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19-801

ようやくまとまった時間が取れたので投下します。

注意
  • 前スレと同じようにシンとみなみが付き合っています。
  • みなみのキャラが壊れ気味なので、そういうのが嫌いな方はスルーを。
  • ひよりん、許しは請わないよ……だって同類だろう?私達は(人の事を自分のネタにするあたり)


「何故…どうして…」
この時、田村ひよりは頭を抱えていた。
確かに原因は全面的に自分にある。それは認めよう……しかし、こんな事になるなんていったい誰が予想できただろうか。
目の前に広がるのは床全体に散乱したお菓子の袋や空のペットボトルに栓の開いた瓶。部屋中に漂うアルコール特有の香り。
そして…
「うふふふ…♪しんさ~~ん♪」
「み、みなみ!?ちょっと待て!」
「にげちゃだ~め~で~す~」
まるで子猫のようにシンにじゃれ付くみなみの姿だった。

話は先日行われた、コミケ当日まで遡る。
その日の我らが陵桜学園アニメーション研究部のブースは、出品した作品がすべて完売するほどの大盛況だった。
それは、常日頃から良い作品を作るために精進を重ねてきたひよりの努力が報われた結果………などでは決してなく
「ありがとう…ございました…」
「次も買いに来なさいよっ!いいわね!!」
売り子の助っ人として呼んだ、みなみ(綾波レイ、コス)とシン(惣流・アスカ・ラングレー、コス)の力だった。
「いや~本当に助かったッスよ、先輩!みなみちゃん!」
片づけがひと段落したひよりはコスプレから普段着に戻った2人に労いの言葉をかける。
「……は、恥ずかしかった…」
しかしみなみは、先ほどまで自分がしていた格好を思い出して頬を染め、
「たくっ!人手が足りないから手伝ってくれって言うから来てみれば、こんな仕事なら事前に説明しろよ」
シンは腰に手を当てながらひよりを睨んでいた。
「先輩、声がアスカちゃんのままッス」
「んっ?あー、あーあー…よし、直った」
「……うーむ」
いつも不思議なのだが、この先輩はいったいどうやって声を変えているのだろう?…とひよりは首を傾げた。
「?田村さん…?」
「どうかしたのか?」
「い、いえ別に!それより、手伝ってくれたお礼を兼ねて、2人を私の家に招待したいんスけど、いいッスか?」
「「えっ?」」
ひよりの提案に顔を見合わせるシンとみなみ。
「俺達は別にかまわないぞ。なっ、みなみ」
「…ご迷惑でなければ」
「全然OKッス。むしろこっちが迷惑かけちゃったんスから…」
「それなら…喜んで」
「よし、それじゃ全部片付くまで待っててくださいッス!!」
「ああ、分かった」

場所は変わってひよりの部屋。
机の上に置かれたお菓子やジュースを囲んで、ひよりが乾杯の音頭をとっていた。
「それじゃあ、我が部活始まって以来の大盛況に…」
「俺達は部員じゃないんだがな」
「細かいことは言いっこなしッス!改めて、大盛況にカンパーーーイ!!!」
「「カンパイ!(…)」」
オレンジジュースが入ったコップを合わせあう。
「それで、みなみちゃんと先輩はどんなきっかけで付き合うことになったんスか?」
「そ、それは」
「………秘密」
「え~~!?」
それから3人は、お菓子を摘みながら他愛もないおしゃべりに花を咲かせていた。
問題が起こったのはそれからしばらくしてだった。
「あっジュースが切れちゃった。ちょっと冷蔵庫見てくるッスね」
「悪いな、ひより」
「…手伝おうか?」
「大丈夫ッスよ。二人共待っててください」
そう言い残して1階の冷蔵庫に向かったひより。
しかし…
「おかしいな~。確かまだ残ってたはずなんだけど…」
いくら探しても買い置きしていたはずのジュースが入っていなかった。
「誰か飲んじゃったのかな~どうしよう?」
わざわざ買いに行くのもどうかと思うし……仕方ない、2人には麦茶で我慢してもらおう、そう考え始めたその時、ある1本の瓶が彼女の視線に止まった。
「あれ?なんだろう…これ」
冷蔵庫の奥に閉まってあったそれを取り出しての銘柄を確認するひより。その銘柄はすべて英語で書かれており、かろうじて酒の一種であるということだけが確認できた。
「お酒か~」
大方、珍しい物好きの兄が買ってきたのだろう。そう思い再び冷蔵庫の中に戻そうとしたのだが…
(待てよ……?)
ひよりの頭に、ある考えが浮かんだ。
最近は大分、表情が豊かになったみなみちゃん。しかしそれは、シン先輩と一緒に居るときや先輩のことについて話すとき限定で、普段の彼女の表情はまだ硬い。
もしみなみちゃんがお酒を飲めば、普段は見られない彼女の隠された表情を拝むことができるのではないのだろうか。
「…………」
普通の漫画とかなら、ここで天使(良心)と悪魔(邪心)が出てきて言い争いなどをする展開なのだろう。
「ぐふ、ぐふふふふ……」
しかし、残念ながらひよりは腐女子、邪な心しか持ち合わせていなかった。
そうして意気揚々と冷蔵庫を後にしたひよりの手には、わざわざラベルを剥がしたビンが握られていた。

