熱き刃の肝試し ストーリー


開始時

+ 開始時 リチャード
「うむ、ここであるぞ皆の衆」

──浜辺を越えた君たちは、
ようやく旅館に到着した。

──リチャードとの戦いにずいぶん手間取って
しまった。もう日が沈み始めている。

イツキ
「また罠じゃないだろうな、これ」

リチャード
「あれはそなたらに対する試練だと言ったろう。
 旅館に泊まる資格があるか確かめるためのな」

ニコラ
「旅館に泊まる資格ってなに……?」

アキラ
「腕っぷしの強さを証明すりゃ、泊まっても
 いいってことだろ? わかりやすいじゃんよ」

ダンケル
「その通りだ”
 諸君、よくぞ試練を乗り越えた!」

ダンケル
「そしてノア君! 君の制服が完成したぞ。
 これを着てくれたまえ!」

ノア
「わーい! ありがとうございます!」

リンカ
「あの……例の『試練』は、学園長の
 差し金だったということですか?」

ダンケル
「むろんだ。臨海学校とは己を鍛える場。
 気を抜けるものではないのだと知りたまえ!」

ニコラ
「えぇ~……合宿なんだし、もうちょっと
 軽いノリでいいじゃないですか~……」

アーシア
「あ……イツキ君、ニコラさん!」

エミリア
「みなさん、こんばんは!」

ジョージ
「ふん。遅い到着だな、貴様ら」

ダンケル
「役者はそろったようだね。では、
 夜のイベントを始めようではないか」

イツキ
「夜の……イベント?
 ま、まだ何かやるんですか?」

ダンケル
「当然。臨海学校の夜と言ったら……
 肝試しだ!!」

ダンケル
「さあ、ここにクジを用意した。
 心して引きたまえ!」

──君たちは、言われるままにクジを引く。

ダンケル
「同じ色のクジを引いた者同士、チームを
 組めるようにしている。確認してほしい」

──君たちは、顔を見合わせ、チームを確認する。

──クジによって選ばれた組み合わせ……
それは……

──ジョージ&エミリア組、
リンカ&ニコラ組。

──イツキ&アキラ&アーシア組、
ヴォルフ&シャーリー組。

──君は、ノアとのチームだ。

ノア
「よろしくお願いします、魔法使いセンパイ!」

ダンケル
「では諸君! そこにある山の頂上に赴き、
『肝試し完了の証』を取ってくるのだ!」

道中

+ 道中 はてさて、何が出るかにゃ?
あの悲鳴、こっちからにゃ!

ボス戦前

+ ボス戦前 ──君とノアは、そろって
山道を歩いている。

ノア
「うーん……なんだろ……センパイがた、
 なんだかギクシャクしてる気がする……」

──ノアのつぶやきに、どう答えたものかと
君が考えていると……

ノア
「……!? これ、悲鳴ですよ!」

──離れたところから、女性の悲鳴が
響いてきた。あれは、ニコラだろうか?

