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第1話~最初の犠牲者薫子~

さて、どうしたものでしょうか?
悪魔と言えど、どこにいるのかすら分からないのでは行動のしようがありませんね。
『私が感知すれば、貴女にお知らせします。
それまでは普通の生活を送ってください』
わかりました。
では千早、腕を組んで歩きましょうか。
「ちょ、ちょっとケイリ!?」
これぞ恋人というものでしょう?
「あれ?ケイリ…って、千早大丈夫?なんかやつれてるけど」
これはこれは薫子。
どうかしたのですか?
「どうかも何もないでしょ?
廊下のど真ん中を、腕組んで歩いてれば誰だって疑問に思うわよ」
私は気にしないけどね。
「千早を気にしなさいよ。軽く魂飛んで行ってるし」
「あは、ははは…」
ああ、そういえば…薫子にこのことを言ってもいいのでしょうか?
『構いません。貴女の親しい友人なら大丈夫でしょうし』
「ケイリ、どうしたの?」
薫子…信じてもらえるかどうか分からないけど、聞いてくれるかな?
「な、何よ。改まって」
私はね、ついさっき魔法少女になったんだ。
「まほーしょーじょ~?!」
そこまで呆れることはないでしょう、薫子。
「いや、だってさ…ケイリがだよ?意味わかんないじゃん」
「それはそれでケイリに失礼では…」
「と、ともかく!プライベートならいいかもだけど、ここは学校なんだから。
それと千早はエルダーでしょ?みんなの模範とする人がこんなことしてたら不味いって」
残念ですが、薫子の言う通りですね。
というか貴女もエルダーでしょうに、薫子お姉さま(・・・・)。
「やめてよ…もう」
けど薫子、どうして私たちが仲睦まじくしていると困るのですか?
「そ、それは…ごめん」
どうして謝るのです?
「…っ!!」
あ、薫子…少々いたずらが過ぎましたね。
「言いすぎですよ、ケイリ」
ええ、申し訳ありません千早。
ですが、どうしようもなく薫子を弄りたくなってしまって。
「貴女らしくありませんね」
そうかもしれません…千早、行ってあげて下さい。
「私がですか?しかし…」
私ではどうしようもありません。
きっと薫子は今の私を嫌っているでしょうから。
「でも、ケイリ。私は今、貴女と離れられないのですよ?」
『一時も離れられないとは言いましたが、永遠ではありません。
ケイリが行けと言っているのだから、貴方は行けるはずですが?
何せ、彼女の言葉は言霊ですからね』
「少々言葉に棘がある気がいたしますが…ではケイリ、行ってまいります」
ええ、気をつけて。


薫子View
…何であたし、逃げたのかな?
自分でも良く分からない。
何ていうか…こう…胸の中がちくちくと痛むような感じ。
ケイリと千早のことは、祝ってあげたいけど…今はそんな気分じゃない。
ほんと、どうしちゃったんだろ…あたし。
「薫子さん!」
ち、千早…何よ。
「先程は申し訳ありませんでした。ケイリも決して悪気があったわけじゃなかったと」
そんなことぐらい知ってるわよ。
ていうか何?
わざわざそんなこと(・・・・・)言うために追いかけてきたの?
「私はただ…薫子さんに謝りたくて」
急に頭の中が真っ白になって…気が付いたら、千早の頬を叩いてた。
頭が冷えてきて、涙が溢れてきて…私はたまらなくなってその場から逃げ出した。
私が逃げても何も解決しないのに…私ってば、ほんと嫌な子だ。


