2008/02/07 イオキシン:汚染土処分、合意遠く・・・ダイオキシン検出から6年/熊本 【読売】
水俣市のチッソ水俣工場の排水が原因で水俣港などに堆積(たいせき)するダイオキシン汚染土砂の最終処分問題で、事業主体の県と市は8日、市総合もやい直しセンター「もやい館」で市内全域を対象とした説明会を開く。
ダイオキシン問題を巡っては
処分場予定地付近の地元説明会を3度開いているが、全市民向けの開催は初めて。県側は「コンクリート固化方式での早期着工に理解を求めたい」としているが、「無害化処理」や「チッソの工場内での処理」などを求める反対派の反発は必至だ。2002年春のダイオキシン検出から約6年がたつが、着工のメドはついていない。現状をまとめた。(白石一弘)
■無害化
「
ダイオキシンは毒性が強く心配。水俣病の教訓を生かし、安全に処分すべき。無害化処理に計画を変えてほしい」
県側はその後、住民側の意向も踏まえ、汚染土砂をセメントで固めた上で埋め立てる方式を採用。07年6月、市も了承した。通常の脱水処理よりダイオキシンが溶け出す可能性が大幅に減るという。しかし、あくまで無害化処理を求める反対派は納得せず、話し合いは宙に浮いたままだ。
地元説明会は07年7月、同9月にも開かれた。県側は「無害化は理想だが数十億円の費用が必要で、財政的に困難。固化方式は無害化に匹敵する次善の策」と早期着工に理解を求めたが、住民側との合意には至らなかった。
■環境基準
事態を複雑にしているのはダイオキシンの環境基準に対する位置付けだ。問題の汚染土砂は水の底(底質)にあり、底質の基準は150ピコグラム。水俣市の汚染土砂は360ピコグラムでこの基準を超えている。陸上での基準は1000ピコグラムで、1000ピコグラム以下の場合、国の技術指針によると覆土処理だけで足りる。
県側は「同程度の土砂が陸上で発見されても処理の対象にはならない」とする一方、「水俣は水俣病を経験した特別な地域。住民感情にも配慮し、二重、三重の対策を施して処分する」と強調。「セメント固化に加え、海岸沿いの処分場を当初の計画より離れた所に移動する対策を講じている」と理解を求める。
こうした県側の説明が住民側をさらに刺激。「処分の必要性もないものに多額の税金を使うのか」という批判を招き、混乱に拍車をかけている。
■チッソへの反発
汚染土砂は、県管理分の水俣港と百間排水路、市管理分の百間雨水幹線に堆積する約1万1300立方メートル。計画では面積約2900平方メートル、容量約9400立方メートルの
最終処分場を造る。総事業費は約10億円。国の公害防止対策事業により、県管理分(約1万1000立方メートル、約9億3600万円)の3分の2をチッソ、残りを国と県が折半する。市管理分については事業費、負担割合とも決まっていない。
住民側が納得できない点にチッソの姿勢もある。チッソは説明会に1度も参加せず、謝罪もしていないからだ。住民側は「チッソの工場内での処分」も求めるが、チッソは「計画は公害防止対策事業に基づき
事業者の県と市が決めること」という態度。その消極的な姿勢に住民側のいらだちは募るばかりだ。
宮本勝彬市長は「目の前にある危険なものを1日も早く、安全に処理する必要がある」と話す。その点では住民側も一致する。説明会は午後7時から。問い合わせは市下水道課(0966・61・1626)へ。
(2008年2月7日 読売新聞)
2007/02/17 水俣のダイオキシン汚染土砂 県に安全処理要望 市議会委が意見書案=熊本【読売】
水俣市の水俣港などに堆積(たいせき)する高濃度ダイオキシンを含む汚染土砂の最終処分問題で、市議会公害環境対策特別委員会は16日、事業者の県に対して住民が納得する安全処理を求める意見書を市議会として出すことを決め、意見書案をまとめた。
