時空の怪物

「第6話」
『時空の怪物』

しずく「た、大変……大変です!!先輩!!」

しずく「彩月ちゃんが……まだ帰ってこないの!」

ミツキ「……そうか、やはりこんな事になったか。」

しずく「ど、どうなっちゃうのかな……」

ミツキ「…………こればかりは俺にも考えようが無い。」

ミツキ「案外、波乱組を壊滅させて普通に帰ってくるか、あるいは………もっと厄介な事を起こすのか………」

………

そして、彩月は………気がついたら車の中に乗せられていた

彩月(……あっ、……スタンガンか。)

彩月(だんだん思考が働くようになってきた、多分このままぐるぐる巻きにされるか、能力を無効化されて始末されるのかな。)

彩月(………えーと、確かあの人は……この辺りに『時空犯罪者』が居る、とか言ってたような、レーダーで調べてみよ。)

彩月(………!?この近く!?じゃあ、波乱組は………)

「おい、着いたぞ」

「!?こいつ意識が………」

彩月「やべっ」


彩月「プラズマ波動弾発射!!!」


彩月は車内で能力を使い、車を爆発させる。


彩月「………待てよ?もしかしたら波乱組と繋がってるかもしれない、ここはわざと捕まったフリを……いやでも、もし能力が使えなくなったら………ん?」

彩月はレーダーでまたひとつ別の反応を見つける、時空犯罪者のものでは無い。

彩月「…………ふーーん、なんだ、そういうことか。」

彩月「なら問題なし、このまま計画移行!!」

………

そして彩月を乗せた車は、大きなコンテナ倉庫へと到着した

彩月「………」

目の前にはスキンヘッドで小太りの親父がいる。

彩月(あれがボス?いや………幹部格辺りかな?)



アズ「お父様!!」

彩月「えっアレがボス!?」

彩月(あっ、いけね)

「………」

アズ「やめてお父様!!その子は関係ないの、私の友達なの!!」

彩月「大丈夫だよ、アズ。」


アズ「え?」

彩月「私、こんな奴に負けないから。」

彩月(………さて、色々と調べてみるか。)


彩月「覚悟してもらうよ………『時空犯罪者』」

「まさかお前……本当にここから出れると思って来ているのか?能力が使えないと分かっていて?」

彩月「うるさいな、いいから私の言うことを聞きなさい。」

彩月「私の頼りになるけどめんどくさい人が、色々と教えてくれたよ。」

彩月「この辺りにこの世界の能力者じゃ絶対に勝てない凶暴な能力者が居ること」

彩月「………それがこの近くにいるってこと。」


彩月「………ところで私はどうやって殺されるのかな?ドラム缶に詰められる?それともマシンガンかなんかで蜂の巣にされる?他の能力者達はどうなったの?」

「どうなりたいか聞いてやろうか?」

彩月「なら一緒に私の質問に答えて、なんでアズに関わる能力者を消したの?」

「何も殺してる訳じゃあない、珍しい能力を持っていれば高く売れるということさ、ウヒヒヒ」

彩月「りょ、人身販売の類いね………それなら後で特定は出来るか。」


「さっきから何をごちゃごちゃと!!さっさと捕まえろ!」

アズ「やめてお父様!!」

「ええい黙らんか!もう波乱組はこうでもしないと稼げん!カタギがどうこうという時代は終わったのだ!」

彩月「その結果がカスみたいな時空犯罪者に唆されて時空犯罪の片棒担ぎってわけね。」

彩月「裏の人間だから罪なんて怖くないと思ってるかもしれないけど、時空犯罪と普通の犯罪は、時空と能力者とこの世界の能力者の差くらい訳が違う!」



彩月「オラッ!!!」

彩月は躊躇なくロープを引きちぎり、プラズマで部下たちを吹き飛ばす!!

「なっ……な、どういう事だ!?能力は使えないはずじゃ………」

彩月「ええ、本来なら……確かにそういう風に『作られて』いる、でも………」



『てめぇらさっきからうるせぇぞ!!』

と、その時だった!!シャッターから赤いレーザー光線が無数に放たれる!!

彩月「おっと!」

そしてそれを彩月がバリアーで防ぐ!!

『この倉庫一体は、このレザード様の縄張りと知ってのことかぁ!!?』

コンテナから現れたのは、全身を機械のように武装したトカゲのような人のような生物だった。

彩月(………反応があった時空犯罪者はコイツか)

「なんだ貴様は!?」

レザード「そっちこそ邪魔だヒゲ!どこのランクの低い時空犯罪者か知らんが、俺様のレーザーで蜂の巣になりたくないならとっとと失せろ!」

彩月「うわーたいへんだなー」

彩月「ここに能力を無効化する装置がある事知らないんだなー」

「っ!?」

レザード「ああ?能力無効化装置?」

レザード「まさかそこに置いてあるデパートのオモチャのこと言ってるのか?」

レザードは何の迷いもなくレーザーで壁に着いていたスイッチを破壊する。

「!!!!????」

彩月「だから言ったでしょ無駄だって………」

レザード「さて……まず誰からぶち抜いてやろうか………」


アズ「い……いや……」


彩月「そこまでだよ、これ以上めちゃくちゃするなら私が相手だ。」

レザード「な……っ、てめぇは桜井彩月!?」

レザード「この野郎!!どうやって俺の縄張りを突き止めやがった!?」

彩月「貴方に関しては偶然よ、反応がしたからこの人が時空犯罪者と繋がってるのかなと思って……」

彩月「1度部下はぶっ飛ばしたんだけど、それをエスパーで操って何も無かったかのように見せかけていた。」

彩月「能力無効化装置の類だろうなとは後から気付いたけど、スペック見るだけで大した道具じゃないことは気付いてたからそのまま押し通した。」

彩月「さて、後は時空監獄の連中に通報するだけね。」

レザード「ちっ………捕まってたまるかよ!!」


レザード「俺様の必殺、ブラッドレーザー流星群!!」

レザードは猛烈な勢いでレーザーを乱射するが、あっさりと避けられてしまう。

彩月「貰った!!」

レザード「何を!!背中からもレーザーは………」

彩月「最高速でぶち抜いたる!!」

彩月はレザードを掴んで、丸ごと持ち上げて………


彩月「バックドロップ!!!」

レザード「ゲェああああああああぁぁぁ!!!」

脳天までぶち抜くほどのバックドロップを浴びせる

アズ「はあっ………!!」

「つ、つ………強すぎる………!!」

ファンファンファンファン!!

