さて、地獄の修練も2日目に入った。
実は昨日、シンは夜の暗闇を利用して脱出を図ろうとしたが…凄まじい執念深さを見せ付けたかがみにことごとく看破され、失敗となった。
そして、逃げ出そうとした罰として…より一層シンの手足はキツく縛られ、口には粘着テープが貼られたのだった。
シン「ンー…ンンンンン!!!ンン…ンンン!!(もう…もうやめてくれ!マジで…死ぬ…)」
かがみ「何言ってるか、わからない。それに喋っちゃダメって…何回言えばいいのよ」
シン「ンン。ンンンンンンンン!!(頼む。オレを…オレを解放してくれよ。このままじゃ…)」
かがみ「アンタのことだから、言いたいことは大体わかるけど…。でも……何を言おうとダメなもんはダメよ。
みゆきのためにも我慢しなさい」
シン「ンンンン…(ホントにわかってんのかよ…)」
ここでシンの腹の虫がなる。なにせ、シンは昨日から食事を与えられていなかったのだ。この扱いはあんまりである。
そんな時のこと、シンにとっての救いの女神がやってきた。
つかさ「お姉ちゃ~ん!差し入れ持ってきたよー」
そう、かがみの妹…つかさ。彼女がおにぎりらしきものをたくさん持ってきたのだ。
シン「ンンンンーーーンン!!!(そのおにぎり、オレにもくれ!!)
つかさ「うわ・・。テープで口を塞がれちゃってる。お姉ちゃん…ここまでしなくてもいいんじゃ…」
かがみ「ダメよ。コイツを甘やかしたりなんてしたら。それにシンもおにぎりなんていらないって言ってr…って、つかさ!!」
つかさはその時、既に行動に移っていた。シンの側に駆け寄り、口のテープを外す。
シン「…プハッ!…ハァ…ハァ…!!あ…ありがとう、つかさ。正直、助かった…!」
つかさ「いいよ、これくらい…!お姉ちゃん…いくらなんでもこれはやりすぎだもん…。
あ、それとこれ…おにぎりなんだけど、動けないみたいだから私が食べさせてあげるね♪」
つかさの姿はシンにとって、まさに天使だった。その神々しさに、シンは思わず目から熱いものが込み上げてくる。
しかし…そう上手くはいかないというのが人生。かがみが今にも火を噴きそうな形相で邪魔に入ったのである。
かがみ「つ…つかさーーッ!ダメ、絶対ダメよ…そんなこと!シンに手でも噛まれたらどうすんの!?」
シン「オイ!人を犬みたいに…!」
かがみ「いい?つかさ、こっちで二人で食べましょ。もちろん、シンに見せ付けるように…おいしそうに食べてやればいいから」
つかさ「でも………う、うん。わかった…!その…シンくん、メンゴ」
そうして、二人はシンの目の前でおにぎりを食べ始めた。
シン「このド外道ッ!生殺しかよ!!ちくしょーーーーーーッ!!!!」
そうは言っても、シンに成す術はない。
二人が…とりわけ、かがみがおいしそうにおにぎりを頬張るのを…呪詛でも言いながら見ているしかなかったのだった。
そしてその日の夜。
あれからもシンはいろんな名目の元、かがみにシバかれ続けた。中には、「息をしたから」などという理不尽なものまである始末。
粘着テープは勘弁してもらえたが、シンの精神はどんどん疲弊していた。
――でも、オレも元は軍人で…エースでもあった男…。こんなことで…こんなことで負けてたまるかよ…---
シンが強く意思を持とうとしていると、少し用事があるからと言って…どこかへ行っていたかがみが帰ってきた。
シン「…これはこれは、かがみ様。どこ行ってたのか知りませんけど、また…オレを苛めにでも来たんですか?」
シンは皮肉たっぷりに言い放つ。しかし、かがみが持っていたものは…竹刀の他にあともう一つあった。
かがみ「…はい、これ。ご飯が余ってし…気が向いたから作ってきてあげたわ。か…感謝して、食べなさいよ…」
そう言ってかがみが顔を真っ赤にしながら差し出してきたのは、大きなおにぎりだった。形はイビツだが、とにかくデカイ。
シン「これをオレに?…アンタ…!」
かがみ「…か…勘違いしないで!アンタにはちょっと残飯処理でもしてもらおうと思っただけ!!そ…それだけなんだから!」
シン「…この際、何でもいいっての。とにかく、メシが食いたかった…」
かがみ「…じゃ…じゃあ、早く食べたら?食べた後は、今までより厳しくするからね!!」
シン「それはいいから、とりあえず縄解いてくれ。それがダメならおにぎりを床にでも置いてくれよ。犬食いでもなんでもするさ」
するとかがみは、シンの方を見ないようにして…おにぎりをシンの口の前に差し出す。
かがみ「…わ…私が食べさせてあげるわよ。そのくらいは…してあげるわ。ほら、口開けなさい」
シン「…それじゃあ、遠慮なく。シン・アスカ…いただきまーーーすッ!!!」
シンは言われるまま口を開け、おにぎりを食べたのである。
こうして、修練2日目の夜は割と平和に事が進んだ………わけもない。そうは問屋がおろさないのだ。
シン「オェッ!!なんだよ、この甘いおにぎりはッ!!もしかしてアンタ、塩と砂糖間違えたんじゃないか!?」
かがみ「ハァ!?いくらなんでも…そんなミスするわけ…って甘ッ!…ありゃ?もしかして…ホントに間違っちゃったかも…!」
シン「もしかして、じゃなくて確実に間違ってるぞコレは!ってか、砂糖と塩を間違えるって今時…聞いたことない!
おにぎりも満足に作れないのかよッ…ア ン タ は ッ !!」
しかし、文句を言った後にシンは後悔した。それと言うのも、かがみの体から凶悪なオーラが出ていたからである。
かがみ「折角…作ってきてあげたってのに…!!…最低ッ!もう……知らないッ!!!!」
シン「…え?ちょ…」
すると某3番隊・隊長を彷彿とさせる、竹刀による神速の突きがシンの顔に突き刺さる。
その圧倒的な威力は…シンに悲鳴すら許さない。
シン「・・・・・・・・ガ・・ハ・・・!!(ガクッ)」
あっという間にシンの意識は、深い闇の中へと落ちていったのだった。
かがみ「…ちょっと失敗したからって、あそこまで言わなくてもさ…!ウソでも…おいしいってくらい言いなさいよ……バカ」
ついに明日は修練最終日。シンに…輝かしい未来はあるのだろうか?…いや、ないだろう。
最終更新:2009年05月02日 11:22