とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part1

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12月某日

「まったく、何だって言うんだあいつは。急に人を呼び出して。ああ、不幸な予感がする…。」
 放課後、上条はいつもの公園に向かっていた。
 というのも御坂からのメールで
『渡すものがあるから今日の放課後いつもの公園に来なさい。あ、すっぽかしたらレールガンでキャッチボールの刑だからよろしく。』
 そんな恐怖のメールが来てしまったらおとなしく従うしか無いだろう。
「しかし流石に12月になるとさすがに寒いな。諦めてマフラーぐらい買うか。」
 1シーズンもってくれればいいなアハハ、などと悲しい事を考えているうちに公園についた。
 ベンチをみると既に到着していた御坂がソワソワと落ち着かない様子でいた。
「怪しい、実に怪しい…。でも声を掛けないわけにもいかないしなぁ。ハァ…。」
「おーい御坂ー!」
「ひゃっ!」ビクッ
「…なにをそんなにビクついてるんだ、お前が呼び出したんじゃないか。」
「べ、別に何でもないわよ。それよりも遅かったじゃない。
まあアンタの事だからどうせまた事件に巻き込まれた女の子を助けて鼻の下を伸ばしてたんでしょ!」ビリビリ
「いきなり訳のわからん妄想してキレるなよ!お前に呼び出されたから補習を宿題に変えてもらうように頼み込んでただけだよ。
そういうわけで上条さんはこれから家に帰って宿題を片付けないといけないので、要件は早めに済ませてくれ。」
「う、悪かったわね。今日呼び出したのはアンタにこれを渡そうと思ったからよ。」
「これって、マフラーか?なんでまた?まだクリスマスってわけでもないのに?」
「そっそれは、クリスマスに向けてプレゼント用のものを作る練習の失敗作で…。捨てるのももったいないし。」ブツブツ
「失敗作っていうけどこれよくできてるように見えるけど、いいのか?これもらって?…ハッ!ま、まさかこれを上げるついでに新必殺技も一緒に受け取れとか言うんですか!?」
「んな!そんなこと言うワケないでしょ!人がせっかく善意で恵んであげるっていうのに!それともあんたは私の新必殺技の方が欲しいのかしら?」ビリビリ
「(新必殺技あんのかよ!)滅相もないです!ありがたく頂戴いたします!…こんな良いものほんとにタダで貰っていいのか?」
「ほんとよ。…どうしたの?プルプル震えて?」
「ミコトサン!いや、ミコトサマ!」ガシッ
「ひゃ、ひゃい!(え、え、なんで急に名前!美琴って!って言うか手、手握られてる?!)」
「この上条当麻!不幸不幸と思っていましたが、今日ほどあなたと知り合えた事を嬉しく思えたことはありません!」
「う、うん。そこまで喜んでもらえるとこっちも渡した甲斐が…。(手がー!手がー!)」
「いやー良かったよ、そろそろマフラー買おうとしてたんだ。これはきっと今日から上条さんの幸福が始まるんですね!あ、早速ここでつけて行っていいか?」
 上条に手を握られ意識が飛ぶ寸前の御坂であったが、上条のその言葉でなんとか意識を戻す。
 というのも今日の計画のメインプランにとりかかるためである。
「まって!」
「え、なんで?ま、まさかやっぱり返せとか…。」
「違うわよ!そうじゃなくて…。(落ち着け、落ち着くのよ美琴。マフラーを作ったのはこの全てはこの為よ)」スーハースーハー
 どうやらマフラーは貰えそうだが、やはりタダではないようだ。
 怪訝そうに上条が御坂を見ていると、意を決したようにこう言い放ってきた。
「私が、マフラー巻いてあげる…。」
「は?」
 (何を言っているんだろうこの子は?)
 (ワタシガマフラーマイテアゲル?)
「か、勘違いしないでよね!予想外に喜んでもらえたから、特別サービスでやってあげるのよ!ただそれだけ!」
「え、ええーっと-…。出来ればそんなこっぱずかしいイベントは上条さんとしては辞退したい待て待て分かった分かったから電撃の槍はやめようか?な?」
「わかったならおとなしくしなさい!(わたしだって恥ずかしいけど勇気を出して…。)」
「ん、最後のほうが聞き取れないんだが」
「っさい!黙ってじっとしてなさい!」ビリビリー
「ギャー!ごめんなさいすいませんじっとしてるからビリビリはやめてー!」
「…まったく。ほら、巻いてあげるから顔前に出しなさいよ。」
「あ、ああ。」
 (なんだこの状況?)
 (なんで御坂とこんな桃色空間が展開されてるんだ?)
 (う、御坂の顔が近い。なんかいい匂いもするし。)
 (は、イカンイカン相手は中学生で御坂だぞ?)
 (いやでも御坂も黙ってれば可愛いしなぁ…。)
 顔を赤くしながらそんな事を考えていたが、御坂の顔がそれ以上に顔の赤い御坂には気付かなかった。
 そしてこの状況で不幸な事故が来てしまうのも上条らしいといえば上条らしいのであった。