それによると、「市民は水俣病による環境汚染と同じ過ちを繰り返してはいけないという思いがある」と指摘したうえで、〈1〉無害化が理想だが困難なら住民が納得できる方法で処理〈2〉場所は(原因企業の)チッソ構内を優先〈3〉環境モデル都市にふさわしい先進的な処理を関係機関に働きかける――の3項目を求める。
3月2日に開会予定の定例会で意見書案を提案、可決したうえで提出する。
2007/02/01 水俣港のダイオキシン類土砂:県が処分場ずらす案 /熊本【毎日】
水俣市のダイオキシン土砂除去問題で、県が最終処分場の位置を数メートルずらすなどの変更を計画していることが分かった。市民から処分地選定などで強い反発を受けたため。31日の市議会公害環境対策特別委員会で報告された。
計画によると、チッソ水俣本部(同市野口町)から水俣湾に続く百間排水路などに堆積している汚染土砂約1万1300立方メートルをしゅんせつ・脱水。県がチッソから購入する同市梅戸の敷地に最終処分場(敷地面積4400平方メートル)を設置し、埋め立てる。
県港湾課によると、これまでは斜面対策をしないままでも風化してこれ以上崩れない「想定崩壊線」から約3・5メートル陸側の地点から処分場を建設する予定だった。だが、市民から「斜面崩壊の恐れがある」などと場所選定への反発が強かったため、さらに数メートル陸側に移動させ、その分約2メートル深くする案に変更した。【平野美紀】
2007/02/02 水俣ダイオキシン汚染 市漁協、早期埋め立て要望書 処分法巡り地元混乱=熊本【読売】
水俣市の水俣港などに堆積(たいせき)する高濃度ダイオキシンを含む汚染土砂の最終処分問題で、市漁協(岩崎巧組合長、約170人)は1日、早期埋め立て処分を求める要望書を市と県に提出した。市議会公害環境対策特別委員会は31日、着工を急がず無害化を含む安全処理を県に申し入れる方針を確認。処分方法を巡り、地元が混乱している。
要望書は、昨年10月の計画発表から着工が遅れていることについて、「問題が長引くほど市民の不安が助長される」と指摘、▽一刻も早い処理の実施▽風評被害の拡散防止――など5項目を求めている。岩崎組合長は「風評被害は漁師の生活に直結する。無害化にこだわらず一日も早く処分してほしい」と話した。
一方、市議会は「多くの市民が計画に不安を持っており、市議会の対応が必要」として、▽無害化▽遮断型の処分▽コンクリートによる固形化――などの安全処理を県へ要望する見通し。
2006/12/10 水俣港のダイオキシン類土砂:「無害化処理を」 市に産廃反対団体申し入れ /熊本 【毎日】
水俣市のダイオキシン土砂除去問題で、市民グループ「水俣に産廃はいらない!みんなの会」(坂本龍虹代表)が8日、宮本勝彬水俣市長にダイオキシンの無害化処理など3点を申し入れた。近く県にも申し入れる。
除去計画によると、同市梅戸のチッソ所有地を買い取り処分場を建設。チッソ水俣本部から水俣湾に続く百間排水路などの汚染土砂約1万1300立法メートルをしゅんせつ、脱水して埋め立てる。総事業費約10億円。うちチッソ負担金は6億数千万円の見込み。残りは国の補助金と県、市費でまかなう。
県と市は10月26日、梅戸周辺住民に計画を説明したが、処分方法や処分場選定について異議を唱える声が相次いだ。
8日は、同会のメンバー7人が市役所を訪れ「水俣病の教訓を肝に銘じてほしい」などと話し、無害化処理のほか、保管場所をチッソ構内とすることや、ダイオキシン情報を公開し全市民対象の説明会の開催などを求めた。
宮本市長は「県には処分方法、説明会のあり方、処理場所について検討してくれるよう伝えた。市民の不安を払しょくするため、県との協議でも積極的に発言していきたい」と話した。【平野美紀】
