おまえとゲームがしたい(後編)

~拷問室~

広い石造りの部屋、教室ほどの広さがあり天井はその倍の高さがある
その空間の中には3つのスペースがあり

大きな水車が8分まで水に浸かったガラスの水槽
そばにあるレバーとボタンで操作する構造のようだ
水車には手枷や足枷が付いている、恐らく人間を縛る為のものだろう

立方型に組み立てられた巨大な鉄パイプには四方に手枷、足枷が付けられており
床が紅く染まっており、壁際には鞭や棍棒などが置かれている

そして、縦長のレンガで出来た巨大な箱
縦は2メートル、横1メートルといったところだろうか
中には何も入っていない上に、使用目的がはっきりしない
ただ…自分ひとりの力では外に出れないであろう…

「ちょっと!離しなさい!!離せって言ってるのよぉ!?」

部屋の入り口から声が聞こえた
男勝りの険しい声
声の主は二人の黒ずくめの男に両腕を掴まれて部屋に連れて来られた
二人の男は床に少女を投げ捨てる

「いたい!…こんなとこに連れて来てなにするつもりなのよ!?」

紫色の長い髪が床に広がり、釣り目の瞳は涙で濡れていた
男たちは無言でかがみに掴みかかると、一人の男が可細い手を掴み
身動き出来ないように取り押さえる
そして、もう一人の男が衣類を脱がしにかかった
作務衣の紐を解くと形の良い小ぶりな胸が覗き、洗ったばかりの少女の香りが立ち込める
今度は下着だ…薄手のトランクスの両脇を掴み、抵抗する両足を払いながらおろしていく

かがみは「やめて!!いや、だめ、見ないで!!?」と大声をあげて抵抗するが
男たちはそんな事お構い無しで衣類を剥ぎ取った
やがて、下着も剥ぎ取られ、秘唇さえもあらわにされたかがみは涙で顔を濡らしている

こんな状況に置かれてしまった今、
きっと慰み者にされて、死ぬまで弄ばれるに違いない
そう思ったからだ

案の上、男たちは上着を脱いでかがみの手足を持ち上げた
『きっと、お嫁にいけない体にされて一生玩具にされるんだ…』
テレビで見た事がある、これがレイプという奴なのだろう
いったいどんな事をされるのだろうか?
どうすれば許して貰えるのだろうか?
やはり言われた通りにする以外道は無いのだろうか…

そんな事を考えていたら、いつの間にか担ぎ上げられており
どこかへ移動させられているでは無いか…
どうやら自分が思っていたものとは少し違う展開のようだ

男たちは階段の様な所を登って、かがみをゴツゴツした板の上に下ろすと
今度は手足をその床…?だろうか、板に固定する
なんだか変な形の板だ…かがみは背中を逸らせてブリッジのような形で宙を仰ぐ
周囲を見回すと、どれくらいだろうか…2~3メートル程の高さで
天井まで手が届きそうだ
そして、どこからか水の流れる音がする…
何処だろう…

「今から何が始まるの…、これって…もしかして…モゴオオ!?」

二人の男は愕然とするかがみにギャグを付けて声が出ないようにしてから
部屋を出て行ってしまった
恐らく、何かを準備しているのだろう

かがみは男たちが戻ってくる間、部屋を見回し観察したのだが
すぐに止めてしまった
陰気すぎて気が滅入りそうになるからだ



「ちょっと、やめてください!!貴方たち!?」

入り口から聞こえるのはみゆきの声だ…
かがみは首をそちらの方向に向けるが、首も固定されている為に良く見えない

みゆきは床に叩きつけられ、かがみと同じように衣類を剥ぎ取れれる
作務衣を脱がされ、トランクスを毟り取られた
ただ、かがみの時と違ったのは黒ずくめの男が少し動きを止めて
みゆきの胸やお尻辺りをまさぐったり
秘唇を指で広げてみたりと少し悪戯した事だ

「やああ!!触らないで!?やめてください!!!助けてええええ!!」

やはりみゆきの体の魅力は一般の大人に十分以上に通用する
黒ずくめの男は「これが仕事じゃなかったらなぁ…」とため息を付き
泣き喚くみゆきを引きずって立方型の鉄パイプの辺りまで連れて来た

「やあ!!いやああ!?やめて、離して!!?」

みゆきのあまりの取り乱しように二人の男は苦戦するが
「静かにしないと生きて帰れなくなるぞ!?」
という男の一言でみゆきの動きは止まる

その後みゆきは、立方型の鉄パイプに四肢を固定されて
手足に食い込む皮の感触に身を震わせた
大きく柔らかい胸に美しいヒップラインは殺伐とした風景の中でも
十分なエロスを発揮する
かたや健康的な魅力を水辺に浮かべるかがみ
小ぶりな胸と引き締まった流線型の脚が弓なりになって白鳥を思わせる
なんとも言い難い甘美な風景
この風景は二人の男を魅了した

