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立ち喰い

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立ち喰い 04/01/04

  乗り換えて待ち合わせの時間がある時、駅の中を歩き回る。途中下車が許されない切符の場合は構内の立ち喰いに首を突っ込むことになる。あちこち電車で回っていると立ち喰いの中にも気に入った所が増える。当然酷く不味いところの方が圧倒的に多いわけだが、極稀にお勧め出来るところがある。

  まず、小倉駅の番線は忘れたが日田彦山線ホーム、うどんが絶品だ。柏が載っているうどんは旅屋の中でも全国的に有名で、電車を一本遅らせても食べる価値はある。遅らせなくてもプラスチック丼なら持ち帰りが可能であるから車内に持ち込める。三十円だった記憶があるが、今は値上がりしているかもしれない。物理的にも心理的にも遠いのでもう随分行っていない。そもそも小倉駅なら駅弁の三色柏めしの方吸い寄せられることも多い。

  金沢駅、これも番線を忘れたが、北陸本線特急のホームで夏限定の素麺は痺れた。京の雰囲気が残る町に相応しく薄味で出汁が効いていて、数分の停車があれば必ず降りて食べる価値はある。ガラスの器に涼しい素麺、あれは確かに夏の幸せだ。日本海沿いもあまり機会がないのだが、忘れられない味だった。

  大船駅、もう番線は全然覚えていないから省こう、東海道線下りのホーム、肉味噌うどんが素晴らしい。つゆを入れるかどうか聞かれるが、入れて貰うべし。挽肉味噌を軽く混ぜて、麺は細うどんであるから下手に持ち上げると味噌が服に跳ねるので、気取らず丼に口を付けてつゆごと啜ると、これは確実に癖になる。

  一方不味い店の筆頭は・・・新大阪駅の構内にある立ち食い、あれは余程人間が出来ていても激怒するに違いない味だ。蕎麦も饂飩も不味い。注文から出てくるのが早過ぎるのであって、既に茹でてある麺を軽く温めただけであることが判る。それは大きな駅では共通のようだが、新大阪の場合、つゆが熱すぎる。温く伸びた麺を誤魔化す為かどうか、関西の癖に醤油の水割りと思しき熱すぎるつゆは腹が立つだけである。「熱っ、熱っ」は美味い場合に限って許されるのであって、「熱っ、不味っ、むかつく」は最低の下降循環なのだ。「あれは不味い」との話題に加わる際にのみ、覚悟を決めていってみよう。

  一般に大きな駅は注文を素早く裁く為に麺は大抵気合が不足している。混んでいたなら温いし、大きな駅で空いていると、伸び切ってしまった麺が出てくるから手の付けようがない。では小さな駅はどうかと言えば、小さいなりに客が少ないので注文してから出てくるまでが遅く、また遅い癖に温めただけという毛穴という毛穴全部から湯気を出して怒りたくなる場合が多い。

  私鉄の中に出している店の方がよい味である可能性が高い。店構えだけで「ここはいける」との判断は不可能であるから、殆どの場合は勝負してみて敢無く敗れ去るのだが、それでも年に一度は大当たりにぶつかるので、その当たりを求めて日々立ち喰いに吸い込まれるのだ。

 
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