2006/12/09 水俣ダイオキシン問題で要望 市民団体が市長に申し入れ=熊本【読売】
水俣市のチッソ水俣工場の百間排水路にたまった土砂から国の環境基準値(1グラム当たり150ピコ・グラム=ピコは1兆分の1)を超えるダイオキシンが検出され、同市梅戸地区が土砂の処分場予定地となっている問題で、市民団体「水俣に産廃はいらない!みんなの会」(坂本龍虹代表)は8日、宮本勝彬市長に適切な対応を求める申し入れ書を提出した。
申し入れ書は、水俣病の教訓が生かされていないとした上で〈1〉無害化処分〈2〉チッソ構内での一時保管〈3〉市民説明会の開催――を要望。坂本代表ら7人は「水俣病はメチル水銀を未処理で垂れ流して起こった。教訓を生かし、同じ轍(てつ)を踏まないようにすべきだ」「無害化には40億円かかるというが、やってほしい」などと求めた。
これらに対し、宮本市長は「処分方法や場所、説明会は検討中。要望を県に伝え、不安が払しょくされるよう努力したい」と述べるにとどまった。
予定地はチッソ所有のヘリポート用地。面積は約2900平方メートル、容量は約9400立方メートルで、総事業費約9億3600万円。公害防止対策事業などに基づき3分の2をチッソ、残りを国と市が折半する。10月の地区説明会で県と市が年内着工の計画を明らかにしたが、参加者が反発。着工の見通しは立っていない。同会は、潮谷知事にも同様の申し入れ書を提出する。
2006/10/27 ダイオキシン類の汚染土砂除去説明会 住民から異議相次ぐ【熊日夕刊】
ダイオキシン類汚染土砂を水俣市梅戸地区に最終処分する事業案を説明する県職員=エコパーク水俣ナーサリー
水俣市の水俣港百間船だまりや百間排水路などの、ダイオキシン類に汚染された土砂の除去問題で、県と水俣市は二十六日夜、原因企業であるチッソ敷地内の同市梅戸地区に最終処分する事業案について、地区周辺住民を対象に初の説明会を開いた。住民からは処分場の場所選定や処分方法に異議が相次いだ。
汚染土砂のたい積が判明したのは二〇〇二(平成十四)年四月。ダイオキシン類は一グラム当たり三百六十ピコグラムで、その後定められた国の環境基準(一グラム当たり百五十ピコグラム)を大きく超えている。
除去方法を検討していた県は今年二月、学識者などで組織した「水俣港底質ダイオキシン類対策検討委員会」の方針に基づき、チッソの敷地内に新設する処分場に最終処分する事業案を固めた。
事業案によると、水俣港、百間排水路、上流の百間雨水幹線の汚染土砂一万一千立方メートルを除去。中間処理で脱水し、遮水シートを施した処分場(容量九千四百立方メートル)に埋め立てる。水俣港と百間排水路は県が、百間雨水幹線は同市がチッソ負担金と国の補助金(県施工分のみ)を得て施工。総工費は約十億円を見込んでいる。
説明会は同市月浦のエコパーク水俣であり、地区住民ら約五十人が出席。「一日でも早く着工したい」と事業案の了承を求める県港湾課などに対し、住民からは「費用が掛かっても無害化処理すべき」「チッソ社内の処分場でなぜ処分できないのか」など反対意見が相次いだ。県側は、近くあらためて説明会を開くと回答した。
松永誠弥・県港湾課長は「理解を得られるよう説明に努めたい。無害化、処分場の場所についての意見は、部内で検討する」と言っている。(並松昭光)
2006/10/28 チッソ水俣でダイオキシン 埋め立てに住民反発 県と市が説明会=熊本【読売】
◆年内着工、困難に
水俣市のチッソ水俣工場の百間排水路にたまった土砂から国の環境基準値(1グラム当たり150ピコ・グラム、ピコは1兆分の1)を超えるダイオキシンが検出された問題で、県と市は26日夜、汚染土砂を埋める処分場予定地となっている同市梅戸町などの住民を対象に説明会を開いた。住民側は事業案に猛反発し、県側が目指す年内着工は難しい情勢となった。