千早View
あ、薫子さん!!
気が付くと彼女は泣きながら行ってしまった。
そう…きっとあの「謝りたくて」という言葉がいけなかったんだと思う。
ちょっと自己嫌悪してしまう。
だけど僕が悪いのは言うまでもない。
「千早でも駄目でしたか…」
落ち込み気味のケイリが話しかけてくる。
言い方が悪かったようです、僕の責任ですよ。
「薫子はきっと…私たちがくっ付いているのが気に食わないのでしょうね」
嫉妬ですか…
「そうとしか考えられません。
私が千早を奪ったように見えるのでしょう」
香織里さんが停学処分になりかけていたとき…薫子さんに言ったことがあるんですよ。
他人の恋愛に首を突っ込むなと。
それも彼女の負担になっているのではないかなと思います。
『さすが男ですね。乙女心がこれっぽっちも分かってない』
うぐ…というか、男という所だけ強調しないでいただけませんか?
「とりあえず、薫子を探しましょうか」
え、ええ…ですがケイリ。
探してどうするつもりですか?


ケイリView
簡単です。
謝るんですよ。
もとはと言えば、私の悪ふざけから始まったのだしね。
『…ケイリ。今すぐこの建物で一番高い所へ』
どうしたのですか?
『気配がします。人の気配と悪魔の気配です』
「まさか!」
どうしたのです、千早?
「薫子さんとはよく屋上で話し合っていたのです。
もしかするとその人の気配というのは…!」
なるほど…薫子だと。
『…彼の言う通りであれば急ぐ必要があります。
悪魔に精神を乗っ取られれば、二度と人として生活が出来なくなってしまいます』
「そんな話初耳ですよ!?」
『当たり前じゃないですか、初めて言ったのですから』
千早、言い争っている場合ではありません。
急がねば…!


数分前…
薫子View
うぅ…ぐすっ…
涙が止まらない。
感情が抑えられない…
どうして…!どうして…!!
何で好きになった人が千早なのよ…
別にケイリと、あの子と付き合ったって何の問題もないじゃない!!
なのに、あたしは関係のない千早を叩いてしまった。
千早が悪いわけじゃないのに。
だからなのかもしれない…後ろにいる影に気付かなかったのは。
…っ!!
声にならない悲鳴を上げて、私の意識は途切れた。


ケイリView
薫子!
『…悪魔が憑依しています。気を付けて下さい』
「し、し…身長ぉぉぉーっ!!」
おやおや、これは…ああ、そういえばこういう作品でしたね。
「ケイリ、誰に言っているのですか…?」
千早、こういうことに突っ込んではいけませんよ。
『どうやら嫉妬云々は関係なかったようですね。
駄作者が変なことを書くものだからおかしいと思いました。
ともあれ…彼女は徐々に精神を冒されています。
まずは千早、貴方が彼女の動きを止めてください』
だそうですが…千早行けますか?
「行けるかと言われれば、少々不安があるのですが…」
そういえば、パートナーに力を分け与えるというのはどうすればよいのでしょうか?
『貴女が命令すればいいことです。
罵り言葉でも何でも構いません』
なるほど…では千早。
“貴方は私と共にあるアルムテンだ。私を守ることなど造作もないでしょう?”


千早View
ケイリの言葉が聞こえたのと同時に、体に力が漲ってくる。
これなら…行ける!!
「薫子さんっ!」
素早く懐に潜り込み、薫子さんの急所に拳を叩き込む!
「ぐぅ…っ!」
やっぱり走りにくいですね…
『脱ーげ!脱ーげ!』
何か恨みでもあるんですか!?
『だって走りにくいんでしょう?脱げばいいじゃないですか。
何はともあれ、早く気絶させてください。
使えない人ですね』
本当にこの服は…!
「ち、はや…」
薫子さん?
「たす…け…て」
分かっています…痛いのは少しだけですから、我慢してくださいね。
僕とケイリが薫子さんを助けます。
「ありがとう」
乗っ取られているとはいえ、体は薫子さんだ。
傷付かないようにするにはどうしたら…
ケイリ!
「何でしょうか?千早」
貴女の言葉で私の力に制限を掛けて下さい。
薫子さんを気絶させられれば、それで構いません。
「…さすが千早だ。命を狙われている状況でも、相手のことを考えるとは。
では…私のアルムテン。
私の友人を傷付けないと約束してください」
若干だけど、手の力が抜ける。
薫子さん、ごめん!!
首にチョップをした瞬間、薫子さんが崩れ落ちた。
そして、その薫子さんから黒い煙のようなものが出てきた。


