「第7話」
「フルパワートーナメント」
しずく「新しく来た先生が怖いよぉ……」
彩月「まぁガラ悪い人だからしょうがないよ。」
しずくと彩月はシャワーを浴びながら雑談をしていると、タブレットから突如メールが届く。
それはとあるイベントの告知であった。
彩月「……フルパワートーナメント…………?」
しずく「あ、今度は明日やるんだ……」
彩月「なに、この天下一武道会みたいなの……」
しずく「能力者達の中で1番を決める………えーと、腕自慢大会みたいなもの。」
しずく「やってる時期は基本的に未定だし、今みたいに唐突に発表が決まることばかりだよ。」
彩月「………で、これ人気なの?」
しずく「まぁ……この学校の一大イベントの1つだし、勝てばそれだけ優位になれるらしいから………」
彩月「へぇ……でもさ、そんなに強い奴とかいるのかな?この学校の生徒ってみんな弱いじゃん。」
しずく「彩月ちゃんだけが強すぎるだけだよ……あれ?」
しずく「嘘!?あの新しい先生参加する気なの!?」
彩月「え、それってアリなの?」
しずく「今まで無かったよ!?えーと……ここの能力者達に現実というものを思い知らせる!?」
彩月(あのトカゲ……)
その晩
彩月「ふわぁ〜……眠いぃ……」
しずく「彩月ちゃん寝不足?」
彩月「昨日遅くまで新作ゲームしてたら朝起きれなくてね……しずく先輩は平気なの?」
しずく「私いつも夜更かしとかしないから……大丈夫なの?そんな調子で、今日は……」
彩月「フルパワートーナメント?あれ私出るつもり無いからいいよ。」
しずく「いや……実はその……」
しずく「トーナメントとは言うけどこれ、校内生徒全員強制参加だから………」
彩月「は?」
しずく「ごめん彩月ちゃん!!」ズルルルッ
しずくはスライム化で部屋の隙間に入り込んだ
彩月「はい!!?」
………
彩月が辺りを散策していると、既にあちこちで能力者同士の戦いは始まっていた。
彩月「うわ………本当に始まってる、なんでこんな事に……」
………
彩月「………これ戦わないといけないの?いつ終わるの?」
彩月「正直私も隠れたいんだけど………しずく先輩とこ戻ろうかな…………」
ババババババ!!
彩月「うおっ!!」
と、歩き出した途端壁からレーザーが貫通して飛び出してくる!!
彩月「本当に生徒に混ざって参加してたんだ貴方……」
レザード「ほざいてろ!コレも俺様なりの『教育』という奴だ!」
レザード「所詮ここの生徒など俺すらマトモに止められないクズの集まり!フルパワートーナメントなどドングリの背比べでしかない所を見せてやろうか!?」
彩月「それはいいけどさっさと帰りたいんだけd」
と、話し終える前に衝撃波の刃が飛び出し、ミツキが木刀を振るって
レザードの装置とせめぎ合いになる。
レザード「血からレーザーを出すだけが俺の戦法だと思ったか?」
ミツキ「なるほど……これが時空出身、他とは違うな。」
ミツキ「悪いが学園の秩序を守ることが仕事なのでな!!」
彩月「ああもうめんどくさい!!二人でやってろ!!」
…………
彩月「邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔!!!!」
彩月は能力を使い、次々と生徒を吹っ飛ばしながら寮へと戻っていく。
…………
彩月「ただいま!!」バーン!!
しずく「ひっ!?か、帰ってきたの!?」
彩月「何とか逃げて帰ってきた………先輩!スライム化した体の中に入らせてください!」
しずく「ええ!?そ、そんな事言われてもどうやって入るの!?」
彩月「ほら、人間には色んな穴があるから、下半身とか………」
しずく「ダッッ……ダメ!!そこは色々ダメ!!口開けるからそこから入って!!」
彩月「冗談なのに………」
………
彩月は体を小さくして、部屋の隙間に入ったしずくの体の中に入り込んだ。
透明なスライムの体に彩月はぷかぷかと浮かぶ。
しずく「だ……大丈夫?」
彩月「あ、うん……中でも呼吸は出来るっぽい。」
しずく「………私たち、これからどうしよう?」
彩月「これいつ終わるわけ?」
しずく「わ、分からない……」
彩月「分からなぃいい!?」
しずく「だ、だって……いつも急に始まっては急に終わるよく分かんないイベントだから………」
彩月「それでいいのかこの学園の一大イベント………じゃあ最低!最低でもどれくらい続いた!?」
しずく「多分半日近く………」
彩月「狂いそう……(憤怒)」
しずく「た、多分この中に居れば大丈夫だと思うけど………」
彩月「ちなみにそれ前の大会でもやったの?」
しずく「え、あ……うん。」
彩月「馬鹿!そんなの普通に対策されてるに決まってるでしょう!?別の所行くよ!」
しずく「え、あ、ちょっと!?」
彩月はしずくの体内から出ていき、元の姿に戻る。
そして部屋を出て行こうとした瞬間、扉を開けた先に
レザードが立っていた。
レザード「見つけたぞ
桜井彩月!!」
彩月「げぇ!!またお前か?」
レザード「戦いたくない奴の行動なんて、普通に寮に帰って籠ると相場が決まってる!」
彩月「そこで邪魔するなら普通にぶっ飛ばすけど?」
レザードが叫ぶと、あちこちの能力者が反応し部屋に向かっていく。
レザード「お前はこの学校で沢山ヘイトを貯めているからな、どうせ潰すなら先にコイツからの方がいいと考えるやつは多い。」
レザード「後は上手く誘導して、呼び寄せてやれば?」
彩月「ち……これだから
時空犯罪者はめんどくさい。」
レザード「じゃあな!俺様は勝てない相手に挑みはしない!」
レザードは窓にレーザーで穴を開けて寮から脱出し、その間際にも次々と能力者ぎ部屋に集まろうとしていた!
