邯鄲の夢
by (≡ω≡.)神奈川
「Zzz(≡ω≡.)」
そうじろう「こなた~ 起きろ! もう7時だぞ。月曜から遅刻するのか? 」
「むぅ…… 朝か。 (ノω≡.)?」
そうじろう「やっと起きたのか。もう30分だぞ。早く出ないと遅刻するぞ? 」
「大丈夫だよ。私の俊足を活かせば余裕余裕。 (≡ω≡.)」
そうじろう「何言ってるんだ。そうやっていつもギリギリじゃないか。馬鹿な事言ってないでさっさと行け。お父さんも今日は朝から打ち合わせなんだよ。」
「そうなんだ。頑張ってね~ (≡ω≡.)」
「それじゃ、行ってきま~す。 (≡ω≡.)ノ」
「(さて、走りますか。今からなら急行に間に合うね。) ヘ(≡ω≡.)ノ≡≡3」
「(……) ヘ(≡ω≡.;)ノ≡≡3」
「(なんだろう? なんかいつもよりスピードが出ないな。それになんか疲れる。) ヘ(≡ω≡.;)ノ≡≡3」
「ハァハァ…… おかしい。もう息が切れてる。週末ずっとネトゲしてて鈍ったかな? とにかく急がなきゃ! (≡ω≡.;)?」
黒井「で? 今日はなんで遅刻したんや? 」
「電車がいつもより早く出ちゃって…… 困るよね、時間は守ってくれないと。 (≡ω≡.)」
黒井「バカ! T武は今日もちゃんと走ってたで。ったく、時間を守らなきゃいかんのわお前の方や! 」
「ごめんなさ~い。今度ネトゲのレアアイテムあげるから、今日の所は許してよ。 (≡ω≡.)♪」
黒井「はぁ? 要らんわそんなん。罰として、明日の放課後小テストやるからな。覚悟しとき。」
「マジ? それは勘弁してよ~ 激レアだよ? 良いの? (≡ω≡.;)?」
黒井「ええからええから、さっさと席に着かんか! しまいにゃ怒るで! 」
「……は~い。 (≡ω≡.)」
黒井「さてと、まずはこの前の中間試験の結果返すで。呼ばれたら前に取りに来な。」
黒井「阿部…… 安藤…… 石川…… 泉! 」
「(うわっ! 赤線が3つ! 一夜漬けしたのに~ ) Σ(≡Д≡.)!」
「(つかさはどうだろ? 同じくらいかな? ) (≡ω≡.)?」
つかさ「みゆきちゃんはどうだった? 」
みwiki「概ね90点台ですね。つかささんは? 」
つかさ「私はね――」
「つかさ~ 点数見せ合いっこしよ! (≡ω≡.)」
つかさ「えっ? い、良いけど…… はい。」
「さて、つかさは赤点幾つかな? (≡ω≡.)♪」
「……つかさ~ これみゆきさんのでしょ~ ちゃんと見せなよ! (≡皿≡.#)」
つかさ「はぁ? 何言ってるの? 私のよ。」
「え~? って本当だ。 (≡ω≡.;)」
つかさ「もう返してもらって良い? 」
「う、うん。ありがと…… (≡ω≡.;)」
みwiki「泉さん、何だったんでしょう? 」
つかさ「さぁ? いつも何考えてるか分からないしね。」
キンコーンカーンコーン
「(お昼だ~ とりあえず購買でコルネ買ってこよ) (≡ω≡.)♪」
「(うしし! 今日は2つも買っちゃったよ。)(≡ω≡.)♪」
「(あれ? つかさ達が居ない。どこ行ったんだろ? ) (≡ω≡.)?」
「ねぇ、つかさ達知らない? (≡ω≡.)?」
女子生徒「えっ? あぁ、柊さん? 昼はいつも隣のクラスに行ってるみたいだけど? 」
「隣? かがみんの所か。ありがとう。 (≡ω≡.)」
女子生徒「う、うん…… 」
「かがみ~ん。居た居た。酷いよ~ 黙ってこっちで食べてるなんてさ! (≡ε≡.)♪」
かがみ「えっ? えっ? えっと…… 」
