帰宅部大会

たくっちスノー「部活動?高校生活で青春なんてフィクションの話だろ」

たくっちスノー「ましてや、オリジナルの部活を作るなんてどこの2000年代アニメだよって感じだ」

たくっちスノー「………いや、そういえばアレってオリジナルって言えるのか?まぁ斬新だし見たことは無い部活なんだが………」


たくっちスノー「まぁそんな話!」




…………


たくっちスノー「うおー………でっけー…………」


たくっちスノー「いや、別にデカい学校は珍しくないんだが……」

たくっちスノー「なんか声援が聞こえるな………」


ワァァォァ………


たくっちスノー「えーっと、何何高校、名門………部、部……何、」


たくっちスノー「風で旗がヒラヒラして肝心なところが読めないんだけど」


たくっちスノー「んー、でも部活かー」


たくっちスノー「野球部だろ?サッカー部に吹奏楽部、美術部に茶道部 演劇部……」


たくっちスノー「プロアクティ部………は、今の子には通じないか」


たくっちスノー「とにかく色んな部活はあるが、一体なんの名門だって言うんだ?」



ガガガガガ!!!

たくっちスノー「おっ、下校名物チャイム鳴ったらさっさと帰る無所属のボーイじゃん」

たくっちスノー「ちょっくら、からかいながらこの学校の名物でも聞いてこよ」



………

たくっちスノー「おーーーい君ィ!その学校の名物とか部活動について軽くお話を」


「ただいまー!」

たくっちスノー「ガンスルーされた!?」


たくっちスノー「嘘だろ!?俺に話しかけられてガン無視する奴初めてだよ!」

たくっちスノー「時々酷い目にあったり罵倒はされるけど、新しいパターンすぎる………」



たくっちスノー「………ん?ていうか」


たくっちスノー「足音やまねーけど、なんだこれ」




たくっちスノー「なんだよこれ…………まさかッ!!」




ドカドカドカドカドカドカドカ


たくっちスノー「凄い数の゙帰宅部゙が集まってきているッ!!」


たくっちスノー「………あ?」


ヒラヒラヒラヒラ


【名門『帰宅部』】


たくっちスノー「き………帰宅部ぅぅーー!!!?」

………

………

校長「この学校に見学なさったきっかけは?」

たくっちスノー「帰宅部ってなんなんスか」

校長「やはり気になるかね?帰宅部が」

たくっちスノー「いや、だってその……名門帰宅部って………なんの部活もやりたくない人が何もせず帰るだけで、部活とは言えないんじゃ………」

校長「果たしてそうかな?」

たくっちスノー「え?」


校長「野球、芸術、音楽、知恵……あらゆる分野で部活は切磋琢磨する為の最高の場所と思っておるが」


校長「その上で帰宅こそ『学生』にとって、いや人にとって最高の努力だと思わなんかね」

たくっちスノー「いやー、状況がカービィのゴールゲーム並に飛躍してませんかね」

校長「そもそも、学生は学校が好きな物はそんなにいない」

校長「6時限という授業の中で教えられることは大体教えている」

校長「なら、これ以上生徒達を嫌なところに縛り上げる必要はどこにある?」

たくっちスノー「若者の成長の為にあるんじゃないですかね」

校長「我々は帰宅を一心に教育している、色々教えた上で、終わったならさっさと帰る、これが資本と言える」

たくっちスノー(その言い方も割とアレだな………)


たくっちスノー「じゃあ、帰宅部以外は?」

校長「当然ない」

たくっちスノー「実質部活無いような物っすね」

たくっちスノー「大学行かないと職歴に『帰宅部をしてました』って書くことになるんやな」


たくっちスノー「で、帰宅部って………家に帰るだけ?」

校長「ならば君、言ってしまえば美術部も『絵を描いているだけ』だろう?」

たくっちスノー「…………!」


校長「サッカー部も球を蹴るだけ、茶道部も茶を作るだけ、それと同じだよ」



校長「帰宅部には、ドラマがあるんだよ」


たくっちスノー「………ッ!!」


たくっちスノー(このジジイさっきから最もらしい屁理屈ばかり並べてるけど凄さが全然伝わらねぇッッッ!)

たくっちスノー(………多分この人も帰宅部で学校内にいい思い出が無かったんだろうな)

たくっちスノー(まぁそれ言ったら俺なんて幼稚園保育園すら行ってないしまだ0歳なわけだが)

校長「ああ、折角だ旅の者」

校長「そろそろアレの時期だ、見物していってはどうだろう」

たくっちスノー「あ、アレ?」




校長「『大会』だよ」


たくっちスノー「帰宅部大会!!?」


校長「ああ、まだこの学校内だけだが、行く行くは地区に、地区から全国に、やがては………」


校長「時空に」


たくっちスノー(リニュ後たちになんて報告すればいいんだよそんなの、大体時空監理局の申請通るのか?)


