「よくやるな………」
「ホント………」
両手に
アニメグッズが入った袋を持たされたオレの疲れ切った呟きに、同じくオレと同じ荷物を両手に持された柊かがみが疲れ切った顔で頷いた。
恐らく
こなたはオレ達の前にそびえる建物内で、嬉々としてアニメグッズを狩っている事だろう。
クソー!何でオレが見ず知らずのヤツと……こなたのヤツ、覚えてろよ!!
「ねぇ、
アスカくん」
「…なんだよ?」
恐らく待ちくたびれたのだろう。
ここまで駅から一度もオレに話しかけて来なかった、柊かがみが話しかけて来た。
「こなたとは、どうやって知り合ったの?」
「…………」
「アスカくんって学校に通うの?」
「…………」
「前はどこに住んでたの?海外?」
「…そんなこと聞いてどうするんだよ?」
「え?……そ、その……ど、どうするって………」
オレが睨み付けると柊かがみはしどろもどろになった。
「興味本位だけで人の事、聞くなよ!」
「ご、ごめん………」
オレと柊かがみの会話はそれで打ち切りとなった。
ダメだ、何を話してもこいつ怒る気がする………。
あ~もう、こなた早く帰ってきなさいよ!
仕方ない携帯で………
「げっ!」
私は携帯に映ってる時間を見て、思わず声を出した。
今から帰ったとしても門限過ぎるし………
ヤバっ、家に電話しなきゃ!
私は時間潰しも兼ねて家に電話をかけた。
『はい、柊ですけど~』
「あ、
つかさ?私。
あのね、門限に帰れそうにないから、お母さんに伝えといてくれる?」
『うん、わかった……え?なに、お母さん…………』
近くにお母さんがいるらしく、つかさが受話器から離れる。
『もしもし、お姉ちゃん?』
「はいはい。何?」
『あのね、お母さんが今から言う物を買って来て欲しいって』
「わかったわ。で何を買って帰ったらいいの?」
「今の電話相手、妹か何かか?」
「そ、そうだけど………」
つかさとの電話が終わると、アスカが私に話しかけて来た。
まさか、あっちから話しかけて来るなんて………。
「…妹大事か?」
「…何でそんな事あなたに言わなきゃなんないのよ?」
「いいから、答えろよ!!」
「いい加減にしなさいよ!!」
アスカの怒鳴りに、私も怒鳴り返す。
高圧的なアスカの態度にさすがに私の堪忍袋の緒が切れた。
今まで、ちょっと睨んだだけで謝る様なヤツが、いきなりが怒鳴り返して来た事にオレは少なからず驚いた。
「さっきから何、あんた?
自分の事は聞くなって言っといて、他人には答えろ?
初対面だから下手に出てたら、調子に乗るんじゃないわよ!!」
コイツ、さっきまで猫被ってたな……性格が全然違うぞ………。
そんなことを思っている間にも柊かがみの攻撃は続く。
「だいたい、なんで妹って聞くと反応するのよ!?
こなたに近付いたといい、まさかあんたロリコン!?」
「オイ」
柊かがみの指摘に青筋をたてるオレ。
そっちこそ、ちょっと黙ってれば好き放題………
「でも、残念でしたー!つかさは私の双子の妹!
私とあんたと同い年だし、背も平均身長くらいあるし、あんたの趣味の対象外!!」
「アンタ………」
「なによ!?」
「妹のこと話してるぞ」
「え?あっ……し、しまった!……」
頭を抱える柊かがみ。
表情がよく変わるヤツだな。
さすがこなたの知り合い、どっか変わってるな。
「ちょっと!なにニヤけてんのよ!?」
「え?」
言われて気がついた……オレが初対面の相手に笑ってる事に………。
「アンタの百面相を見ると誰でも笑うだろ」
さっきと違い、今度は皮肉たっぷりの笑顔のアスカ。
…どうやら私は笑われているらしい。
「なんです――」
「オレにも、妹がいたんだ」
「え………?」
突然のアスカの言葉に一瞬、私の動きが止まる。
「…いた?」
少しの間があって私は口を開く。
「ああ……もういないけどな」
「………ごめん」
だから、アスカは『妹』というのに過剰ともいえる反応をしたのか………。
そして、瞳に宿る哀しみは恐らくその事が理由なんだろう。
「言っとくけど、同情をしてもらう為にこんなこと話したんじゃないからな。
アンタが勝手に自爆して、妹の事話すからこっちも話さなくなっただけだし」
「…わかってるわよ……でも、ごめんなさい………」
私がもし万が一、つかさを亡くしても、アスカと同じ事をいうと思う。
そんな事されても、掛け替えのない人は2度と戻って来ないのだから………。
「な、なに泣いてるんだよ!?アンタ!?」
「え?」
言われて気がついた……自分が泣いている事に………。
哀れんだ目でオレを見る、あるいは怒るというのを予想していたが、まさか泣かれるとは思ってなかった………。
オレの言葉に泣いたんではないだろうし……とすると………。
「なあ、大事か?」
「え?」
「妹の事」
オレはさっきと同じ質問を柊かがみにする。
「当たり前でしょ!!」
間髪入れず返ってきた答えにオレは理解した。
柊かがみは自分とオレと境遇重ね合わせて泣いた事に。
…コイツ見た目以上にお人好しだな……まあ、優しいと言うかもしれないけど。
「じゃあ、それでいい」
「え?」
「答えを聞いたから、もう貸し借りなしでいいぜ」
また泣かれても困るから、オレは出来るだけ自分を抑えて柊かがみに声をかける。
「…そ、そう言うことにしといてあげるわよ」
柊かがみの強気な態度にオレは思わず目を見開ける。
さっきまで泣いてただろ………。
「…アンタ、意地っ張りだな」
「お互い様でしょ?」
オレ達2人はしばしば睨みあい、やがてそっぽを向いた。
それで会話は完全に終了となった。
だがオレは、柊かがみといる事が苦痛ではなくなっていた。
「大丈夫?持てる?」
「まあ、これくらいなら大丈夫だ」
私とこなた達はこの駅で別れる為、私が持たされていた荷物を渡すのだが………。
「シンはこれくらい余裕ですよ。
かがみんにはそれが解らないのですよ!」
自分が持つわけでもないのに胸を張るこなた。
『お前が言うな!!』
「…な、なんというシンクロ………。
これは、お二人さんフラグたちましたな」
ニヤリと笑うこなた。
「…フラグって、あれかこなたがよくやってる………」
「…でしょうね………。
ホントにくだらんことだけは考えつくんだから………」
「…アンタ、こんなのと、よく付き合ってたな………」
「これからあんたも付き合うことになるから………」
私達は小声で話し合った後、互いに溜め息をついた。
「じゃかがみー、バイニー☆」
「明日遅刻すんなよ」
「わかってるって♪」
袋の中を見ながら、軽く返事をするこなた……絶対明日遅刻するな……こいつ。
「じゃあねこなた、後シンも」
私に挨拶されると思ってなかったのか、ちょっと驚いた顔をするシン。
「あ、ああ……またな」
「うん、またね!」
私はシンに手を振るとくるりと周り自分の乗る電車が来るホームへと向かう。
こなたのお守りだけでも大変なのに、またおかしなやつと知り合いになってしまった……ホント勘弁してほしいわね。
そう思いながらも、私の口元からは自然と笑みがこぼれていた。
『ファーストコンタクト』かがみ編 ~END~
最終更新:2009年08月20日 01:51