「どーいうことか説明してもらいましょうか!?」
わたしの机を叩いて怒鳴るかがみ。
現在わたしは
かがみと
つかさから取り調べ中。
ちなみにシンは
みゆきさんに取り調べをうけている。
なぜ取り調べを受けているかというと………。
「だよね。昨日までいい感じだったのに………」
「いや~自分でも何がなんだか――」
「いいから吐け!昨日のお前がシンに対した行動全てをだ!!」
そう、1日にしてわたしとシンとの仲は0を大きく斜め下に行き今や絶交ルート一直線。
「ま、まあ、取りあえず昼御飯を――」
「話すまで食べちゃダメ!」
そう言うやいなやわたしのチョココロネを奪い取るつかさ。
「な、なんで2人とも、そ、そんなに怒ってるのさ?」
「当たり前だ!!」
「こなちゃんのせいでシンちゃんがわたし達に話しかけてくれないんだもん!!」
確かにシンはわたしを避けている、いや嫌っているといった方が今やいいかもしれない。
…おまけに原因がさっぱりわからない。ここは2人に話してアドバイスをもらったほうがいいかもしれない。
「わ、わかった話すよ………。」
それに何より今は命が惜しい………。
わたしは昨日の行動を思い出しながら2人に話し出す。
「どうやらシンはわたしの記憶と一緒に、そっち系の記憶を忘れちゃった見たいで………」
「…ま、まあ昨日の会話でそうなんじゃないかなーとは思ったけど………」
「帰ったらシンをまず、わたしの部屋に入れたんだよ。そしたら………」
「…メチャクチャ、ドン引きされたのね………」
頷くわたし。その時のシンのうろたえぶりは見ていて楽しかったが、今にして思えばそこからすでに、失敗ルートに行ってたのかもしれない。
「その後、シンの部屋で格ゲーをしたんだよ」
「まさかゲームのやり方も忘れてたとか?」
「ううん、そんなことはなかったよ」
かがみの質問にわたしは首を振る。
「だからさ、わたしも本気で戦ったんだよ。30連勝……くらいだったかな?そしたらシンが怒り出してさー……ってどうしたのかがみ?」
かがみは何故か手を頭に置いていた。
「…そりゃ、怒るでしょ……そんなに負けたら………。」
「えっ?でも前はシンは『やっぱり強いな~。もう一回だ!』と言って来てたよ?」
「…でもそれって~こなちゃんを知ってるシンちゃんだからだよね?」
「あっ………」
つかさの指摘にわたしは思わず声をあげた………。
「…てなわけなんだよ。まあ、怒ったオレも大人気ないと思うけどさ…こっちは何度もやめようと言ったんだぜ!?」
「は、はぁ………」
語気を強めてオレの主張は続く。
「だいたいなんだよ、アイツの趣味は?
アニメとゲームって、完全にオタクとか言われてる奴等と一緒じゃないか!?」
「で、ですが…い、泉さんはそ、その……お料理もお得意ですよ?」
みゆきさんが誰にでもわかるウソで泉こなたを弁護する。
「…昨日は泉こなたが料理当番だったよ。でもな……」
「でも………何でしょうか?」
みゆきさんが恐る恐る聞いて来る。
「アイツは……泉こなたは……ネトゲーでレバ剣拾ったから、試し切りしてて夕飯作るのすっぽかしたんだぞ!!」
「えええー!?」
「オレは別にいいよ、そういうのには慣れてるしさ。
でも、
そうじろうさんは仕事で疲れてるし、
ゆたかは食べ盛りの時期だってのに…ひどいよな」
「あ、あの……そ、それで御夕飯はいかがされたのですか?」
「出前を頼んだよ。結果的にアイツの飯を食わなくてすんだし、よかったかもな。
その後も何かにつけてベタベタ引っ付いて来るしさ」
「えっと……あ、あの…それは……」
「それよりも、腹がたったのは、だ!!」
オレはそこで一息ついて、一気に言い放った。
「アイツはオレのベットに勝手に入って来たんだぞ!!」
「ええー!?
…あ、あの、そ、それは……シ、シンさんが眠られた時に……ですか?」
「…多分な」
曖昧な返答をした理由は、泉こなたがオレのベットに入って来た正確な時間がわからなかったからだ。
確かにこの世界に来て、前よりは勘が鈍ってるとは思っていたが、素人の侵入にも気づかなくなるなんて……ゆるくなったもんだ。
これもアイツのせいだな……ってアイツって誰のことだ?みゆきさん?かがみ?つかさ?……それとも――
「シンさん、どうかされましたか?」
みゆきさんの声でオレは現実に戻った。
「あっ、いや。…なあ、オレと泉こなたって恋人同士とかじゃないよな?」
「えっ!?ど、どうしてそんなことを聞かれるのですか!?」
みゆきさんはオレが今まで見た事もない顔で驚いた。
「オレがベットに入って来たことを詰め寄ったらさ、アイツは『時々一緒に寝てた』って言うんだぜ。……つ、付き合ってたら…そ、そんなことするかなーと思ってさ」
今朝のことを思い出し、少し赤くなるオレ。
しかし、もしそうなら泉こなたに悪いことをしたかもしれない………。
「…………いえ、私が知ってる中では御2人は恋人関係ではなかったです……ですが――」
「だよな~!よかった」
みゆきさんが何か言いかけていたが、それより泉こなたがオレの彼女でないことにホッとした。
お世話になってるそうじろうさんの娘だが、親しくもないくせに馴々しく引っ付いて来るヤツは、彼女どころか友達にもなれない自信がある!
「もういいか?オレ白石らと遊びに行くんだけど」
泉こなたのことについてはもう話したくなかった。何故か知らないが、アイツの話をすれはするほど自分が罪悪感に包まれる。
「あっ、はい………」
「そうそう」
立ち上がったオレはみゆきさんの方を振り向いた。
「みゆきさんやつかさは優しいし、かがみも面倒見がいいからってさ、あんまり泉こなたと付き合わない方がいいぞ。」
「え、あの……今………」
オレは吐き捨てるように忠告すると教室を出て入った。
今わたしの前に全ての事情を把握した3人の裁判員が座っている。
きっと、容疑者もこんな気持ちなんだろ~な……わかりたくないけど………。
「…あの~それで、どんなもんでしょ?」
わたしは恐る恐る彼女らに尋ねた。
「…え、え~とね、うーんとね……」
「残念ながら………」
「様するに……私達では無理ってこと」
「そ、そんなぁ~」
わたしは情けない声をあげて机に崩れた。
「かがみん親友の危機なんだよ~?」
わたしは諦めきれずに、かがみに訴えかける。
「私は親友ってのはただ助けるだけのもんじゃないと思うのよ」
「うぐっ」
な、ならば!
「言っとくけどつかさやみゆきも私と同意見だからね」
わたしの動きはかがみの先読みによって封じられた。
「ごめんね」
「すみません………」「薄情もの~!」
「黙れ!!だいたいあんたがシンにあんな事………」
途中で恥ずかしくなったのか、顔は赤くなり、黙ってしまうかがみ。
そんなことよりこのままじゃ、シンとのフラグが………
「あ~あ、ミッション失敗か~」
「………泉さん、ゲームの感覚でやっていませんか?」
「え?」
わたしの何気ない呟きに、いつも穏やかなみゆきさんが少し怒った声で聞いて来た。
~つづく~
最終更新:2009年08月17日 00:00