表情
byオナ禁沖縄
そこは普通の学校の女子便所だった。
「う・・・、やめて、みゆきさん・・・・」
そのトイレで蹲るこなた。嗚咽をもらしながら、目に涙を浮かべていた。
何時ものおっとりとした表情とは正反対の暗い眼でこなたを見下す。
「何を言ってるんですか、泉さん。心当たり無いんですか、何故こんなことされてるか」
「知らないよ・・・・。私、悪いことしたならあやまるから・・・!」
そう言いながら頭を抱える。そんなこなたをみゆきは躊躇せずに横腹を蹴った。
「も・・・、もうやめようよゆきちゃん・・・」
みゆきの腕を掴むつかさが掴んだ。みゆきはつかさを無表情で突き飛ばした。
倒れはしないものの、悲しい顔をし、心配そうな目でこなたを見つめる。
「私は、貴女のその下品な言動や、傲慢な態度に嫌気が差してるんです。
貴女は私がいくら言っても耳を貸さなかったじゃないですか」
まだ蹴り続けるみゆき。もうこなたは完全に泣き出していた。
豹変しているみゆきに恐怖して、つかさは目をそらすものの人呼ぼうとはしなかった。
もう耐えられなくなったのか、こなたはついに嘔吐してしまった。
「だ・・・、大丈夫!?こなちゃん!!!」
駆け寄ろうとしたところ、みゆきに制されてされてしまった。
掴まれたりしてないが、威圧に圧倒されてつかさは何も出来なかった。
「助けて・・・・・、つかさ・・・・」
助けを求められるも、みゆきが前にいる以上、つかさにはどうしようもできない。
不甲斐無い自分が悲しくなり、つかさも泣き出した。
「あら、何でつかささんまで泣くんですか?笑ってくださいよ。
こなたさんが苦しんで、嘔吐してるじゃないですか、愚者にふさわしい姿です」
笑えと言われたが、優しい彼女にはそんなことが出来る訳が無く、俯いたまま泣き続けた。
こなたは自分の吐瀉物が気管に入り、むせ返っている。
その姿をみゆきは鼻で笑い、しゃがんで乱暴に髪を掴んで自分の顔に向けた。
「苦しいですか泉さん?私は楽しいですよ、貴女の醜い姿に愛さえ感じます」
髪を掴んだまま立ち上がり、揺さぶる。こなたはやめてと言おうとしたが、声にならなかった。
「こなたさん、これは愛ですよ。愚かな貴女を更正させようとしているんですから」
何を思ったのか、みゆきはこなたの顔をよせ、頬にキスをした。
つかさは頬を赤くして戸惑ったが、みゆきには見えてない。
髪を握っていた手を離した。こなたが床に倒れる。
「ですが、まだですよ。こんなんじゃたりません。私の愛をもっと受け取ってください」
またもこなたを蹴ろうと、足を振りかぶった。
「やめて!ゆきちゃん!!」
さすがに見てられなく、つかさが大声を出した。
つかさが大声を出したのは初めてだったのだろう。
みゆきは驚き振り向いた。その表情に決意めいたものは感じられず、ただ泣いている少女の姿があった。
その姿に酷く腹が立ったのか、みゆきは歯軋りをした。
つかさに近づき、張り手をくらわせた。
「痛・・・!」
つかさが尻餅をついた。
「まったく・・・、何なんですか貴方達は!?胸糞が悪いですね!
