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ライラプス - (2008/03/16 (日) 01:54:28) の編集履歴(バックアップ)


ライラプス(ACE)


要点・周辺環境

要点:・頭頂ハゲ・尖った頭・サングラス・白衣
周辺環境:・宇宙船
 -理力使い→幻影使い→優しい死神→ライラプス

イラスト&設定文章





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国賓来訪記~研究者・ライラプスの巻*

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                        51907002 藩王の日記タイトルより抜粋

無名騎士藩国という国がある。
玄霧藩国とは長い間聯合を結び、最近では藩王同士が集まってなにやら秘密会議を行ったりもする間柄だ。
少し前、そんな無名騎士にACEと呼ばれる人々が『初めて』訪れた。

時間はその『少し前』に戻る。

無名騎士藩国はメカの国である。
といっても、帝国とは違い、共和国での「メカの国」は早々珍しくない。
森国でもない限り、改修され独自色のある機体や国独自の兵器、はたまた新世代の武装等々何か一つはある。
そんな中であえて言うならばこの国は共和国で宇宙に特化した国だと言える。
対宇宙用大型I=Dアビシニアンを始め、宇宙で活動するための宇宙船、そして宇宙での切り札である人形。次代の兵器も着々と研究・開発が進んでいる。
そんな国だからか、訪れるACEも其の流れを汲んだのだろう。アプローと言う少女とコウタローという男性。それとカール・ドラケンと言う金髪の騎士であった。
彼らが藩民に歓迎され、楽しい日々を送ったり、戦闘がおきて手伝ったり、整備でてんやわんやしたりの時間がすぎる頃、更なる客人が其の国に訪れた。


時間は現在に戻り、ここは玄霧藩国である。
緑が豊かな事以外に特徴のない国である。あえて言うなら、はるか昔から銘酒の里として知られているくらいだろう。
他の特徴といえば、『暗殺者がいる』だの『死神がいる』だのといった【噂】が流れたり、藩王が大抵参謀詰め所にいたり別のところでヘンな会議をやっていたりと言うレベルである。あとACEにクセモノが揃ってるとか。

本日は珍しく、というか、大きな戦争が一通り終結したので藩王が政庁で書類と格闘していた。
摂政に消費マイルの申請だとか特例処置だとかの対応を教えてもらいつつ唸り、もうすぐ夕日も沈む頃、扉をノックする音が響いた。
なお、実際は戦争が終わる前に来訪するはずだったとか、今は更なるイグドラシルを考えるときであるとかを今言ってはいけない。
何事もタイミングというものがあるのである。
さて、話を戻そう。
ノックの音に返答しつつ顔を向けると、白衣を着込んだ見慣れない男が立っていた。
頭は卵型、頭のてっぺんだけ髪の毛がない特徴的な髪型、瞳を遮る黒いサングラス。
おおよそ一度見たら忘れないタイプの風貌である。しかし、見覚えがない。

「どちらさまで?」

と、間の抜けた問いかけをしてしまうのも無理はなかっただろう。即座に敏腕摂政である雅戌クンが要件とどうやって此処まで着たかを問いただしている。
一応、政庁の藩王の部屋といえばなんというか、自分で言っていて意味が伝わりにくいが一国の王がいる部屋である。
警備の人間も勿論いる。理由もなしに関係者以外がおいそれと入ってこれる場所でもない。
しかも、手にはテキーラの酒瓶(空)を持っている。怪しさで言えばトップクラスに入るだろう。
そうこう考えている間に摂政が戻ってきた。手には書簡を持っている。
受け取って中を見てみると、無名騎士の藩王からの親書であった。


曰く、「ウチの国では満足できないそうですので、そちらでの滞在をお願いいたします」とのこと。


時間は再度前に戻る。
ここは無名騎士藩国の来賓室。藩王であるGENZと先ほどの白衣の男が向き合い、数名のSPが待機している。
彼らの間には数種類の酒瓶。どれもカラである。
白衣の男はそのビンの中でも一番高級なもののビンに直接口をつけ、そのまま飲み干して一言。