ケイリView
『あれが悪魔です。
貴女の言葉であれを消滅させてください』
あの黒い煙がそうなのですね。
私の友人を傷つけた罪は重いですよ?
悪魔はこの世にいらないのです。
いるのは、神と人だけです。
『…悪魔の消滅を確認しました』
これで一件落着でしょうか。
ん?千早、どうかしましたか?
「いえ、何だか唐突な展開過ぎて、ついていけない気がしているだけです」
いいじゃありませんか、この作品に正論を求めても無駄ですよ。
「だから、ケイリ…君は一体誰に」
『突っ込むなって言ってるのが聞こえませんか?
それともバカですか?』
「本当にこの服は…!」


千早View
まったく…あれ?
か、体に力が入らな…!!
「千早!?」
体中が痛い!何、これ?!
『当たり前でしょう。
力を分け与えたとはいえ、貴方は普通の人間ですよ?
リミッターを外した状態で戦い続ければ、
体中が痛くなるのは必然でしょう』
り、リミッター?
ああ…意識が…


薫子View
うぅ…あれ?
私、何で屋上にいるんだっけ?
って!千早?!
何で私の隣で倒れてるのよ!
「起きましたか、薫子?」
ケイリ…その、ごめん。
「何故謝るのです?」
だって、ケイリや千早に迷惑掛けたから…
勝手に勘違いして嫉妬してさ。
ホント、私ってばバカだよね。
「貴女のせいではありませんよ…」
ケイリはそう言うと、私を静かに抱き寄せた。
ちょ、ケイリ?
「薫子があまりにも可愛く感じてしまってね。
ついつい意地悪をしてしまった。
謝るのは私の方。ごめん、薫子」
な、何か謝るのが莫迦莫迦しくなってきちゃったじゃない。
でさ、聞きたいんだけど…何で千早が私の隣で気絶してるわけ?
「ああ、それは千早に少々無理をしてもらったからですよ」
無理って一体何をさせたのよ。
『魔法少女のパートナーとしてちょっとした肉体労働…ゲフンゲフン。
もとい、手伝いをしてもらっただけです』
うわっ!服が喋った!!
というか肉体労働って…
『やはり記憶がありませんか…自分が悪魔に乗っ取られていた時のことは』
乗っ取られていた?
「ええ、千早が気絶させてくれなければ薫子も私も危ういところでした」
何か…いつも助けられてばっかりだな、千早には。
『いいのではないでしょうか。
それが彼の性格なのでしょうから』
そういうものかな?
「何はともあれ…今日の悪魔退治は終了です。
薫子、立てますか?」
私は大丈夫だけど、千早はどうするのさ?
『そのまま放っておいてもいいんじゃないですか?
季節の変わり目と言え、死ぬわけじゃあるまいし』
結構酷いこと言うんだね…
「千早をここに置いて行くつもりはありません。
薫子、手伝ってください」
うぇ?!あ、う、うん!
ケイリに言われて、私は千早の肩と腰に手を伸ばした。
うわ…軽い。
それに細い。
「そうですね…これで男だと言われても正直悔しい気がします」
そうだね。
でも、千早はこんな体で私たちを見守ってくれているんだよね。
私はそう言って、ケイリと共に寮へと向かった。
もちろん帰って、香織里さんや初音に驚かれたのは言うまでもないけど。



千早「あれ…?あれ??」
ケイリ「なるほど、そういうことですか」
初音「何?何なの??」
千早「次回、魔法少女ケイリ。
第2話~初音生徒会長とエルダー~」
ケイリ「背中合わせの貴方が知りたい」

ネタ「ここまでをセーブしますか?⇒YES NO」
最終更新:2013年08月21日 16:38