柏崎刈羽原発 地震被害 報道・発表 まとめ

2007-08-11 報道・発表まとめ

最終更新:

kknpnews

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目次

石橋克彦氏 『私の視点』

POINT OF VIEW/ Katsuhiko Ishibashi: Nuclear plants at grave risk of quake damage (朝日英語版) 

《要約》
 40 年間、日本は原発を建設し続けたが、その間地震活動は相対的に小さかったために、政府・電力会社・学術界は地震による潜在的な危険を過小評価する傾向を作り出した。 しかし、阪神大震災の頃から日本列島のほとんど全域が地震の活動期に入った。
 過去 2 年で、宮城県の女川原発 (2005 年 8 月)、石川県の志賀原発 (2007 年 3 月)、そして柏崎刈羽原発と 3 つの原発が耐震設計基準を上回る地震の影響を受けた。
 柏崎刈羽原発に起こったことは 『想定外』 とされるべきではなく、もっと酷いものになっていたかもしれない。 地震の震源がもう少し南西で新潟地震 (1964 年) と同じく M 7.5 であり原子炉 7 基がすべて稼働中だったなら、「原発震災」、地震と炉心溶融の複合災害を引き起こしていても不思議ではなかった。
 今後も地震の活動期はさらに 40 年以上続くと思われ、原発の耐震対策に抜本的な一歩が踏み出されない限り、真の核の惨事を経験してもおかしくない。
 この危険性は浜岡原発と若狭湾に沿った原発群においてとりわけ高く、そこでの事故は東京、名古屋、大阪の 3 大都市圏に計り知れない影響を及ぼしうる。
 今回の地震は、古い耐震設計審査指針の欠陥を浮き彫りにしたが、去年の 9 月に制定された新指針でも耐震設計の基礎となる地震動は過小評価されている。私は新しい耐震設計審査指針を作った専門家委員会の委員であったが、この問題に関する委員会の姿勢に抗議するため去年 8 月の作業の最終段階で辞任した。
 東電は海底活断層を十分に考慮しなかったことで批判されているが、完全な調査が行われ活断層を発見できなくても、M 7.3 程度までの強い地震が直接的な打撃を与えてもおかしくはなく、よって原発がどこにあっても少なくとも M 7.3 程度の地震による加速度 (およそ 1000 gal) を想定して設計すべきことを求めるべきだ。 しかるに新指針はおよそ 450 gal までしか要請していない。 全ての既存の原子力発電所はこの基準において検査されるべきで、そうできないものは廃棄されるべきだ。
 最も深刻なことは新指針の欠陥だけでなく、それを実行する体制がデタラメであることだ。 柏崎刈羽原発のそばの活断層の過小評価に対する非難は東電の設計の粗雑な調査に向けられている。 去年私は、島根原発の設計で活断層を見落としていることを指摘したが (私の視点、朝日、2006 年 9 月 16 日)、何らの対策も採られず、当局の無責任さを証明した。 断層の過小評価に責任を持つ人物は依然として保安院の委員として重要な地位にある。
 当局のある高官は、現在のところ耐震設計審査指針の再検討は行われないだろうと語っているが、これは独立・中立な原子力安全委員会に対する職権を逸脱した発言であり、実際には安全委がいかに政府の干渉を受けているか証明している。
 これらの事柄は、HIV 汚染血液製剤の事件や年金記録の混乱と同じく深刻な政策上の失敗である。 国会は、原発の安全政策を十分に監視すべきである。
(神戸大学都市安全研究センター教授、地震学)

★原文は 7 月 26 日紙面上の『私の視点』と思われる。サイト上では対応する日本語版は見当たらないので英語版から翻訳要約した。

その他

Report: Closure of Japanese nuclear plant expected to boost greenhouse gas emissions (AP, 11 Aug. local time) 
柏崎刈羽原発が来年 3 月まで停止することで日本の CO2 排出量は 2 %、2,800 万 t 増加すると NHK が報道したことを伝える。
★環境省「中央環境審議会」と経産省「産業構造審議会」の 10 日の地球温暖化防止に関する京都議定書目標達成計画の見直しに向けた中間報告を受けての報道と思われる。 ただし、柏崎刈羽原発に関する NHK 報道の数値は 2007-08-02 に東電が推計したものと思われる。
原発:耐震性に「不安」が9割 特に女性で 毎日世論調査 (毎日、18:16) 
4–5 日の毎日世論調査を報告。 原発の耐震性『非常に不安』が 56 %、『ある程度不安』 35 %。 原発立地県とそれ以外で大きな差はない。 原発増設に関して、原発の数は『現状程度でいい』 57 %、削減を求める人は 23 %、など。
★調査方法についての記述はない。

おわり
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