12-164

 放課後。
「シンお兄ちゃん。私、今日委員会で帰りが遅くなるから、先に渡しておくね」
 ゆたかに手渡されたチョコレート。それは決して店頭に並んでいるような小綺麗な物では無いが、
 手作感溢れる温かみのあるものだった。
「ありがとうゆたか。俺、すごく嬉しいよ」
 シンは優しく微笑んだ。
 シンはゆたかと一緒に暮らしているし、その性格を考えてみても必ずくれると思っていたが、
 実際に貰ってみると、その感動も一押しである。
「えへへ。良かった喜んでもらえて」
 今日はバレンタイン。乙女はその切ない気持ちをお菓子に込めて、臆病な自分に少し勇気を与える日。
「じゃあね、シンお兄ちゃん」
 シンは廊下に消えていくゆたかに笑顔で手を振る。
 そして、その姿が完全に見えなくなると、
「……さて、今日はこれで最後みたいだな」
 シンは、疲れ切った表情を浮かべながら深く肩を落とした。
 そして、廊下の影に置いてあった紙袋に頼りない足取りで近づいていく。
 紙袋の中は大量のチョコだった。その数は軽く三十を超えている。
「……はぁ」
 今日は辛かった。今朝早くにかがみつかさみゆきからチョコを貰えた時が喜びのピークだったと改めて思う。
 その後、呼び出される事数回、呼び止められる事十数回。全部チョコ絡み。
 “せいぜい貰えて十個"ぐらいだと思っていたが、最終的にその数は紙袋に入り切らないまでになった。
 しかし、それ自体は別に何も辛くない。むしろ、男としてこの日にチョコを貰えることは恐悦至極以外の何物でもない。
彼が疲れている原因はそこでは無い。はっきり言えば、問題はシンの性格にあった。
 シンは最低限の礼儀として、チョコをくれた人には敬意を払う。
「ありがとう」「嬉しいよ」と笑いながら感謝の言葉を述べる。
 シンは良い意味でも、悪い意味でも裏表の無い人間だ。本気の誠意には本気の感謝を、そして本気の感謝には本気の笑顔を。
 元々、シンになんらかの好意を抱いている女性たちにその笑顔は反則技だった。
 ちょっと考えれば分かる話だ。微笑むシンと頬を染める少女。
 その二人がかもし出す淡い空気。そして、それを快く思わない少女×3。
(ヘラヘラして、バッカじゃないの……)
(バルサミコスぅ……)
(うふふふふ……)
 この圧力の恐いこと怖いこと強いこと……。
 それはまだ、ジンでデストロイ(MA形態)三機に突撃したほうがマシだと思えるほど強力だった。

 しかも、今日はその圧力を三十回以上受けたのだ。いくらコーディネーターの強靭な肉体と精神力でもリミット・オーバーである。
「アスラン、あんたは四六時中こんな状態に耐えていたんだな……」
 あの頃は、この女たらし! とか、優柔不断! とか、人間蝙男! とか、あんたって人はぁ! とか思っていた上官。
 でもそれは違うのだ。彼はメサイア攻防戦以上の激戦区に“常に”身を置いて、勇敢に戦っていたのだ。今日はそれがよく分かった。
 そりゃ、髪も後退するってもんである。
 シンはもし、向こうの世界に帰ったら、アスランと真の意味で戦友になれる気がした。。
「シンく~ん」
 感慨に耽っていたシンは、つかさの呼び声で我に返った。
 気付けば廊下の端から、つかさ、かがみ、みゆきの三人が近づいて来ている。
「シンくん。ゆたかちゃんの用事、終わったの?」
「あ、ああ……チョコを……貰えたんだ……」
 今朝からの絶え間ない恐怖がフラッシュバックして、思わずしどろもどろになるシン。
「わ~これ手作りだねぇ~」
「良かったじゃないのシン」
「やっぱり、そういう用事だったんですね」 
 しかし三人はあくまでにこやかだった。さすがにゆたかが相手ではあの圧力も無いようで、シンはホッとした。
 そしてホッとすると同時に、一人の存在が無い事に気が付いた。
「あれ、こなたは?」
「泉さんならシンさんが呼ばれて出ていってからすぐに帰られましたよ。今日は用事があるとかで……」
「どうせ漫画の発売日とかそういう理由じゃないの? っていうか、それより早く帰りましょ。私眠くて眠くて……」
 言いつつ、かがみは大きな欠伸を手で抑えた。
「お姉ちゃん、昨日台所で徹夜してたもんね~」
「つ、つかさ! 余計な事言わなくて良いわよ!」
 シンはそのやりとりを見て、自分は何だかんだいっても幸せ者だな。と思う。
「今日は三人ともチョコありがとうな。俺、今までこういうのに縁がなかったからすごく嬉しいよ」
 シン浮かべた笑顔は、女性陣の頬にサッと赤みを走らせるには十分だった。
 アスランに認めれた男は伊達ではない。
 といっても、彼と同じ道を行くのは御免こうむりたいと思うシンであった。

