純真無垢な上条さん 3
美琴は上条と別れると、気付いたら常盤台中学の自分の教室にいた。
いつどうやって登校したのか分からないくらいに朝の出来事に動揺しており、今日の放課後の上条との恋愛相談について、
どのように話すかだけを考えていた。
もちろんそんな状態なので、授業の方は全く入っていかず、先生や他の生徒に心配される事もあった。
そして、午前中の授業が終わり昼休みになったのと同時に美琴の教室に白井がテレポートしてきた。
「おっ姉っさま~~~~~~ん♪」
白井は美琴の後ろから抱きつくように飛び掛る。
しかし、当の美琴は全く無反応でぼーっとしているだけだった。
白井はいつもなら電撃をかまされるか、軽く流される程度かと思っていたので、おかしいと思って美琴の顔を覗きこんだ。
そんな美琴はどこか放心状態で、目の前で手を振っても反応しない。
「うーん。どうなさったのです? お姉さま?」
「あ。白井さん。白井さんなら御坂様が何故この様な事になられたのかご存知でしょうか?」
「え? いえ…申し訳ありませんですの。わたくしも何がなにやら…」
「そうなのですか。白井さんでも存じないとなれば…ま、まさか! 御坂様に殿方が!?」
「っ―――」
白井に話しかけてきた美琴のクラスメイトから「殿方」という単語が出てきた瞬間に、美琴は顔を真っ赤にさせてガタッと席を立った。
そして周りをキョロキョロしだす。昼休みだったためか教室にはあまり生徒は残っていなかったが、残っていた生徒はみんな美琴に目をやった。
美琴はその状況に気付いたのか、俯いてあうあうしだす。
他の女生徒達は普段とかけ離れた美琴の可愛らしい一面に興奮し、キャーっと騒ぎ始めた。
「見ました? あの御坂様が…」
「殿方のお話をしたら過剰に反応されて…」
「あんな御坂様見た事ないですわ。とても可愛いです!」
常盤台はお嬢様学校のため、色恋沙汰の話には免疫があまり無く、そういう噂がたとうものなら一気に注目の的になってしまう。
しかもそれが常盤台が誇る電撃姫御坂美琴となれば、これ以上無くボルテージは上がっていくことだろう。
お嬢様のたしなみかどうかはわからないが、美琴本人に直接詰め寄る事は無かったが、皆その場で美琴に熱い視線を向けていた。
美琴はもうどうしていいか分からなくなり「ちょっとご飯食べてくる!」と言い残し、教室を後にした。
所変わって上条当麻の教室。
上条は午前中の授業になんとか耐え切り、なんとか昼にありつく事が出来ていた。
上条の教室には弁当持参な生徒もいるらしく、昼休みになってもそこそこの人数が残っていた。
しかし上条は弁当なんか持ってきていないため、購買に食べ物を買いに行かなくてはならない。
そしていざ行こうと席を立ったところでデルタフォースこと土御門元春と青ピが話しかけてきた。
「カミやーん。昼飯一緒に食おうぜい」
「おお。でも俺飯ないから買いに行かねえと」
「今日は何狙いに行くんやー?」
「うーん…」
上条は悩んでいるが、とりあえず見て決めるという事で購買に向かおうとした。
そんな上条にまたも人影が迫る。
委員長の吹寄制理と、自称魔法少女の姫神秋沙だ。
「上条当麻。わたし達も一緒に行こう」
「吹寄? おまえらが購買に行くなんて珍しいな。今日は弁当じゃないのか?」
「今日に限って。忘れた。」
「ふーん。まぁいいか。じゃあ早く行こうぜ? 混み合うとお目当ての物が買えなくなるぞ」
「ふ。その為に貴様と一緒に行くのよ。わたし達の盾になってもらうわ!」
「マジか…」
「あー、そうだカミやん。おまえ今日の放課後暇だろ? 久しぶりにこの5人でお茶でもしないかにゃ?」
「放課後? あー…すまん。今日俺無理だわ」
「ん? なんでや? 今日は珍しくデルタフォース補習なしな日やないか」