なみの男ならばこの状況で欲望に負けて、二人の少女をものにしたであろう
だが、そこはプロである
男たちは暫く二人の体を眺めるだけで、上着を羽織ると部屋から出て行ってしまった


プルルルルルルル プルルルルルルル ガチャ…

突然電話が鳴った
いや、電話というのはいつも突然になるものだ
しかし、この状況での呼び出し音は一味違う

「はい…」
『準備が出来た…今から迎えをよこす』

「はい…」
『説明はその男から聞け…カカカカカカカ!!』

ガチャ…ツー…ツー…ツー…

程なくして、飾りだと思っていた大きなドアが開く
そのドアは綺麗な彫刻が施された木造の扉だが
裏はどうやら鉄で補強されているらしく
開くときに『ゴゴゴゴゴゴ…』と押しつぶされそうな音が響いた

男は「おいでください」とこなたに声を掛けるとうやうやしく一礼をしてみせた
こなたは何だかムズ痒い気分になったが、浸ってる場合ではなかった

長い廊下、石造りのかび臭い、長い閉鎖空間が続く
こなたは男に導かれてその暗がりを歩いていく
どうやら気を遣ってくれているらしく、男はユックリと歩を進めていた

「簡単な説明をしておきます」
「へ?」

男が歩きながら口を開いた

「罰を行うに当たって幾つかのルールを守っていただきます」
「う…うん」

またルールである
説明は20分程に及んだ
内容はこうだ
罰を実行するのは全てがこなた自身である
罰を与える間も一切の会話は禁止する
罰を素直に受けない場合は更なるペナルティーも用意する事
罰にはそれぞれルールがあるのでそれを必ず守る
罰を与えるに従って、手心は皆無とする
上記を守れない場合、4人の命の保障は無いものとする

「…です。お分かりいただけましたか?」
「……」

こなたは無言で頷いた
こなたは既にマニュアルの虜である、ただ黙って頷き従うだけだ
数十分に及んだ廊下も終わり
大きな鉄の扉の前に来た
錆びた扉からは鉄の匂いがする
いや…血の匂いかもしれない

男は扉を開き、「どうぞ、終わり次第迎えにあがります」といって部屋に案内した
こなたは恐る恐る部屋に足を踏み入れる

そこに有ったのは…最悪の光景
そして、今から自分もその一部となる…




軋む様な音を立てて開いた扉から現れた長い髪の少女
泉こなた…

だが、その顔は見えない
なぜなら、こなたの頭にはすっぽりと白いマスクが付けられていた
オペラ座の怪人の様にも見えるし、スケキヨの様にも見えるマスクは
彼女の一切の感情をその無表情で無慈悲な顔で包み込む
これも用意されたルールの一つだ

一説によれば、マスクとは人格そのものを隠す為のものであり
マスクを着用することによって精神に及ぼす高揚感は数値的にも極めて高い
現にこなたの中で言い知れぬ感情が鎌首をもたげて二人の少女を見据えていた

「おごご…?」
「泉さん…」

だからといって中身が全て変貌した訳ではない
無論友人の哀れな姿を見て、こなたの表情は悲しみを表す形になっているだろう
が、その表情すらもこのマスクによって阻まれる

『良く聞け…』

マスクの耳元で管理者の声がした
こなたは思わず体をこわばらせて立ちすくむ
小型の遠隔スピーカーだ、管理者はこの状景を観察しているに違いない

『返事はするな…黙ってこちらの支持に従え…小さく首を傾げればYESのサインだ』

こなたは首をかしげて見せる

『そうだ、それでいい…まずはどちらから罰を与える…?
 罰を実行するほうへ歩いていけ、支持はそれから出す 』

こなたは少し考えてみたが…
みゆきが先か…かがみが先か…
おそらくどちらが先でも大差はないだろう
こなたは何気なしにかがみの方へ歩き出す

『ほう…いきなり水責めからか…』

「もごごごご!?」

こなたのコツコツと鳴る足音を聞いてかがみは身を震わせる

マスクの下の素顔はどうなっているのだろうか…
ひょっとしたら笑っているのかもしれない
いや、そんな事はない…でも…
とにかく怖かった、無表情のマスクが、この状況が怖かった

「泉さん!?何をなさっているんですか!?」

みゆきの声が部屋に響くと同時にこなたの動きが止まった
全裸で縛られているのにも関わらず、あくまでも堂々とするみゆき
その姿は差し詰めジャンヌ・ダルクとでも言おうか…
こなたとみゆきは互いの顔を見合わせる