みwiki「泉さん! 何か用ですか? 」
「用も何も、いつも一緒にお昼食べてるじゃん! ヽ(≡ω≡.)ノ」
かがみ「!?」
みwiki「え~っと…… 」
「えへへ~ 今日はコルネ二つ買ったよ~ おひょひょ! チョコが垂れそうだ。ペロペロ ξ(≡ω≡.)」
つかさ「ちょっと! 何か勘違いしてるみたいだけど、慣れ慣れしくしないでよ! 」
「ほへっ? (≡ω≡.)?」
つかさ「朝から何かと話しかけくるけど。泉さん! 確かにクラスメイトだけど、別にあなたとは友達でもなんでもないじゃない! その辺の空気は読んで欲しいな。」
「つかさ? 何言ってるの? (≡ω≡.)?」
つかさ「だから、何でそう慣れ慣れしいの? 私、あなたに名前で呼ばれる筋合い無いんだけど? 泉さん。」
「つかさ~ ツンデレ似合わないよ~ そう言うのはかがみんに似合うんだから。 (≡ε≡.)」
「ほら、かがみんからも言ってあげてよ。 (≡ε≡.)」
かがみ「あ~ え~っと。あなた誰? 」
「かがみん…… (≡ω≡.;)」
かがみ「つかさのお友達? じゃないみたいだけど、どこかで会ったかな? 」
「ふざけるのもいい加減にして! 何? イジメ? 私が何したっての! えっ!? Σ(≡皿≡.#)!」
みwiki「泉さん! 」
「痛っ! みゆきさんまで! Σ(≡皿≡.#)!」
みwiki「ふざけているのはあなたの方です。別に私達と仲良くしたいのなら、それ相応の手順と言うのがあるでしょ。」
みwiki「それをいきなり踏み込んできて勝手にまくしあげて。失礼ですが、あなたとは良いお友達になれそうもありませんね。」
「なんだよ! 3人で虐めかよ! 良いよ、そっちがその気ならこっちから願い下げだよ! バ~カ! 凸(≡皿≡.#)!」
かがみ「つかさ? みゆき? 何なの? 私、全然分からないんだけど? 」
みwiki「それは私もですわ。」
つかさ「あの泉って娘、いつもクラスで浮いてるんだけど、今日は特に変なんだよね。」
かがみ「どんな娘なの? 」
つかさ「なんか暗くて、ボソボソ喋って。なんか休み時間とかアニメの雑誌かなんか読んでるんだよね。」
かがみ「へぇ~ 俗に言うオタクって奴? 」
みwiki「そうですね。それになんかお風呂に入ってないのか近くに行くと臭いですし、口もなんか病気らしいですわ。」
つかさ「え~ それ初耳だよ。さっき喋ったけど感染しないよね? 」
かがみ「なんか食欲なくなってきたね…… 」
「ったく、なんだよ3人とも。いきなり下手な芝居し始めてさ。 (≡皿≡.#)」
「放課後にもう一度問い詰めてみよ。 (≡皿≡.#)」
「やばっ! 誰か来た。 Σ(≡ω≡.)!」
女子生徒(別)「ちょっとトイレ行ってくるね~」
女子生徒(別2)「うん。分かった。」
「モグモグ (≡ω≡.)」
女子生徒(別)「何? なんかチョコ臭くない? 」
「(ううっ…… トイレでお昼なんて食べたくないよ…… ) (TωT.)」
「(授業も終わったし、帰ろうかな。とりあえず、かがみん捕まえて昼の事を聞かないと。)」
男子生徒「おい! 泉。お前掃除当番だろ。サボるのかよ! 」
「ごめん、今日は用事が…… 」
男子生徒「はぁ? なに勝手な事言ってるんだよ。ちゃんとやれよ。」
「えっ、あっ、その…… 」
男子生徒「ほら、バケツ。さっさと水汲んでこいよ。」
「……はい」
「(掃除で遅くなったけど、かがみん達待っててくれてるかな? ) (≡ω≡.)」
