ピンチと逆転は紙一重

トレスマジアは悪の組織エノルミータや時空犯罪者と日夜戦っている。
たくっちスノーが合流してから、定期的に鍛錬を受けてもらっていた。

「実はちょっと嬉しいんだよ、俺に稽古付けてもらいたいなんて」

「全力でお願いします!」

「言われなくとも出来る事全て使ってやるぞ!アズールは真化って奴で来い!」

はるか、小夜、薫子が変身する間もなくたくっちスノーは刀を抜いて迫り、直前で抜刀してはるかに斬り掛かるがそれを回避してマゼンタに変身する。

「悪いね、本当は変身する際は攻撃しないっていうのはマナーなんだがそうは言ってられないんで……な!」

さらに真正面からミサイル爆発、煙が晴れるとサルファが間一髪合流しバリアを張っていた。

「なるほどバリア系か、ならこれならどうだ………忍法じめり沼!!」

攻撃を塞がれる事を判断したたくっちスノーは床を叩いて底なし沼に変え、バリア内の2人を沈めようとするところをアズールの氷で伏せがれる。

「真化、薄氷巫女!」

「マガイモノチェンジ!レッドドラゴン!!」

赤い竜に変身したたくっちスノーと巫女のような強化形態に進化したアズールが幾度となくぶつかり合い正面衝突、炎のブレスも凍らせながら正面から払い、無数の氷剣が爪で破壊されていく。

「どうした!避けなきゃ長続きしないぞ!」

「この為よ!愛のアヴァランチ!!」

レッドドラゴンの腹部に回り、巨大な魔力を放って壁まで吹っ飛ばす。
愛のアヴァランチ……それは与えられる痛み、衝撃を全て魔力に変換し巨大な力に変えるアズール最大の技、それを強力な状態で放つにはわざとダメージを受けなくてはならない。
…………アズールが単に攻撃をわざと受けたいドMなのもあるが。


「くっ、カウンター系……?なるほど、結構やるね、あれ、マゼンタはどこに」

「俺の真上!!?」

「とりゃ!!」

アズールが戦ってる間に真上に周り、落下しながら槍を振り下ろす。
時間が来てたくっちスノーの変身が解除されながら膝を着く。

「凄い!凄いぜトレスマジア!!マジアベーゼが夢中になるのも分かる!」

「次は別の戦法でいくぞ、まだやれるか!?」

「はい!!」

たくっちスノーはまた更に別の技、別の姿に変化してトレスマジアに突っ込んでいく。

____たくっちスノーは変身能力を持つ。
劣化コピーではあるが、この時空に存在する全てのキャラクターの力、全ての姿、全てを再現できる。
この力が悪事に使われていたからこそ史上最悪の時空犯罪者とされていたが、今は違う。
この変身能力を巧みに使うことでヒーロー達はありとあらゆる戦術、能力、種族……なにからなにまで想定したシミュレーションを行うことが出来る。
悪になればたくっちスノーは史上最悪、しかし味方にしてしまえば………史上最高の特訓相手に化けるのだ。
全てのキャラクターを自分より強くする、それが彼の存在意義。


………
トレスマジア達は強くなる為ぶっ続けでたくっちスノーに特訓を頼み、気が付けば2時間が経っていた。

「俺も満足だ!なんか………凄い役に立ってるんだなって感じがして、ありがとな、はるか」

「うん、でもまだ……真化は見えてこないけど」

今はるかと薫子は小夜のように真化を目指して特訓を重ねている、人々の期待に応えるために、時空と街の平和を守るために、自分自身の貞操の安心の為に。
どっかの悪の組織で「マゼンタとサルファを真化させてぇよな……」と期待してる総帥の為に。