彩月(く……後ろにはしずく先輩がいるし、寮だと派手な能力は危険……)
その時彩月に電流が走る。
彩月「……あ、そうだ!」
彩月は部屋の奥に入り、シャワーを引っ張り出してくる!
しずく「え!?な、な、何を!?」
彩月「しずく先輩のスライムの体……水分さえあればいくらでも体積を増やせるなら!!」
しずく「ま、待ってちょっと待って!!」
シャーーーっ!!
しずく「ダメぇぇぇぇっ!!大きくなったら服破けちゃぅぅぅぅ!!!」
………
レザード「あの静かな寮が地獄絵図に変わるのが楽しみでしょうがねぇ……」
ゴゴゴゴゴ………
寮がだんだん震え始める
レザードは戦闘を確認しレーザーを構えるが……なにか様子がおかしい。
ビシッ!!
寮に亀裂が入り、ガラスの先から何も見えなくなる。
亀裂がどんどん拡がっていくのを見て、
レザードはなにかに気付く。
レザード「まずい!!あいつ内部から寮を吹き飛ばす気」
しずく「きゃあああああああああああ!!!!!」
そして、質量が一気に増えて通常の何十倍にも巨大化したしずくが、その大きさで寮を壊して能力者をぶっ飛ばす!!
彩月「よし!作戦成功!」
しずく「酷いよ彩月ちゃん……うえっ、ぐずっ……」
一気に巨大化したことで服が破れて全裸になったしずくは真っ赤になり胸と股を隠して蹲る。
彩月「おっと、証拠隠滅」
彩月はバックドロップで
レザードの頭部を地面に沈める。
彩月「ごめん!これ終わったら大きくなっても破けない服用意するから!」
しずく「う、うん……早めに……」
………
彩月「先輩!!」
ミツキ「なんだ騒々しい、さっきの音はなんだ」
彩月「それは後で説明するとして!!」
………
ミツキ「フルパワートーナメントを終わらせる方法?」
彩月「全員倒すとかはナシの方向で、しずく先輩とかアズとか傷付けたくないし。」
ミツキ「………」
彩月「そもそも提案してるのって誰なの?」
ミツキ「………お前なら簡単に終わらせられるかもな。」
………
彩月「寮長?」
ミツキ「そう、5つの組にそれぞれ風紀委員と寮長が居ることは知っているだろう。」
ミツキ「その寮長が1人でも倒れればフルパワートーナメントは終了となる。」
彩月「確か寮長って教員側を除けば一番ランクが高いんだっけ?」
彩月「つまり……」
ミツキ「お前ならさくら組寮長を倒せば手っ取り早い。」
………
彩月「オラッ!!寮長!!出てこい!!」
彩月は寮長を探すため、一人一人能力で目に映った者を吹き飛ばしていた。
………
ミツキ(さくら組寮長の能力は擬態だ)
ミツキ(お前の能力が技のコピーなら、奴は見た目のコピーが出来る。)
彩月(それって強いの?)
ミツキ(フルパワートーナメントで混戦を避けるならこれほどうってつけな力も無いだろう。)
彩月(それもそっか)
ミツキ(…………何をするかは何となく分かっているが)
………
彩月「他人に擬態……となると、1番恐ろしいのは………」
彩月「無差別に誰彼構わず破壊すること、かな!!」
彩月は手当たり次第に能力をぶちまけて、次々と能力者を倒す。
擬態じゃないならそれまで、この際何があっても構わないと次々と周囲ごと攻撃していく!
ミツキ(やはりこいつは、敵に回したら相当面倒臭いな………)
その時、アナウンスが鳴り響いてスマホに通知が出る
『あさがお組の寮長が倒れたので、フルパワートーナメントを終了致します』
彩月「あれ、別の寮長倒しちゃった?」
ミツキ「いや………お前を恐れてあさがお組が寮長を袋叩きにしたんだろうな、奴の能力は精神を狂わせるものだから……」
彩月「リスキーすぎる………!!」
…………
かくしてフルパワートーナメントが終わって数日後。
彩月「あっ学校内よりお知らせ、これ以降フルパワートーナメントは禁止ですだって。」
しずく「そりゃそうだよ………彩月ちゃんがあんなに暴れて学校中滅茶苦茶になっちゃったから。」
彩月「むしろみんな今まであんな暴れて壊れたりしなかったの?」
しずく「ウチの学校、彩月ちゃん来るまでは一応能力者でも壊れない設計で作られていたんだけどね?」
彩月「なるほどそれは悪かった………特に今回寮ぶっ飛ばしちゃっなし。」
レザード「てめーよくも2度も俺様にバックドロップしてくれたな?」
彩月「だってしずく先輩のあられもない姿が………」
しずく「それも彩月ちゃんのせいだよっ!!!」
彩月「ほんとそれもごめん!!!」
………
レザード(……ッかしこの学園、なんかキナ臭ぇんだよな)
最終更新:2022年03月23日 08:25