「ワシの口には合わん」

と、言い捨てた。
藩王GENZは『用意したのを全部飲み干しといて良く言うなぁ』等と思ったが、口には出さなかった。
それというものの、この男、この国に滞在しているアプローとコウタローを尋ねてきたらしい。
ただ、登場の仕方が悪く少し間違えれば危うくお縄と言うところだった。
聞いたところの経緯は、暫く大規模な戦闘が無いということで一旦総点検をするために宇宙船を全て地上に降ろして整備していたところ、ふらりと現れては『作業が遅い』とか『手順が悪い』とか言い、工具を奪って整備を始めたという。
確かに手順も作業も早く、スピードも速かった。が、流石に見知らぬ男に我が物顔で整備されては困る。
警備の人間を呼ぼうかどうか無名の整備師たちが悩んでいるところにアプローとコウタローが現れ、身元が判明したというわけだ。
話し振りからしてアプローとコウタローとは顔見知りであるのも間違いないし、この二人の友人であれば持て成さねばなるまい。と、なったわけである。
まぁ、スパナを投げつけられていたとか言うのも聞いたが、一種の愛情表現であろう。
しかしこの人物、大層酒の好みが激しい。アプローたちを訪ねて着たが、滞在するかどうかは酒の味で決めると言うような人物であった。
その結果が先ほどの言葉である。どうやら合格ではないらしい。
国を上げて歓迎している客人を訪ねてきた客人を満足させられないとなると、率直な話周りの目が痛いのである。
しかし、アイドレスの中に銘酒をうたっている国は殆どない。その上、いつでもアプローたちと会えるようにするためには聯合国であるという条件もある。
そのような国は・・・・・・と、考えてから藩王GENZは付き合いの大事さを再度確認した。


そして玄霧藩国。
なるほど。聯合国、それも一番の友好国の藩王の書簡を持っていれば通さないわけにも行かないわけだ。
などと私が考えたのを察知したのか、声を掛けてくる。
どうやらこの人物はライラプスというらしい。研究者崩れの整備士をしている、と言った。
それ以外はこの国の酒が美味かったら話す、ときたものだ。正直なところ、なんちゅーおっさんだと思ったのは私だけではないだろう。
一先ず、仕事が終わった後の晩酌用にと取っておいた秘蔵のラムを渡す。どうでもいいがつまみはいらんのだろうか?
駆けつけ三杯とはよく言うが、ライラプスは一息で飲み干してしまった。どうやらソコソコには気に入ってくれたらしい。
『こっちにはアプローとコウタローを見にきた。あの新婚さんたちがどうしてるかと思ってなぁ』ということが聞けた。
どうやらこれ以上は『もっと良いのをよこせ』と言うことだろう。其の時点で今日の仕事は他のヤツに押し付けた。


場所は変わって藩国を流れる河のほとり。政庁から外へ出ると既に月が出ていた。
今、我々は釣り糸をたらしている。
釣り上げた魚を直ぐに調理して酒の肴にしようという事である。
セッティングは勿論摂政がやっている。刺身包丁数本にまな板に清潔な水。固形燃料に油に鍋。
小魚は揚げて、形のいいものは刺身。小さすぎるのは返す。そしてそれをつまみに飲む。
これぞ最高の贅沢の一つではなかろうか。そしてどうでもいいがライラプスは何本あけるつもりだろうか。既に一升瓶が三つは空いている。
そうして暫く無言でのみ、釣り、食べ。1時間ほど立った頃。ライラプスはおもむろにコチラの枡に飲んでいた酒を注ぎ

「ま、合格じゃ。やっぱり酒は米に限るな。動物や果物のヤツはどーも合わん。まぁ、ソレしかなかったら飲むけどなぁ!」

と、大笑いしながら注ぎ続けた。いかん、こぼれるこぼれる。
その後、ライラプスは自分用の枡を持ってこさせ、こちらに突き出した。どうやら返杯を催促しているらしい。
それからゆっくり飲んでいる間に色々話も聞き出せた。やれ『もとは宇宙船の整備を一人でやった』だの『整備できないものはない』だのといったことから、目が義眼であること、義眼になった理由がアルコールがないときに工業アルコールに手を出したこと、体の一部を弄ってアルコールに強くしていること等々。
いやはや、どこまで本当かはわからないが、どうやらなんとかなったようである。やれやれ、これでゆっくり飲める。せっかくだ。摂政も呼ぼう。
しかしまったく、今日は疲れる一日だった。まぁ、この満月と美味い酒と客人に乾杯ってことでチャラにするか。


                           霧雨の月、満月の日。藩王玄霧記す。





余談ではあるが、翌日我々が河のほとりで目を覚ますと、なにやら政庁が騒がしかった。
二日酔いでガンガンする頭をこらえつつ向かった先で我々が見たものは、完璧に整備され、磨き上げられた黒曜(ウッドカモ仕様)と、その足元で一升瓶を抱えて眠るライラプスであった。

「やれやれ、ただの飲んだくれなんだか凄い人なのか」
「まぁ、其のうちイヤでも判りますよ。どうやらこの国が気に入ったらしいですし」
「困ったなぁ。あのペースで毎日飲まれたら流石に国から酒が消えてしまうぞ」

その後、藩国に醸造所が三つ増えたのはまた、別の話。



(原案:マイム  イラスト:アポロ、イク  設定文章:玄霧)
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