たくっちスノー、運命の出会い。

時空を歩き、物語を越えて、あらゆる世界を渡り歩く1人の生物が居た。
名前は無い……正確には『決まった名前』が無い。
途方もない数の名前を知人から譲り受け、以来世界を超える度に名前を変えて活動している。

だが、主に時空上では彼はこう呼ばれている。


たくっちスノー』と。

………

「う……そろそろ金が尽きてきた、しばらくこの世界に移住するしかないな」

そして、『彼』はまた1つ世界に辿り着いた。
といっても目に見えるのは自然ばかりで大したものはないように見えるが。
「しかし……ここは随分と平和そうだ。これなら俺も気楽に過ごせそうかな?」
とりあえず、適当にその辺の木陰で休憩を取る事にした。
何も無い所よりかは幾分マシだろうと思い……
そしてしばらくした後、ふとそばを見ると小さな村のような物が見える。


「村か、まぁ野宿するよりはこういう所に居る方が楽なんだよな、よし……」

とりあえず、足を運ぶことにした。
……

「っにしても……今回は何をしようか、まずここがどんな世界かも分かんないし……」

と、歩いていると何か人溜まりが見える。
そこに居るのは全員子供だ、どうやら典型的なイジメの現場らしい。

「俺にどう出来るかってわけでもあるが見なかったことにするのもゴミ拾いを誰かに任せたみたいな気分にもなる」
仕方ないので、とりあえず助けることにした。
するといじめっ子達は逃げていった。
代わりに出てきたのは……多分女の子だろうか? 身長的に小学生くらいの子が出てくる。
とりあえず話を聞くことにした。


「お前、名前は?」

「……ライ、チ……」

「ライチか、んー、俺は……デニム・ピラート……『デニ』でいいよ」

正直、『彼』は名前にはあまり興味は無かった。
というのも、その人にとっては、簡単に作れるライセンスみたいなものだったから。

「あの……」

「どうした?」

「どうやったらあなたみたいに つよくなれますか?」

「んー……知りたい?」

どうせ暫くやることは無い。
こうして、デニとライチの奇妙な関係が始まった。……
「ししょー今日は何を教えてくれるんですか」

「えっとな……じゃ、とりあえず」




「走るか」
最終更新:2023年01月25日 17:53