漢のけじめ ストーリー

開始時

+ 開始時 ──番長オブザ番長を巡る激しい戦いは、
学園の各所で絶え間なく発生した……

──しかし、多くの生徒が脱落したことで、
その戦いも終わりが近づいていた。

──クロム・マグナ魔道学園、校庭。

──今そこで、2人の番長候補が相対している……

イツキ
「あれは……ヴォルフとジョージか!」

──ジョージという方の生徒は、
君には見覚えがない。

リンカ
「ジョージは、いわゆる不良生徒よ。
 ずっとヴォルフをライバル視してきたの」

シャーリー
「ヴォルフ先輩は、ああ見えて平和主義者
 だから、戦いを避けてきたんだけど……」

ニコラ
「ここでやっつけておけば、
 1年間は平和に過ごせるってことだね」

ジョージ
「ようやくケリをつけられるな──
 ヴォルフッ!」

ヴォルフ
「ああ。てめぇの暑苦しいカオを
 見なくてすむようになるわけだ」

ジョージ
「ふん! 調子に乗りやがって!」

ジョージ
「貴様の顔を、二目と見られんくらい
 ボコボコにしてくれる……覚悟しろ!」

ヴォルフ
「悪いな。オレは平和主義者だがよ……
 負けてやるってのは性に合わねぇんだ!」

リンカ
「残っている生徒たちのなかでは、
 あの2人がおそらく最強……」

イツキ
「この戦いの勝者が番長オブザ番長になる。
 事実上の決勝戦だな……」

モヒカン生徒
「そぉーーはさせねぇぜぇぇー!」

トゲトゲ肩パッド生徒
「ヒャッハァー! まだオレたちだって
 残ってんだぜぇー!?」

シャーリー
「あ、なんか集まってきた!」

リンカ
「……学園の品性を疑われるような連中しか
 残ってないのかしら。ヴォルフ以外」

ニコラ
「そんなこと言ってる場合じゃないって!
 こっちにも向かってくるよ!」

イツキ
「手当たり次第かよ!
 仕方ない、応戦するぞ!」

道中

+ 道中 激しいバトルだにゃ~
やばいのが来るにゃ!

ボス戦前

+ ボス戦前 ──ヴォルフとジョージが激突するなか、
君たちは襲いくる生徒たちを迎撃していく。

──その時だった。

ザコ生徒
「「「うわぁーっ!!」」」

──突如、すさまじい闇の波動がほとばしり、
番長候補たちを薙ぎ倒していく……!

イツキ
「──なんだっ!?」

リンカ
「この、とてつもない闇の魔力……
 まさか……!?」

ダンケル
「学園生徒諸君ッ! クク……
 楽しんでくれているかねッ!?」

ニコラ
「ダンケル学園長!」

ダンケル
「おお、生徒会メンバー諸君ではないか!
 それに愛すべき異世界の友人たちも!」

ダンケル
「クク……いかがかな? 我が学園祭、
 そして番長オブザ番長決定戦はッ!」

イツキ
「いやあの、学園長……それはいいんすけど。
 あんた今、生徒ブッ飛ばしませんでした?」

ダンケル
「いかにも! なぜなら……私もまた、
 番長オブザ番長を目指す挑戦者ゆえに!」

イツキ
「なんだってぇーーーー!?」

ダンケル
「クク……残る番長候補を倒してしまえば、
 番長オブザ番長の座は私のものだ!」

リンカ
「学園長! なぜそんなことを!」

シャーリー
「まさか、また闇の力に操られて……!?」

ダンケル
「いや! 単に番長オブザ番長になって、
 学園を思いのままにしたいだけだ!!」

イツキ
「あんたすでに思いのままにしまくりだろ!
 番長オブザ番長決定戦を企画したりとかさ!」

ダンケル
「問答無用! クク、血がたぎる!
 さあ諸君、我が力についてこられるかな!?」

イツキ
「少なくともそのテンションには
 ついていけねーよ!!」

ジョージ
「なんだァ!? 邪魔が入りやがったのか!?」

ヴォルフ
「おいジョージ。さすがにアレはヤバいぜ。
 ここは一時共闘して……」

ジョージ
「うるせぇっ!
 みんなまとめて片づけてやらァ!」

ニコラ
「あああもう、なんなのこの状況~!」

イツキ
「とにかくやるしかない! 気を抜くなよ、
 魔法使い! いくぞ!」

ボス戦後

+ ボス戦後 ダンケル
「ククク……ハァーッハッハッハ!
 絶望し、ひれ伏すがいいッ!!」

イツキ
「学園長のセリフじゃねぇー!!」

リンカ
「完全に悪役の立場に酔っているわ……!」

シャーリー
「ちょ、マジ手ぇつけらんないよ学園長!」

ジョージ
「ぐぅっ……!」

ヴォルフ
「ジョージ!」

──闇の魔力に襲われたジョージを、
ヴォルフがとっさにかっさらう。

ジョージ
「ラ、ライバルの助けなんて……!」

ヴォルフ
「そんなこと言ってる場合か! 学園長を
 倒さなきゃ、決着どころじゃねえ!」

ジョージ
「……………………。
 ちっ──今回だけだぜ!!」

──ヴォルフとジョージ。
2人の番長候補が、強大な敵を前に並び立つ!