そんな気を張ってるはるかの為に薫子が話題を変えた。

「………はるか、考えたことあるか?エノルミータが急に規模が大きくなったのは何故か」

「それはよく聞くが、急って本当に急なのか?」

「ええ……脈略もなかったわ、他所の魔法少女にも手を出してるっていうのを聞いたくらいで、こんな急に何でもかんでも来るくらいは……」

「………ベーゼとは別の所で何かありそうだな、これは」

……………

そしてエノルミータは……

「ハアハア……くそっ、マジアベーゼめ……」

相変わらず鍛錬しても攻撃が通らずコリコリ乳首アクメして終わったギンガ、筋肉は付いてくる一方だが知恵も考えもない筋肉はただ重いだけである、その割に体は正直で気が付けばギンガも乳首をつねらなければ満足にイけない体にされてしまった。

そんなギンガにネモが近付く。

「聞いたぞお前、アイツに鍛錬してもらってるのに全然だってな」

「うるさい……強くなってはいるんだ、アイツが、アイツが……」

「はあ……魔法少女への復讐ってのも大変だな、妹を失ったんだっけか」

「ああ……妹、ツキミっていうんだが……魔法少女との戦いで亡くなった」

「その話はよく聞いたが、詳しく聞……」

(貴方はまとめWikiで設定だけ見て満足するタイプでしたか?違うでしょう?貴方の好きなゲームだって実況で済ませたと言われるのはムカつきませんか?)

「うっ……ベーゼが脳内からッ……」

脳内に突如語りかけてきたうてなの言葉でめんどくさい物を受信したネモは敢えて聞かないことにした。
ギンガは当然首を傾げるが気にしないことにした。

「おい、そんなに強くなりたいなら私もなんか相手してやろうか?レオパルドもなんかやってるんだろ」

「何!?お前が!?」

「あまりアイツの前では言えないが昔は魔法少女狩りなんてしてたんだ、魔法少女を倒すことに関してなら役に立つだろ」

先輩3人目による鍛錬の勧め、本来ならかなり期待されているということではあるのだが、ギンガは少し距離を離す。

「お……お前はどこにナニをする気なんだ」

「しねぇよ!?あんな奴らと一緒にするんじゃねえぞ!?」

「嘘つけ!私は知っているぞ!お前、あの相方と見られてないと思ってたまに本番まで行っているところ!!」

「べーゼと違って私は純愛だ!!!」

(私も純愛なんですけど????)

ロコムジカとルベルブルーメは相思相愛で本番まで行った仲である。
あくまで幼馴染だったのがマジアベーゼがある意味余計な後押したせいでこうなったのもあるので、ある意味彼女達も進展こそしたがギンガと同じくベーゼの被害者である。
なんかこの組織、ベーゼの被害者ばかりだが気にしてはならない。

と、2人はメンバーのことを考えてある事に気付く。

「あ、そういえば………アイツ見てないな」

「アイツって……えーと確か、お前の同期だろ?変な名前の……」

「ジュエリーロジャー……」

「ああそれそれ、確かにアイツ最初はよく見たがなんか目立たなくなったな」

ジュエリーロジャーは気が付けば姿を見せなくなった。
一応戦っているので働いているが何一つとして詳細が分かっていない。
ギンガの知ってることなんて『フィギュア転売で儲けようとしてベーゼの逆鱗に触れるところだった』しか分からない。

こういう時は選んだ本人に聞こう……ネモは1度ギンガと別れてうてなの所に向かい……

…………

「え!?スパイ!?」

「はい、我々の情報を別組織に横流ししてたんですよ」

なんとジュエリーロジャーは別組織から潜り込んできたスパイであった。
これに関してはもう気分悪いまま適当に消去法で決めたうてなが悪いのでネモも思いっきりうてなを睨み付けており、うてなもどうしようもない事実なので若干小さくなっていた。

「なんかあっさり言ってるけどどうしてくれんだ!!特盟とかにチクられたら完全におめーのせいじゃねーか!!」

「ひいいいいすみませんすみません!!」

必死に肩を揺らし、急いで真珠とキウイに電話をかけさせエゴサやら火消しやらと大急ぎ。
更にジュエリーロジャーことぽぽりがどんな組織とダブルブッキングしていたのか徹底的に調べさせた、もしこれが特盟やヒーロー組織なんかのスパイであったら洒落にならないに、別の悪の組織だったとしても余計な手間はかけたくない。

