とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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当麻をめぐって



(うう、不幸だ。)
上条は美琴、五和、インデックス、神裂に一歩遅れて歩いている。両手にビニール袋を2つずつ持っていた。
美琴と五和がスーパーで購入したのをじゃんけんで負け、持つはめになった。
「神裂、上条さんの筋力ではこの重さにはもう耐えられません。持っていただけないでせうか。」
「全部は嫌ですが半分なら。」
「さすが聖人の名前だけあっていい人なんですなぁ。なんまいだ~。」
そう言いながら袋を2つ神裂に渡した。
「女教皇様!私がお持ちします!」
五和が神裂から奪うように袋を持った。
「じゃ、じゃあ当麻!私も持ってあげる!」
五和に負けじと美琴も上条から袋を奪った。
美琴と五和はなかなかやるわね!とお互いにらみ合う。
そしてお互い袋の中身を覗いた。
(む!この材料はまさか・・・五和さん、私に作れない物を作れるとは不覚!)
(御坂さんは結構悩んでいたしこの材料からすれば・・・きっと一番自信がある料理!
これは気をつけないといけないです。)
知恵熱を出してライバルが何を作るか勝手に予想した。
「なんかあの二人仲良くなったみたいだな?」
「そうみたいですね。五和も天草式以外の人とこうやって接する事ができて嬉しいのでしょう。
ありがとうございます、上条当麻。」
「何で俺に感謝するんだ?」
「わからないならわからないままで結構です。」
「・・・お前、意外と美琴に負けないツンデレかもしれねえな。」
「ブッ!突然何を言うのですか!!また痛い目に合いたいのですか!?」
「素直に違うと言えばいいものを人を脅して否定するとこがツンデレだと思うんですが。」
「うぅ・・・・」
「コラーそこ!私達を置いていちゃつかない!」
「美琴の奴、私達と来やがった。なんか辛い立場にいるのは気のせいか?」

こうして一行は上条宅へ向かった。

ガチャ。
「じゃあ適当にあがってくつろいでくれ。」
「「「おじゃましま~す。」」」
美琴、神裂、五和は声をそろえて言った。
「お茶しか出せないが我慢してくれよ。」
「お構いなく。あなたらしくない行動をとるのに少し驚きました。」
「うるせえ!こうやってゲストをもてなす事くらい普通にやるわ!」
そう言って上条は美琴と五和から袋を受け取りキッチンへ向かった。

「上条さん、私が以前お邪魔した時より部屋が片付いてますね。」
「ふふん、五和さん。その理由は私が毎日ここに通って掃除しているからよ。」
「んな!この先手攻撃は大きな差を広げられてしまってます。何か差を埋める方法はありますかインデックス?」
「シスターの私に任せてなんだよ。いつわ、ゴニョゴニョ・・・」
「!!!なるほど!これでまたさりげないアピールをできる訳ですね!」
「ただし相手はとうまだから通じないかも。プクク・・・」
今日のインデックスは二人を思いっきりからかうつもりだ。
五和のさりげない行動で必ず美琴が嫉妬する事を教えたから。

「ところで、天草式の連中は食事も魔術に関係あるんだろ?
五和が作るものはともかく美琴が作るの食べて大丈夫なのか?」
「当麻?私の料理がそんなに不味いと言いたいのかしら?」ビリビリ
「どわ!違う決してそんな事ないぞ!わからないかもしれないがこいつらの事を心配してるだけなんだ!
あと美琴たんの作る料理はほっぺが落ちるどころか靴下に穴が空く程美味いですよ!
だからビリビリはやめて――!!!」
「うるさーい!!」
「ギャー!マンガ本がぁぁぁ!!」
やりとりを見ていた神裂がポツリと、
「私がこの中に入れる余地は全くありませんね。」
と誰にも聞こえないように呟いた。

「御坂さーん、そろそろお料理始めましょう。」
「はっ!この馬鹿の相手してる場合じゃない。五和さんやりましょ!」
上条に手料理を食べてもらうより、ただ女の子同士料理を楽しむような雰囲気があった。
しかしインデックスだけその幻想をぶち壊す!と燃えている。
上条はテレビをつけ、あまり面白い番組ないな~とチャンネルを変え続け、
美琴は上条愛用のエプロンを、五和は美琴が上条宅に置いているゲコ太エプロンを装着し、
料理を始めた。
インデックスと神裂はおしゃべりして楽しんでいる。
インデックスは時折五和の方に目を向け、五和もチラチラとインデックスに目をやった。
ボスからの合図待ちにそわそわしている。
美琴が包丁を持ち、野菜などを切り始めるのを合図にし、五和も行動にでた。


ボウルに卵、砂糖などを入れて、
「上条さん、もし手が空いてるのであれば少しお手伝いしてほしいのですが。」
「別にいいけど、二人より料理の腕は下だぞ?」
「いや、これを泡がたつまで混ぜてもらいたいだけです。
それに素早く泡立てないと味に影響が出るので力がある上条さんに任せてもいいですか?」
「それくらいなら手伝えるな。よし、上条さんに任せなさい。」
五和からボウルを受け取り、シャカシャカと始めた。
「混ぜる速度を落とさないでくださいね。」
「がってん!」
結構楽しそうにやっている上条を見て五和はクスっと笑った。
美琴は二人を見て、
(成る程。か弱い部分を見せて男に頼り、男も頼られて嬉しいと感情を逆手に取った作戦ね。
こうなったら私だって負けないんだから。)
嫉妬まじりに勇気を出した。
上条が混ぜるのをやめるまで美琴はスタンバイして様子を伺った。
「五和、このくらいでいいか?」
「わあ!ありがとうございます。上条さんのおかげでおいしくなりますよ!」
「ねえ当麻、このソースの味見てもらえる?」
小さいスプーンにすくってはい。とニッコリスマイルで差し出す美琴。
(御坂さんさすがです。もう私の行動の意図に気づきましたか。
ですが私の前で上条さんとのアーンはさせません!!!!)