  ○

 かがみ達と駅で別れて、シンは家路をトボトボと歩いていた。
「さて……どうしたもんかな、これ……」
 手に持つ紙袋はずっしりと重い。
 ちなみに、紙袋はシンが事前に準備していたわけではなく、
 こなたが「チョコ入れとして絶対に必要になるから」と持ってきたものである。
 渡された時は、(何をバカな……)と思ったものだが、今は役に立っている。
「しかし、まいったなぁ……」
 シンは紙袋を見ながら嘆息した。といっても別に嘆いている訳じゃない。純粋にチョコを貰えた事はすごく嬉しい。
 しかし、今まで喋った事も無いような人からも貰ったやつまで食べるとなると、成人病一直線だった。
「まぁ、親しい人から貰ったやつ以外は、こなたに食べるのを手伝ってもらうか……」
 もちろんシンは、そんな区別は良くないと自覚している。しかし、柊姉妹やみゆきを始め、
 普段深く付き合っている人たちから貰ったチョコを優先したいと思うのは当然だ。
(あ、そういえば……)
 深く付き合っている。という件で一つ気付いた。
(今日はこなたから貰ってないな……)
 思い起こしてみれば、ゆたかと違って昨日から準備をしている様子はまるでなかった。
 一緒に住んでいるし、いい加減付き合いも長いから、そういう予兆みたいなものがあれば感じる事ができると思う。
「……ま、別に欲しかったわけじゃないけどな」
 というか、こなたは男にチョコをあげるタイプじゃない。むしろ自分がチョコを貰いたいと思うタイプだ。
「たぶん、帰ったら俺のチョコを『頂戴!』とか速攻で言ってくるんだろうな……」
 呟きながら見慣れた門を通り、居候先へと足を踏み入れる。
「ただいま」
「あ、おかえり。待ってたよ~」
 玄関に入ると、エプロン姿のこなたがパタパタと駆けてきてシンを出迎えた。
「こなた。飯でも作ってるのか?」
「まぁ、それもやってるけど、メインは当たらずとも遠からずかな~」
 こなたは意味深な事を言いながら、こちらに手を差し出す。
「さ、渡して」
「何を?」
「紙袋」
 紙袋とは、もちろんチョコの詰まった紙袋である。
「ああ、はいはい……」
 シンは予想通りなので素直に渡す。
「そうそう、かがみ達から貰ったやつはちゃんと食べたいから、全部食うなよ」
「分かってる分かってる。そういうのは使わないから安心して」
 そう言うと、こなたはその場で座り込みブツブツ呟きながらチョコの選別を始めた。
「これはダメ、これもダメ、あ、これは良し……」