県港湾課によると、予定地は水俣湾沿いのチッソ社有地。今年2月に候補地となり、測量や地質調査が行われてきた。面積は約2900平方メートル、容量は約9400立方メートル。総事業費約9億3600万円。公害防止対策事業などに基づき、3分の2をチッソ、残りを国と市が折半する。
説明会は、埋め立てに伴う影響が懸念される梅戸、汐見、明神の3町に住む488世帯が対象で、約50人が参加。県側は「健康にかかわる問題。1日も早く事業完了させるため年内に着工したい」と理解を求めたが、住民らは「毒性が高く心配。水俣病の教訓が生かされていない」「計画を変えて」などと反発の声をあげた。
これらに対し、同課の松永誠弥課長は「風雨にさらされたり浸食しないように処分場と海岸線を監視する」「再検討した上で年内に再び説明会を開きたい」などと述べるにとどまった。
百間排水路では2002年、底にたまった土砂から360ピコ・グラムのダイオキシンを検出。翌年、汚染源がチッソ水俣工場と特定された。04年11月に埋め立て処分が決まり、05年3月に国の公害防止対策事業の指定を受けた。同事業の期限は07年度までだが、着工の遅れなどのため、事業完了は早くとも08年度になるという。
2006/04/29 水俣病50年[第4部]■チッソ 未完の決算 原因企業の現在<7> 企業体質 繰り返した環境汚染【西日本】
(写真)チッソ水俣製造所からのダイオキシンが流れていた排水路
■加害企業の認識
「今日までの50年の重みを企業の責任としてどう理解しているのか。信じられない思いだし、激しい憤りを感じる」
昨年6月の熊本県議会。県民クラブ代表の鬼海洋一(61)は、チッソが繰り返した環境汚染に対する同社の姿勢を厳しく批判した。議場全体が応援ムードに包まれた。鬼海の怒りは、今も収まらない。「チッソは水俣病の加害企業としての認識が薄れている」
ことの始まりは、2000年9月。チッソ水俣製造所が原因とみられるダイオキシン類汚染が起きたことが熊本県議会で初めて報告された。水俣港に流れ出る百間排水路で基準値の3.8倍のダイオキシン類が検出されたのだ。
チッソは原因と推定された焼却炉の運転を止めた。だが再調査の結果、実は農薬製造に使う硫酸カリウム製造装置が汚染源だったことが判明。チッソは老朽化していた同装置の運転停止を前倒しした。水質は改善され、ダイオキシン騒動は終息したかにみえた。
ところが昨年4月、状況は一変した。排水路などの汚染土砂の処理費負担で、チッソが県の行政処分に異議を申し立てたのだ。事業費9億4000万円の「3分の2」がチッソ負担だったが「負担が2分の1を上回るのはおかしい」と反論したのだ。県も9月、異議申し立てを「理由がない」と棄却。にらみ合いとなった。
■納得していない
今年2月17日。「水俣港ダイオキシン類対策事業」をめぐる
熊本県とチッソの対立は、ヤマ場を迎えた。2000年から3年間、水俣本部長だったチッソ専務の石田紀生(65)が県庁に出向いてきたのだ。
「裁判を起こす気か」。県職員らは身構えた。だが石田は穏やかに言った。「県の棄却決定処分に従う。今後も事業の円滑な執行に協力する」
雰囲気は和み、面会も短時間で終わった。だが、なぜ県に振り上げたこぶしを下ろしたのか、承諾理由は明確に告げないまま。「専務は内心、不満げだった」と、ある県職員は記憶している。
チッソは、異議申し立て理由に、県の3つの「違法」を挙げていた。「チッソの主張を表明する機会が与えられなかった」「環境基準を下回る地域も事業範囲にされた」「排出規制がなかった期間がある」というのだ。
「安易に受け入れては、経営責任が果たせない」。チッソ経営陣は、そう考えたようだ。