ザザ…ザザザザ…ビビー…ガ…

二人の間に緊張が走った瞬間、スピーカーから雑音が鳴く

『柊かがみ…高良みゆき…今からお前たちに罰を与える…』

「んん!?」
「な!?」

『柊かがみには水責め、高良みゆきには百叩きだ
 解っていると思うが、お前達に拒否権は無い…』

「…。」
「そんな事、認めません!なんの権利があってこんな…!?」

『簡単な事だ、お前達はルールを破った…会話をしてはいけないというルールをだ』

「…???」
「そ、そんなルール…私は聞いてませ…」

『決まっていたのだ…最初からな…、それに泉こなたには伝えてある、それはそいつの管理ミスだ』

「!?」
「泉さん!?本当ですか!!?」

だが、泉は返事をしないどころか動きもしない
マスクの下でこなたは絶望に打ちひしがれた表情をしているのだが…

『そして、お前達の罰もそいつが決めたのだ…甘んじて受けるのだな…抗う術は無い…』

ブツン

そこでスピーカーの電源はOFFにされる
何故、かがみとみゆきの会話がバレたのだろう?
まさか、浴室が盗聴されていた?
いや、あの時私達はシャワーの音で声を掻き消しながら会話した筈
それにあの部屋にそれらしい物など無かった
ならば、答えは一つだ

「かがみさんが密告した…」

そうに違いない、そうに決まっている
こなたとかがみは日頃から仲が良かった、いや…それ以上だったかもしれない
かがみは食事も浴室の使用もどちらとも優遇されていた
きっとこなたとの何らかの取引が有ったに違いないのだ

「……」

みゆきは口をつぐんだ

「もう、これ以上誰も信じません…皆…敵です」

平和で恵まれた環境の中のびのびと生活してきたみゆきにとって
この環境は過酷極まりない…いわば極限の状態である
追い込まれた秀才は遂に一つの境地に達した
それは『自己防衛の為の孤独』
それが大きな誤解から産れた答えだとも気が付くこともなく…






『まず、右下のレバーを下ろせ…』

こなたはレバーに手をかけると下へと力を込める
案外簡単にレバーは下がった
キューーーン…という音を立てて、かがみが縛られた水車が震えだす
恐らくモーターか何かに電気が供給されたのだろう

「もごお!もごおおお!!」

ギャグを噛まされたかがみは首を細かく降り始める
恐怖である…恐怖がそのような行動を取らせた

『次に、レバーの上にあるタイマーをセットしろ…まず赤いボタンを押して…』

こなたは言われた通りの手順でタイマーを操作し始めた
水責めの所要時間は全てで100分だという事だ
つまり、100分間水車を回転させない限りかがみを開放することは出来ない

こなたはまず手始めに5分間水車を回す事にする
いくらかがみが平均以上の体力の持ち主だとしても
水責めの経験など無い
ならば、初めに軽い予行演習をしておくのがかがみに出来るせめてもの行いだ
もっとも、やられるほうはそんな事関係ない
ただの拷問だ…

まずは5分…そしてもう一度5分
そして10分、20分、30分と伸ばして統計で100分回転させる事にした

こなたは時間をセットすると階段を登り、水槽の一番上で
水車に固定されたかがみを見下ろす

かがみはギャグをつけたままだ、このままだと水を飲んで死んでしまうかもしれない
そう思ったこなたは両手でかがみのギャグを外しにかかるのだが
かがみはこなたに対しての恐怖心で頭を激しく振り続けて、なかなかギャグを握れない
こなたは仕方なくかがみの髪を掴み、片方の手で顔に巻かれた革紐をはがした

「ひいいいい…!こなた、ごめん…ごめん…」

かがみの目には友人を心配するこなたの瞳が不気味に笑って見える
これ以上このままいてもかがみを開放できない…
こなたはすぐ近くにある水車のスイッチに手をかけかがみの方を見た

