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髭
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匿名ユーザー
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髭 04/09/30
髭というもの、実際は剃るのが面倒で無精しているわけだが、実は一応長さを揃えてはいる。
どういうわけか生来髭が薄く、特に鼻の下など産毛程度のもので、下顎の中心部分つまり「梅干!」と叫んで皺を寄せるあたりだけ太く硬い奴等が疎らに生えている。通常「山羊」と形容される。自らの薄さから考えると、口の周り全て覆い尽くし挙句揉上まで繋がっているなど信じられないものである。
それでも梅干部分は普通の髭と呼んで差し支えない奴等が生えてくるので対処せねばならない。毎日剃るなど面倒極まりないので無精髭が選択されるのだが、髭というものは鏡でも見ない限り状況を把握することが困難であり、それはつまりあまり注意を払わないことを意味しており、無精髭であるからそれは問題ないかに思えても、時として妙な癖が付いているところを手遅れになってから知ることになる。
長さを揃える為には電剃刀や安全剃刀を使わない。必要なのは鋏だ。櫛を使うほどの分量はないので手櫛の気分で、しかし分量がないから単に人差指と中指で挟み、余ったあたりを切り落とす。三糎の目安は格別の意味もなく単にそれが切り易い長さであることに起因する。それでも三糎あれば奔放に跳ね回るには充分であり、それ以上伸びると次第に揃わなくなってきて、やがてまた切り揃える。
髭が髪の如くしなやかに艶をもって存在してあればよいのだが、髭の短さと強張り具合は寝癖への敗北が約束されている。寝癖が単純に「右向け右」なり「左向け左」であるなら構わないのだが、困るのは途中で屈折したまま固着することであり、それは非常に見苦しい。一般に髪の寝癖の場合は湿らせて乾かすことで修正可能だが、厄介なことに髭は乾かすと元の形に戻る性質を有している。形状記憶なる表現が適切であろうかと思われる。
それらの辛苦に耐え切れず諦めて毎日剃るのは敗北主義者である。
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LAST UPDATED 2025-11-07 18:25:47 (Fri)
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