チッソは、訴訟に持ち込むことも可能だった。だが、同社は一転、棄却処分を受け入れた。なぜか。専務の石田は「最高権力者の知事の判断には従う」と、多くを語らない。だが、社内には「納得したわけではない。だが裁判費用もかかる」との思いがくすぶる。
■逃したチャンス
実は、チッソは、異議申し立ての後、石田を熊本県立大学の環境共生学部教授、篠原亮太(58)の研究室に出向かせている。篠原は、チッソの費用負担割合を県に答申した県環境審議会の会長だった。
石田は、異議申し立ての真意を説明し、篠原の考えを聞いた。篠原は「裁判はやめんですか」と説得した。「先生は万が一のことを心配していた」と石田。「万が一」とは、裁判の長期化で処理が遅れ、ダイオキシンが水俣湾外に流れ出すと、水俣病と同様、汚染地域が一気に拡大する危険性だ。
「彼らは、首の皮一枚で、水俣病と同じ過ちをせずに済んだ」。そう指摘した篠原は、苦笑しながら続けた。
「でも変わってないよね。CSR(企業の社会的責任)がクローズアップされる今、率先して処理費を全額負担すると決断すれば、長年の汚名返上の絶好のチャンスだったのに。チッソはそれを逸した」 (敬称略)
2005/09/09 ダイオキシン除去費用負担 チッソ申し立て棄却 県「割合根拠は適法」=熊本【読売】
水俣港のダイオキシンを含む土砂の除去費用負担を巡り、汚染原因企業とされるチッソが、行政不服審査法に基づき、県に対し、異議申し立てをしていた問題で、県は申し立てを棄却し、7日にチッソ側に通知した。
この問題では、2002年、水俣港の百間排水路の底質土砂から高濃度のダイオキシンが検出された。県は、学識者らによる調査委員会を設置し、同委員会は03年3月、「チッソ工場内の硫酸カリウム製造施設から高濃度で排出され、土砂に残存しているため」と判断した。
この調査結果や県環境審議会の答申などに基づき、県は今年2月、土砂除去に関する総事業費9億3600万円の負担割合について、チッソが約3分の2にあたる約6億1800万円、残りを県と国とすることを正式決定した。これに対しチッソは4月、決定処分取り消しを求める異議を、県に申し立てていた。
今回の棄却決定について、県は「手続きや負担割合の根拠は適法かつ妥当だった」などとしている。
2003/04/01 水俣の排水路ダイオキシン問題 「チッソ施設が原因」 県調査委=熊本【読売】
水俣市・百間排水路の堆積(たいせき)土砂などから国の環境基準値(一グラム当たり百五十ピコ・グラム、ピコは一兆分の一)を超える高濃度のダイオキシン類が検出された問題で、県の調査委員会は三十一日、「水俣病原因企業チッソ工場内の硫酸カリウム製造施設が原因」と発表した。
調査委によると、同施設は一九五七年―二〇〇一年五月に稼働。工場内の水路土砂からも一月、環境基準の五百五十倍以上の八万三千ピコ・グラムを検出した。このダイオキシン類は、百間排水路で既に確認していた三百六十ピコ・グラムなどと特徴が類似。施設から高濃度で水路に排出され、水底の土砂に吸着・濃縮し、残存していると結論づけた。
水俣湾の魚類に問題はなく、排水路の水質も環境基準を下回っているため、周辺住民の健康に今すぐ影響は生じないとみている。県は四月から、拡散防止や周辺環境に配慮した土砂の除去方法を検討。二〇〇四年度から土砂を撤去する。
調査委員長で筑波大名誉教授(環境衛生学)の藤木素士・県環境センター館長らは「水俣病の教訓が生かされていない」と話した。
チッソ側は「委員会の判断を尊重する。今後について県や水俣市と相談したい」とのコメントを出した。
2003/03/08 チッソ水俣 ダイオキシン、基準550倍検出 水路たい積土砂から/熊本【読売】
熊本県水俣市のチッソ工場内にある水路のたい積土砂から、国の環境基準値(一グラム当たり百五十ピコ・グラム、ピコは一兆分の一)の五百五十倍以上に達する八万三千ピコ・グラムのダイオキシン類が検出されていたことが七日、明らかになった。県議会環境対策特別委員会で、県が報告した。
