クリフトとアリーナの想いは @ wiki

2006.07.26

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kuriari

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クリフトのアリーナへの想いはPart5
670 :【ガーデンブルグの牢屋】&【伏兵・ミネア】1/5:2006/07/26(水) 04:25:21 ID:rIFq3LmS0

満月の夜、一人で宿を抜け出して森の中に結界を張り、13本のロウソクに火を灯す。
魔法陣の真ん中に私は正座している。
こんなこと、占ってもいいのかしら。
でも、この恐ろしい占いを始めずにはいられなかった・・・

満願叶って父のかたき討ちを果たした私たち姉妹。これからの旅の目的は、父の形見でもある進化の秘法の行く末を見届けること。あともう1つ・・・旅を続けたい理由が私の中に芽生えていた。

それは、もっと彼と一緒に苦楽を共にしたいから。

第一印象は「弱そうな人」。元気すぎて困ってしまう人に振り回されて疲れている
常識人・・・もしかして私と似てる?私の悩みを口に出さずともわかってくれる感じがした。
彼はいつも周囲への配慮を心がけ、誰にでも慈愛に満ちた言動で接してくれる温かい人。
きっとあの病気は心身ともに疲れが蓄積したことが原因に違いない、と思っていました。

「クリフトったら何もないところで突然転ぶなんて面白いわね」
無邪気にアリーナさんが笑って振り返った。

私にはわかった。彼はたちくらみがしてひざをついたのだと。ああ、また無理している。第一、ソロさんまで彼を酷使しすぎなのよ。私はいつのまにか彼の負担を軽くする為に回復魔法を唱えるようになっていた。

「大丈夫ですか?」

私はとっさに彼の手に触れて立ち上がるのを手伝おうとしました。
すごい熱!!
私は一瞬こわばった顔を彼に見せてしまったのかもしれません。

「あ・・・いえ。大丈夫です。お気遣いありがとうございます。」
彼は私の手を優しくふりほどいてゆっくりと立ち上がりました。
あんなに熱があるのに青い顔をして、体調がよくないのだとはっきりわかりました。
なのに、私は彼を休ませてほしいとソロさんやアリーナさんに言えないまま日を重ねてしまいました。

そんなある日、ガーデンブルグのお城で思わぬ濡れ衣を着せられて、
仲間の一人を人質として差し出すことを余儀なくされる事件が起こりました。
「では、ここは私が・・・」、と進み出るトルネコさん。
しかし、ソロさんが指名したのは意外にも彼・・・クリフトさんでした。
みんな一瞬「何故!?」という空気を出しましたが、
ソロさんの采配に対する信頼で結びついている私たちですからソロさんの決定には異論を唱えようがありません。

アリーナさんが牢屋の中に入ったクリフトさんを一生懸命に励ましている間、
ソロさんは何やら牢屋の番人と長話をしている。悪いとは思ったけれどこっそり聞いてしまいました。

「牢屋に入ったあの神官は体が弱いのです。実は、休ませてあげるつもりで人質になってもらった次第です。
自分もできるだけ毎日様子を見に来るけれど、番人の方はどうか彼の体調を気遣ってあげて欲しいのです。
どうか真犯人を捕まえるまでの間、彼の世話をお願いします。
こんなことを頼める立場ではないのは承知していますが、このような機会でもないと彼を休ませてあげることはできないのです。」

私は番人とソロさんの前に飛び出して言いました。
「私が毎日様子を見に来ます。」
番人は、私一人だけの面会なら認めると約束してくれた。

私は毎晩、牢屋に通い続けました。苦しい想いを胸に秘めて。このまま真犯人がつかまらなければ・・・なんてね。
「病気のこと・・・ミネアさんにはやはり気づかれてしまったのですね。ソロさんにも勘付かれているとすれば、姫様やブライ様は」
病気のことは私たち二人だけの秘密ですよ。あなたのことばかり見ている者でなければそうそう気づくはずはありません。

「今日は姫様にお怪我はありませんでしたか?ミネアさんが傍にいてくれるので助かります。」
彼がアリーナさんのことばかり考えているのを思い知るほど私の胸はきしみます。
実は今日はアリーナさんが一人で泣いていたのをお見かけしたのですが、彼には伝えませんでした。
私の心にどす黒い部分があるのを認めざるをえません・・・。

「・・・姫様はこのクリフトがお傍にいなくても別にお変わりないのですね。頼もしい仲間にめぐまれていらっしゃるのは神の思し召しなのでしょう・・・。」
アリーナさんはクリフトさんが傍にいないとミントスの事件を思い出して辛いとおっしゃってましたがそれもあえて伝えない私。
こっそり取り寄せたパデキアを飲ませてそっと彼の背中をさすってあげました。
彼の広い背中が一瞬びくっとしましたが私は手を止めませんでした。
「たまにはクリフトさんだって誰かに甘えたっていいと思うんです。」

アリーナさんとこうして距離を置いて「仕事」から解放されれば、病気はよくなります・・・
って勝手に思っていた私。あなたの病気を治してあげられるのは私だけです。

「では・・・では・・1回だけミネアさんに甘えてもよろしいでしょうか。どうしても姫様のお姿を拝見してお声を聞きたいのです。
明日の晩は姫様にここに来てもらえるようにお願いしてくれませんか。姫様がおいやなら無理にお願いはできませんが。」
少し、寂しそうな瞳をしてうつむきながら彼はこのように言いました。彼の心の中にはアリーナさんしかいない。

「ねえ、ねえ、ソロ。私、実はすっごく牢屋に入ってみたいの!クリフトと交代したらダメかなぁ?クリフトもそろそろ外の空気を吸いたいだろうし。」
相変わらず無邪気なアリーナさんが妹みたいに可愛くて私を複雑な思いにさせる。

「あー?そう?そんなに牢屋に入りたいなら二人で入っててもらおうかな。そのほうが宿代が浮くんだよね。」
ザキ!!ザキ!!!心の中で私はできもしない呪文を唱えてしまいました。

そんな矢先、真犯人が捕まった。クリフトさんの体調もやや持ちなおしたみたい。
牢屋にクリフトさんを迎えに行ったソロさんは言った。
「俺はクリフトのことすごく頼りにしているから疲れがたまっているからって理由では、もう休ませてあげられない。
もし、これ以上体調がすぐれなくなっても離脱させるわけにはいかない。しっかり頼むぜ。」

「はい。もう大丈夫です。足手まといになるようなことがないようにいたします。」

病が少しずつ進行しているのを知っているのは私とクリフトさん本人だけの秘密。
二人だけの秘密っていうともっとロマンチックなものを思い描いていたのにどうして。
私は彼がいつ倒れるか心配で心配で仕方がない。

だから、今宵、満月の夜。私は彼の寿命を占っている。
アリーナさんが本当の笑顔を取り戻すまで、彼は旅を続けられるのかどうか・・・。
まもなく私の手元の水晶にその答えが浮き出てくるはず。
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