「ちょっと恋愛相談してやる約束しててさ。だから今日は――」
「今。なんて?」
「え? だ、だから恋愛…」
「貴様。まさかとは思うが、その相談相手は女ではあるまいな?」
「え? えっと…女の子ですけど………常盤台の」
「と、常盤台!? あのお嬢様学校の生徒にまで手ぇ出したんかい! カミやん! 補習無いのをいい事に自分だけいちゃつこうと思ったんかい!」
「お、落ち着け青ピ! そ、そそそれに皆も…」
「言い訳無用だぜい! 黙って殴られろにゃーーーーっ!!!」
「だああああああっ!!!! な、なんでだあああああっ!!」
一方の常盤台中学校。
上条のボコられている原因(と言っても上条が言い出したことだが)の御坂美琴は、食堂へは向かわず、校庭のベンチに俯きながら腰掛けていた。
「はぁ…どうしよう、ホントに」
「ここにいましたのね。お姉さま」
「え?」
美琴が顔を上げると、そこにはさっきまで教室にいた気がする白井黒子がサンドイッチを二つ持ってたっていた。
白井は「学食のですが、どうぞですの」と言って美琴に渡すと、美琴は「ありがとう」と受け取りふとももの上に置いた。
そしてまた俯いたので、白井は美琴の隣に座り自分のサンドイッチを頬張り始めた。
「上条さんの事、まだ悩んでますの?」
「…そうだけど、昨日の事とはまた違う悩みっていうか」
「違う悩み?」
「……うん」
「…なるほど。恋に敏感になっても、上条さんは上条さんだったってわけですわね」
「どうしよう…このままじゃアイツ勘違いして私に好きな人がいるって思われちゃうわ…」
「お姉さま? 勘違いされる事に何をそんな焦っておりますの?」
「え?」
「お姉さまが上条さんに好意を持っておられるのは知っておりますわ。上条さんの事です、お姉さまの気持ちにも気付いてないのも知っております」
「…」
「ですが、結局はお姉さまがはっきりなさらないのがいけないんじゃありませんの。
昨日の本の事もそうですが、お姉さまは自分で勝手に結論付けて勝手に悩んでるだけですわ。上条さんがいかに鈍感と言えど、
面と向かって告白されたら勘違いなどしないですし、ちゃんと真剣に答えてくれるのではないでしょうか?」
「で、でも…」
「まぁツンデレなお姉さまが素直になれないのも分からないでもないですが、上条さんが恋に飢えたとなれば急いだ方が良いですわね」
「なっ…なんで? アイツまたどこかに行くんじゃ…!」
「そういう事ではなくて…上条さんに好意を抱いているのはお姉さまだけではないということですわ。今までは『異性スルー型』とやらで
女性のアプローチを流してただけかもしれませんが、これからはそうも行かなくなりますわね。今まで恋をした事がないとなれば、
好きになったら周りなど見えないくらいになってしまうかもしれませんわ。お姉さまのように」
「そ…そんなの、嫌よ」
「まぁわたくしとしては? お姉さまが傷心のところを優しく接することで開かれるお姉さま×黒子ルートに―――」
「嫌。アイツが誰かに取られちゃうなんて…そんなの、嫌!」
「お、お姉さま? さ、ささサンドイッチから煙が…」
「決めるのはアイツよ! でも勘違いされたまま、この気持ちに気付いてくれないまま身を引くなんて、絶対嫌だんだから!!」
美琴はそう言うと焦げたサンドイッチを一気に食らい、校庭へ目掛け走っていった。
その途中でくるっと振り返り、美琴は笑顔で言い放つ。
「黒子! ありがとうね! 私絶対に素直になるから!」
その美琴の真っ直ぐな声に白井はドキっとしたが、その後小さく笑ってポケットから何かを取り出すと美琴へ向けてテレポートさせた。
その何かは美琴の目の前で姿を現し、美琴の手に落ちた。
「これ…」
「お守りですわ。そのお守りが、きっと上条さんとお姉さまを結んでくれるはずですの」