「やめて!?怖い…怖いよ、こなた!?許して、私達友達でしょ!?ねえ!?」

かがみは体をガタガタと震わせる
もちろんそれで何が変わる訳でもない
むしろ、これをやめてしまえば皆死ぬ事になるのだ

『どうした、早くしないか?早くしなければ私がやるぞ?』
「……」

ガチャァ……ギュウゥゥゥゥ…ガ…ガガガガガ…ザザザザァ…

水車がユックリと回り始める

「ちょ…こなた!?こなたってばぁ!!こ…こなた様!!」

こなたはかがみの声に胸を痛めながらも、備え付けられた椅子に座る
それがルールだからだ

水車は水の抵抗がある為、初めはユックリと波に乗る程度だ
お陰で時計の秒針よりも遅い程度の恐怖がかがみの心を支配する

「こなた様!ごめんなさ…すみませんでした!!ごめんなさい、許して!許してぇぇ!!」

既にかがみは恐怖で我を忘れている
前代未聞の恐怖だ、その恐ろしさたるや怪談話の比ではない

「………」
「ごめんなさい!!ごめんなさい!!もうしませんから!!!」

必死でこなたに助けを、許しを乞うかがみに心を痛めながらも
友人の命を助ける為に手を緩めない少女
こなたはスカートの裾をグッと握って耐える

「ごめんなさ!!がぼぼぼぼぼ…ごぼおお……」

水車が回り、水面がかがみを飲み込んだ…
ユックリと水中を回転するかがみ
髪は水中でなびき、かがみは顔を引きつらせて必死に苦しさを耐える

「……」

それを見ていたみゆきは顔を真っ青にした
次は自分の番である
きっとあれ以上の苦しみが痛みと共に自分に襲い掛かるに違いない
とても見ていられない光景だ…

それはこなたも同じだった
胸が張り裂けそうに苦しい、いっそ皆で心中してしまったほうが楽かもしれなかった
だが、それでは今までの苦労もこれからの未来も全て水の泡だ

水の流れは次第に早くなり、水車の回転も少しだけスピードをあげる
といってもまだまだユックリだ、おそらく一回転するのに50秒、いや…1分ほどかかるだろう

そうこうしている内に水面からかがみの顔が上がる

「ぜーー!!げほぉ!ごほごほ!!ぜー!はー!ぜー…がぼぼぼ…」

かがみは水面から顔が出るや否やありったけの空気を吸いこんだ
むせていたのは鼻や口から大量の水を飲み込んだせいだろう
初めて後頭部から水に沈められれば誰だってそうなる

「………」

回転する速さが1分として、空気を吸える時間が大体15秒…
しかし、水の流れでそれも変化する
どちらにしてもかがみの表情を見る限り、かなり過酷な仕打ちであることは間違いないだろう

それから5分間、かがみは水車と共に回転し続けた
次第にその状況に慣れてきたようで、むせる事も無くなり呼吸のコツも覚えたようだ
水面から出た時にこなたを睨み付ける余裕も出てきた様子である

『いい友達だな、お前のことを睨んでるぞ…』
「……」

かがみの視線が痛い…だがそれも仕方の無いことだ
なんとでも言えばいい、全ては助かる為に必要な事なのである

5分が経過した時…こなたは自分の犯したミスに気が付いた

タイマーでセットした5分きっかりで水車が停止したのだが
かがみが水中の一番深いところに沈んだままの状態なのだ…
再度回転時間は1分後に設定してある
かがみは突然水車が停止したことで動揺を隠せない様子
ごぼごぼと空気を吐き出して、手足の枷を解こうと身を捩じらせる
しかし、その行動で体中の酸素が搾り取られてみるみる顔が青くなってきた

『死ぬ…死ぬう!!助けて!こなた助けて!みゆき!つかさ!』

かがみは必死であたりを見回す
何か助かる方法は無いのか?
死にたくない!
生存本能が体を突き動かす

意識が薄れ始めた時、ガタンと音を立てて水車が動き始めた

「………」

ザバァ…とかがみの頭が飛沫を立てて水面から跳ね上がる

「げぼげぼごぼお!!!はあ…ごっほお!!…はあ…ぜえ!!はあ…びょお!!ごっほお!」

1分半ぶりの空気…かがみは思う存分空気を吸った
酸素をむさぼり吸う、生命の源、なくてはならない物
だが、味わっている時間は無い…あっと言う間に水面が近くなる
かがみは大きく息を吸って肺に空気をためると、目を瞑って地獄に備える

「ごぼぼぼぼぼぼ!!」

空気を吐きたくなくても、鼻から浸入した水によって
かがみは水中でむせてしまう
だが耐えるしかない、今度はいつ水車が止まるか解らないのだ

1回…2回…3回…4回…

次第に水槽に波が起き始め飛沫が上がると共に、かがみがユックリと空気を吸う時間が無くなっていく
おそらく10秒ほど空気が吸えれば良いほうではないだろうか?

「げえ!!ぜえぜえ、ぶはああ!げほお!がぼぼぼぼぼぼ!!」

慣れてきたはずのリズムも極度の疲労感と緊張感が手伝って煉獄と化す

「だずげ!げほ…もういやあああ!!こな…ごほ…えぶう…だずげ…ごぼおおぼぼぼ!!」

こなたに向けられるかがみからの悲鳴
だが、こなたはそれに応える術を持たない

この時間を既に70分も過ごしているのだ
水面から顔を出してはこなたに向かって助けを求めるかがみ
初めはこなたも申し訳なさそうな、悲しいような気持ちでかがみの方を見ていたのだが
そのうち、何度も自分に声を掛けてくるかがみがうっとおしくなってきたのだ
自分も同じくらい心を痛めながらルールに従っているのに
かがみたちはいかにも自分が一番辛いとでも言いたそうな声でこなたを責めるのだ

