プロローグ『正義の出る幕なし』
『本日未明都内某所で希望崎学園に通う山乃端一人さんが遺体で発見されました、警察は殺人事件と見て調査を続ける方針です、
ここ以外でも都内では異常な件数の被害が報告され警察は昼間の巡回人数を数倍に増やし都民への夜間での外出を……』
拳条朱桃は腕を組んで姫代学園の学生寮のテレビでそのニュースを見ていた。
「許せない……」
朱桃はつぶやいた。
誰かにいっているわけでもなく心からの声が漏れた。
拳条朱桃は悪が許せなかった。
必要悪も絶対悪も悪という悪を嫌った。
「休み中の寮の門限は……よし……」
朱桃は外に出る。
今日から姫代学園は冬休みだ。
生徒のほとんどは帰省し寮には数人しか残らない。
「行こう……!!」
朱桃は進む、殺人鬼を追うことは警察の仕事だ。
しかし関係なく体が動いてしまう、どうしても倒そうと悪を見ると手が出てしまう。
それは父の仇が殺人鬼だからか、親友を汚そうとしたのが悪だからか。
それも理由の一つだろう、だが彼女を動かす最大の理由それは……。
「私が正義だ!!」
拳条朱桃は街に向かった。
しかし彼女がこの冬休みに殺人鬼に会うことはなかった。
最終更新:2020年07月03日 20:54