 こなたはみゆき、かがみ、つかさなどから貰ったものを紙袋から出していく。
 そして、最終的に紙袋の中には、見たことも無いような子からもらったものや、
 どう考えても大量に配られた義理チョコの内の一つ、みたいな感じのものが残った。
「じゃあ、これ、貰ってくね」
 こなたはヒョイっと紙袋を抱き抱て、台所に消えていった。
「?」
 シンは怪訝な表情を浮かべながら、その後に続いて台所に入ろうとする。しかし、
「はいはい、そこでストップだ」
 という声に制された。
 振り返ると、そこにはこの家の主。泉そうじろうが立っていた。
 珍しく、外出用の作務衣を着ている。ちなみに、室内用と外出用の違いが分かるのはシンとこなたぐらいだ。
「おじさん、どこかに出かけるんですか?」
「ああ、昔の友達と急に会わなきゃならなくなってな……残念な事に帰りは遅くなる」
 と、言い終わるやいなや、そうじろうはシンの肩をガシッと掴んだ。
「お、おじさん?」
「いいかね。絶対に私の分を残しておいてくれよ」
「へっ? 何をですか?」
「いいかね。残しておいてくれよ」
「いや、だから何を――」
「返事はイエス! か、サー・Yes・サーだ!」
「イ、イエス……」
 妙に迫力のある物言いに、シンはたじろいだ。
「そこでそっちを選ぶか。君もまだまだだな……。まぁ、良い。では出かけてくるからね」
 そして、そうじろうは暗い表情を浮かべながら出掛けて行った。
「なんなんだ一体……」
 シンが呆然としていると、台所からこなたがヒョコっと顔を出した
「お父さん出かけたの?」
「ああ、何故か凄く睨まれた……」
「多分、父親より先に食べられるのが悔しいんじゃないかな」
「食べる? 何を?」
「まぁ、シンは部屋にでも行っててよ。できたら呼ぶからさ」
 そう言うと、こなたは再び台所に戻って行く。
「?」
 シンは何か釈然としなかったが、このまま立っていても仕方が無いので。
 とりあえずこなたの言う通り、部屋に戻る事にした。