泉さん・・・、今日はこの位で勘弁してあげましょう。次は覚悟しておいて下さい。
行きますよつかささん」
涙を拭き、申し訳なさそうな目でこなたを見た後、みゆきに付いてトイレを出た。
こなたは体を丸くし、横たわって泣き続けた。
「おはよー・・・、かがみ・・・・」
「おっすこなた。・・・顔色良くないわよ」
感がいいのだろうか、かがみはこなたの異変に気が付いたようだ。
思わず本当の事を言ってしまいそうになった。だが、かがみの後ろで席に座っている
みゆきの微笑みが怖く、言い出せなかった。
「あはは、昨日徹夜でネトゲやっててさー、あんまり寝てないんだよねぇ」
無理やり何時もの調子に合わせる。上手くいったようなのか、かがみも笑った。
「それを言うなら今日でしょ!徹夜ばっかりしてたら、体に良くないわよ」
「そりゃないよかがみん」
一言一言、みゆきの顔色を確認しないと怖くて発言出来なかった。
つかさは、目をそらして外を眺め続けていた。
授業は何事もなく過ぎて行き、昼休みになる。
隣の教室のかがみも加わり、何時ものメンバーが集いこなたの机を囲んだ。
常にみゆきに見張られていて、まったく落ち着けなかった。
けれど、今はかがみが居る。朝合った時から、今まで待ち遠しかった。
何時ものようにチョココルネを頬張る私を見て、微笑んでくれた。
みゆきも、流石にかがみが正面に居る今、こなたを睨むような事はせず、何時ものように会話をした。
その表情からは、苛めをしているような感じはしない。だが、やっているのは事実だ。
突然かがみが、こなたの頬に指を伸ばしてきた。そして、頬を拭った。
「ほっぺたにチョコついてたわよ。そそっかしいわね」
まったく気付かなかった。ちょっとは気を使えばいいのに。私って下品だな。
「私・・・・・下品・・・かな・・・・・・・」
思わず口に出してしまった。
失言をしてしまった。普段の私はこんな発言をしない。
かがみに不信に思われる行動は控えるように、圧力をかけられている。
昨日の事でやや気弱になっていた。みゆきの方を見た、案の定不機嫌な顔をしていた。
気を利かせたつかさが口を開いた。
「またこなちゃんは冗談いって。内気キャラでもやるの?」
「そのぐらい気にしないわよ。こなたはそのぐらいが可愛いのよ」
かがみもフォローを入れてくれた。その後チョコの付いた指を頬張った。
「それにしてもチョココルネ美味しいわね。私も買おうかな」
彼女に共感を得られて、嬉しくなった私は、チョココルネへの愛を語った。
場の空気は和んだが、みゆきは一言も喋らず、黙々と食事を続けていた。
「みゆきさん・・・何、屋上に呼び出したりして・・・・」
不安そうな顔でこなたが聞く。
「それは、自分で分かってるんじゃないですか?安心してください、ここには誰も来ませんよ」
言い聞かせながらみゆきは、こなたの頬を撫でる。
何時もなら、こういうことをされると落ち着くものだが、
今のこなたにとっては、恐怖以外の何でもなかった。
「ねぇ、つかささん。今日は何をしましょうか?」
俯いているつかさに問う。つかさは何も答えない。
みゆきは一瞬、眉を顰めた。だが、どうでもよさそうな顔をし、
すぐにこなたの方へ顔を戻した。
「ところでこなたさん。貴女、とても年齢に合わない体系ですよね。
この間は、貧乳はステータスだとか何とか言ってましたけど、それって僻みですよね?」
気にしてる事を言われ、こなたは動揺を隠せない。
そして、静かに自分の胸に触れ、俯く。
みゆきは、頬にそえている左手でこなたの胸の突起を服越しに摘んだ。
「んっ・・・」
「ブラは、つけてないんですね」
そしてそのまま、左手を捻った。
「痛っ・・・・」
初めてこんなことをされたのか、一瞬竦み、泣いてしまった。
「ふふ・・・、泣いても許しませんよ。貧乳の方は感じやすいらしいですけど、貴女もそうですね。
つかささん、服、脱がしてやってください」
つかさは顔を横振った。だが、みゆきに睨まれ、逆らうことが出来なかった。
静かにこなたの服に手を掛ける。
「つかさ・・・・、やめてよ・・・・」
一瞬こなたの顔を見る。その目はとても悲しく、恐怖に駆られていた。
親友に酷い事をしようとしている自分を許せなかった。
だが、みゆきが見ているので、それも叶わず、目に涙が滲んだ。
「つかさ・・・・・」
「ごめんね、こなちゃん・・・、見ないから・・・!」
つかさは硬く目を閉じ、そのまま服を脱がせた。
「ふふ・・・、直に見ると、本当に小さいですね」
当然こなたは手で自分の胸を隠そうとする。
だが、みゆきに腕を掴まれてしまった。
「野暮なことしないでくださいよ。つかささん腕を掴んでいてください」
つかさは少しだけ目を開けて、こなたの後ろに回り腕を掴む。
ちょうど羽交い絞めのような形になった。そしてつかさはまた硬く目を閉じた。
「いい子ですね、つかささん」
