狂喜と恐怖はすぐ側に



………翌朝、いつもより体調が優れない様子で、或人はたくっちスノーに逢いに行く

或人
「おはよう…………」

たくっちスノー
「おはよう、イズはどうした?」

或人
「体調面を心配されたけど誤魔化してきたよ」

たくっちスノー
「おいおい………」



たくっちスノー
「………………」

たくっちスノー
…………迂闊だったな

或人
「無理にでも止めておくべきだった……………」


たくっちスノーと或人は後悔している

あの日、あの言葉を告げた夜、不破諫は行方不明となった。


或人
「不破さん………」

たくっちスノー
「………ゼアのデータを見てみたが、まだ死亡してないということは分かった」

たくっちスノー
「俺と翔太郎は情報を集めるのを一旦辞め、不破を探すことを最優先とする」

或人
「俺もなにか分かったらすぐ連絡するよ」

たくっちスノー
「…………お前も気を付けろよ」

或人
「分かっている」

たくっちスノー
「…………じゃ、気をつけてな」

或人
「………たくっちスノーもだろ?」


たくっちスノー
「気にすんな、俺死なないから………」

或人
「…………」


或人が椅子に座り、不破の安否を気にしながら空を見ていると………

騒がしく階段が上がる音が聞こえてくる

「あーお客様困ります!!顔認証と持ち物検査していただかないと!」

通してっ!!


或人
「……!!」



「あっちゃん!!!」


或人
「ひ………響!?なんでここに!?」



「にゅ………ニュースで………ふーちゃんが行方不明になったって出て!!」


「うっ、うっ………ああああ〜〜〜!!!ふーちゃんが!!ふーちゃんがーーーー!!!」

或人
「お、落ち着いて!落ち着いて響!!」

…………


或人は響を待合室に誘って水を飲ませる



「………うっ、うっ、ごめん、あっちゃん………もう泣かないって決めたのに………」

或人
「………いいさ、今ぐらいは」


「あっちゃんまでいなくなっちゃうんじゃないかって思うと怖くて………」

或人
「俺はいなくならない、夢を叶えるまでは絶対に」


「………ごめんなさい」

或人
「謝ることなんて」



「聞いて」



「メロディーリズムが呪われたバンドって言われてるのは知ってる?」

或人
「………聞いた事は、あります」


「あたしは呪われているの」

或人
「え?」


「昔っから………小学生の頃から、あたしに優しくしてくれたり、助けてくれた友達も、先生も………いつの間にかいなくなって、離れていって………」


「病院にいた頃はまーちゃんだってあたしの呪いのせいで死んだんだって思って」

或人
「そんな………そんなことない!!」

或人
「呪いなんてあるわけない!」


「……そう思いたい、思いたけど………シロも………」

或人
「シロ?」


「子供の頃飼ってたペット………大事にしてたのに、突然いなくなって………」

或人
「………え?」


或人
そんな昔から?



「うっ………ごめんね……あっちゃんに何かあったらすぐ駆けつけるから……ふーちゃんも絶対見つける………」


或人
「大丈夫、大丈夫だから……今日はもう帰って」


「うん……明日、あたし達帰るから……出迎えしてほしいな」

或人
「分かった」



…………しばらくして、響は帰っていったが


或人
「響………なんてことを言うんだよ………偶然だよな………偶然」


或人
「ま、まさか、流石にペットまで失踪なんて………ペットまでになったら………もうそんなの…………」


ドンドンドンドン

その時、社長室をノックする音が

或人
「シェッ!!?」

「…………あっちゃん」

或人
「響!?」


「ねぇ、あっちゃん 開けて」

「あっちゃん あけて 」

ドンドンドンドン

或人
「響!?響………なんだよな!?」

或人
「響で間違いないんだよな!?」


「そうよ 開けて」

或人
「……………」チラッ

或人は扉の隙間からチラ見する………見覚えのある姿だ

或人
(良かった……見た感じ響で間違いない)




或人
「開けるよ?」


+ その扉の先には




あっちゃん?




「………っ!!」




ギイイーッ バタン


シーン






「………え、何、今の音………」




「あっちゃん?」






「何処にいるの!?あっちゃん!!?」
最終更新:2020年07月26日 22:51