ダンケル
「ほう!? 勇ましい、いぃーい覚悟だッ!
 それが絶望に変わると思うと楽しいなぁッ!」

ヴォルフ
「しゃらくせえ! てめぇはとっとと
 悪ノリから覚めやがれってんだ!」

ジョージ
「ちょいと早いが、お礼参りと
 いかせてもらうぜ! 学園長!」

ダンケル
「ふははははははははッ!
 ならばお礼参り返しをさせていただこう!!」

──たちまち、激しい戦いが始まった。

──ジョージの拳が! ダンケルの魔法が!
ヴォルフの動物たちが、 激しく交差する!

──そして……

ダンケル
「む、無念……」

──ヴォルフとジョージの連携攻撃の前に、
ついに……ダンケルが倒れ伏した!

ジョージ
「はぁっ、はぁっ……こ、これで……
 ヴォルフ!」

ヴォルフ
「ああ……正真正銘、
 最後の決戦といこうや、ジョージ!」

──もはや気力だけで立っている2人が、
尽きぬ戦意を瞳に輝かせて向かい合い……

──激突!

ジョージ
「が……は──」

──ジョージの拳が届くよりも早く……
ヴォルフの拳がジョージを吹き飛ばす!

ジョージ
「ふ……、貴様の、本気……
 ようやく、見られた、な……」

ジョージ
「完敗……だぜ。ヴォルフ──
 貴様、が……真の番長オブザ番長だ……」

ヴォルフ
「そうだ……な──これで……
 長い戦いが、終わ──」

──瞬間。

──ボロボロで立ち尽くすヴォルフへと、
小柄な影が飛び込んでいく。

???
「お兄ちゃんを……
 いじめちゃ、ダメー!!!」

──涙目でランチボックスを振りかざし、
向かってくる少女に、ヴォルフは茫然。

ジョージ
「エ、エミリア!?」

エミリア
「えぇぇーーーーいっ!!」

──重いランチボックスは、
見事、ヴォルフの脳天に直撃した。

ヴォルフ
「カ、カワイイ……」

──その一言を残して、ヴォルフは倒れ、
完全に気絶する。

シャーリー
「せ、せんぱぁーい!?」

リンカ
「ヴォ、ヴォルフ!
 しっかりして!」

イツキ
「…………。って、え?
 お兄ちゃんって……ええー!?」

──君とウィズは、
元の世界の街道に戻ってきていた。

──クロム・マグナの学園祭が終わり、
ダンケルの魔法で送還されたのだ。

ウィズ
「まさか、あんな結末になるなんてにゃ~」

──あの時。番長オブザ番長は、ジョージの
妹……エミリア・トドロキに決定した。

リンカ
「あの、学園長? 彼女、この学園の
 子ではないらしいですけど……」

ダンケル
「学園の人間でなければダメ、などという
 ルールはないよ。最後に立った者こそ勝者だ」

ダンケル
「番長オブザ番長は彼女に決定! 命令は……
 『お兄ちゃんをいじめちゃダメ!』」

ジョージ
「は!? はあっ!? ま、待ってくれ!
 それじゃオレのメンツってもんが……」

エミリア
「もう! お兄ちゃんったら、手当てしてる
 途中なんだから動いちゃダメ!!」

ジョージ
「だ、だけどよぉ、エミリア……」

ヴォルフ
「これでもうてめぇは殴られねぇんだ、
 いいじゃねぇか。『お兄ちゃん』」

シャーリー
「そうだよー。番長オブザ番長の命令は
 ゼッタイだよー、『お兄ちゃん』?」

リンカ
「あなたをいじめる者が現れたら、
 生徒会が全力で処罰するわ、『お兄ちゃん』」

ニコラ
「妹ががんばってくれたんだから、
 文句言っちゃだめだよ、『お兄ちゃん』」

イツキ
「あー、なんつーか、いろいろあきらめた方が
 人生楽だぞ、『お兄ちゃん』」

ジョージ
「きぃーさぁーまぁーらぁー!!」

──という感じで、どうやら、
丸く収まったようなのだった。

──今頃イツキたちは、互いの健闘をたたえ、
後夜祭に興じているところだろう。

──学園長の悪ノリはどうあれ、生徒たちが
お祭り騒ぎを楽しんだのはまちがいない。

ウィズ
「それにしても」

──君の足元で、
ウィズは少し残念そうに言った。

ウィズ
「学園の人間じゃなくてもいいってわかってたら
 私も目指したのににゃ~。番長オブザ番長」

──話がややことしくなるから、やめてください。
最終更新:2014年08月03日 21:54