『私はみんなの命を守ってやってるのに…自分達ばっかり被害者みたいに…』

いつのまにかこなたはかがみの方を見なくなっていた
それどころかかがみの声に耳すらも貸そうとしない

「こな…た…なんで助けてくれないの?ねえ、こなた、こなた!?」
「…」

丁度、1分間の水車の停止時間がきたようだ
あと20センチほどで水面だという所で水をよけながらかがみが叫ぶ

「こなた!?そこにいるんでしょ?なんで返事しないのよ!?なんで…」
「……」

「あんたばっかり楽して!何様のつもり!助けなさいよ、早く助けなさいよ!!」
「……」

かがみはとうとう苦しさに負けて、こなたに罵声を浴びせはじめた
囚人の様な最下層からのささやかな反撃、苦しさを紛らわせる為の強がり
だが、それが良くなかった

こなたは椅子から立ち上がり、水車を一旦完全に停止させるとかがみを引き戻す
かがみは安堵を表情を浮かべ、精一杯深呼吸をしてみる
空気が旨い…ゆっくりする呼吸は格別である
かがみがもっと深い呼吸を求めて大きく口を開いた…

「…」
「!!がぼ…!?」

こなたによってその口は塞がれる…
先ほどこなたがかがみを気遣って外したギャグである
なのだが、かがみのあまりの罵声に耐えかねたこなたは
かがみの口をこれで塞ぐことにしたのだ

「ひょどお!!ごだだ!?」

ゴオウウン…ギギギーギギ…ギイイィ…

「ぎい!!がああ、がヴぉヴぉぼぼぼぼおb!!!?」

かがみは断末魔にも似た悲鳴を上げながら水中に呑み込まれていく
それはそうだろう、逆さまのまま口も鼻も閉じれずに水中で息を止めるなど殆ど無理に近い
先ほどとは比べ物にならないほどの苦しさだろう
ボコボコと空気の泡が水面に浮上してきた

こなたはせいせいしたとでも言いたげに椅子に座ると
再び上がってきたかがみの目が許しを乞う目に変わっていた事に満足した

「だずげ!だずげげえ!!がぼおお!!ごぼgbごbごおごお!!?」

かがみにはもうこなたに対する敵意など無い
あるのは助かりたいという気持ちと服従心の欠片だけ
友情や反抗精神は本能によってかき消されてしまった

それから20分後

水責めは100分のリミットを無事に終えた
停止した水車の上で生気の抜けてしまったようなかがみが
括り付けられたままの体制でこなたを見上げていた

「助けてくれて有難うございました、助けてくれて有難うございました
 もうしません、もう絶対にしません、許してください、お願いします
 助けてくれて有難うございます、こなた様ありがとうございます………」

半分気を失いかけたままのかがみは今、曖昧な意識の中で
助けを乞い続け、許しを乞い続け、こなたへの服従の言葉を並べている

『どうだった?友人を拷問した感想は…初めて人間をひれ伏すのはどんな気分だ?』
「……」

友人を拷問した…?
こなたの心にこの言葉が響く…
友人を…拷問した?誰が…?…私?

こなたが我に返ってみると目の前にいたのは
水を吐き、焦点の合わない目でブツブツと呟くかがみ…
こなたはその頬をそっと優しく撫でる
顔にクッキリ残ったギャグの留め金の後、皮のバンドで頬を少し切ってしまった様だ
爪で引っかいた様に血がにじんでいる

その光景はとても友人と呼べるような状況ではない
そう、これは…友情などではない
こなたはマスクを脱ぎ去ると虚空を見上げるかがみの頬を優しく包み込んだ

「かがみ…ごめん……」

こなたはここに連れて来られて初めて親友の名を呼んだ…
我が身可愛さで友人をこんな状況に追い込んだ自分を悔いた

「こなた…ごめん…ごめんなさい…こなた…」
「かがみ…ごめんね、私のせいだ…私のせい…」

『泉こなた……ルール違反だな…』

「ぐう!!」

…ドサ…

部屋の戻されたこなた、体中に鞭で叩かれた様な傷があり
体は水浸しだ
白いドレスは所々が破け、血が滲んでいる
管理者から罰を与えられたのだ
『罰に手心を加えた』事と『会話をした』事に対しての罰である

今まで自分が三人にした事に比べれば…と思ったのだが
流石にこれは過酷だった…
それでも同じ過ちは犯したくないと、こなたは心に決めていたのだ
耐えるしかない

既に部屋に戻されたかがみはベットの上で気を失っている
みゆきはというと、かがみが拷問を受けた現場を目の当たりにしてすっかりと憔悴し
放心状態だ
つかさは…相変わらずである、異臭を漂わせた部屋からはすすり泣く声が聞こえていた

明日からはどんな事があってもこの三人に危害は加えさせない
そう決めたのだ

こなたは一大決心を決めたのだが、悲しいことに人間の失った信用はそう簡単に回復するものではない
こなたがこの数十時間で植えつけた恐怖心、不信の心
それらがこなた自身に全て返ってくる事になるのだ