「……ありがとっ!」
「いいんですの。黒子はお姉さまの喜ぶ姿が見たいだけですわ」
「うまくいったら何でもしてあげるね!」
「お、お姉さま!? そ、それは本当ですの!? はぁ…はぁ…。で、でしたらわたくしと毎日熱いヴェーゼを―――」
「それは嫌」
「お、お姉さまあああああああああああああああっ!!!!」
そして放課後、美琴はファミレスへは向かわず、上条の高校に直接向かった。
さすがに校門を跨ぐことは出来ないが、その敷地ギリギリの所で仁王立ちしながら上条当麻を待つ。
高校の生徒は、有名な常盤台のお嬢様が何故校門前で? みたいな感じで見ていたが、美琴はそんな視線など全く気にした様子も無く、
ただただ上条が出てくるのを待っていた。
待ち合わせは四時だ。
ここから徒歩だとするとそろそろ出てくる時間なはず。
そして、そんなことを考えていると校舎に見覚えのあるツンツン頭が現れた。
美琴は一瞬にして顔の温度が上がったのが分かった。心臓が高鳴り始めたのが分かった。
しかし当の上条は、そんな美琴が校門前にいる事など知らずに校庭内を走り回っていた。
「お・ま・え・らーーーっ! いい加減にしろよ! 俺が何したって言うんだよぉおおおおお!!」
「黙れやカミやん! 何もやってないが、絶対この後何かしでかすに決まってるんや!」
「そうだぜい! おまえだけいい思いさせてたまるかにゃーーーっ!」
「な…何を言って……」
「上条当麻ーーーっ! 貴様! またも純情な乙女の心を弄ぶつもりかぁああああっ!」
「許すまじ。とりあえずこの魔法のステッキで。」
「だあああああああ! もおおおおお! おまえらこういう時だけ無駄に足が速いな! 全然撒けねぇ…って、ん?」
そこで上条は校門前に美琴がいる事に気付く。
上条は逃げ回りすぎて遅刻したのかと思ったが、時間にはまだ余裕があった。
とりあえず上条は校門の方へと向かい、美琴の手を引っ張るとスピードを緩めること無く走り続けた。
「ちょ、ちょっと…! なにがあったの!? 追われてるみたいだけど」
「知るか! とにかく捕まったらボコボコにされるのは確かだ! 今はここを離れないと!」
「じゃ、じゃあさ! 川原! 川原に行こう!」
「はぁ? 話を聞くのはファミレスだったろ? なんで川原なんかに?」
「私決めたの! 今日告白する! だからアンタに聞いてほしい!」
「はいぃぃ!? なんで上条さんがそのような事を?」
「私の恋愛応援してくれるって言ったでしょ! だから最後まで見届けてほしいの! 嫌なんか、言わせないから!」
「わーったよ。つか手離すぞ? 走りにくいだろ?」
「だ、ダメ! 離さないで! 川原に着くまで、ずっと繋いでて!」
「…はいよ」
「えへ。えへへ」
「おまえ何か楽しそうだな? こっちは死にかけてるっていうのに…」
「うん! とっても楽しい! あはは、それにこんなに足が軽いの久しぶりかも! 今ならアンタに追いつけそうだわ!」
「は? 追いつく? もう追いついてるじゃねえかよ。何言ってんだ?」
「こっちの話! いいから前見て走れ! 不幸なアンタが余所見しながら走ってるとすっ転ぶわよ!」
「そ、そうだな。このスピードで転ぶのはよろしくないな」
「そうよ。えへへ」
「はは」
公園の自販機前。
初春飾利と佐天涙子は各自ジュースを買って立ち話をしていた。
誰かと待ち合わせでもしているのか、話しながらキョロキョロしながら周りを見ている。
「初春ぅ~? ところで白井さんはぁ~?」
「うーん、そろそろ来るはずですけどねー? 何なんでしょうね? わたし達に頼みごとって」
「ま、まさか御坂さんが振り向いてくれないからってわたし達に…!?」
「ぬっふぇ!? そ、そんなの嫌ですよー!」
「そのような事は決してないので安心して下さいまし」
