっと体の横に引き寄せて?」
黒子「いえお姉さま。実に『インデックスさんを助けようとする』上条さんの勇ましい姿に感動すら覚えたものでして」
美琴「そう? でも私的には、なんか、コイツのイメージじゃないのよね」
上条&禁書&黒子「「「は?」」」
美琴「いや、何と言うか……そこのちっこいのを『助けよう』って決心するまでが長いっていうか、躊躇ってるって言うか」
黒子「どういう意味ですの?」
美琴「うん。このこぼれ話だと描写はされていないんだけど、そこのちっこいのと初めて出会ったときに、ホントは何もするつもりが無かったのに『とりあえず何かやった』っていう慰めがほしいだけで親身になってるフリしたり、炎の魔術師や女侍を相手にする時も、『勝てる』って判断できるまでは突撃しないで立ち竦んだり、記憶除去の儀式開始まで当初は嘘を吐き続けようとしたりとか、何か『今のアンタ』と違う人みたいなのよ。『今のアンタ』なら最初から本気で親身になるだろうし、『戦い』で、戦略上突撃しないってことはあっても立ち竦むなんてこともないだろうし、儀式にしたって開始直前まで諦めないで最後の最後まで何か手段を模索しようとするんじゃないかなって。まあ、そこまでの経験の差って言ってしまえばそれまでになっちゃうんだけど、私や妹達の時に一方通行に挑んだアンタを思うと、今回の一連の流れはどこか臆病かなって」
黒子「……言われてみればそのような気も……そう言えば、わたくしを助けにきてくださったときはまったく躊躇いませんでしたわね。ビルが倒壊しかけてましたのに」
禁書「…………私の知ってるところだと、ひょうかを助けようとしたときとか、ハイジャックを収めようとしたときとかも躊躇いはなかったかも」
上条「まあ、俺はこの時の記憶はないわけだが、確かに俺にしちゃ深謀熟慮してる感は否めないか」
美琴「素直に怖がってるって言えば?」
上条「うぐ……」
美琴「でも、私からすれば今のアンタの方が好きね。前のアンタだと、これじゃもしかしたら一方通行に挑まないで私に丸投げしてたかもしれないもん」
上条「……なんか複雑だな……今の俺を肯定してくれるのは嬉しいが、前の俺を否定されてるみたいで……どっちも『俺』なんだが……」
禁書「(ちょっと、くろこ! 短髪がさらっと「好き」とか言ってるかも!?)」
黒子「(…………上条さんを『意識していない』時のお姉さまは上条さんに負けず劣らず無自覚なのでございますのよ…………公衆の面前で押し倒したり、一時間以上手を繋いで町を徘徊したり…………、上条さんの宿題をやるために目一杯すり寄ったり、とか平気で出来ますもの…………)」
美琴「んー? どうしたの、二人とも?」
黒子「いえいえ何でもございませんわ」
禁書「そそ。短髪が気付いてないならそれでいいんだよ!」
美琴「?」



 教会が、元々何も問題なかったインデックスの頭に何か細工をしたんだ。 
 ――――上条はボロボロの右手をインデックスのおでこの辺りに押し付けた。
「――――――――――――、って、あれ?」
 起きない。何も起きない。
 ――――インデックスのほっぺたやつむじの辺りをぺたぺた触ってみるが何も起きない、何も変わらない。
 ――――ステイルをぶん殴った後、傷付いたインデックスを運んだ時にもあちこち触れているし、インデックスが布団の中で自分の素性を明かした時に上条はインデックスのおでこを軽く叩いたはずだが――――当然、何かが起きた形跡はなかった。
 ――――ならば……まだインデックスに触れていない部分がある。
「…………………………………………………………………、あー」
 何かものすごくエロい方向にすっ飛びかけた頭を上条は無理矢理に戻す。


美琴「…………」
黒子「…………」
禁書「…………」
上条「やめて! その真っ白い視線は止めて!! 視線がとっても冷たくて痛いです!! 凍え死んじゃいそうです!!」
美琴「分かったわよ。どうせこの時の『アンタ』は今の『アンタ』じゃないし。って、あれ? 次の戦闘シーンはカット?」
禁書「うん、別にいいかも。というか、あの私はあんまり見られたくないんだよ」
上条「ええっ!? 俺の一番かっこいいシーンだし、俺の有名な決め台詞があるんだけど!?」
禁書「だって、とうまの説教長いもん。原作約3ページなんだよ」
上条「そ、そんな理由で……………」
黒子「んー。何か重要な出来事が……学園都市に関して何か致命的に重要なことがありましたような…………」



「あなた、病室を間違えていませんか?」
 少年の言葉はあまりに丁寧で、不審そうで、様子を探るような声だった。
 まるで、顔を見たこともない赤の他人に電話で話しかけるような声。
 ――あれは記憶喪失というより、記憶破壊だね?
 凍てつく夏の診察室で医者の放った言葉がインデックスの脳裏をよぎる。
「とうま、覚えてない? 私達、学生寮のベランダで出会ったんだよ」
「――俺、学生寮なんかに住んでたの?」
「……とうま、覚えてない? とうまの右手で私の『歩く教会』が壊れちゃったんだよ」
「――あるくきょうかい、ってなに? 『歩く協会』……散歩クラブ?」
「…………とうま、覚えてない? とうまは私のために魔術師と戦ってくれたんだよ」
「――とうまって、誰の名前?」
「とうま、覚えてない?」