『食事の時間だ…』

ここに収容されてから、既に三日の時が経っていた
いや、まだ三日しか経っていないのかと思うほどに,ここでの時間は長い

こなたは蚯蚓腫れのできた体を引きずる様にして食事を取りに行く
そこにはこの部屋の内装に見合った高揚のようなものは無く
新たな決意が見え隠れする

「三人は私が守る…」

用意された食事は三つ
昨日の夕食を一食抜かれただけで、自分の食事無しの罰は完了している
いつもの質素な食事が二つと豪華な食事が一つあり、あとはペットボトルだ
こなたは自分の分の食事を4人分に分けて
3人分の割り当てがなるべく均等になるように分配する

ルールを破る行為だ

こなたは各部屋の窓枠に食事を置いていく
かがみとみゆきはベットから動こうとしない
それどころかこなたの足音を聞いて震えている
食事を取りにきたのはつかさだけだった

「こなちゃん?」
「あ…つかさ、はい…ご飯だよ」

こなたはトレイを手渡す
つかさの目はトレイに乗っている物を眺める

沢山のオカズが乗ったそのトレイは綺麗に彩られていて食欲をそそる

「その…ごめんね、つかさ…私どうかしてたよ」
「うん」

「だから、許してくれないかな?」
「こなちゃん…」

こなたはトレイをつかさに渡したその手で
つかさの手をそっと包み込む
友人の手は少し荒れていて、若干匂うがそんな事お構い無しだ
つかさはそっとこなたの手を握り、口を開いた

「私に触らないでくれるかな?…馬鹿こなた」
「へ?」

聞き返す暇も無く、こなたの顔に食事のトレイが投げつけられる

「アツ!!」

スープや肉汁などが肌にかかり、トレイが顔面に直撃した
つかさはキュルルとペットボトルの蓋を開けて中の水をダバダバと頭から被る

「あ~、さっぱりするなぁ…あの浴室のシャワーには劣るけどね?」
「うう、つかさぁ…」

「あんだけの事しておいて、いきなり友達面なんて…こなちゃん頭大丈夫なの?」
「…」

冷静に考えてみればそうである、有り得ない…
昨日一日で自分がいかにとんでもない事をしたのか、再確認した

「昨日からお姉ちゃんとゆきちゃんの声が聞こえないんだけど…まさか、こなちゃんが殺しちゃったの?」
「そんなんじゃ…」

「どうだろうね?お友達をこんな目に合わせる様な人の言うことなんて信用できないなぁ…」
「そうだよね…」

「何開き直ってるの?馬鹿じゃない…昨日二人に何したの?」
「…ボソボソ…」

こなたはつかさの罵声に耐えながら、声を振り絞る

「? 聞こえないよ?」
「拷…問…したんだ」

つかさは耳を疑った『拷問?』聞きなれない言葉では有るが確かにそう聞こえた

「拷…問って、一体…何…したの」
「かがみを水に沈めて、みゆきさんは鞭で叩いた…」

実はあの後、みゆきには管理者による罰が与えられている
実際はみゆきに罰を与えたのはこなたでは無いのだが、似たようなものである

「何考えてるの!?本当に殺しちゃったんじゃないよね!?おねえちゃん!!?」
「だ、大丈夫だよ…ちゃんと生きてたし…」

「や!触らないで!!お姉ちゃん!ゆきちゃん!返事してよぉ!!!」
「つかさ…」

つかさは部屋の隅へと引きこもってしまい体を抱いて、大声で喚いていた
憎しみの篭った敵意の目がこなたに向けられる

とりあえず、つかさが投げつけたトレイの中身を片付けると
自分の分の食事をつかさの部屋の前に置き、ベットに倒れこむ
こなたは言い知れぬ不安感で胸が押しつぶされそうだ

暫くして、男達が部屋の中にズカズカとあがり込んできて
こなたの手足を掴み部屋から拷問室に連れて行く

1回の違反に付き、1回の罰
連れて行かれたのは、レンガつくりの大きな箱の上
こなたが下を見てみると
見たことも無い虫から御馴染みの害虫までがガサガサと蠢いている

「いいいいい…!!?」

虫風呂である…
こなたの身は胸まであるであろう、詰め込まれた虫達の中に投じられる

「いやああああああああ!!」





数時間後、罰を受け終えたこなたは
体中に小さな噛み傷や新しい蚯蚓腫れをこしらえていつもの部屋に戻る
その体は何色とも取れない虫たちの体液が付着しており
言い知れぬ悲壮感が漂っていた