昨年二月、同工場に近い百間(ひゃっけん)排水路付近で「悪臭がする」との届け出があり、県がたい積土砂を調査。その結果、三百六十ピコ・グラムのダイオキシン類を検出したため、今年一月、新たに付近の二か所で調べたところ、同工場内の水路で基準値を大幅に上回った。
同社によると、肥料の硫酸カリウムを製造(二〇〇一年五月停止)していた一九八八年から九三年にかけて、ダイオキシン類を含む液体が数回にわたって漏れた。総量は一リットル未満とみられる。
2002/12/18 水俣のダイオキシン検出問題 排水路5か所を視察 調査委が初会合=熊本【読売】
◆基準値超えるダイオキシン検出
水俣湾埋め立て地南部を流れる水俣市の百間排水路などで、環境基準値を超えるダイオキシン類が検出された問題を調べる調査委員会の初会合が十七日、同市明神町の県環境センターで開かれた。委員会は県に再調査を求めた。
対象となったのは、全長約二キロの排水路に流れ込む雨水路など。潮の干満の影響を受けず、汚泥の粒子が細かい場所を十か所ほど選び、今月中に行う。二月末に出る予定の調査結果をもとに、三月中に委員会が汚染原因を特定する方針。
調査委員会は、大学教授ら六人で構成。会合に先立ち、県、同市の職員とともに排水路五か所を一時間半にわたって視察した。
会議の冒頭、同センターの藤木素士館長を委員長に選んだ。
写真=ダイオキシンが検出された場所を視察する委員ら
2002/12/15 水俣・排水路問題 ダイオキシン調査委を設置=熊本【読売】
水俣市の百間排水路などでダイオキシン類が環境基準値を超えた問題で、県は汚染原因を究明するため、学識経験者らの調査委員会を設置した。十七日に現地視察し、同市の県環境センターで第一回会合を開く。
委員は九州大大学院工学研究院の楠田哲也教授や同センターの藤木素士館長ら六人。県と市の調査で、排水路や上流部の百間雨水幹線、湾内の堆積(たいせき)土砂の五地点から、環境基準値の百五十ピコ・グラム(ピコは一兆分の一)を超える百六十―三百ピコ・グラムを検出した。
2002/11/23 水俣のダイオキシン問題 5地点で環境基準超 県、分布調査結果を発表=熊本【読売】
水俣湾埋め立て地南部を流れる水俣市の百間排水路の堆積(たいせき)土砂(底質)からダイオキシン類が検出された問題で、県は二十二日、分布調査結果を発表した。五地点で環境基準値百五十ピコ・グラム(ピコは一兆分の一)を超え、うち水俣湾内の一地点は二倍だった。
調査は八―九月、水俣市と共同で行った。排水路や上流部の百間雨水幹線、水俣港の底質計十四地点のうち、基準を超えた五地点の濃度は百六十―三百ピコ・グラム。
水質は、排水路と水俣湾内の各一地点で調べ、環境基準値(一ピコ・グラム)をクリアしていた。魚類のササノハベラやボラなど六種の測定結果もほとんど環境庁調査の平均値より低かった。県は調査結果を踏まえ、今後、学識経験者の意見を聞きながら汚染原因を究明する。
2002/09/28 水俣の排水路 土砂のダイオキシン類11月に調査結果=熊本【読売】
水俣市の百間排水路の堆積(たいせき)土砂(低質)からダイオキシン類が検出された問題で、県は二十七日の県議会環境対策特別委員会に調査内容を報告した。
検出されたのは一グラム当たり三百六十ピコ・グラム(ピコは一兆分の一)で、環境基準百五十ピコ・グラムの二・四倍に当たった。
県と市は八―九月、排水路や上流部の百間雨水幹線、水俣港でダイオキシン類の分布調査を実施。計十四地点の低質と二地点の水質、カサゴやクロダイなど魚類六種を対象にし、結果は十一月初めごろ判明する。
県は「周辺環境に影響が生じないよう早期に対応したい」と説明した。
最終更新:2008年07月09日 15:48