そして静かにつかさの頭を撫でた。つかさは涙をながし、嗚咽をもらした。
そのまま、みゆきは手を強く握った。
「痛ぃ・・・、やめてゆきちゃん・・・」
そう言うものの、手を払えなかった。こなたの腕を掴んだ手を離すと殴られる。
「つかささん、目を開けてください」
みゆきはさらに力を強める。
「嫌・・・!」
さらに強く目を閉じて顔を横に振る。そのせいでみゆきの手が外れた。
みゆきは少しだけ微笑んだ、その笑い声にこなたは鳥肌が立った。
「まぁいいです。親友のこんな姿見たくないですよね。ふふふふ・・・・・」
みゆきはこなたの前に回り、胸に口をつけた。
「んぅ・・・!、やめて・・・」
こなたの反応を見て、みゆきはにこりと笑った。
その状態で背中に手を回して抱きつく。そして舐めた。
こなたの体が少し痙攣した。顔が赤くなっていく。
「こんなに感じてるのにやめろと言うんですか?」
みゆきはこなたの体を強く抱きしめ、舐め続ける。
何をされてるのか分からないのか、つかさは震えて泣き続けた。
5分程たった頃、みゆきが動きを止めた。みゆきの顔も赤くなっていた。
こなたは息が荒くなり、足が震えていた。
みゆきが不意に歯を立てた。体がビクっと震えた。
「ひ・・・」
こなたの震えを感じたのか、つかさが悲鳴を上げた。
「みゆきさん、離して・・・、千切れ・・・ちゃう・・・・」
さらに顎の力を強める。
「痛いよぉ!」
みゆきは口を離し、さらに一舐めした。
「つかささん、もう離してもいいですよ」
つかさは目を開け、すぐに手を離した。
こなたはその場に倒れ、大声で泣いた。胸が赤くなって、歯形が残っている。
そばにある自分の服を掴もうとしたが、みゆきに奪われてしまった。
「まったく、泉さんは淫乱ですね。服は預からせてもらいます。
行きましょうかつかささん」
みゆきが出て行った後、つかさは何度も後ろを振り返り、屋上を後にした。
「こなちゃん・・・」
私はみゆきの後ろに付いて歩いている。
親友の服を脱がさせられて、とても心が傷ついた。
今から謝って、こなたは私を許してくれるのか?
そのことばかり考えてしまう。
奴が彼女に何をしたのか知りたかった。こなたには、絶対に見ないと言った。
彼女は私を親友だと思っている、私もそうだ。
私には見られたくないだろうと思っての配慮、私も彼女の姿を見てられなかった。
だけども、知りたい。
奴は唐突に口を開いた。
「つかささん、私は目を開けろと言いましたよね?何故閉じていたのですか?」
何を言っている、推測は出来ているのだろう。
それを聞いて・・・・・・・・楽しみたいのか・・・・。
私は本気で奴に嫌悪を感じた。
だが、答えなければ又何かされる、それが怖かった。
「こなちゃんが・・・、私に見られたら悲しむと思うから・・・・・」
本音を口にした。
「ふふふ、親友ですものね。あんな雌豚みたいに感じてる所見られたくないですよね」
酷い奴だ・・、やはりあの音は・・・・。
奴は、指で自分の唇に触れ、微笑んでいる。下種野郎め。
もしかしたら、奴は虐めとは別に、楽しんでいたのかもしれない。
虐めを口実にして、こなたに性的な嫌がらせをしてるのではないか?
そう思い、私は奴に聞いた。
「なんで・・・・・、こなちゃんにあんなことするの?」
「そうですね・・・・、誰でも良いんですよ。本当の事を言うと、
虐めというのは本当に楽しいんですよ?つかささんもやってしまえば良いのに」
誰がやるものか。私は返事を返さなかった。
そして、奴に続いて教室に入った。
つかさは机の横に掛けている鞄を上げ、帰り支度を始めた。
荷物を詰めようと、中を弄る。その中に入れた覚えの無い青い布があった。
何だこれは?
そう思い手に取る。これは・・・、ジャージか?
何なんだ?私は入れた覚えが無い。
刺繍を見ると、泉こなたと書かれていた。それも御丁寧に刺繍を上に向けて。
私の鞄は手提げ形だ、通りかかるだけで中身が見えてしまう。
こなたが見てしまったら、私まで加担してると思われる。
奴に罵声を浴びせそうになった。そうなると拙い。手を握り、歯を噛締めてこらえた。
「つかささん、私はもう帰りますので。つかささんもまっすぐ帰ってくださいね」
ああ、さっさと帰ってくれ。もちろん、それは口に出さない。
「ゆきちゃんも気をつけてね・・・」
奴は教室から出て行った。これで今日も開放された。
ほっとし、胸を撫で下ろした。
それより・・・、こなたが心配だ。
上半身は何も着ていない、流石に寒いだろう。
それに、あのままじゃ帰ることも出来ない。
彼女は親友だ、きっと私を許してくれる。
つかさは信じ、ジャージを抱きかかえ屋上へ向かった。
寒い・・・・・・・。
上半身は何も着ていないし、ここは屋上。寒いに決まってる。
それにこの姿じゃ帰ることも、服を取りに行くこともできないよ・・。
何か羽織る物ないかな?
