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18-446

『イニシャルの他にも文字を彫ってくれるんだな』
『どうせなら、シンからかがみへ愛を込めて、って彫ってくれればよかったのに………』
『お前がオレに渡すときにそうしてくれ。それよりこなたはオレ達のこと許してくれるかな?』
『大丈夫だって、あんたが選んだのよ、私を。こなたも許してくれるわよ。ね、こなた?』
『え?』
『こなた、オレとかがみの結婚式には来てくれよな』
『へ!?ち、ちょっと!?』
『じゃあ、行こ!シン』
『ああ』
『待って、かがみ!行かないでよ、シン!シーン!!』

 ガバッ

「ハァハァハァハァ……夢か……我ながらなんというベタな夢を………」
 わたしは無理に笑って拭いきれない不安を吹き飛ばそうとする。

 あの2人がもし、もしもだよ。あの2人が付き合い始めても私はシンもかがみも恨まない。それは、かがみが私より頑張った結果だし、シンが選ぶ結果なのだから。
 かがみが私と逆でも同じことを考えるはずだ、みゆきさんやつかさだってそうだ。
 覚悟はあるはずなんだよ……シンが自分以外の人を選ぶかもしれないってことに……でも、まだダメだよ……まだ私、シンとしたいことたくさんあるよ………。

 コンコン

 もう少しで泣きそうになる私の耳にノックが聞こえて来た。



「こなた、どうした?」
 こなたのうなされてる様な寝言を聞いたのはついさっきだった。
 恐らく、悪い夢でも見たのだろう。
 悪い夢くらいで見に来るのは大袈裟だと思われるかもしれないけど、ああいう時は誰かがそばにいてくれるだけで違うもんだ。最低でもオレがそうだったから………。
「シンこそどうしたの?」
 心なしかこなたの声は泣いてるように聞こえた。
「あ、お前の悲鳴が聞こえたから、ついな」
「いや~、ベットから落ちちゃってね~ごめん、ごめん」
「入っていいか?」
「ダメ!今凄い格好だもん」
 こなたらしい言葉だけど、口調から厳しい意思が感じ取れた。
「…本当に大丈夫なんだな?」
「本当に大丈夫だよ」
 こうまで強く拒否されたら、オレも引き下がざるをえない。
 オレはこなたに一声かけて部屋に戻った。


「どうでしたシンさん?」
「ああ、バッチリ首尾は上々!」
 オレは向かい側に座るみゆきに親指を立てる
「よく言うわね。こいつなんて最後らへんは『もう自分で形取って作る!』とか言ってたのよ」
「自分でって、どんだけ~」
「うっ……分かっております。これもかがみ様のお陰ですよ」
「よろしい」
 オレの両側に座る双子姉妹から攻撃にオレはなす術も無く白旗を上げる
「はいはい、ごめんよ!」
 その声と共にオレとかがみの弁当の間に売店の袋が置かれる。
「ち、ちょっと……今日はあんたはあそこでしょ?」
 そう言ってかがみはかがみの向かいの席を指す。
 何故かは知らないがかがみ達4人は毎日座る場所をローテンションで変えているのだ。
「いいじゃん!ここ元々わたしの席なんだし」
「はぁ?なによそれ!?」
 こなたのヤツは朝からこんな調子ですこぶる機嫌が悪い。やっぱり昨夜は無理してでも、こなたの部屋に入った方がよかったのかもな………。
 さすがに長い付き合いらしく対処の仕方は分かってるのか、かがみは文句を言いながらも席を移動した。



「ねぇ?日曜の夜どこに行ってたの?」
「なんでそんなこと聞くんだ?」
「バイト帰った時いなかったから」
 多少厳しい感じで言ってるのは自分でも分かる。しかし、これは聞かずにはいられないことだった。
「ああ、ちょっとトレーニングにな」
「わたし、バイト帰りに電車でかがみとシンを見たんだけど」
「へー、気のせいだろまあ世の中には自分と似てるのが3人いるって言うしな」
 何だかんだ言っても元軍人、わたしのカマかけに動揺することなく、シンは興味なさげに答える。
「かがみホント?」
 ならばと、わたしは矛先をもう1人のターゲットに変える。
「えっ?あっ……シ、シンが違うって言ってるじゃない」
「わたしはかがみの口から聞きたいんだけど」
「どうしたんだよ?今日お前おかしいぞ?」
「おかしくなんかない!!」
 シンの言葉にそう叫ぶとわたしは席を立った。



「なんだアイツ」
「ねぇ、なんであんなことしたのよ?」
 オレの反応に納得してないらしくかがみが聞いて来る。
 こなたがかがみに聞いて来た時オレはかがみに日曜の事を話さないように合図したのだ。
「そりゃあ、秘密にしといた方が後で驚くしさ………」
 こなたがあそこで怒るのは予想してなかったが………。
「でもこなちゃん傷ついたんじゃない?」
「だと思います。だからあれほどまでに、お怒りになったんだと思います」
 つかさとみゆきがこなたに同情の声を寄せる。
「ただたんに機嫌が悪かっただけだって」
「…そうかしら?」
 かがみが真剣な表情で呟く様に言った。
「なんだよ、かがみまで」
「例えば、こなたと白石があんたに秘密で出かけて、それを見たあんたはこなたに聞くけど会ってないとウソつかれたらどう思う?」
「うーん」
 オレはかがみに言われた場面を想像する。
「ハッ、バカバカしい、オレはそんなことじゃ怒らないって。とにかく3人とも誕生日まで黙っといてくれよ」
 オレの頼みに3人は仕方無げに頷いた。

「おーいシン、ドッチボールやりに行こうぜ」
「ああ…今日は覚悟しろよ白石」
 白石の誘いにオレは指を鳴らしながら立ち上がった。
「な、なんだ?今日は殺気マンマンだな」
 オレの様子を見て少し怯む白石。
「怒ってるよね………」
「単純」
「まあまあ」
 オレは3人の言葉を聞こえないふりをして教室を出た。



「最悪だ……」
 シンとかがみを傷つけて何やってんだろ、わたし………。
 学校から帰って来てベットに飛び込んだわたしはまず自己嫌悪に陥った。結局今日は昼休み以降シンとかがみとは会話をしていない。
 いや、してないというよりわたしが出来なかったというのが正しいかもしれない。
 話せても2人を傷つける言葉しか出なかったような気がするけどね………。
「でもさ、あの2人もいけないんだよ、すぐバレるようなウソつくしさ………」
 誰も聞いていないのに自己弁護を始めるわたし。わたしはいつからこんなに女々しくなったんだろ………。
 こんなの全然可愛くないよね。そりゃシンもかがみの方が………まただ、またネガティブ思考になってる………。

「あーもう!あいつらが謝るまで絶対、絶対、ぜったーい許してやるもんか!!」
 駄々っ子の様に喚きわたしは枕を放り投げた。

 そして2人と話す事なく、27日の夜を迎えた………。


~つづく~






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最終更新:2010年01月24日 23:30
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