「おまたせ~ってあれ?」
ひよりが部屋に戻ってくると、何故か部屋の中にいたのはみなみだけだった。
「みなみちゃん、シン先輩は?」
「お手洗いに行ってる……後、泉さんの家に『帰るのが遅くなる』って電話をしてくるって……」
「なるほど~(チャ~ンス!!)」
邪魔者が居ないと知ったひよりは自分の願望を達成するべく、急いで計画を実行に移した。
「ところでみなみちゃん。変わったジュースがあるんスけど、飲んでみない?」
「変わった…?」
「うん。私のお兄ちゃんが買ってきたんだけどね」
トクトクトク…
そう言いながらひよりは、新しく用意したコップにそれを注ぐ。すると瓶の中からは透き通った蒼色の液体が流れ出てきた。
「綺麗な色……」
「そ、そうッスね(なんでこんな色なんスか!?)」
みなみはそのある種、幻想的とも言える色に素直に感動したが、ひよりはありえないお酒の色に冷や汗を流す。
「ほ、本当は外国で売ってるジュースなんスよ。決して怪しい物じゃないッスよ!」
「へぇ……田村さんは、飲まないの?」
「わ、私は先に下で飲んできたッスから…ささ、遠慮せずに!!」
「そう……なら、頂きます」
自ら怪しくないと言っている時点で怪しさ大爆発なのだが、人を疑うことを知らないみなみは疑問に思うこともなくコップを手に取り、そのままゆっくりと口元に持っていく。
「……(コクンッ)」
(いぃぃやっっったぁぁぁぁぁぁっっ!!!!)
みなみがお酒を飲み込んだのを確認したひよりは、まるで何処かの盟主王のごとく心の中でガッツポーズをとった。
「…………」
1口飲み終えたみなみは、ぽーっと何もないはずの正面の壁を見つめていた。
その頬は桜色に染まり、瞳のほうも僅かに潤んでいる。……はっきり言って、同姓のひよりから見ても色っぽい表情だった。
「ど、どうッスか、味のほうは?」
「…………」
「あの…みなみちゃん?」
「…………」
「もしも~し?」
何を言っても反応がないみなみの様子を不審に思ったひよりは、彼女の目の前で手の平を左右に振る。

「……たむらさん」
するといきなりみなみがこちらを向いて話しかけてきた。しかも、話し方が微妙に片言になっている。
「は、はい!?」
そんなみなみに驚きながらも何とか返事をするひより。
「これ……おいしい」
「そ、そうッスか?」
「おいしい」
そう言いながら再びコップに口を付けるみなみ。その様子を見ながらひよりは首を傾げる。
(あっれ~、もしかしてもう酔ってる?)
いくらなんでも早すぎるのではないか?
実はこの時、ひよりにとって想定外の事態が2つ起こっていた。
1つ目は、みなみがある程度酔いやすい体質であること。しかしこれは、今まで酒を1回も飲んだことがないことを考えれると当然とも言える。問題は2つ目だ。
2つ目は、ひよりの兄が買ってきたという酒が特殊な物だったということ。味はまるでジュースのように甘く、酒が苦手な人でも楽に飲むことができる。
その反面アルコール度数が普通のビールなどと比べると半端なく高いため、アルコールに弱い人間が飲むものなら1口目で泥酔状態になってもおかしくないほどの一品だった。
(う~~ん?)
そんな事とは知らず必死に頭を捻るひより。
「おかわり……」
トクトクトク…
そんなひよりの目の前で、みなみは2杯目の酒を注ぎ始めていた。
「って!?ちょ、ちょっとタンマ!!」
「?」
慌てて止めに入るひより。確かに普段見られないみなみの様子を見たいとは思っていたが、こんな少量でこの状態になるのは異常だと判断したからだ。
「み、みなみちゃん。あんまり、飲みすぎないほうがいいかと」
「なぜ?」
「な、何故って」
実はお酒だったから、なんて口が裂けても言えない。
「こんなにおいしいのに…」
コクコクコクッ
そう言いながら2杯目を一気に飲み干すみなみ。
「あ、あ~~~!?」
「ぷは~~♪」
もはやすでにキャラクターが変わってきているみなみの様子にひよりは半分涙目になる。
ガチャッ!!
「悪い。電話が遅くなっちまって…って、なんだこの臭い!!酒か!?」
そんなひよりに追い討ちをかけるかのように戻ってくるシン。
「あ~!!しんさ~~ん♪」
「み、みなみ!!??」
ドンガラガッシャーン!!
シンの姿を見つけたとたん、突撃するように彼の胸に飛び込んでいったみなみを見つめがら、ひよりは自らが犯した過ちを悔い改めるかのように、頭を抱えていた。
そして話は冒頭に戻る……