そう思い、こなたは周囲を探索する。けれどもあるのはコンクリートから剥がれた小石位だ。
皆仲良かった頃、ここでよく昼御飯食べたなぁ、みゆきさんとつかさの弁当がおいしくてよく取って食べてた。
今思えば、とても下品なことしてたな、聞いてから取ればいいのに。
私はよくはしゃいで迷惑も皆に迷惑もかけてた、みゆきさん怒ってたんだ。
みゆきさんは言ってた、私が下品だって。
そういえば私、馬鹿みたいにはしゃいでオタクみたいな言動ばかりしてた。
彼女も笑ってたけど、それは表面だけだったんだ。
そうだよ、みゆきさんは悪くないよ・・・。皆私が悪いんだ。
ごめんね・・・・みゆきさん・・・・・・・・。
バタンと大きな音をたて、扉が開いた。
こなたは驚き振り向いた。そこにはつかさがいた。
「こなちゃん、大丈夫!?早くこれ着て!!」
つかさは駆け寄り、ジャージをこなたに被せた。
「つかさ・・・何で戻ってきたの?みゆきさんに見られたら・・・」
「大丈夫、もう帰ったよ。こなちゃんごめんね。助けてあげられなくて」
言いながら、こなたを抱きしめた。
「つかさ・・・・?」
こなたはつかさの体が温かく感じた。
裸で屋上に放置されていた事もあるが、それだけではなかった。
「つかさ。私裸だよ?」
「ご、ごめんねこなちゃん!」
つかさは気付いて、すぐ体を離した。
もう少し抱きしめていて欲しかったけど、流石に恥ずかしい。
つかさは、はだけてるジャージをちゃんと着せ、話し始めた。
「私ゆきちゃんに脅されてるの」
こなたとつかさは階段を下りていた。
よほど寒かったのか、こなたはジャージの袖を伸ばして手を覆い、肩を抱いていた。
その姿を見て、つかさは肩を掴んで寄り添い、体を温めてあげた。
こなたは俯き、頬を赤くした。そして、話し始める。
「こなちゃん。お姉ちゃん一週間前だったかな。大怪我はしなかったけど、
階段から落ちたでしょ?あれゆきちゃんがやったんだ」
「え・・・・・?」
驚いてつかさの顔を覗く、だが嘘をついているような目をしていなかった。
その目に、涙が滲む。
「それで、従わなかったら家族にもっと酷い事するって言うから・・・・、逆らえなくて・・・。
ごめんねこなちゃん・・・・」
そうか・・・・、よかったつかさが自分から従ってないって、ちゃんと分かった。
気も弱いのに一人で悩んで、辛かったんだね。
嗚咽をもらし、泣くつかさが華奢に感じ、そして愛おしかった。
こなたは立ち止まり、つかさを抱きしめてあげた。
つかさは驚き、息を呑んだ。
「大丈夫だよつかさ、話してくれてありがとう」
「こなちゃん・・・、私あんな酷いことしたのに・・・・」
それでも泣くつかさが可愛く思う。もしかしてこれは恋かもしれない。
つかさを少し強く抱きしめた。
下心もあった、だけどつかさを落ち着かせたい気持ちの方が強かった。
「いいんだよ。私怒ってないよ」
ここは階段の途中で、誰かに見られるかもしれない。
だが、そんな事はどうでもいい。
今は、つかさの髪と汗、涙の匂い。そして、肌の感触を味わった。
あの後私は、こなたと談笑しながら帰った。
最初は、暗い顔をしていたが、徐々に笑顔が戻ってきた。
途中雨が降った。こなたが偶然持ち合わせていた傘に入れてくれた。
私が濡れないように気を遣ってるのか、傘の端によってくれた。
その気持ちは嬉しい、でも私も彼女が濡れてしまったら困る。
そっと彼女を抱き寄せた。あわわわ、とか言って顔を赤くしている。
まったく可愛い奴だ。
ここからは違う道、私はこなたに傘を返そうとした。だけども彼女は受け取らなかった。
「つかさは服濡らしたら透けちゃうよ。私はジャージだから大丈夫!」
そう言って傘を押し付けてきた、その気持ちが嬉しかった。
私は泣いてしまいそうになった、それをこらえる。
「でも、この傘こなちゃんのだよ?」
「いいって、いいって、じゃぁまたね!」
傘を手渡し、行ってしまった。頭をに手をかざし、走る姿がまた可愛かった。
こなたから借りた傘、それを抱きしめる。まだ彼女のぬくもりが残っていた。
私は柄に頬を寄せた。とても暖かく、離したくないほどに愛しく感じた。
私は彼女に恋をしていたかもしれない。
家に着いた。傘を折りたたむ。
こなたから借りた傘・・・・。
彼女の傘・・・・・・・・・。
恋人の・・・・、
もう一度傘を強く抱きしめた。体が濡れてしまった。
そうならない為に彼女は、それを貸してくれた。複雑な気持ちだった。