疲れきったこなたは少しも減っていない三人の食事を見ると
悲しそうな顔でベットに倒れこむ

収容されて3日目にして四人の関係は既に破局を迎えようとしていた





浴室にて…

シャワーの中に見えるのは白く痩せ細った少女と
蚯蚓腫れがいまだ引かないグラマラスな女性

「ねえ、ゆきちゃん…大丈夫…?」
「…ええ…」

みゆきはシャワーを浴びながら体に無数に走る赤い筋を指でなぞっていた
既に痛みは引いているのだが、傷は残るかもしれない

「酷い事されたんだね…」
「…つかささんも…大丈夫なんですか?その……」

「ああ…これ?」

つかさは長時間不衛生な状態であった為、太ももから足先にかけてかぶれ
所々、皮膚の色が変色している
そして、あまりの痒さに自分でかきむしった生々しい爪痕が内股に残っていた

「大丈夫…このくらい、お姉ちゃんの苦しみに比べたら全然だよ…」
「そうですか…」

暫くの沈黙

あれから数日が過ぎた…と思う
かがみはこなたが近付くたびに悲鳴を上げ
時折「ごめんなさい、ごめんなさい、もうしません…」と何かに怯えたように呟き始める
その声は小さいがつかさやみゆきの部屋に響き渡り
かがみの精神が衰弱しきっている事を知らしめる

現況であるこなたは日に日に傷が増え、フラフラになりながらも懸命に許しを請うのだが
つかさはそれを拒否し続けた
無論、みゆきのそれは同じである

かがみをあそこまで追い込み、みゆきの体を傷物にし、つかさを怒らせたこなたには
それ以上の苦しみと悲しみを与えなければ気が済まない

「ほんと、いい気味だよね…」
「ええ、そうですね…」

みゆきはしきりに体の傷を気にしているが、そうしていても何も変わらない
蚯蚓腫れは火傷や大きな切り傷と同じで皮膚の置くまで裂傷が走る不規則な傷だ
細胞がいかに活性化して治癒能力が働いたところで完全には消えない
それは正常な生活下であっても同じことである
みゆきはその事を知っている
自分の傷が消えない事を知っているからこそ苦しいのだ

「こなたさんをもっと苦しませたいのですが…」
「…何か、考えがあるの?」

みゆきの目が薄気味悪く笑った

「ええ…色々考えたのですが、こうしている間にも私達がルールを侵した責任を泉さんが背負ってくれます」
「…うん、だからもっともっと罰を受けてもらわなくちゃ…」

「それじゃ足りないんですよ!」
「…」

突然のみゆきの怒声につかさは一瞬たじろいだ

「それじゃあ、私の気が済みません…」
「…そ、それじゃあどうすれば?」

「ふふ…」

みゆきの意味ありげな笑いにつかさは期待を寄せる
あの友達面した泉こなたをおとしめる方法が有るのだ
そう確信したからだ



浴室から出たつかさはみゆきの言葉を思い出す

「そもそも、こんな事になったのは私達があの女の友達だと思われているからです」
「友達かぁ、もと友達かな」

「そうですね、ですから泉さんには真の意味で友達になってもらおうと思うんです」
「え!?それ本気なの?」

「ええ、本気ですよ?ですが、それには条件があります」
「条件?なんだか話が難しくなってきたみたいな…」

「ちゃんと聞いてください、大事なことです」
「う、うん…解ったから落ち着いてよゆきちゃん」

みゆきの企みは実に小気味のいいものだった
これなら自分の胸もスッキリするし、かがみを助けることも出来るかもしれない

「つ、つかさ…ご飯だよ」
「あ、こなちゃん有難う!傷大丈夫なの?」

「つかさ?」
「こんなにボロボロになって、酷い事されたんだね…」

こなたは思いもよらない優しい言葉に一瞬驚くが
それもつかの間、すぐにつかさの手を取って涙を流し始めた

「つかさ!つかさぁぁ!ひっく…」
「こなちゃんは甘えん坊さんだなあ…泣かないで?ね?」

「う、うん…ひっく」

『まずは泉さんを全面的に信用させるのが第一の難関です』
みゆきの言葉がつかさの頭に響く
『しかし、この難関もつかささんならば楽に突破できます、何せ貴女はかがみさんの妹ですからね』
つかさは内心、虫を触っているのと変わらない心境なのだがここが要と笑顔を作る

涙と鼻水なんか垂らして、気持ち悪い女
「ほら、早く離れないとまた痛い事されちゃうよ?私はいいから…」
「うん、ぐしゅ…ひっく」

こなたは次にみゆきに食事を持っていった
だが、隣から聞こえたのは聞きなれないみゆきの声

「触らないでください!こんなものいりません!!」
「ひいあ!?」

ガシャーン!
こなたはトレイが当たった顔面を両手で押さえて、泣き崩れる

「ゆきちゃん、派手にやってるなぁ」

つかさはみゆきが羨ましいが、顔に出してしまってはと悲しそうな顔でこなたを見た
『私が泉さんに冷たく当たり、つかささんは泉さんに優しく接する』
文字どうり飴と鞭の様なつかさとみゆき
『そうやっておけば、泉さんに気持ちはつかかさんに集中します』
なるほど、始めは半信半疑だったのだが、なかなかどうして効果は出そうだ
流石は頭脳明晰で芸達者である、演技も真に迫るものがあるというものだ
最もこの状況下であればつかさも同じことをやれといわれれば出来そうだが
迫力はみゆきに劣るだろう