「あ、お姉さまだー!ってミサカはミサカは背中に全力で飛びついてみたり!」
「「えっ?」」
 二人が打ち止めの存在に気づいたときはもう手遅れであった。
 チュッ
「「!!!!!!!!!!!!!!」」
 (な、なにやら口に柔らかいものがーーー!)
 ガバッ!と光速で御坂から離れる上条だが、もう一方の当事者である御坂は完全に固まっていた。
「…………。」
「…………。」
 何が起きたのか分からない御坂は冷静に事実をひとつずつ確認して行く。
 (えっと私はアイツにマフラーを巻いてあげてて。)
 (そうしたら急に打ち止めが後ろから抱きついてきて。)
 (そしたらアイツと、アイツと、アイツと…。)
「み、みさかサン?今のは、ええと、なんていうか?なんだ?」
「…。」
 ボンッと音を出して、御坂は真っ赤だった顔をさらに赤くして上条の方を見る。
「う」
「う?(やばい!電撃がくる!?」
「うわああああああああああああああああああん!!!!」ダダダダダダダダダ
「え、ちょ、御坂!?」
 上条が止めるまもなく御坂は泣きながら猛スピードで走り去っていってしまった。
「むむ、これはもしや修羅場に遭遇した?ってミサカはミサカはミサカネットワークにアナタがお姉さまを泣かせた事を流してみたり。」
「やめてええええええええ!ふこーーーだーーーー!!!」

「うう、明日からアイツとどんな顔出会えばいいのよ…。」
 あれから猛スピードで上条から逃げてきた御坂はベッドの上で悶えていた。
 (…そりゃアイツと事故とはいえキ、キ、キス、しちゃったのは嬉しいけど。)
 (でもムードも何もないし、よく分からないまま終わっちゃったし…。)
「ハァ…、アイツはどう思ってるのかな…。やっぱり私なんかとじゃ嫌だったかな…。
アイツの周りには綺麗な人が沢山いるし…。その中に好きな人がいるかも知れないし…。」
 そう思うと涙が出てきた。
 それは御坂は上条に自分が対象外に見られていることを分かっているからだろう。
「グスッ…。」
 ♪~~
「!」ビクッ
 慌てて携帯を見るとそこには上条の名前が出ていた。
「ど、どうしよう。今話すのはすごい気まずいし…。でもせっかくアイツが電話してくれたんだし…。ええい!」
『もしもし、御坂?』
「ひゃ、ひゃい!」
『あーえっと、さっきの事なんだが…。』
「う、うん。(どうしよう、やっぱり嫌だったのかな…)」
『えっと、その、なんだ、悪かった、な。俺なんかが相手で…。』
「え?う、ううんそんなことない!」
『へ?』
「あ、いや、じゃなくて!えっと、まだ頭の中が混乱してて…。なんだか現実感がなくて…。」
『そ、そうだよな!ごめんな急に電話かけて…。』
「ううん、いいの。…少し時間置いてから、このことは話しましょ。」
『ああ、分かった…。気持の整理がついたら、また連絡をくれ。その、本当に悪かったな…。』
「明日。」
『明日?』
「明日までに、気持の整理つけるから。また明日、今日の場所に来てくれる?」
『…わかった、御坂がそれでいいなら明日また会おう。』
「うん、それじゃまたね…。」
『ああ、またな。』



「やっぱり元気なかったな、あいつ。」
「とうまー、電話は終わったの?なら早くご飯にして欲しいかも!」
「あーはいはい今から作るからそのギラついた歯は仕舞おうか?」
「むー。ところで短髪となんの話をしてたのかな?それもまた明日会おうって。どういう事なのか説明して欲しいかも!」
「それはまあ、色々とな?何もやましいことは無いぞ。」
「本当に?」
「本当だって!」
「…やっぱりとうまはとうまなんだね。いつも私には何も話してくれなくて!ウガー!」ガブ
「ギャー!やっぱりこうなるのかー!不幸だああああああ!」
 この後も夕飯が遅れたことでさらにインデックスに噛み付かれる上条であった。

次の日

「今日も補習を免除してもらうために大量の宿題を出されたわけで…。不幸だ…。」
 今日も上条の足取りは重かった。
 大量の宿題もそうだが御坂のことが気にかかり眠れなかったのである。
 そうして公園に向かうと、昨日と同じように既に御坂は来ていた。
 昨日と違うのは暗い顔で俯いて座っているところだろう。