そのまま傘を抱きしめ、自分の部屋へ運ぶ。
そして鍵を閉めた。
ベッドに横たわり、口をつけた。
この部位はこなたは一度も触れていないだろう、でも彼女を感じることはできた。
雨で濡れていて、そのビニールの表面の舌触りが心地よい。
三十分は舐めていただろうか、私はとても興奮していた。
唾液と雨で濡れている、カビが付いてしまう。
私の愛用してるタオルで拭く。その傘を彼女だと思いながら。
自分もびしょびしょだ。このままでは、出歩けない。着替えようと服を脱ぎはじめる。
上着から順に脱いでいく、まだ体は震えている。
パンツに手をかけ、少しだけ下げた。
愛液が糸を引いていて、傘とはいえ彼女の私物でこんなにも興奮できた自分が嬉しかった。
気がついたら、傘の先を自分の秘部に挿入し、自慰をしていた。
シーツに血が滲んでいる。
私は処女だったけれども何も思わなかった。
彼女になら捧げても良かった。
内部を傷つけないようにそっと抜く。最中は気が付かなかったが、少しだけ痛い。
私の血と愛液で濡れてしまっている、タオルで優しくふき取って、また抱きしめた。
取っ手の方にキスをする、頬を赤らめているこなたの姿が見えた。
幻覚だと分かっている、それでもいい抱きつこうと近づく。
その幻覚を抱きしめた。
おかしい、何故か暖かい。肌に感触もある。
たしかめようと腕を離し、後ろに下がった。
「おねぇ・・・・ちゃん・・・・・・・?」
そこにはかがみがいた。おかしい、鍵は閉めていたのに・・・・。
見られた・・・。私はその場に尻餅をついた。
かがみは驚いたような顔で、私を見つめている。
姉は大好きだ、その姉にこんな姿を見られてしまった。
いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ
見ないでよ、私を見ないでよ・・・・。
かがみが次に何を発するか、怖い。
それよりもこれ以上見られたくない、早く・・・・・・・・出て行け・・。
「大丈夫!?あんた血が出てるわよ!」
姉が私に寄ってくる。いやだ怖い、近寄らないで・・。
こんな姿見られたくない・・・・・・・・。
私は彼女を突き飛ばした。姉は後ろに倒れ、壁に頭を打った。
「痛・・・」
手で頭を押さえている。
「早く出て行ってよ!見ないで!」
「でも・・・・」
ろれつが回らず、声にならなかった。
「見るな・・・早く・・・出て行けぇ・・・・!」
私は気絶した。
頭を怪我してしまった。確かに勝手に鍵を開けて入ったのは拙かった。
つかさは乱暴な事をする子じゃない。それほどまでに気が動転していたのだ。
何度ドアを叩いても返事をしなかったので、私も心配だった。
彼女が何をしていたか周りを見れば分かる。私には、見られたくなかったのだろう。
このままでは拙い、とりあえず服を着せないと。
つかさのパジャマを探すが、なかなか見つからない。
見つけた時には、部屋はかなり散らかっていた。まぁいい。
血が付いてたら服を着せれない。拭かなくては。
そばにあるティッシュを一枚取り、唾液で湿らせた。
流石に恥ずかしい。左手の人差し指を軽く噛んで落ち着かせた。
多分私の顔は真っ赤になっていただろう。
つかさの秘部を起きないようにやさしく拭く、少しだけ生えている毛の触感を感じた。
服を着せ、私の部屋運ぼうと抱きかかえる。
少し手間取ってしまった。子供の頃、負ぶって上げたことがあった。
その時よりも遥かに重い。
彼女ももう大人なんだな。あんな事するようになって。
私はくすりと笑い、つかさを私の部屋のベッドにそっと横たわらせた。
部屋の片付けと、シーツを洗わなければならない。
私はつかさの部屋に戻った。
目が覚めた。怖くて目が開けられない。
何故かベッドで寝ている。姉が運んだのだろうか。
服も着ている、だとしたら私が何をしていたか分かっているだろう。
今は正気を保っているが、姉の顔を見るのが怖い。失望されてるかもしれない。
こなたの傘には名前が書いてある。それを彼女は確実に見ている。
姉に嫌われたくないのもある。けれども、こなたに嫌われるのがもっと嫌だった。
ドアが開いた音がした、おそらく姉だろう。
近寄ってくる、私は何を言われるんだ。嫌いだと言われるかもしれない。
それとも嘲笑されるのか、どちらにせよ辛い。
ベッドが軽く軋み、何か暖かいものが頬に触れた。
「つかさ、起きてるんでしょ。目を開けて」
私はその言葉に誘発され、目を開けた。