  ○

 一時間後。
 部屋で連ザⅡ(対決 キラ・ヤマト)にいそしんでストレス解消をしていたシンに、こなたから呼び出しが掛かった。
 言われるままにリビングに入ると、シンはそうじろうの言葉の意味を理解した。
「なるほど。さっきあげたチョコを、これにしたわけか」
 目の前のテーブルにはチョコレートケーキが置かれている。
 バレンタインという特別な日に、愛する娘の手作りチョコレートケーキ。
 それを先に、しかも男に食べられる。あの父親にとって、それがどれ程苦痛なのかは楽に想像できる。
「そっか。じゃあおじさんが帰ってきてからいただこうかな」
「いいの! これはシンのチョコでつくったシンのケーキなんだからさ!」
「いや、でも……」
 それは居候の立場として、ちょっと気が滅入る。
「いいから。座る座る!」
 こなたに強引に背中を押されて席に座る。シンはしぶしぶ覚悟を決めた。
「結構自信作だよ~」
 こなたも嬉しそうに、シンの隣に腰掛ける。
「まぁ……これは良いアイデアだな。俺としても、量に困ってたから丁度いい」
「でしょでしょ!」
 こなたは、えっへん、と無い胸を張った。
「じゃあ……せっかくだし頂くか」
 罪悪感はあるが、半分残しておけば問題無いだろう。そう思って、置いてあったホットコーヒーを口に軽く含み、
 いざ、ケーキを食べようとした時、
「ん?」
 シンは自分の手元に小皿はあってもフォークが置かれていない事に気付いた。
「なぁこなた。フォーク取ってくれ」
「まぁまぁ、そう慌てない慌てない」
 こなたは、自分の方に置いてあったフォークをとり、ケーキを切り崩す。一口大の大きさになったそれは、
「はい、口開けて」という言葉と共に、シンの前に差し出された。
「こ、こなた……」
「いいからいいから。今日は女の子が男の子にご奉仕する日だからさ、サービスしちゃうよ、お客さん」
「……お前にかかれば、恋人達の聖日も、変態の祭典に早変わりだな」
「もう! 黙ってあ~んしなよ!」
 シンは少し気恥ずかしさを感じながらも、
(まぁ、苦労してケーキを作ってくれたみたいだし、少しぐらいこなたの好きにさせてやるか……)
 と思って口を開けた。
「そうそう、人間素直が一番だよ。あ~ん」
 シンは、口の中に移動していくケーキを目で追い、頃合いをみてパクつく。
「……美味い」
 冗談抜きでそう思った。
 シンはつかさのおかげもあって、お菓子に対しては、かなり舌が肥えている。
 それでも美味い、と感じたということは、少なくともこなたのケーキ作りの腕前がつかさと同等ということになる。
「……お前、お菓子作りはあまり得意じゃなかったのに、上手くなったな」
「あは♪ そう言ってもらえると、つかさに習ってまで作った甲斐があるよ」
「習ってたのか?」
「ちょくちょくね。まぁ、そんなのはどうでもいいじゃん。はい、ご主人様。あ~ん」
 こなたは褒められたのがよほど嬉しかったのか、今度は口調を弾ませて完全にバイトモードだ。しかし、
(ご主人様、ね……)
 シンは心に引っかかるものを感じた。
「……シン?」
 シンの表情は笑顔から一転して、渋いものになる。
「シン。どうしたの?」
 こなたが怪訝顔で尋ねると、シンはボソッと、
「それって、バイトでもやってるのかよ……」
 と、こなたが聞き取れるギリギリの声量で呟いた。
「へっ?」
 こなたはしばらく、訳が分からない。といった様子で首をかしげていたが、
 やがて何かに気付いたのか、急にクスクス。と笑いだした。
「シ~ン~、なになに~。まさか妬いてるの~?」
「そ、そんなわけないだろ!」
 顔を真っ赤にしながら反論するシン。説得力は皆無に等しい。
 こなたはヤレヤレと首を振る。
「うん、やってるよ。私もずっと団長やってるわけじゃないし」
「……そうか」
 黙るシン。こなたはニヤニヤが止まらなかった。
「だけど、そうだね。シンには、特別に誰にもさせたことのないサービスをしてあげよう」
 そう言うと、こなたはシンに持っていたフォークをシンに渡し、その小さな口を開いた。
「……どうした? ヒナ鳥の物真似か? うん、そっくりだと思うぞ」
「チガウよ! 私に食べさせるの!」
「……お客が店員に食べさせる行為のどこがサービスなんだよ」
「一部では立派なサービスなんだよ~。けど衛生の問題で、食べさせるならともかく、私はこれ絶対やりたくない」
「なんで?」
「……もう、それぐらい分かってよ」
 と、ここで、こなたの声質が、艶っぽいものになる。そして、その小さい頬も朱色に染まっていった。
「……自分のフォークなんて持ち歩けないでしょ。
 だから、このサービスをやるなら、好きでもない男の子と間接キッスしなきゃいけなくなるじゃん。そんなの絶対嫌だし……」
「そ、そうか。それもそうだな……」
「でも……シンならいいよ……」
「…………へ?」
「それともシンは……こういうこと平然とやれる女の子……嫌い、なのかな?」
 こなたは瞳を潤ませ、憂いを込めた表情で呟くように言う。
 シンは自分の心臓音が高鳴っていくのを感じた。
 いつも見慣れているはずのこなた。いつもおおざっぱなこなた。だらしないこなた。
 そんなこなたが、頬を染めておしとやかに俯いている。
 シンの言葉を、おびえる小鳥のような仕草で待っている。
(こいつ、可愛いかも……)
 こなたの言葉を借りればギャップ萌え。とでも言うのだろうか。
 今、まさにシンはその魔力にはまっていた。
 その魔力がシンにこんな言葉を口走らせた。
「いや! そんな事無い! こなたのそういう所を含めても俺は……」
「俺は?」
「俺は……」
「シン、ゆっくりでいいよ。聞かせて……」
「俺は! 俺は――」
『みみ、みらくる、みっくるんるん。みみ、みらくる、みっくるんるん!』
「……」
「……」
『素直に好きと~言えない君も勇気を出して~。恋のまじないミクルビーム~。かけてあげるわ~』
「……あ~こなた。出たら?」
「……」