ピチャ。

上条の頬に先ほど泡立てたものが飛んできた。
「あ、すみません上条さん。手先が狂ってしまいまして。」
あははと笑いながら指で頬についたのをとってペロっと自分で舐めた。本当にさりげない行動で。
「あ・・・あ~~~・・・」
美琴はやるせない声を出して五和に指をさした。
(私でさえアーンをするのがやっとなのにやはり五和さん。
だてにあのエロい格好した人の下についてる訳ないわね。次に打つ手は・・・・)

「と、と当麻!あのさ、人参とジャガイモの皮剥いてくれない?む、剥くだけでいいからさ。」
「ん?それ美琴の方が上手いじゃないか。俺がやっても型が崩れるぞ。」
「そ、そうだっけ?じゃじゃあ私が手取り足取り教えるからさっさと包丁と人参持ちなさい!!」
「何でどもってんだ?」
上条が包丁を持つと美琴は後ろに周って上条の両手を握り、ほぼ二人羽織状態で共同作業をした。
(な!!御坂さんそれは手伝うというよりも自分の欲望ではありませんか!!
大胆というか逆にその行動はやりづらいし危ないし間違ってる気がします!)
チラっとインデックスに助けを求める五和だが、インデックスはテーブルに両肘をついて
こちらを見てニコニコ笑っている。
「いつわ、後は私のお腹を満足させるだけなんだよ。」
と口パクで五和に話しかけた。
(そんな、私にはもう上条さんを振り向かせるような手が思いつきません。
どうすればいいのでしょう?)
ジェスチャー混じりで伝える五和。
(いつわの実力を見せてもらうからね。)
(どうしよう・・たった今思いついた案は確実に御坂さんを怒らせてしまいます。
しかし上条さんを振り向かせるため!友人、恋のライバルの怒りなど考えている場合など
ありません!行動あるのみ!)
パニックから覚醒に変わった五和の最後の攻撃が上条と美琴に牙をむいた。

上条は後ろから美琴に両手を握られて動けない。でもこのシチュエーションは
結構嫌いではなく楽しんでいた。
「美琴、お前が手握ってるからやりづらいんだけど。手滑らせて怪我でもしたらたまんねえよ。」
「大丈夫よ。不幸体質の当麻が包丁持つだけで不幸になるんだから、私が握ってるほうが
十分安全よ。ね?五和さん。」
勝利の笑みを五和に向けた美琴だったが顔がひきつってしまった。

五和が泣いている。
「最初からわかっていたんですがやはり私は及ばないみたいでしたね~。
やはり私の実力不足です。隣で見せしめられたらさすがに敵わないです。」
「いや、見せしめた訳じゃなくて・・・その、なんと言うか・・・」
「いいんです。恋人なのですからそのくらいのスキンシップは普通ですよ。」
ここで鈍感王の上条が口を挟んだ。
「何で五和が泣いているのかわかんねえけど二人供仲良しになったんだろ?
俺も用は済んだみたいだし、戻るからさ。料理楽しみにしてるぞ。」
そう言い残し逃げるようにキッチンから去った上条。
「ごめんなさい五和さん。本当にそんなつもりは・・・」
「いいえ、気にしないでください。私は上条さんから断られた時から吹っ切れいるので。」
「でも泣いているじゃない!」
「本当に大丈夫です。さあ、早く作らないとインデックスに噛み付かれますよ。」
美琴は五和を泣かせてしまった事を後悔し、精神的にダメージを負った。
でもこの新しい友人に自分の暗い顔をこれ以上見せないと決意し、
「じゃ、料理早く作りましょ。私に手伝う事があったら遠慮なく言ってね。」
「はい。じゃあこの刻んだタマネギを炒めてもらえます?」
「了解!」
五和はもう泣いてるように見えなかった。それもそのはず、最初から泣いていなかった。
ただタマネギを切っていただけであったのだから。

「「おまちどおさま!」」
美琴と五和が出来上がった料理を一斉に並べた。
「すげえな。これ一人で二人分以上の量あるんじゃないか?」
「食べ盛り伸び盛りの私達にはこれくらいが妥当じゃない?」
「そうだな。じゃあ早速ご馳走にありつくぜ!」
いただきます!!
みんな声を合わせて手を合わせた。
「むぐむぐ。みこと、いつわ。おかわり!」
「ふふ。アンタがそう言うと思ってたくさん作ってるからね。
残さず食べなさい。」
5人揃って食事を始めた。
「はい、上条さんあ~んしてください♪」
「あっ!五和さんそれは私だけの特権なのに!」
「うふふ。今日くらいさせてください。女教皇様もあ~んされます?」
「やめてください!私はそんな事しません!」
「俺はペットショップの動物ですか。何というか・・・不幸か?」

そうやって夜は更けていくのであった。


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