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劇場作法
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匿名ユーザー
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劇場作法 03/08/18
劇場、映画・演劇・演芸・講演・板論その他これに類するものの観客として席に着く際また着いてからは様々に禁忌がある。
まず開始時間に遅れることは何としてでも避けたいが、遅れてしまえば仕方がない。映画の場合は時間があるなら次の回の頭まで待つことも可能であるが、そうでない場合はただひたすらに低姿勢で静かに静かに音を立てないよう臨まねばならない。
会場に入る扉を、育ちの悪さか躾のなさか無神経さ故かその全てを兼ね備えた者かが、手を離して力任せに閉めるものだから「ばったーん」神経が無いと書いてあっても何と読むのか知らないのだろう。劇場に限らず全て手で開けた扉は手で静かに閉めねばならぬ、これは教わるまでもない話だと思っていたら「教わっていないから知らない」教わるまでもないとはつまり自ずから身に付ける必要があって、長ずるに及んでいつのまにか身に付いていることなのだ。そうでなくとも閉める扉については中学生の段階で入試における面接練習の際に教わった筈だ。「僕は教わってません。自分の体験が常識だと思ってるんですか?」いや手前の体験が全て常識やったら社会は速やかに崩壊しとるけどね、知るべきことを知らないのは常識がないと言うね。常識にない振舞いを常識にあらずと書いて「非常識」で、この言葉には当然「常識がない」という意味があるわけだが、「非常識」という言葉は強すぎて度外れた特異な振舞いに対しては相応しいが、普段四六時中よりちまちま常識のない者は「無常識」と呼んでもいい気がする。しかし「無常識なんて言葉使う若者が増えている。なんと非常識な」とは言われたくないから、ただのカスと呼ぶ。
さて、ジョン・カス氏は会場の空気を大幅に入れ換えて後、足音を高らかに響かせて席を探す。下駄じゃないんだから踵で床を蹴るな蹴るな蹴るな蹴るな蹴るな。踵の減り具合を心配しているのではなくて当然我々の鼓膜と精神力と集中力を心配している。出来れば靴底全て擦り切れて裸足で歩いて欲しいものだが、それだけ面の皮が厚ければ面で歩いてくれないものかね。ねえ、カス氏。日本人は奥床しいから前の方の席は軒並み空いてるよ。前の方行け前の方。駄目駄目駄目駄目日本人は奥床しくておまけに足が短いから劇場の椅子は前後に余裕など全くない造りになっとるのだよ。例え空いていても人の膝跨いで跨いで真中まで行くのはとてもとても迷惑なんだ。折角干渉されないように早目に来て真中の方に座ったのに後から来た奴に膝跨がれる気持ちなんて一生判らんのだろう君は。折角見通しの良い後ろの方に座ったのに後から来た奴にもったりもったり前を横切られる気持ちも同様知らないまま死ぬんだろう君は。
鳴らすな携帯を。何の曲か判らんうちに止めるな携帯を。もう一度鳴らすな携帯を。釦音消して黙らせろ携帯を。落とすな携帯を。点検するな携帯を。とっと仕舞え携帯を。お前はもう持つな携帯を。ついでにやな、音消す振りしてのメールチェックはバレとるぞ。
喋るな。役者の名前判らんなら後から調べろ。後で色々話すのが映画の楽しみやねんから。あれはダニー・デヴィードやからもう黙れ。笑うタイミング判らんなら無理すんな。途中でトイレ行くな。もう帰ってくんなお前は。戻るの早過ぎんねんお前は。手洗ったんかお前は。静かにそっと座れそっとをををををを!劇場の椅子はな、横に一列全部繋がっとんねん干柿みたいに。ひも?ちゃうちゃう、正月餅の上に積木気分で干柿載せるやろ竹串の。あんな感じや。せやから勢いよく座ったらこっちも沈むねん座席が。勢いよく凭れたらこっちも角度深なんねん折角ぴったり形作った体勢から更に。その角度に体勢慣らした頃前に屈んだらちょっとだけ戻んねん凭れる角度が。小刻みな貧乏揺すりが小・刻・み・に・伝・わっ・て・来・ん・ね・ん。やめろやあああああ。足組むてお前膝の真上に足首あるがな。それ足組んでる内には入らんぞ。足首だけの貧乏揺すりも禁止じゃ禁止。もうそれ貧乏揺すり言いたないわ。この先それは「短足揺すり」な。
足を前の席の背に突っ張らかすな。前の人席に合わせて作った形壊れるがな。肘掛は早い者勝ちやねん。ガム禁止じゃ。口閉じてガム噛めん奴はサウナで死んどけ。音の出る諸々の食べ物全部禁止じゃぼけ共が。ただし喉飴は必需品やからな。咽る奴咳き込む奴は喉飴なしで劇場に来る資格ないぞ。背の高い奴と不自然な程座高だけ高い奴は後ろ行け後ろへ。そしてエンドロールは最後まで見とけ。
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