たくっちスノー「まあいいや、実は俺時空監理局の関係者なんだよ」


たくっちスノー「ちょっと興味あるから見せてもらおうじゃないか、帰宅部の最強の大会ってやつを!」


…………

校長「これより帰宅部高校大会を始める!!」

たくっちスノー「高校大会とか多分この学校でしか効かないフレーズだな」

校長「ルールは簡単!!」


校長「この学校から全速力で我が家まで帰宅するだけ!!」

校長「寄り道不要ッ!この帰宅経路だけあればいいッ!」

たくっちスノー「単純明快すぎてルールとして成立するのかすら怪しいレベルだな」

校長「数々の声援を受けて、準備を整えるんだ!!」

【カ・エ・レ!カ・エ・レ!カ・エ・レ!】

たくっちスノー「すげぇな」

たくっちスノー「ここまで嬉しくないどころか人によっては涙出て過呼吸になる声援他にあるか?」

校長「さぁ、そろそろ6時限終了から20分!最終下校時間のチャイムが鳴るぞ!」

たくっちスノー「えーと現在3時34分………ガチで授業後何もしてないんだあんたら………」

たくっちスノー「あそこに見えるの何?」

校長「教員だ」

たくっちスノー「先生はまだ帰っちゃダメだろ!!?生徒が帰っても色んな準備あるって知り合いの中学教師から聞いたぞ!?」

校長「そんなモノ別の日に済ませておけばなんとかなる!」

たくっちスノー「大丈夫かこの学校!?よくもまぁこんなでっかい校舎で優秀高校ツラ出来たなぁオイ!!」

たくっちスノー(あー頭痛くなってきた………大丈夫かよココ)

たくっちスノー(でもまぁ見たいと言ったのは俺なんだ、さっさとコイツらが帰る所見届けて俺の方もさっさと帰ろう………)


校長「いよいよチャイムだ!」



キーンコーン

校長「はじめ!!」

たくっちスノー「うおっ!!」


たくっちスノー「マラソン大会もビックリのスタートダッシュ切った奴が多いぞ!!」

たくっちスノー「なんで陸上部を作ろうと思わねぇんだ!!」

校長「家に帰れると思うと足取りは軽くなるだろう?」

たくっちスノー「ここまで露骨だと学校側も凹むわ!!」

たくっちスノー「…………ん?」


たくっちスノー「校長校長、聞きそびれたんだが帰宅部の動きって『徒歩』だけなのか?」

校長「いや?実の所なんでもいい」

校長「家に帰る手段、自力であればなんでもいい、親に送り迎え以外であれば…………何をしても」

たくっちスノー「まぁチャリ通学とかもあるけどさ………」

たくっちスノー「じゃああの人がタクシー乗ってんのも?」

たくっちスノー「電車も?」

たくっちスノー「なんかヘリコプター乗ってんのも?」

校長「バラエティ豊かでいいだろ?」

たくっちスノー「どんだけ遠くから通学してんだよ!!」

たくっちスノー「そこまでするくらいなら近くのマトモな学校入れば良かったろ!親はどんな気持ちでここを選んだんだよ!」

たくっちスノー「あっ、一応偏差値は高いのねこの学校」

たくっちスノー「いやでも………帰宅部の名門ってなんかやだなぁ………」


校長「あっ!今誰かゴールしたぞ!」

たくっちスノー「どれが!?ていうかよく分かったなアンタ!!」


…………

たくっちスノー「………って内容を時空進出させようって思ってるそうなんだよこの学校」

たくっちスノー「どう思いますかリニュ後」

たくっちスノー(雪)【いやあの…………熱意とかそういうのは伝わったんだけどさ、帰宅をスポーツ化て……】

たくっちスノー「な?馬鹿らしいだろ?」

たくっちスノー(雪)【馬鹿らしいというか……真面目に応えるとさ】



たくっちスノー(雪)【………それ、結局どんなに策とか腕を磨いても、学校から家に1番近い人が有利じゃない?】

たくっちスノー(雪)【何かしらハンデが簡単に生まれる以上、スポーツとして成立しないんじゃ………】

たくっちスノー(雪)【というか、さっさと学校帰ったところで何するの?】

たくっちスノー「…………」


たくっちスノー「えげつない正論の雨は下手に貶すよりキツいんだぞリニュ後」

そして帰宅部は廃部になった。
最終更新:2022年08月14日 10:36