 こなたは無言で携帯を取り出すと、「はい、こなたですけど」と、
 先ほどとはうって変わった低調ボイスで電話に出た。
『はぁ、はぁ、はぁ。奥さん。はぁ、はぁ、今何色のパンツはいてるの?』
 バキイイイイイイ!
 次の瞬間。こなたの携帯はこなた自身の手によって鯖折りにされた。
 シンからも電話の内容は聞き取れた。だが、そんな内容の電話が来ることも驚きだが、
 こなたの行動の方がびっくりです! だ。こういうのは笑って流すのがこなたの性格だったはずである。
「こ、こなた?」
「……」
 応えない。こなたはただ俯くだけ。心なしか肩を震わせているようにも見える。
「こなたさーん……」
「……ん、ああ。ごめんごめん。なんだったかな?」
 二度目の問いかけで、こなたは、ぱぁ、っと笑顔を浮かべた。いや、その笑顔も逆に怖い。
「いや、いいのか。携帯……」
「んっ、いいのいいの。この携帯そろそろ変えようと思ってたから。それよりも、さぁシンさっきの続きを」 
 にこやかな笑顔。
 さわやかな笑顔。
 幼げな面影が強いこなたのあどけない笑顔。
 確かにすごく可愛らしい。けどもう色々手遅れな気がした……。
「いや、大丈夫ならいいんだ。さぁて気を取り直してケーキ、ケーキ」
「シン、さっきの言葉の続き……」
「ああ、美味い美味い! お前は本当にケーキ作りの天才だな! 明日から学校で自慢しろよ!
 『実は! 何を隠そう私はケーキ作りの天才よ!』って感じでさ! 黒の騎士団のリーダーあたりが褒めてくれると思うぜ!」
 気をとり直して、再びケーキを食べ始めるシン。だが、
「……そうだね。ありがとう。……ごめん、ちょっとトイレにいってくるね」
「ああ、行ってらっしゃい!」
 こなたはあくまで笑顔で、リビングを後にした。
 シンはこなたが出て行ったのを確認すると。小さく息を吐く。
「あぶなかったな。俺、なんか大変な事を口走りそうだった……」
 いや、危なかった。というのもなんか違う気がする。けど、早いとは思う。
 こなたの事は嫌いじゃない、むしろ好きな部類だ。けど、その好きな部類に入る女性が今は多すぎる。
 それなのにあんな言葉を、気持ちを伝えようとするのは相手に対してとても失礼だとシンは思う。
「俺は、まだ誰かに気持ちを伝える資格は無い。けど、その誰かをしっかりと決めて、それがこなた。お前だったなら、
 俺、さっきの言葉の続きを今度ははっきり言うよ」

 だらしない男だと自分でも思う。マジでアスランの事を悪く言えないと思う。
 けど、どうしようもない。シンだって苦しいのだ。
 しかし、今のでこなたはもっと苦しんだはずだ。
「こなた。ホントにごめんな――」
『ふざけんなよあの電話! なぁにがパンツの色だゴルァ! 人の努力を根底から無駄にしやがって!
 大体あの男もあの男だよ!

 あそこまで私に言って!

 あそこまで私に期待させて!

 引っ込めるか普通!?  ああ! ムカつくううううぅ!!!!!』
 ドス! ドス! ドス! ドス! ドンガラガッシャーン!
 続けて、なにかを殴る音が断続的に響いてくる。
(……元気そうだな)
 シンは、こなたが意外に元気なようで安心しつつ、犠牲になっていると思われる等身大アスラン人形に対して、胸で十時を切る。
「いつものこなたじゃない……」
 そんなこなたはとても恐ろしい子。

 続く。

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最終更新:2008年02月26日 17:16
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