そこにはかがみがいた。心配そうな目で私を見つめている。
そして、ベッドに座り、優しく私の頬を撫でている。
私は泣いていた。
「お姉ちゃん・・・・、私のこと嫌いになった・・・・?」
恐る恐る口にする。その言葉を発するのが怖かった。
「心配しなくていいよ。私はつかさのこと嫌いにならないから。だから、泣かないで」
私は安心し、声を上げて泣いた。顔をしわくちゃにして泣いた。
姉に見られないよう、腕を顔の前にやった。誰でもそうするだろう。
その腕をそっとどかし、姉は私を抱きしめてくれた。
私も、姉の背中に手を回した。
「お願い・・・・、こなちゃんには言わないで・・・・・・・」
姉は無言で頷いてくれた。見えてはいなかったが、体で感じた。
翌日つかさは学校を休んだ。おそらくこなたにあわせる顔がないのだろう。
怪しまれないように、取り敢えず風邪ということにしておいた。
仮病になってしまうが、今のつかさの状態だと勉強に気が入らないだろう。
私は母に、つかさは風邪をひいているからそっとしておいてくれと言い、家を出た。
途中こなたと合流し、つかさが休むということを伝えた。
彼女は風邪で休んだ程度なのに、とても悲しい顔をする。
顔には出さなかったが、私はこなたの俯いた顔に、一種のときめきのようなものを感じていた。
何故かこなたのこの表情を見ているだけで幸せになれた。
午前の授業はあっという間に終わり、昼休みになった。
クーラーがききすぎていたのか、腹を下してしまった。まったく糞事務野郎め。
私は急いで便所に行き、用を足す。
とても痛くて、予想外に20分もかかってしまった。その間人が入ってこなくて良かった。
そんな自分に失笑する。レバーを引き、水を流した。誰もいないか確認した後、
ドアノブに手をかける。
足音がする、私は手を離し、壁にもたれかかった。
扉の隙間から外を覗く。そこから制服と、青い髪が流れていく。
そして聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「みゆきさん・・・、こんなところに連れてきて何・・・?」
隙間から見える限り、体を右に傾ける。そこには、今朝あった親友の姿。
こなただった。
みゆきの姿は見えない。おそらくは、入り口付近に立っているのだろう。
「こなたさん、跪いてください」
私は耳を疑った。みゆきの口から発せられる言葉とは思えなかった。
けれども声色は紛れも無い、みゆきのものだった。
こなたは言われるままに跪く。私はそれに合わせて体制を崩す。
そこに誰かが近づいてくる。灰色の綺麗な足、ストッキングを履いているのはみゆき位だろう。
みゆきの顔も確認しておこうとした。だが、こなたの表情に私は目を奪われていた。
それほどまでに今の彼女は魅力的だった。
俯き、それにあわせてしぼむ肩、そこから生み出されるその悲しい表情。
人に知られたら、酷く嫌悪されるであろう。
それを自覚した上でも見つめていたいほどに、美しい。
みゆきが話し始めた。
「今日は何をしましょうか・・・・?そうですね、取り敢えず靴を舐めてください」
いままで、美人で成績優秀、性格も穏やかな彼女に憧れていた。
その彼女が、今のような下劣な台詞を口にするはずが無い。
けれども、しっかりと彼女の声で発音されている。
今の彼女には、こなたに酷い事を言った事による憎悪の念しかなかった。
私は驚きながらも、助けに入らず事を見据える。
「嫌だ・・・・、みゆきさんはこんなことする人じゃないよ・・・・」
みゆきは顔を顰め、こなたの頬を靴で小突く。
「ガタガタ言わないでください。昨日、つかささんと一緒に帰るのを見ましたよ?」
心当たりがあるのか、こなたは体を一瞬痙攣させる。
そうか、つかさは傘をあの時借りたのか・・・。
みゆきは続ける。
「仲よさそうに、相合傘で。まったくつかささんは聞き分けの無い子です。
殴ってやろうかと思いましたが、生憎休みですしね。
そこで慈悲深い私は考えました。今こなたさんが、靴を舐めれば、つかささんには
何もしません。どうします?私はかまいませんけど」
こなたは涙を流し、体を振るわせ続ける。取引を飲んでも、つかさは酷い目にあわされるだろう。
でも今靴を舐めなければ、機嫌が悪くなり、つかさがどうなるか分からない。
舐めるしかなかった。
こなたは嗚咽を洩らしながらも、靴を見つめる。そして顔をそっと近づけていく。
靴が唇に触れた。
