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霊柩車

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霊柩車 03/10/05

  それでは日本語なり漢字なりの命名が為されている車はないものか。「鳳凰」「翠龍」「祈天」のような名を持つ車はないか?

  あれはどうだ。正調純和風の雰囲気を持つ、煌びやかで神々しく、つい親指を隠してしまうあの車。どうだろう。名前はないか?調べてみた。霊柩車の写真集というものが世の中にあることを知った。

   「キャデラック宮型霊柩車」「国産4WD宮型霊柩車」

  味も素っ気もないではないか。しかしあの神輿を背負っている奴は「宮型」と名乗っているのか。神輿のない型は「洋式霊柩車」らしいのだが、どうにもここで何かやり場のない情けなさというものが底を突き抜けて指先が重く感じるのだが、どうにかならないのか。

  しかし霊柩車もよく見ると色々な型があるもので、ある種の伝統工芸品とも言えるし、祭祀に纏わるものであるから所有していれば何かの特典でもあればいいと思わないか。8ナンバーであるというだけではなくて、霊柩車を所有しているだけで貸車業の許可が無条件に下りるとか、出動手当ては完全無税とか。大体あのセンスはヤンキーか成り上がり者にしか発想出来ない印象がある。神輿を搭載した車が登場したのは大正の頃と云うが、あれが早いうちに用途を限定したことで、違法改造主義者の道をひとつ閉ざしたことは、悪くはないが、目出度い形の物が非常なる迫力を持って縁起の悪い印象だけを纏ったことは、少し残念でもある。

  どうせなら、霊柩車に漢字名を付けて輸出しようよ。何、判りゃしないさ。あれは神輿であり、日本にあっては大変目出度い車である。普段街中では目にする機会が少なくて、しかも見かけた時はよく見てみなよ、皆礼服を着ているぜ。さあ見たか。幸運な奴め。そこでおまじないがあるんだ。見た瞬間親指を隠すのさ。拳の中に握りこんで。でもその時にくれぐれも親指の先っちょを人差指と中指の間から覗かせてはいけないよ。それでは効果も何もありゃしない。どうして親指か?色々あるんだよ。おまじないだからさ。効果?親が長生きするとか言うね。何?親に早く死んでほしい?それならば見かけた瞬間親指を突き出して祈ればいいよ。どうだいこの神輿。この彫刻。この金箔。定員はね、個体差があるんだけど、標準的なのは前に二人、後ろに一人。あ、そうそう後ろは一人じゃないや。もう一人分、少し狭いけどベッドスペースがあるんだ。だからキャンピングカーにも使えるよ。これを見たら君達のように車は単なる機械だなどとは言えないだろう?これはね、車であって車でない。べんべん。神輿であって神輿でない。べんべん。それは何かと訊ねたら。芸術品。芸術品なのよね。だから少し高いけど、普通の日本人は乗っていないよ。だって神聖な車だもん。だって高いんだもんこれを買って乗り回してみなよ。ご通行中の皆様の視線を一身に集めることが出来るよ。羨望。驚愕。憐憫。わあい人気者だ。

  そんな台詞に騙されて、海の向こうで「これぞ日本車!」と自慢気に乗り回している間違った親日家がいる気もするが。

  しかし何だね。霊柩車の土台となる車、よくよく見ると「ベンツ」「キャディラック」「リンカーン」てええええええい。折角神輿を載せるなら、国産車使いんさいな。
 
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