2007/12/01 クマタカ頻繁に飛行 水俣の産廃予定地
水俣市の
IWD東亜熊本が同市湯出、長崎の山林に計画している産業廃棄物
最終処分場建設予定地をめぐり、市が七月から十一月まで行った生態系調査で、絶滅危ぐ種の
クマタカが予定地上空を頻繁に飛行していることが確認された。IWD側は「予定地はクマタカの行動圏ではない」と主張しているが、市は「影響を過小評価している」と批判している。
市の調査は毎月三日間、同市薄原など予定地周辺の二地点からクマタカの生息状況を観察した。その結果、五個体(成鳥四、幼鳥一)を確認。調査した計十五日間のうち五日は、クマタカが同市湯出の予定地上空を飛行した。
調査を担当した日本野鳥の会熊本支部の石塚謙一さん(70)は「予定地がクマタカのえさ場になっていることが考えられ、
処分場が建設されると影響は少なくない」と話している。
これに対し、IWD側は
環境影響評価(
アセスメント)準備書で「クマタカの行動中心域は予定地より約一・五キロ離れた川の両岸」と記載。同社の調査でクマタカを確認した四十六日のうち、予定地上空への飛来が一回だったことを挙げ、「一時的な飛来で、処分場の存在と
廃棄物埋め立てによる生息域の消失、縮小の影響は少ない」と主張している。
市は年内にも県に提出する環境アセス準備書への「
市長意見」に調査結果を反映させる方針。予定地周辺には、クマタカに加えて絶滅危ぐ種サシバも飛来することから、猛きん類調査を継続する。(渡辺哲也)
最終更新:2007年12月07日 13:14