キャラ崩壊させずに自殺SS


「う~ん……」

いつものように4人で集まり昼食をとっているわけだが……。
普段アニメの話題とかを真っ先に振ってくるこなたはチョココロネを齧りながらも先ほどからうなり続けている。
だが、つかさとみゆきがどうかしたのかと聞けど『ううん、なんでも無いよ』、かがみが聞けば『おや、心配してくれるのかね?』ときたものだった。
なのでそんな大した事でも無いのだろうと他の3人は検討をつけていた。

「自殺しようかなぁ」

飽く迄心の中だけにとどめるつもりだった言葉が、口の外へと漏れてしまった。
しかしいけないと思う前に、すでに周りは三様の反応を示す。

「ハァ?」
「え~こなちゃん自殺しちゃうの?」
「あらあら……」

でかい漫画汗をかきながらまた何を言い出すんだコイツ、と呆れるのがかがみ。
目を縦長のあれにしつつも、こなたの突拍子の無さにはある程度耐性がある返事を返すつかさ。
頬に手を当てながらも、やはり優しい笑顔のままでいる、その突拍子の無さがこなたの良さである事を理解しているみゆきと言う形だ。

「いやぁやっぱ高校卒業まで後半年くらいでしょ」
「だけど……まさかアンタまだ進路決めてないとか?」
「オウイエスなのだよかがみ」
「で、それで将来に夢も希望も無いから自殺しよー……ていう事?」

満面の笑みで肯定するこなた……もはや救い難い、と言わんばかりに本日一番のため息をつく。
これには流石の天然つかさも苦笑い。
それにしてもこのこなた、ノリノリである。

「でもそれ分かるなー、高校卒業したらみんなバラバラになっちゃうもんね」
「実に泉さんらしい考えかと思います」
「二人ともこの他一名とは違って話しが通じるから助かるよ」

残ったチョココロネを一口で頬張るこなたは、すぐ横でかがみが四つ角を出している事には気づかないご様子。

「でさー、今日辺り実行に移そうと思うんだけど……」
「やたら急ね、もうちょっと遣り残した事とか探した方がいいんじゃないの」
「いやいやこういうのは思いついた時がいいのだよ。丁度好きなアニメの最終回も昨日だったしね」
「ふみ、一理あるわねって…………思いつきかよ! 自殺するとかなんとかそんな大事な事!!」
「おわかがみん、ノリ突っ込みのスキルをいつの間に!?」

「まぁまぁ二人とも……」
やたらと騒がしいこなたとかがみの間につかさが割ってはいる。
クラスメイト達はこの二人が突然騒がしくなる事なんてとうの昔に馴れているのだが、
それでも一応…… 一 応 一般人であるつかさとしてはこの状況はちょっとやり辛いのだ。

「まぁというワケで、お父さんやゆーちゃんにも挨拶はすませてきたからちゃっちゃとすませたいんだよ。
あ、ちなみに二人とも笑顔で私を見送ってくれたから心配しないで」
「あんたのところは相変わらずと言うか……」
「とてもいいお父様ですね」

ちなみにみゆきは皮肉などでは無く本気と書いてマジで言っている。

「こなちゃんはもう自殺の方法は考えてるのかな?」
「まあね。シンプルに首吊りでいいかなって」
「それはちょっと止めといた方がいいんじゃない? 結構苦しむって言うし……」
「確かに……それもありますが、全身の筋肉が緩んで排泄物の処分にも苦労しますからね。
別の方法がいいかと思います」

「電車に轢かれるなんてどう?」
「NON。だって電車に轢かれるって後の人の処分に大変じゃん。 睡眠薬を服用」
「それは……え、あ。 NON……/// 漫画と違って睡眠薬と言うものは実際は処方箋が無ければ購入できないんですよ……」
「それにしてもゆきちゃん、良く知ってるねー」
「私も昔は、結構やってましたから」

「となるとやっぱアレかねえ……リストカット」

ヘルシングパロディには五行で飽きたらしく、指を立てながらメジャーな提案を行う。

「ええ、それでしたら私も一番ためしましたけど……ただ死ぬのに時間がかかると言う難点が」
「それだったら大丈夫だよ、ゆっくりいろんな事思い出しながら死ぬってのも結構オツかもしれないしさあ。
あ……でもお父さんにはもう挨拶してきたんだった……」

リストカットのためには、血が固まらないためにお湯の張った風呂桶が必要なのだ。
しかし父親に挨拶をした手前、今更自宅には戻りづらい。
どうしたものかと考えていたら……。

「よければ、ウチのお風呂場貸すけど?」
「お、かがみそれマジ?」
「いいけど……その代わりあんまりお風呂場の外に血とか散らかさないでね。
これから死のうとする人間に何もしないってのも悪いから手伝うけど……」
「いやーやっぱかがみんは頼りになるツンデレだよ~」
「こここら止めんか!」

頭をグリグリと撫でられ抗議声を上げるが、もちろんそんなモンお構いなしだ。
久々のデレかがみなのだから存分に可愛がらなければと
「よ~し、よしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし
よしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし……
立派なデレだぞかがみん。角砂糖を投げてやろう」
「やーめーれ~~! いらんわ!」

そんな光景を微笑ましく見ていた天然二人だが、やがてチャイムが鳴った。

「ほんじゃ放課後にねー」
「じゃ、またな」

自分の教室に戻ろうとするかがみだが、直前で振り返りこなたに言葉を向ける。

「言っとくけど、あんたみたいのでも居なくなったらさびしいから……できれば考え直しなさいよね」

それだけ言って出てってしまった。

「まさかかがみん……そこまでツンデレのスキルをあげていたとは……ッ!」

そんな事を呟くこなたなのだった。
最終更新:2024年04月20日 11:41