「よ、よお。」
「あ…。」
「調子は、どうだ?」
「うん、大丈夫よ。…そのマフラーつけてくれたんだ。」
「ああ。もっとも土御門達に手編みなのがバレてな。大変だったんだぞ。マフラーは死守したが。」
「そっか…。」
「…………。」
「…………。」
(き、気まずい。この沈黙が痛い…。)
 数分ほどそうしていると御坂が重い口を開いた。
「あのさ、昨日のアレ。」
「うっ。」
「嫌、だった?」
「へ?」
「だってほら、あんたの周りにはさ、私なんかより美人な人ばっかり居て。その中に好きな人とかは…」
「そんなことないぞ!」
「えっ。」ビクッ
「お前だって、ほらまあ、ビリビリしてきたりするけど、それがなければ結構、か、可愛いと思うぞ!」
「………。」パクパク
「それに好きな人が居るわけでもないし。昨日のあれは、御坂みたいな可愛い子とああなってむしろ得したと言うか…。ってああああああああ、俺は何を言ってるんだ!」
「ななななななな(え、うそ、コイツが私の事可愛いって…。)」
「だからつまり俺が言いたいのは!…御坂が俺に悪く思うことは無いと言うか…。」
「(可愛いって言われた可愛いって可愛い可愛い可愛い可愛)ふ」
「ふ?」
「ふにゃー」
「だああああああああああああああああああああああああああ!!!」

「…あれ、私…。」
「お、気がついたか。やっぱり昨日の事ショックだったんだよな…。それも気絶するほど…。」
「そうじゃなくて!ああああんたが急に、か、か、可愛いなんて変なこと言い出すから…。」
「え?あ、ああそっちか。」
「そりゃあ、その、昨日のアレは、ショックが無いといえば嘘になるけど…。それはもういいの!忘れることにしたから!それに…。」
「それに?」
「アンタは私の大事な…。」
「?」
「す、す、す…」
「す?」
「すごい、大事な友達なの!だからこんな事で関係壊したくないのよ!」
 それは上条にとって意外な言葉だった。
 (大事な友達って、そう思ってくれてたのか…。せいぜい腐れ縁程度の認識だと思ってたが…。)
「御坂。」
「な、なによ!」
「ありがとう。お前が俺のこと大事な友達だなんて思ってくれてて。」
「別に、お礼を言われることじゃ…。(ほんとは友達じゃない方がいいけど…。)」
「なにか言ったか?」
「何でもない!」
「むう。でもさ、大事な友達だって言うならさ、やっぱ傷つけてしまったことは心苦しいわけですよ。上条さん的には。
だからさ、なにかお詫びをさせてくれよ。」
「だから、そんな気にしなくても良いわよ。」
「そうもいかないだろう。まあお詫びっていってもお金のかかることは無理だぞ?それ以外で出来る範囲なら何でもするぞ!」
「・・・はぁ。分かったわよ。まったく、アンタってそういうところは変に強引よね。
それじゃあせっかくだしなにかお願いしてみようかな。」
「おう!どんとこい!」
「(とは言ったものの、何を頼もうかな?どうせならアイツを少しでも振り向かせるような…)…あ。」
「どうした?何でも上条さんに言ってみなさい。」
「それじゃあさ。」
「おう。」
「私をアンタに、惚れさせなさい。」



 上条は最初言葉の意味が分からなかった。
「(えーと、まてこれはどういう意味だ?うん?)えーと御坂、つまりこれはどういう意味だ?」
「そのままよ。だからつまり、アンタが私の事をく、口説きなさいよって事よ!」
「は、はいいいいいいいいいい!?」
「か、勘違いしないでよね!ほら、私がアンタの事をすすす、好きになっちゃえば、昨日のアレも、嫌な思い出にはならないわけじゃない?」
「え、あ、え?」
 この少女は一体何を言ってるんだ?
 口説けって言うことそれはつまり…は
「まあ、アンタが私の事を落とせる確率なんてほとんど0に近いようなものだし!
どっちかと言えば、私を口説くために尽くしてもらおうかなーなんて。あは、あははは。」
「え、あ、ああ。なんだそういうことか。俺はてっきりお前が…。」
「なによ。」ギロ
「いえ何でもないです。」
「で、どうするのよ?私をその、く、口説く自信はあるの?ま、まあアンタにはどうせ無理よね!この美少女の美琴センセーを口説くなんて…。」
「ムカッ!おもしれー、やってやろうじゃねーか!」
「へっ?」
「よーし後で俺に惚れて後悔するんじゃないぞ!泣き言は聞いてやらないからな!」
「の、望むところよ!(うわーうわー!こいつが私を口説くって!…もう死んでもいいかも。)」
「よしそれじゃあ!」
「な、なにするのよ。」
「……どうしよう?」
「………………それを私に聞いちゃうところが、アンタらしいと言えばアンタらしいわよね…。」


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