「………と、言うわけッス」
「………なるほど」
数分後……ひよりは、ある程度落ち着きを取り戻したシンの目の前で正座をさせられ、何故こんなことになったのかを事細かに説明させられていた。
「し~ん~さ~ん♪」
ちなみにみなみは先ほどから上機嫌に、シンの右頬に自分の頬をスリスリと摺り寄せている。
「ひより…いったい…」
「………」
   「~~~♪」
一瞬の静寂……
「何考えてるんだ、アンタって人はっ!!!!」
「ごめんなさい~!!」
直後、迫力のあるシンの怒号がひよりの部屋を振るわせた。
「で、でもこんなに強いお酒だなんて知らなくて…」
   「うふふふ、しんさ~ん♪」
「そういう問題じゃないだろう!!」
   「しんさん…?」
「ひぃ~!」
こんなことになるのなら悪戯なんかしなければ良かった…と、後悔するひより。
しかし、時は戻らない。悪戯をして良いのは、怒られる覚悟がある者だけなのだ。
「大体、アンタはいっつも…!」
さらに何か言おうとシンが口を開いたその時、
「しんさん!!」
ボキッ!!
「グハッ!?」
自分が話しかけてもいっこうに構ってくれない事に業を煮やしたみなみが、強制的にシンの顔を自分の方へ向けさせた。
……何か硬いものが折れるような音がしたが大丈夫だろうか?

「み、みなみ……オレ、今ひよりと大事な話をしてるんだけど…」
涙目になりながらみなみに話しかけるシン。
「だめ」
しかし彼の願いは、頬を膨らましたみなみの一言で却下された。
「しんさんがみていいのは、わたしだけです!」
(それなんてガンダム史上最大のバカップル?)
まるでどこかのニュータイプのような言葉を言い始めたみなみに、ひよりがつっこみを入れようとしたのだが。
「だから~」
「な、何を!?――」
「んっ」
ぶちゅーー
まるでそんな擬音が聞こえてくるような熱い口付けをするみなみ。いきなり目の前で繰り広げられた情事を、ひよりは呆然とした様子で見つめる。
「ん!むーむー!?」
慌てて離れようとするシンだったが、みなみの腕が彼の顔をガッチリと押さえ込んでいるため身動きが取れない。
「……はっ」
数秒後、我を取り戻したひよりは徐に立ち上がると、シン達に向かってこう呟いた。
「そ、それじゃあ……邪魔者は退散するッスね」
「んむ!?」
「朝になったら帰ってきますんで、御2人ともごゆっくり~」
「むー、んむむー!?」
背後から感じる視線を追い払うかのように、ひよりはそそくさと部屋を後にした…
バタンッ
「ぷはっ」
そしてさら数十秒後…ようやくみなみが長い口付けを終えると、瞳を潤ませながらシンの顔を見つめる。
(うっ!?)
みなみの突然の行動と今まで見たことないような艶やかな表情に、シンは冷静な判断ができなくなる。
「しんさん…」
「な、何だ?」
「わたしのこと……すき、ですか?」
「なっ!?」
「すき、ですか?」
頭がパンク寸前にまで追い込まれているシンに、重ねて尋ねるみなみ。
「好き…だよ」
何とか言葉を紡ぎ出したシンの答えを聞くと、みなみは幸せに微笑み…
「うれしい♪」
再びシンの唇を奪うべくに彼に迫った。
「ちょ、ちょっと待ったみなみ!?これ以上は!!!」
「し~~~んさ~~~ん♪♪♪」
「アッーーーーーーー!!!!!」

(全年齢板の壁にぶち当たりました。不可能を可能にしたければ『らき☆えろ、らき☆えろ』と――)

おまけ
「アッーーーーーーー!!!!!」
自分の家から聞こえてくる断末魔のような叫びを聞いて、玄関に座り込んでいたひよりはため息をついた。
「ワタシタチハドウシテ…コンナトコロヘキテシマッタンダロウ…」
何となく口にした言葉に答える者は誰もいない。真夏のはずなのに、肌に感じる夜風は妙に寒かった。
「あっもしもし、こうちゃん先輩?ちょっと今日、泊めさせてほしいんスけど…」
とりあえず今日の寝床を確保するべくひよりは立ち上がり、暗い夜道の中を1人歩き始めた…

END

おまけのおまけ
翌日、昨夜自分が起こした行為を思い出したみなみが恥ずかしさのあまり自室に閉じこもってしまったり、事の真相を知り怒ったゆたかが、数日間にわたりひよりと口を利かなくなったりする話があるのだが…それはまた次の機会で。

今度こそホントにEND


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最終更新:2009年09月06日 18:40
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