──君たちは、急いでそちらへと向かった……

──その頃、リンカ&ニコラ組……

ニコラ
「…………」

リンカ
「…………」

ニコラ
「ね……リンカ、さ。最近、ちょっとこう……
 平常心、って感じじゃない時、あるよね」

リンカ
「そう……かしら?」

ニコラ
「うん。特に、ほら……
 ヴォルフ、絡んだときとかさ」

リンカ
「……!」

ニコラ
「ノアが来てから、ずっとぴりぴりしてる。
 昼間の戦いもさ……らしくなかったよ」

リンカ
「私は……別に、そんなことは……」

ニコラ
「──そんなこと、あるじゃん」

ニコラ
「そこ、ごまかすのは……よくないよ!
 自分に気づいてないフリ、するのはさ……」

ニコラ
「だって、傷ついちゃうじゃん! リンカも……
 あの人も……あたしだって!」

リンカ
「ニコラ──」

???
「──若いな」

ニコラ
「……!? 誰っ!?」

ツキカゲ
「俺はツキカゲ。貴様らの『肝』を試すため
 雇われた、流れの武士だ……」

ニコラ
「え、ええ!?
 いや、『肝試し』ってそういう意味じゃ……」

ツキカゲ
「仕事は仕事……果たさせてもらう!」

ニコラ
「きゃ、きゃあぁあぁあーっ!?」

──驚いたニコラは悲鳴を上げて尻もちをつく。
同時に足首をひねってしまい、痛みに震えた。

ニコラ
「いたぁっ……!」

リンカ
「ニコラ!」

──割って入ったリンカが、
ツキカゲの剣を刀で受け止める。

ツキカゲ
「ほう、いい腕だ。
 だが、俺の二刀をさばけるか!?」

──ツキカゲの高速の連撃が放たれる。
リンカは右腕を強打され、刀を取り落した。

リンカ
「くぅっ……、これは、模造刀!?」

──刃がないのだ。斬られたわけではないが、
強烈な打撃を受けた右腕に激痛が走る。

イツキ
「リンカ、ニコラ!」

ヴォルフ
「無事か、おまえら!」

イツキ
「悲鳴が聞こえたから来てみりゃ……
 これ、おばけでもなんでもないだろ!」

──ツキカゲに斬りかかるイツキ。ツキカゲは
軽やかにかわし、イツキに目標を切り替える。

ニコラ
「イツキ君!」

ヴォルフ
「く──」

──拳を固めたまま、ヴォルフは動けない。
狼を殴ることにためらいがあるのだ。

イツキ
「ふたりを連れて下がれ、ヴォルフ!」

ヴォルフ
「イツキ……! だがよ──」

イツキ
「早くしろッ!!」

ヴォルフ
「くっ……、すまねぇ──わかった!」

──ヴォルフは、負傷したリンカとニコラを
連れて後退していく。

ツキカゲ
「身をていして仲間をかばうか。
 よい覚悟だ!」

──ツキカゲの攻撃をしのぎながら……
イツキは、かすかに笑う。

──その視界のすみに、黒猫が颯爽と
姿を現していた。

ボス戦後

+ ボス戦後 ──ニコラの悲鳴を聞きつけた君たちは、
狼の獣人と剣を交えるイツキに加勢した。

ノア
「とりゃぁああっ!」

──ノアが、ツキカゲに低い姿勢でタックル。
その剛力で、獣人の強靭な足腰を揺るがす。

──直後、君の魔法がツキカゲの顔面に
炸裂し……ツキカゲは、倒れた。

ツキカゲ
「ぐはっ……み、見事……!」

ノア
「イツキセンパイ、大丈夫ですか!?」

イツキ
「ああ。おまえと魔法使いのおかげだよ。
 ノア、おまえ本当にパワーあるよな……」

ノア
「それだけが取り柄です!」

──その場でイツキの手当てをしていると、
リンカたちが近づいてきた。

リンカ
「イツキ……! 大丈夫!?」

イツキ
「ああ、軽傷さ。リンカこそ、腕は平気か?」

リンカ
「ええ。手当てはすませたわ」

ヴォルフ
「……すまねぇ、イツキ」

──ヴォルフが、苦々しい表情で言う。

ヴォルフ
「俺が動物を殴れねぇばっかりに……」

イツキ
「気にすんなって。互いをカバーするのが
 生徒会のやり方だ。そうだろ?」

──イツキは、屈託なく笑う。

イツキ
「それより、シャーリーはどうしたんだ?
 こっちはアーシアをアキラに任せてきたけど」

ヴォルフ
「あいつ、山歩きでテンション上がって、
 1人で突っ走っていっちまってな……」

イツキ
「あー、なるほど。
 苦労するよな、ヴォルフ」

ヴォルフ
「いや。あいつはあれくらい元気な方が、
 その……いいと思ってるからよ」

──照れたように、頭をかくヴォルフ。

──その後ろで、リンカとニコラは、
うつむきがちに沈黙していた……

──なお、その頃、ジョージ&エミリア組……

エミリア
「お兄ちゃん、なにか出そうだよぅ……」

ジョージ
「大丈夫だ、エミリア。なにが出たって、
 兄ちゃんが守ってやるからな!」

──アキラ&アーシア組……

アーシア
「ね、アキラ君……イツキ君って、その、
 どんな料理が好きなのかな……?」

アキラ
「そうだなぁ、焼きトウモロコシか焼きそばかで
 言ったら焼きそば……いや、タコ焼きも……」

アーシア
「あの、屋台料理以外で」

──そして、シャーリーは……

シャーリー
「いっちばん乗りぃー! いえー!
 ……ってあれ? 先輩? 先輩どこぉー!?」
最終更新:2014年08月03日 18:55