彩月「あっ、あの人が呼んだ時空監獄の人達かな?」

レザード「ちっ………分かったよ、大人しく御用されてればいいんだろ」

彩月「え?私貴方を捕まえに来たわけじゃないんだけど」

レザード「はあああ?」

重武装の男たちは波乱組の組長と部下達を引っ張り出す

アズ「え、あの、一体………?」


………
レザード「ほーん?こいつの親父が時空犯罪者とつるんで能力者を人身売買?」

レザード「ま、こんなガラクタを与えた時点で大したことないカスか、詐欺師かだな。」

アズ「あの………この方は?それにこの装置は……」

レザード「なんだこのガキ、時空犯罪者のことも知らねぇのな?」

彩月「この子は無能力者だから」


レザード「成程な……そのお前の関係者とやらの能力無効にしていたアレだが、あんなもん時空のデパートに出ればお小遣いで買えるようなとんだ安物だ。」

レザード「あんなもんで止められるやつは相当なカスぐらいだよ、俺様でも壊せるわ。」

彩月「………逆に能力者達がそのレベルってことに絶望もんよ私は。」

彩月「協力者も捕まえるように頼んだし、これでもう終わりね。」

アズ「……先程言っていた、犯罪と時空犯罪は違うというのはどういう?」

レザード「時空犯罪はああしてサツじゃなくて時空監獄が捕まえる、そんでもってランクに応じて断罪者が拷問にかけんだ。」

レザード「だから俺様だって逃亡生活してたんだよ、それがよりによってこんなヤツらの溜まり場とは………」

彩月「………ごめんねアズ、怖い思いさせて」

アズ「いえ………私達波乱組の自業自得です。」

彩月「……この件を通して名無シ超人学園にも知ってもらいたい。」


彩月「これが時空、これが力の差、そしてこれが…………貴方達の弱さ。」

レザード「何かと思えば、お前ら超人学園生か………あの能力者の底辺中の底辺な。」

アズ(私たちの学校って本当にそういう認識でしたのね……少し傷つきます。)

彩月「………言っとくけど、こっちはその底辺立て直すために必死に苦労してるんだから。」

彩月「貴方のせいでちょっと迷惑したんだから責任とってもらうよ」

レザード「はあ!?なんで俺様がお前の手伝いをすることになっているんだ!?」

彩月「時空犯罪者が私に文句言えると思ってるの?私からあの人に頼んで見逃してもらうようにしておいたのに?」

レザード「チッ………コイツ、俺様をU級時空犯罪者だからって足元見やがって………!!」



レザード「…………で?何すりゃいいんだ?」


………

「__こうして、能力無効化の真相は、普通にそこらに売っている能力無効装置の影響でありました、と。」

レザード「どうだ?理解したか、このクズ共。」

レザード「時空犯罪者の俺様が言うのもなんだが、こんな物で能力が使えなくなる奴とか本当に居たんだなって笑っちまうレベルだ」

レザード「おっとキレても無駄だ、この教室のあちこちにそれより性能のいいものを張り巡らせている」

レザード「性能がいいと言っても犬っころの能力止めるレベルだけどな。」

レザード「理解出来てんのか?お前らは能力者として犬以下!カス!ウジ虫レベルってことだ!!」


レザード「バン!!」ビッ!


レザード「このレーザーみたいなやつを出せるヤツが、向こうにはゴロゴロいる」

レザード「テメェらみたいなド無能共が時空に来たところで、誰かの代わりに撃ち抜かれるぐらいしか役に立たねぇよ。」


レザード「この状況に文句があるなら……あのバカぐらい強くなるんだな。」

レザード「ククク………さぁ!」



レザード「授業を始めるぞ………クズ共!」


…………

全てが終わったあと、風紀委員室で………

ミツキ「壊滅させるところまでは想定していたが、あんなものを拾ってくるとはな」

彩月「しっかり脅したし、能力の基準としてこの学校には丁度いいんじゃない?」

ミツキ「だが、奴はあちこちに能力無効装置を取り付けているぞ」

彩月「あんなもの時空に行けば沢山あるよ、あの程度突破出来なきゃ話にならない。」

彩月「現にここの奴らは詐欺で与えられた安物すら普通に効いちゃってんじゃん。」

彩月「それが大丈夫なのは先輩達のような限られた人だけ。」

彩月「少なくとも、これで実力の差とかは本気で分かるようになっちゃったじゃないかな?」

ミツキ「お前と言うやつは……」

彩月「………さて、これで学園内も少しは変わるはず。」


彩月「これでまた、発展に1歩近づいた!」


レザード「おいコラ彩月ィィィ!!!なんで俺様がガキのお守りなんかしなきゃならねぇんだ!!」

彩月「いいじゃん別に、貴方より弱い奴らばかりだよ?」

レザード「余計に惨めになるわ!!」
最終更新:2022年02月26日 18:59