……………
…………
或人
「う………」
或人は気がつくと、真っ暗な廃工場に居た
体の自由が効かない………
横を見ると、手首に手錠がかけられていた。
或人
「な、なんだよこれ!?」
「……っ!!その声は、社長か!?」
或人
「え!?」
或人の鎖の先に………同じく腕を拘束された不破の姿があった
或人
「不破さん!?」
不破
「…………ちっ、その様子じゃお前も捕まったのか」
或人
「捕まったって………くっ、ここはどこだ………?」
不破
「分からねぇ………あと少しなんだが………くそっ、外れねぇ」
或人
(手錠こじ開けようとしてる!?)
「もう目覚めたんですか?」
2人
「!!」
或人
「…………な、なんで……………」
不破
「そうか…………やっぱりてめぇだったのか…………」
不破
「奏!!!」
奏
「………ふふふ」
奏
「そりゃそうですよね、もう少し誰かしらを匂わせておけば私に矛先が向くことはなかったのに」
奏
「ごめんなさい、私が不甲斐ないばかりにこんな事をさせて」
或人
「奏さん………なんで!?まさか、本当に………」
奏
「はい、もうどうせなので言っておきますが」
奏
「お姉ちゃんに寄り付く人間を消してきたのは私です」
或人
「……………まさか、本当に………」
奏
「有り得ない、と思ってます?」
或人
「だって………だっておかしいじゃん!!?」
或人
「奏さんが響の友達を消す動機がない!!」
不破
「………いや、一つだけ可能性がある」
不破
「響の人生をぶっ壊す為だろ」
奏
「!」
或人
「え?」
不破
「音ノ小路響の、追い詰められた時の変化………おかしいと思わないか?」
或人
「う、うん………前病院に居た時はは精神安定剤の数が多いとは思ってたけど……」
不破
「そうだ、そしてそれは失踪を重ねに重ねた結果だろうな」
不破
「友人が消えていくことで拠り所を無くし、追い詰めていった」
不破
「お前はそれくらい響の事が心底嫌いでぶっ潰したいとバンッ!!!
不破が喋り終える前に頭上を弾丸が掠める………奏はショットライザーを握っていた
奏
「黙れ。」
奏
「今度『嫌い』なんて口にしたら………今度はしっかり心臓狙いますよ?」
或人
「……………じゃ、じゃあなんで………」
奏
「これ以上誤解されるのも癪に障るので、はっきりしときましょうか、最期に貴方の好きな響の事を知りたいでしょう?」
或人
「最期………て、どういう」
奏
「それはまた後ほど」
奏
「私は響の事が嫌いではありません、むしろ大好きなくらいです」
奏
「貴方より」
奏
「或人より、ずっと」
或人
「……………好き、か」
或人
「ねぇ、失踪させたのが奏さんならさ」
或人
「シロって、知ってる?」
奏
「シロ?………ああ、響から聞いたんですね」
不破
「………ペットか何かか?」
奏
「はい、もう十数年も前に飼ってた」
或人
「響で言うところの『呪い』は大事なペット、シロが消えたことから始まった」
奏
「その通りです、響はシロを大事にしてました、私よりも、私が蔑ろにされるほどに」
奏
「今でこそおとなしいですが、響は私を虐めることもあったんですよ、まぁ気にするほどでもないですが」
不破
「お前の仕業だとして………どこへやったんだ」
奏
「シロは………誰もいない時を見計らって………」
奏
「ナイフでバラバラにして下水に捨てました。」
或人
「っ…………!!」
奏
「響は怒ることなく………泣いて、震えて私にすがったんです」
奏
「その時、私に残っていた罪悪の気持ちは………♥」
或人
「………そんな、事で…………」
奏
「親しい人が消えていく度、追い詰められて私にすがって泣く………なんて」
奏
「なんて可愛い………♥」
奏
「それからは不破さんの言う通り響を追い詰めるために、精神的に追い込むために消してきましたが、心底嫌いではありません」
奏
「響にバレないように追い詰めて、その度に助けてきたのは響の事を愛しているからこそ」
奏
「私はお姉ちゃんが大好きなの!!」
不破
「何がお姉ちゃんだ、まるで動物を手懐けるみたいに言いやがるな………」
不破
「俺たちに出会うまで………そうやって………」
不破
「お前、その口ぶりからして人殺しをしたことがあるだろ」
奏
「死なせたこともありますよ、誰をやったかまでは覚えてませんが」
奏
「大事なのは響が追い詰められた時のあの顔………私がやっているのは調教、過程でしかないんです」
或人
「…………あのさ、奏さん」
或人
「今、俺にとって最悪な想像が頭に………ピーンって」
奏
「あ、もしかしてマネ二郎の事を言ってますか?」
奏
「勿論アレも壊すつもりでしたよ」
或人
「!!!!」
奏
「ソレに関しては滅亡迅雷が見事に響の前でやってくれました、私としては手を下さずに済んだので良かったのですが」
奏
「…………正直私は貴方をナメていました」
奏
「貴方達は響に深く接し【すぎた】」
奏
「
天津垓が逮捕されるまでのこの一件は、私がやってきた調教を綺麗に溶かし、響を深く成長させてしまったんです」
奏
「その時でした、初めて私の体にゾクゾクと感じた思い………」
奏
「これまで響の為に殺してきた私ですが、初めて自分の意思で貴方達を殺したいと思ったんです」
奏
「よくも………」
奏
「よくも私の邪魔をしてくれましたねぇえぇ!!!飛電或人!!!」
奏
「私のこれまでの躾を帳消しさせるような真似をして!!だから私も最終手段を取らざるを得なくなったんですよ!!」
或人
「最終………手段‥‥‥‥」
不破
「‥‥‥‥‥そうか」
奏
「はい、流石にもう自分の立場が理解できましたか?」
奏
「私がなんの理由もなくベラベラと話してたと思いましたか?」
奏
「2人は響の為に‥‥‥‥」
奏
「私に惨殺処刑されるんだよおおおおおお!!!!」
最終更新:2024年08月27日 23:37