「インデックスは、インデックスはとうまの事が大好きだったんだよ?」

「ごめん。インデックスって何? 人の名前じゃないだろうから、俺、犬か猫でも飼ってんの?」
 うぇ……と、インデックスは『泣き』の衝動が胸の辺りまでせり上がってくる。
 けれど、インデックスは全てを噛み殺し、飲み込んだ。
 飲み込んだまま、笑う。完璧な笑みとはほど遠い、ボロボロの笑顔にしかならなかったけど――――


美琴「うえ……うえええ……えっぐ……えっぐ…………」
黒子「イ、インデックスさん……これは切なすぎますわ………」
禁書「…………自分のことだけど、本当にこれは悲しかったんだよ…………」
上条(よし! 今回の作者、ここだけはぐっじょぶ! この後の行【くだり】をやると真相の前に、インデックスはともかく、御坂と白井には殺されてしまいかねんからな!!)



美琴「あ、これでお終いなんだね」
黒子「うう……もう少し長くあってほしかったですの……(これでは上条さんとインデックスさんの仲を取り持つまで行けませんでしたわ……)」
禁書「大丈夫! 充分だよ!」
上条「というと?」
禁書「どう短髪! とうまが私のために奮闘している姿は! これだけ絡んでる姿に短髪の割り込む隙はないかも!!」
美琴「いや、何と言うか……別に何とも」
禁書「ふっふーん♪ 強がらなくてもいいんだよ! これだけ見せ付けることができれば、とうまには短髪より私の方がふさわしいって、ここのスレ住人に思ってもらえるかも!」
美琴「ええっと、それは多分ないんじゃないかな? まあ、ちょっとはアンタに対して優しくなってはくれるかもしれないけど根本は変わらないんじゃ……」
黒子「そう言えばお姉さま」
美琴「何?」
黒子「今回のこぼれ話、お姉さまはとっても冷静に見ておられましたけれども何故でございますの? 普段のお姉さまでしたら、とっくに上条さんが何度か命の危険に晒されていたかと思うのですが……」
上条「さらっと俺の命を何度も危険に晒すなよ!?」
禁書「決まってるんだよ! ここまでやられたから短髪も身を引くことを考え始めたからなんだよ!」
美琴「な、何に対して何から私が身を引くのか知んないけど、根本的なところでいい?」
禁書「負け惜しみなら聞いてあげるかも!」
美琴「? 負け惜しみって何よ? まあいいけど。ところで私、最初に言ったわよね? 『色んな意味で止めた方がいい』って」
禁書「うん。一つはスレ違いの可能性、一つはスレ住人さんたちに受け入れてもらえるかどうか、ってところかも」
美琴「まあ、それもあるけど、一番大事なことがあるのよ。確認するけど、アンタが『大好きなコイツ』は、このお話で紹介したコイツよね?」
禁書「そうだよ」
上条「あー……御坂の言いたいことが分かった……」
禁書「え?」
上条「…………いや、世の中には知らない方が幸せってこともあるよな」
禁書「どういう意味?」
美琴「…………今回ばかりはそいつの意見に賛成ね。アンタにとっては本当に知らない方がいいわよ。武士の情け。私も言うのやめた」
黒子「どういう意味ですの? 黒子にも分かりかねますわ」
上条「つまりこういうことだ。(インデックスが『大好きな俺』は『この時の俺』であって、けど『この時の俺』はもういないんだよ。それをインデックスに悟らせるってのは可哀想だろ?)」
黒子「ふむふむ。あ……なるほど……でございますわ……」
上条「だろ?」
黒子「そうですわね。インデックスさん、ここはお姉さまと上条さんの言うとおり、インデックスさんはその理由を知らない方がよろしいです……わ……よ……?」
美琴「…………」
禁書「…………」
上条「ど、どうしたんだ二人とも? 急にそんな前髪の影を濃くして、笑顔なのにちっとも目が笑ってない顔になって……」
美琴「なぁんか、随分、自然に顔をそいつに近づけたわね……黒子……」
禁書「とうま……随分、自然にくろこに耳打ちできたみたいなんだけど……」
黒子「な、何でございますの!? どうして二人からどす黒いオーラが立ち上っておりますの!?」
上条「えっ!? こんなんで二人のスイッチ入っちゃうの!? 嘘だろ!? 沸点低すぎ!?」
禁書「くろこぉ……くろこは今回、私の味方だったはずなのにぃ……」
美琴「ふぅん……アンタも趣味の幅が広いのね……それとも黒子の変態体質をゲンコロしようとしたのかしらぁ……」
上条「な、何かヤバい雰囲気!! こ、これはマズイ!!」
黒子「きゃっ! ちょっと上条さん!?」
上条「喋るな! 舌噛むぞ!!」
黒子「そうではなくて下ろしてくださいまし! わたくし、自分で走れますわ!!」
上条「そんな暇あるか! 下ろしている間に追いつかれてしまうわ!!」
美琴「っ!! またお姫様抱っこ!!」 
禁書「くろこだけずるいんだよ!!」
上条「逃ぃげるんだよぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
黒子「なんなんですかぁ!? このオチはあああああああああああああああああああああああ!?」










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