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防具
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匿名ユーザー
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防具 05/03/13
剣道の防具を入れる袋は巨大な巾着の筈である。
防具は着用する順序が決まっており、その順序に合わせた積み重ね方があり、それは袋に入れる時も出す時も一塊として扱うことが出来る。むしろその為に巾着状なのだろうと思う。
竹刀を肩で天秤にして持ち歩くので、巾着であることに別段の不自由はない。しかも防具を一式誂えると自動的に巾着が付いてくるので疑問に思うほうがおかしい。
なのに見てしまったのだ。ごろごろごろと空港帰りと思しき荷物の人が電車に乗ってきた。そのままでは何の感想もないが、夜の車窓に映して眺めてみると何か棒状の物を入れた袋を持っている。釣りかスキーか。さりげなく体を廻して見るとそれは明らかに竹刀が二本入っている袋だ。となればごろごろの二個付いた旅行鞄に入っているのは防具となるのが理屈だ。
おっさんと言うには品があり、しかし紳士と呼ぶには砕け過ぎているようなごく普通のおじさんであったが、その薄い鞄に面胴小手垂胴着に袴が全部収納されているのだろうか。余りに信じ難いので本当に竹刀なのかと目を凝らすと、確かに鍔入れが膨らんでいるから竹刀に違いない。
最近の防具入れは巾着から進化して旅行鞄になっているのだろうか。しかしそれにしては竹刀袋がよれよれのくたくたで元が何色だったか想像出来ないような薄緑色になっている。防具入れが進化したなら竹刀袋もそれに合わせて格好よくなるのが筋というものだ。
であるならば結論はひとつしかない。電車で道場へ通うことは何でもないが、防具入れを持ち運ぶのが腰に応えるか恥ずかしいかの理由によってごろごろの付いた旅行鞄で代用している。竹刀袋は釣竿入れやらゴルフクラブ入れで簡単に代用出来るだろうが、それをすると「剣道やってることが恥ずかしいのか」と責められた時に申し開きが出来なくなるので、防具入れだけを重いからとの理由でもって旅行鞄に変えたのだろう。巾着と違って密閉に近いから防具特有の香りは周囲に拡がらず、その点でも理由となり得るのだろう。
そういえば既に面の付け方を忘れている。後頭部やら腰の後ろやらで蝶結びをする機会などすっかり失われているのが少し寂しい。
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