そう言って白井は初春達の前に現れた。
初春達はさっきの会話を聞かれていた事に相当焦ったが、白井の真剣な表情で我にかえる。
ふと白井の手を見ると、佐天専用金属バットが握りしめられていた。
「し、白井さん…そのバット、私の?」
「そうですの。どうぞ、佐天さん」
「はぁ…?」
「初春?」
「は、はひ!」
「あなたは武器になりそうな物が無かったので体を張ってでも止めてくださいませ」
「と、止める? …って、なにをですか?」
「アレですわ」
初春と佐天は白井の指差す方を見ると、美琴と見知らぬ男の人が手を繋いで走ってくるのが見えた。
どうやら追われているようだが、美琴の顔はとても楽しそうで、男の人もなにやら追われているという感じはしなかった。
そして色恋沙汰に敏感な佐天と初春は感じ取った。
止めるとは。
美琴のこれから起こる事を守ってあげる事なのだと。
そしてそんな白井達を上条と美琴はスピードを緩める事なく走り抜けた。
「お姉さま! ファイトですわ!」
「み、御坂さん! 頑張ってくださいね!」
「そこのツンツンの人! 御坂さん泣かせたらこのバットが火を吹きますよ!」
「ありがとう! みんな!」
「お、俺…何かすげぇ睨まれてたんですけど」
そして二人が通り過ぎて間もなく、四人の男女が追いかけてきた。
白井はすぐに「わたくしが殿方二人を請け負いますわ。あとの女性は任せましたわよ」と言い、身構えた。
そう言われて初春達も身構える。
白井vs土御門・青ピ!
佐天vs姫神!
初春vs吹寄!
「そこをどくにゃーーーーーーっ!」
「こ、この子も常盤台や! しかも何やら不穏な匂いが…」
「ここから先へは行かせませんわ!」
「いいや! ここは通させてもらうぞ! このまま上条当麻を行かせるわけにはいかないわ!」
「だ、ダメなものはダメです…!」
「どいて。ビリビリする事になる。」
「人の恋路を邪魔する奴ぁ…えっと、何たら何たら何とやらよ!」
「む。出来る…。」
「「「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!」」」」」」」
※ちなみに言っておきますと、この先は平和的な話し合いて解決されました。決して騒ぎになるような事にはなっておりません。
上条と美琴は、以前妹達の実験の時に相対した鉄橋が見える川原まで来ていた。
学校からここまで一気に走り抜けてきたので、二人は着く途端に膝から崩れ、息を荒げていた。
上条はここで今から、美琴が誰かに告白すると言っていたのを思いだし、その人に美琴の悪いイメージを与えないために手を離そうとしたが、
握る力を緩めたことに気付いた美琴が、強く握りしめてきた。
上条は変な誤解されるぞと言ったが、美琴はこれに返事をすることなく、息を整えている。
それから時間は流れた。
太陽は段々と赤みを増し、土手を歩く人影も少なくなってきた。
美琴はその沈んでいく太陽を見送ると、辺りが暗くなったのと同時に手を離して言い出した。
「そろそろいいかな」
「え? だって…誰もいないけど」
「ちょっとここに立ってて。右手を開いて前に出して」
「?」
美琴は上条から5メートル程離れるとポケットの中に手を入れた。
上条はワケも分からずに、ただ美琴に言われた通り動かずに右手を開き前に差し出した。
「一回しか言わないから」
「へ?―――」
美琴はポケットから取り出した何かを、デコピンをする様な右手の小指で挟んだ。
それは白井から自分と上条が結ばれるようにと渡されたお守り、真っ赤な色をしたコインだった。
そしてコインを挟んだまま右手を上条の方へと向けると、腕に電撃を溜めはじめる。
「ちょ、ちょっと待て! れ、超電磁砲ですか!? おまえまさか、ここまで俺を連れてきたのは俺を亡き者にしようと…!」