「こなちゃん大丈夫!?ゆきちゃん、なんて事するの!?」

つかさはすかさずこなたを弁護する…ふりをする

「何を言ってるんですか、つかかさん?この女のせいで私達がどんなに苦しんだか」

みゆきも負けじと言い返してくるが、これは本心だろう

「だからって友達にそんな事しちゃ駄目だよ!」
「それは!?くっ…」

「つかさ…」
こなたは二人の言い争いを聞いて顔を上げた
つかさが自分の味方をしてくれている
みゆきはまだ自分の事を友達だと思ってくれている
そう聞こえたのだ

「ごめんね、わたしのせいだよね…友達のみんなをこんな目に合わせて…」

「謝れば済むとでも思っているんですか?」
つくづく目出度いおつむの持ち主ですね…こうも簡単に信じるなんて
「ゆきちゃん!?こなちゃん、いいんだよなんとも思ってないから…」
ほんと、こなちゃんって単純だなぁ こんな事で許すわけ無いじゃない

二人の本心は別の所にあるのだがこなたは気が付かない
それほどに孤独に打ちのめされていた

数分後、こなたはつかさとみゆきのルール違反による罰を受ける為に
黒服の男に連れて行かれた
もちろんその際も

「せいぜい苦しんでくださいね、泉さん」
「こなちゃん、ごめんね!ゆきちゃんは私が説得するから頑張って!!」

「うん、二人とも…いってくるね、つかさ…ありがと」

という迫真の演技が繰り広げられていた
しかし、こなたのいない部屋では一変する

「私を説得するって…歯医者さんに行くように説得でもなさるんですか?つかささん…ふふ」
「あはは~、うまくいったよね。さすがゆきちゃんだね」

「ええ、計算ではあと2日ほどこの感じでいけば目的は達成できそうです」
「あと2日もあの気持ち悪いこなちゃんに優しくしないといけないのか…」

「ですが、それでかがみさんが助けられると思えば安いものでしょう?」
「だね、お姉ちゃん待っててね…」

つかさはかがみの部屋を覗く
もちろんつかさの部屋の窓からかがみの部屋は見えない、が
ブツブツと呟くかがみの声がつかさの耳にはっきりと聞こえている

…もうちょっとの辛抱だよ

それから一日半みゆきの嫌がらせは徹底していた
食器をこなたに投げつけ、足を掴んで転ばせ、ペットボトルの水を部屋にばら撒く
壁の破片を掴んではPCやベットなどに目掛けてぶつける
そのコントロールたるやレーザービーム級に正確であった

一方、つかさはこなたに対して優しく、優しく接する
「ゆきちゃんやめなよ!こなちゃん、大丈夫?」
「ありがとう!私の好きなハンバーグだね…こなちゃん、私嬉しいよ」
「こなちゃん、傷は大丈夫?友達が苦しんでるのなんて見たくないよ」
「ねえ、また外で遊べるかなぁ?そしたら今度は山に行きたいよね」

そうしている内に、こなたは無条件につかさを信じるようになっていた
こなたは今まで以上につかさに話しかけ、事有るごとにつかさの名前を呼ぶ
それはつかさに対しての負い目とつかさの健気な姿勢に
みゆきの非情さが加わった結果『偽りの友情』が完成した瞬間だった

簡単に言えば、みゆきの頭脳によってつかさがこなたを手懐けただけに過ぎない



「ねえ、ゆきちゃん…そろそろ2日だよ~、はやく次に進もうよ~」
薔薇の香りがたちこめる浴室
やはり高級シャンプーの髪ざわりは液体石鹸と雲泥の差である
つかさはゲンナリした顔でみゆきに話しかける
みゆきはココナッツのローションで体をマッサージしていた
本当は昨日の内に話し合いをしたかったのだが、昨日の浴室使用権利はつかさとかがみにあった為
それがかなわなかった
つかさはかがみの痩せ細った体が頭に浮かぶ
健康な色香は消えうせ、頬はこけて髪はバサバサで白髪交じり
人間は精神を病めば外見も衰弱する
幸い他人からの支持によって体を動かす為、浴室への出入りは出来るし
ある程度の食事も取れるのだが声を荒げた命令口調でしか反応しない
「部屋にもどりなさい!」というつかさの言葉に「ひ!」と悲鳴を上げて走り去った姉の姿を思い出す
早く姉を救いたい、助けたい

「そうですね、そろそろ頃合ですか…では手順をお話しましょうか」
「…うん」

つかさはゴクリと喉を鳴らしてみゆきの言葉を一言一句聞き逃さない様、声に集中する
おまえとゲームがしたい(終末)
最終更新:2025年02月23日 15:00