私は今にも扉を開け、飛び出していきそうだった。
こなたがみゆきなんかの薄汚い靴を舐めている。それだけで理由は十分だった。
顔は髪が垂れ下がっていて、あまりよく見えない。だが、落ちてくる涙は視認できた。
不意に、こなたは腕を回して足を抱きしめた。そして、目を硬く閉じる。
何かに縋って、屈辱と恐怖から逃げたかったのだろう。けれども、それはみゆきの足だ。
いくら縋ろうが、助けてくれるはずが無い。
ましてや彼女では、助けるどころかさらに手を加えるだろう。
奴はこなたを見下しふふふ、と嫌らしい笑いを浮かべている。
憎い、奴が憎くて仕方が無い。でも、こなたの悲しんでいる表情が見たい。
硬く閉じた目、小さく柔らかい唇から覗く舌、それが靴を這い軽く撓る。
それが髪でやっと見える程度に隠れる。
彼女の憂いに満ちた顔。無理な姿勢をとって震えている足。
まるで愛しい人を抱きしめているかのような腕。
パーツの一つ一つが、絶妙なコントラストをかもし出していた。
その姿をいつまでも見つめていたい。私は瞬きもしなかった。
予鈴のチャイムが鳴った。
みゆきは足を後ろに下げ、後ろを向いた。靴が歯にあたり、こなたは「あぅ・・・・」と声を洩らした。
「それでは私は教室に戻ります。こなたさんも早く来てくださいね?」
捨て台詞を吐き、去った。
今出て行って、こなたを抱きしめてあげたかった。ドアノブに手をかけようとした。
一瞬考え、思いとどまる。私はある重大なことを忘れていた。
私が中で見ていたことを、どうやって説明する?
出来るわけが無い。出て行ったとして、激しく絶望されるだろう。
グルになってるとも思われる、そうしたら友の縁を切られる。それは嫌だった。
私はそのまま扉の隙間から、彼女の顔を見つめていた。
横たわるこなた、それを見つめる私。その状態が20分は続いただろうか。
既に授業開始の鐘は鳴り、生徒は居るべき場所に居て、勉学に勤しむはずだ。
だがここは便所、明らかに異端だった。
私が個室に居る1時間弱、一切誰も入ってこなかったのが異様であった。
5分ほど前に、蹲る姿勢から横たわる姿勢に変わっている。
そのとき目が合ったが、気付いているのは私だけでこなたは分からなかったようだ。
私の学校の便所は、扉の外側が少しもりあがっていて、下からでも中が見えないようになっている。
その構造のおかげで足を見られずにすんだ。
こなたはまだ泣いている。唇を拭くようなこともしていない。
そんな事に気が回らない程、悲しかったのだろう。
「みゆきさんはこんなことする人じゃない」
そうは言っていたが、こなたが元気を無くしたのは一週間前。
その間苛められ続けても信じていたんだと思う。
タイルには、彼女の涙で小さい水溜りが出来ていた。
「うぁ・・・・」
私の携帯が鳴った。バイブだったので鳴ったと言うわけではない。
胸ポケットに入れていたため、少しだけ感じてしまった。
声が・・・・・、拙い・・・こなたに・・・・・・・、
気付かれなかった。
耳をすませてみると、寝息が聞こえた。泣きつかれて寝ているのだろう。
とてもいい寝顔だった。扉を開け、しゃがんでこなたの唇を舐めた。
起きてしまわないように、そっと。舌を十往復位させてキスをする。
彼女はみゆきに靴を舐めさせられた。それを少しでも清めてあげたかった。
ポケットからハンカチを取り出し、こなたの手に握らせた。私が拭いたら、流石に起きてしまう。
立ち上がって、手を洗った後、便所をでる。
携帯を開いてメールを確認した、さっきの着信はみゆきからのものだった。
みゆきからのメールを見た後、私は授業をサボった。
精神的に傷つくことを書かれていたわけではない。その内容は、こっちとしては好都合であった。
こなたを酷い目にあわせておきながら、彼女は今頃普通に授業を受けているだろう。
それに酷く腹が立つ。こなたはこんなにも苦しんでいるのに、彼女は平然としている。
奴にこなたと、同じ苦しみを味合わせてやる。
いや、その数十倍の苦しみを与えないと気がすまない。
罪悪感なんか無い、寧ろ快感だ。これから奴に、苦しみを与える。
自分が優位に立っていると思っているところを地に叩き落す。実に楽しい。
そのためには準備をしなくてはならない、道具が必要だ。
簡単に入手できて、なおかつ怪しまれない。工具の類がいいだろう。
それを買うために、私はホームセンターに向かった。
ロープとビニールテープ、それとペンチを買った。これで十分だろう。