「(クラスには……居ない。下駄箱には……居ない。校門には……居ない。) (≡ω≡.;)」
「えっと……先に帰ったのかな? 電話してみるかな。 (≡ω≡.;)」
「えっと、柊…… あれ? おかしいな…… お父さんの携帯とゲーム屋の番号くらいしか入ってない…… (≡ω≡.)?」
「なんで? って! まさか…… つかさ達が…… そいえば5時間目体育だったし。あの時携帯を…… Σ(≡ω≡.)!」
「ちょっとこれは許せない…… ウガァー! んだよ! あの3人。調子乗ってんのかよ!! (≡皿≡.#)」
「ただいま~ (≡ω≡.)」
「あれ? 誰も居ないのかな? (≡ω≡.)?」
「ゆ~ちゃ~ん? (≡ω≡.)?」
どうしたんだろ。どっか寄り道しているのかな? (≡ω≡.)?」
「もう22時か。ゆーちゃんまだ帰ってこないし。さすがに心配だな。電話でもくれれば良いのに。 (≡ω≡.;)」
「もしかして…… なんか事件に巻き込まれたとか…… (≡ω≡.;)」
「警察に電話しなきゃ! (≡ω≡.)!」
そうじろう「ただいま~ 」
「お父さん! ねぇ、ゆーちゃんがまだ帰ってこないんだけど! (≡ω≡.)!」
そうじろう「ゆーちゃん? 誰だそれ? 」
「何言ってるの! ゆーちゃんだよ! ゆーちゃん。小早川ゆたか! 家に居候してるゆい姉さんの妹! (≡ω≡.)!」
そうじろう「こなた。お父さん疲れてるんだ。ゲームの話なら週末に聞くよ…… 」
「冗談言っている場合じゃないよ! お父さん。ゆーちゃんが心配じゃないの? (≡ω≡.)!」
そうじろう「だから、そんな人知らないぞ。」
「ううっ…… お父さんの馬鹿! (≡皿≡.)!」
そうじろう「おい! こなた!! 親に向かって馬鹿とは何だ! 」
「うっ…… なんだよ…… いつも家でフラフラしてる小説家の癖に。 家族より自分の作品の方が大事なの? ・゚・(つД≡.)・゚・」
そうじろう「……小説家? 」
そうじろう「こなた、お前熱でもあるのか? 」
「別に。大丈夫だよ。 そんな事よりさ、早く警察に電話してよ! (≡ω≡.)!」
そうじろう「落ち着け。まずは落ち着け。こなた? 俺が分かるか? 」
「分かるよ。泉そうじろう。○×歳。職業は小説家。趣味はカメラ撮影…… (≡ω≡.)」
そうじろう「分かった、分かった。よし、お父さんが電話してやる。お前は部屋に居なさい。」
「そう…… 分かった。何か分かったらすぐ連絡してね。 (≡ω≡.)」
そうじろう「すいません…… 救急車一台お願いします。えっ、精神科は駄目? 後日病院に直接…… 分かりました。申し訳ございません。」
そうじろう「
もしもし、××部長ですか? 夜分遅くに申し訳ございません。娘が病気になりまして、明日病院に連れて行きますので、明日は有休に…… はい、申し訳ございません。」
そうじろう「ゲームばかりさせたのがいけなかったのかな…… 」
医者「泉さん。娘さんの病状ですが、何かのショックで一時的に記憶と妄想が混同しているようです。」
医者「娘さん、ゲームとか小説はお好きですか? 」
そうじろう「はい。男手一人で育ててた事もあって小さい頃からゲームとか漫画を買い与えてました。」
医者「そうですか…… 」
医者「一応CTを撮ってみましたが、特に外傷も無いので大丈夫かとは思います。」
医者「こういう場合、親であるあなたの口から現実を教えてあげてください。決して焦らないよう。」
そうじろう「現実。ですか。」
