―熱い、まるで身体中の水が枯れていくよう。意識が朦朧とし、手足を思うように動かせない。頭がはっきりしないまま、私はまどろんでいった―
…良、起き…。高良…
―"彼"の呼ぶ声がする。なんて甘い響き。この声を聴いたまま眠ってしまいたい。そして―
ピトッ 「―冷たッ!?」
シン「良かった、起きたか高良。」
みゆき「あ…シンさん?なんでここに、というよりここはドコ?」
―気が付くと、私は公園の木陰で座っていた。最刻の頬に触れた冷たさは彼の持っているスポーツドリンクだろう―
シン「近くの公園だよ。
こなたがアイス買ってこいとか言って歩いてたら高良がフラフラしてるの見て、ここまで引っ張ってきたんだ。」
―そうだ、私は散歩しようと外に出たが、この暑さに参ってしまい飲み物を買おうとコンビニへ行こうとして―
みゆき「―そこからは記憶が曖昧で…おそらくこの暑さにやられてしまったのでしょう。助けて頂いてありがとうございます。」
シン「どういたしまして。それより高良、体は大丈夫か?呼んでもなかなか起きないから心配したよ。」
みゆき「は、はい!大丈夫で…」フラフラ~
シン「我慢するなよ?ほらコレ飲んで。熱中症にはこういうのが効く。」
―彼は手に持っていたスポーツドリンクを差し出した。そういえば喉がカラカラだ。症状といい水分が欠乏してることといい、熱中症に違いない―
シン「ホント気を付けろよ?悪けりゃ命に関わるんだからな。それと飲み物はゆっくり飲めよ、急激に摂取すると吸収されないからな。それと…」
みゆき「は、はい…すいません。」
―どうしたのだろう、彼が急に強い口調で話し始めた。私の迂濶さを注意しているのだろうか。気のせいか少し怒っている気がする―
シン「―!ご、ごめん、説教するつもりじゃなくて!その…えと…」
みゆき「い、いえ、シンさんの言ってることはもっともですから。」
―私が少ししょげていると、途端に彼はいつもの調子に戻った。それにしても―
みゆき「あの、何故そこまで心配してくれるのか聞いてもいいですか?」
シン「―俺は、臆病者だから…」
みゆき「え?」
―臆病者?私や柊さん達が男性に絡まれてる時に我が身顧みず助けてくれた彼が?―
シン「俺さ、向こうの世界で大切なモノを何一つ守れなかったんだ。だから無意識に何かを"失うこと"を極端に恐がってるんだ。だから―」
みゆき「シンさん…」
シン「いや、湿っぽい話になっちゃったな。ごめ「ありがとう」(ギュッ)
シン「―た、高良!!?」
みゆき「ありがとうシンさん、私―いえ、私達のこと…そんなに大切に思ってくれて…」
―彼は自分の弱いトコロを、自身の深い傷を私に視せてくれた。それがたまらなく嬉しく、そしていとおしい―
シン「高良…」
みゆき「大丈夫です、私達はあなたとずっと一緒です。」
シン「ありがとう…」
―彼を抱きしめながら私は祈った。願がわくば彼がこれ以上何かを失うことのないようにと―
最終更新:2009年04月28日 00:16