「んなワケあるか! いいから黙って聞く!」
「だ、黙って殺されろと…?」
「違うって言ってんでしょ!」
「な、何が違うって…つか、おまえ今日告白するんじゃなかったのかよ!?」
「だからこれからアンタにすんでしょうが!」
「……へ? お、俺?」
「そうよ! 今からアンタに見せてあげる! 私の本気。本当の気持ちを!」
「ほ、本気って…!?」
「アンタは前言ったよね。この幻想殺しが赤い糸を消したのなら、今この時この時間にその相手も俺の事を探しているはずだって」
「言った気がするけど…そ、それが?」
「アンタの赤い糸がどこの誰と結ばれているかは分からないわ。でもね」
「お、おい…」
「私の運命の赤い糸はっ!」
「待っ―――」
「大好きなアンタと結ばれているのよっ! 受け取れやコラーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」
美琴はそう言うと、ありったけの電撃を溜め込んだ全力全開の超電磁砲を上条の右手目掛けて放った。
もちろん音速の数倍もある速度だったため、上条は反応出来なかったが、美琴の狙いは正確で寸分狂う事なく、上条の小指の付け根に直撃する。
幻想殺しで超電磁砲の威力を無効化しているが、いかんせん威力が半端なかったため一瞬で消滅とはいかなかった。
そして上条が、超電磁砲の衝撃を受けていた時から瞑っていた目を開けると、そこには―――
「―――――い、糸だ…。赤い、糸――」
上条の右手の小指と、美琴の右手の小指を赤い糸が繋いでいた。
それは美琴の放った超電磁砲の軌道なのだが、赤かった。
今まで何回か超電磁砲を見てきた上条でも、赤い電撃は見た事が無い。
それは白井のお守りが、赤いコインが生み出したの奇跡なのか、それとも美琴の本心がそうさせたのかわからないが、
夕日が沈みきった真っ暗な川原で、なんとも言いがたいその幻想的な光景はとても綺麗で、上条はその赤い糸にすっかり見入っていた。
「お、俺にも…あったんだ。運命の赤い糸が―――」
赤い超電磁砲は30秒も持たなかったが、その時間が終わると、周りは静まりかえり聞こえてくるのは美琴の息使いだけになった。
上条は自分の右手に目を落とすと、そこには何か役目を終え燃え尽きたように真っ黒なコインがあった。
そしてそのコインをしっかりと握ると、美琴の方を向いて溜息を吐きながら言った。
「はぁ…おまえな」
「なによ」
「これはあれですか? 今時の中学生はこんな命がけで相手に告白するんですか?」
「そんなわけないでしょ! それにこんな事アンタじゃないと出来ないじゃない!」
「こんな方法じゃないとこんな事言えないとか、どんだけツンデレだよ…」
「つ、ツンデレで悪かったわね! いいでしょ何だって! 恥ずかしいんだから!」
「やっと認めたようだな」
「…あ、あの……ぁぅ」
「じゃあ俺も返事しないとな」
「……うん。聞きたい」
「多分おまえが今聞きたい答えではないかもしれないけど」
「え?」
「俺今までおまえの事、悪友とか…そんな感じで見てたんだ」
「…知ってる。女の子として見てくれてないのは」
「だから今、おまえと付き合うことは出来ない。付き合って俺がやっぱり合わないから別れよう。なんて、おまえも嫌だろ?」
「…うん」
「だからこれから女の子としておまえを見ることにする。悪友でもあるけど、それ以上におまえの女の子としての一面も見てみたい」
「で、でも…私なんか他の女の子に比べたら、生意気で我侭で胸無くて子供で、ビリビリでツンデレで…こんな私なんか」
「うーん…いやでもさ、多分俺はもうおまえしか、御坂しか見えないと思うよ」
「なんで? なんでそんな事言い切れるの?」
「だってさ」
「?」
「こんな『運命的な』告白されたら、意識しないはずねぇじゃんか」