とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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とある少女の誕生日




5月1日。
上条当麻は男には似つかないアクセサリーショップにいる。
店にいるのだから、当然目的は買い物である。

(御坂って、どういうのが好きなんだ?)

御坂美琴へのプレゼント。
明日は5月2日。美琴の15歳の誕生日なのだ。
思えばロシアまで助けに来てくれたり東京では母子を助けるために力を貸してくれた。
今回の誕生日プレゼントは、今までの感謝の印の1つでもあるのだ。
ちなみに彼女の誕生日を知っている理由は前に彼女との会話で聞いたからだ。

(どれがいいかな・・・・・・あっ)

ふと、目についたのはハートの形をしたネックレスだ。
そういえば御坂妹にはネックレスをあげたな、と思い出していた。
美琴に似合うかな、

(・・・・・・高い)

値札を見て硬直してしまった。
せいぜい2000円。高くても5000円くらいかと思っていたが、実際には15000円だ。
上条家の財政を考えればかなりの痛手である。
だが美琴の笑顔を想像して、ネックレスを手にとった。




今日で美琴は15歳だ。
両親からは誕生日おめでとう、とメールをもらった。
佐天や初春、黒子と誕生日パーティーも行った。
そして夕方、上条にメールで呼び出されて公園へと来ていた。

「何の用よ」
「あー、その・・・・・・だな、今日、お前の誕生日だろ?」

そう言って上条は綺麗に包装紙に包まれた箱を差し出してきた。

「え、これ」

嬉しかった。
プレゼントをくれたことも。
誕生日を覚えていてくれたことも。

「あ、開けていい?」
「もちろんだ」

包装紙を綺麗に開いて、蓋を開けた。

「ネックレス?」

好きな人からのプレゼントだ。なんだって嬉しい。

「あ、ありがと」
「そうか。御坂妹もペンダント持ってるしな。姉のお前に何もあげないってのも悪いしな」
「え・・・・・・?」

その言葉を聞いて、美琴の中で何かが弾けた。

「・・・・・・」
「み、御坂?」
「ふざけんなっ!!」

箱を上条へ投げ返してしまった。

「妹が持ってるから?そんな理由でこれを選んだの!?馬鹿!バカバカバカ!!」

悔しくて、悲しくて、走り出した。
上条が呼び止める声が聞こえたが、無視してしまった。





どれだけ走ったか。
気づけば堤防まで来てしまった。
美琴は土手に座って頭を抱える。

(最低だ、私)

せっかく上条が自分のために買ってきてくれたものなのに。
一目見ればわかる。あれは1000円、20000円で買えるものではない。
普段から節約生活を強いられている上条からすればかなり高いはずだ。
それを、無碍にしてしまった。

(嫌われちゃったかな。でもしょうがないよね)

上条は怒っただろうか、悲しんだだろうか。
どっちにしろ、今まで通りでいられるとは思えなかった。

「ひっ、ぐすっ・・・・・・ぅっ」

泣き出してしまった。
そんなことで解決するわけでもないのに。

「御坂ー!!」

上条が美琴を追って走ってきた。

「アンタ、なんで・・・・・・?」
「ごめん」
「え?」

なぜ上条が謝るのか、美琴にはわからなかった。
謝るのは自分の方なのに、と。

「お前の気持ちも考えないで、怒らせて」
「・・・・・・違う。本当はアンタからプレゼントをもらえて嬉しかった。でも、妹と比べられたみたいで・・・・・・」
「悪い」
「・・・・・・だったら、もう、お互い様よ」

上条が持ってるネックレスが目に入った。

「ねえ、そのプレゼント、もらっていい?」
「もともとお前の誕生日プレゼントだ」

そう言って、上条はネックレスの入った箱を美琴へ渡そうとしたが、彼女はそれを遮った。

「そのネックレス、アンタに着けて欲しいな」
「ああ。誕生日、おめでとう」

上条はネックレスを取り出すと、それを美琴の首にかけた。

「似合う?」
「可愛いぞ――うわっ!」

今まで心の底に溜め込んだ『それ』が一気に吹き出して、思わず上条に抱きついてしまった。

「・・・・・・大好き」
「み、御坂?」

『それ』がさらに大きくなっていく。
もう止められない。

「アンタのことが大好き。ねえ、アンタは私のこと好き?」
「・・・・・・ごめん、まだ、そういうのはわからない」
「そっか。そういうやつだもんね。アンタは」


少しして、美琴は上条の耳元で囁いた。

「(・・・・・・じゃあいつか、私を好きにさせてやるんだから)」
「なっ、な!?」

直接見たわけではないが今の美琴にはわかる。
上条の顔は真っ赤であると。








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