時間的には放課後になっていた。
これでこなたを救ってあげられる。奴に然るべき報いを食らわせられる。
それを考えるだけで興奮する。今にも実行してやりたい。
まっててね・・・・・こなた・・・・・・・・・。
「うわっ・・・!」
なんだ、また携帯か。スカートのポケットに入れれば良かったか。
今は学校を抜け出している。変に注目されてはいけない。
画面をみた、こなたからの電話だった。私はすぐに携帯を開き、通話ボタンを押した。
「
もしもし、どうしたのこなた?」
あくまで平然を装って会話をしなくては。
「つかさが・・・、みゆきさんに殴られた。助けてかがみん・・・・・」
なんだつかさか、何をしたんだ馬鹿妹め。一応何故そうなったのか聞いてみる。
「つかさが、私のこと助けたから・・・。私のせいだ・・」
そうか、おおよそ便所で寝ていたこなたを起こして、慰めてるとこを見られたのだろう。よけいな事をするからだ。
「それで、こなたは大丈夫なの!?」
つかさはどうでもいい、こなたが心配だ。
「大丈夫・・・。屋上に居る、私は見つかってないから・・・・」
屋上か・・・・、みゆきが私を呼び出した場所だ。そろそろ約束の時間だ、ついでに助けてやろう。
こなたの事だ、助けに入ると彼女まで殴られてしまう。念を押しておかなくては。
「今すぐいくから、こなたはそこでじっとしておいて!!」
取り敢えずあせったような声を出し、電話を切った。
彼女はいい子だ。多分私のいう事なら聞くだろう。ひとまず安心だ。
今までのペースで歩く、特に急ぐような事もしなくていいだろう。殴られてるのはつかさだ。
畜生つかさの野郎、こなたといちゃいちゃしやがって。彼女は私の恋人だ。
奴は私がこなたの事が好きなのを知っていたはずだ。そのことで一度相談した事もある。
私が違うクラスだから、一緒に授業を受けている分親しくはなるだろう。
家でも私にこなたの授業態度とか、私の見ていない所を綿密に教えてくれたりもした。
今まで彼女に感謝していた。だが、昨日奴は何をした?姉の恋人の傘で、
本当に許せなかった。部屋を片付けた時に気付いた。
つかさの寝顔は人の恋人に手を出したと思えないほど安らかだった。
あの時、そのまま頬を抓ってやろうかとも思った。しかし、姉の立場上そういう事は出来ない。
あのまま抱きしめるしかなかった。そういうことをしておくと、私の株も上がるだろう。
今は別に見られている状況でもない、販売機でジュースを買ってベンチに座り、一息ついた。
みかんジュース、飲むの久しぶりだな。
そういえばこなたと初めてあった時、彼女が飲んでいたのはみかんジュースだった。
彼女の、ハイテンションな態度に戸惑いはしたが、あの人を和ませる性格に惹かれていった。
体操服を盗んで、それを嗅いで自慰までした。これほどまでに彼女を愛している。
それに手を出したつかさなんてどうでもいい。寧ろ死ねばいい。
そろそろ、行かなくては疑われる。よっこいせと立ち上がって背伸びし、また歩き出す。
「ふぅ・・・・・」ため息が出た。こなたの顔も見たいし、少しぐらいは急いでやろう。
あと薬局に行かないとな。
学校についた。10分はかかったが、その間ずっと殴られているならばお笑いだ。
校門をくぐって、誰にも見られないように校舎に入る。
屋上に上がる前に、適当な教室からモップを取った。これも買おうとしたが、持ち運びが面倒だったのでやめた。
階段を上っていく。誰にも合わないように、特に自分のクラスの奴には。
自分の足音が響く、まるで誰も居ないようだ。そういう訳も無い。
階段の先に、屋上の扉の横に体育座りの姿勢をとっているこなたが居た。
私は駆け寄って抱きしめた。彼女も抱きしめ返してくれた。嬉しかった。
体を離して、こなたに言いかける。
「みゆきと話をしてくるから、つかさを連れて下に下りて」
冷静に、落ち着かせるように言う。彼女は頷いてくれた。物分りのいい子で助かった。
扉をくぐった。蹲るつかさを蹴っているみゆきの姿が見える。まったく奴は下種だな。つかさだからいいが、
気付かれないように足音を消して近寄り、モップに力を籠める。
つかさと目が合った。妹は「お姉ちゃん・・・・」とむせ返りながら言った。
まったくどこまで馬鹿なんだ・・・・・・・糞妹め。その声を聞いて、奴は振り向いたがもう遅い。
私はモップで奴を思い切り殴りつけた。
最終更新:2022年05月05日 10:44