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焼きラーメン

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匿名ユーザー

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焼きラーメン 04/07/08

  「焼きラーメン」なる表示に心奪われてつい挑戦してしまった。

  まず外見と言えば、焼きそばとの相違がまるで感じられず、この麺は茹でるとラーメンになり、焼くと焼きそばになるだけではないのかという疑問に包まれて、ならば「焼きそばを茹でたらどうなるのか」と考え、ソース味のラーメンを想像してみて喉の奥が勝手に閉まり、泪がじわりと溢れそうになる。

  即席食品というわけではなく、食べる直前にレンジを使う程度に完成されたいわば弁当的な佇まいであり、蓋を外してしばし観察した結果、以下の状況を把握した。

   一、細麺の直麺で、どう見ても焼きそばそのものである。
   一、輪切り茹卵サイズのチャーシューが二枚鎮座している。
   一、よく見ると、もやしが圧縮されている。
   一、さらによく見ると、メンマが身を寄せ合っている。
   一、やはり紅生姜が添えられている。

  全体として、具の配置は冷やし中華を踏襲している模様だ。つまり、冷やし中華の麺を焼きそばに、細切りのハムを牛乳瓶蓋サイズのチャーシューに、錦糸卵をメンマに、胡瓜をもやしに、紅生姜はそのままに、これで雰囲気を理解頂けると信ずるものである。

  チャーシューの大きさについて述べさせて貰いたい。牛乳瓶の蓋程度の大きさであることは多少の不満もあるが許そう。問題は薄さである。チャーシューを述べる場合、通常「厚さ」と表現して然るべきなのだが、今回間近に見て観察した結果、段差を発見し、それが高度な技術力を要する匠の精神の発露であることを認めた上で、実はとても薄い二枚が重なって薄い一枚に見えていることを確認した。テレビ通販にありがちな薄切り器を使っていないならば、その技術は喝采に値する。

  もやしは油の虹が輝いており、一応炒められたことを主張している。髭は付随したままであるがそれは仕方なかろう。焼きそばに混ぜ込まれているわけではなく、あくまでも「具」として最後に搭載されたことは、ラーメンでありたいと過剰に意識していることが伺われる。

  メンマなのだが、こいつは焼きそばの上で保護色となっていて、最初は「麺のこっち側は癒着して太なってるがな。乱暴な焼き方すな」と考えたことは謝罪するが、「ラーメン」の肩書きに拘るあまり全体の均衡を崩してしまったのではないだろうか。

  また焼きそばの茶色、チャーシューの茶色、メンマの茶色、もやし炒めの茶色と色合いを統一したことについて非常なる疑問を感じる。正直に言うと汚い。そこに生姜の毒々しい真紅が眩しくて、ここで製作者に対して「食べ物を粗末にするな」と叫びたくなるわけだが、落ち着いて考えるとそれは無意識の内に自らへも向けた言葉でもあったことに気付き、覚悟を決めてメンマと焼きそばを纏めて掴み、鼓動の高鳴りを意識しつつ、咀嚼作業を開始する。

  では最後に感想を一言だけ言わせてもらう。結構美味かった。

 
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