医者「そうです。家族の事。友達の事。学校の事。一つ一つ丁寧に。」
そうじろう「こなた。俺が分かるか? 泉そうじろう。会社員だ。」
そうじろう「△△システム株式会社の第2事業部の課長やっている。社会一般的に言うSEって奴だ。」
そうじろう「妻は居ない。お前が3つの時に出て行ってしまった。」
そうじろう「母さん。かなたはお父さんの幼馴染でな、大学卒業後しばらくして結婚したんだ。」
そうじろう「だけど、お父さんの稼ぎ少なくてな、母さん良い所の娘だから生活に耐えれなかったんだろうな。」
そうじろう「今じゃ、実家の方で再婚したらしい。元気かな…… 」
そうじろう「そんな事もあって、お前は小さい頃からゲームばっかして、外で全然遊ばない子だったよ。」
そうじろう「おかげで小中と友達が全然出来なかった。高校生になって少しは変わったかな? と思ったけど、結局何も変わらなかったな。まっすぐ帰ってきてはネトゲ三昧。」
そうじろう「そいえば、一時期秋葉原でアルバイト始めたよな? 父さんお前が社交的になったと思って嬉しかったよ。」
そうじろう「でも、すぐクビになった。酷い話だよな、人気が無いからクビって。まぁ、人見知りするお前じゃ客商売は難しいかったかな? 」
そうじろう「そうそう、高校2年生になったある日、お前楽しそうに俺に話してくれたよな。『今日学校でクラスの子と話した。』って。」
そうじろう「『なんか双子で、隣のクラスに姉が居る。実家は神社だ。』とか言ってたっけ。その子達とは友達になれたのか? 」
そうじろう「こなた。寂しい思いさせてごめんな。高校には休学届出しておいた。ゆっくり休め。」
そうじろう「そして、また行きたくなったら言ってくれ。お父さんもこれからは少しでもお前と一緒に居られるように努力するよ。」
そうじろう「それじゃ、おやすみ。こなた。」
「(そうか…… 夢だったんだ。全部。) (≡ω≡.)」
「(学校を休み始めて、部屋にある漫画や雑誌を読み直してやっと気づいたよ。) (≡ω≡.)」
「(スポーツ万能、ゲームはプロ級。だけど勉強はちょっぴり苦手。) (≡ω≡.)」
「(毎日オタクの友達と遊ぶ楽しい毎日。家には慕ってくれる従妹と小説家の素敵な父親。そして若くして死んだ美しい母親。) (≡ω≡.)」
「(色んな作品から選び取って作った『私』の理想系…… 現実のどうしようもない自分から目を背けるための…… ) (≡ω≡.)」
「…… (≡ω≡.)」
「ウフフ…… (≡ω≡.)」
「アハハ…… アハハハハハ…… (≡ω≡.)」
「なんてね。そんな訳無いじゃん。なに、これ? 我ながら安易な夢オチ。 (≡ε≡.)」
「確かこう言うのって『簡単の夢』って言うんだっけ? 人生は実際はご飯が出来るまでの短い時間みたいなもんだって奴。 (≡∀≡.)」
「いや~ 長い夢だ。でも、夢は気づいた時が終わり。現実の私も起きるだろうね。さて、起きたら何曜日かな? 日曜日が良いな~ (≡∀≡.)」
「おやすみ~ ヽ(≡ω≡.)ノ」
医者「泉さん。残念ですが、もう手の施しようがありません。」
そうじろう「そんな! なんとか、なんとかなりませんか!? 」
医者「娘さんが現実を拒否している限り、我々はもう待つしかありません。彼女が夢から覚めるのを…… 」
そうじろう「それはいつですか? 」
医者「さぁ…… 明日かもしれないし。もしかすると死ぬまで覚めないかもしれません。」
『邯鄲の夢(終)』
最終更新:2024年04月22日 20:12