そしてネモは罰としてヴェナえもんの力でクレーンゲームを作成しうてなの魔法少女グッズを中に閉じ込めた。

そして数分後、緊急会議が始まった。

「にしてもうてなちゃんよく別組織のスパイって分かったね」

「偶然エゴサした結果ですけどね」

「で、あいつは一体なんの組織に………」

「コレです」

うてなはスマホを操作して真ん中に置き、全員が見れるようにする。

「DPM……?聞いたことない名前ね、表向きはマッチングアプリのようだけど」

「聞いたことあんな、マッチングアプリを装うことで人間を拉致して臓器売買とか海外に高飛びとか、そういう時空犯罪があるそうだ」

「じゃあ私達勝手にマッチング登録されてるんじゃないかと」

「まあはい」

「おい、こいつがやらかす度にグッズを金庫に詰め込め」

「ダメよもう金庫ギッチギチだから2個目必要ね」

「ず"び"ま"せ"ん"で"し"た"ぁ"〜」

魔法少女グッズを詰め込む真珠!泣き叫ぶうてな!既に地獄のような会議だがまだ終わらない。

「話を最後まで聞いてください!責任持って自ら乗り込んで調べましたがDPMについてはもう分かってます!」

「daredemo papakatu matchingの略でした」

「いかがわしい組織じゃねーか!!」

ロコルベコンビに捕まりギンガのドラゴンの力でアッパーカットされたり雑巾みたいに絞られるうてな。
キウイがサイトを開いてみると確かにモザイクがかかってるが、確かに自分たちのようだ。

「なんかコスプレ系のアレ扱いされてんな」

「最近変なおっさんばかり集まると思ったらアンタのせいじゃないの!」

「キスマークここにいなくて良かった……」

騒ぎの中キウイは冷静にうてなに問いかける。

「で、こいつらどうする?私はいつでも破壊出来るけど」

「あ、大丈夫です、ぽぽりさん既にシバかれてDPMも壊滅の危機っぽいですから」

「え、アンタ既になんかやったの?」

「私というより」

そういえば話の中でこりすがやけにドヤ顔をしている、どうやら彼女がDPM壊滅に1枚貢献したようだ。

「そういえばコイツ玩具を操れるんだもんな、下手したら私達の中で1番厄介……」

「いえネロさんをサイトに載せたら児ポ判定でBANされたようです」

「何やってんだお互い!!」

改めてぽぽりの処置を考える、突き出そうにも立場が立場なのでまとめて塀の中に送られかねない、クビにしたらエノルミータとしての情報を他所に漏らしかねない………

「ぽぽりはなんて?」

「お金が欲しかったと」

「ヴェナリータ、都合良く記憶消すとか出来ないのか?」

「無理だね、そんな細かく記憶消去が出来るなら僕は度々君たちにやってるよ」

「そうですね、私もおしりの事忘れてしまいたいくらいですし」

(まだ引き摺ってんのか………)

とりあえずぽぽりは給料75%カット+監禁ということで話は終わったが問題は続く。
そもそもこんなヤツを消去法で選んだうてなの責任………
当然幹部格からは非難轟々であった。

「こいつどうしてくれようか」

「すみませんでした!寿司!寿司とか奢るので!」

「寿司なんかで今回の件揉み消せると思うなよー!」

「キウイちゃん助けて!」

「まあ今回は結果的に」

「酷い!キウイちゃんがもう消去法で良くない?って言ったのに!」

ひたすらしばかれ怒られ大騒ぎの中、傍観していたキウイが挙手する。

「あ、寿司じゃなくて刺身奢ってくれる?今晩皆で食べるから」

「刺身!?わ、分かった!何人前でも奢る!お金は出す!」

うてなは大急ぎで魔法少女グッズ用に沢山貯蓄していた箱を破壊してジーカを大量に取り出す。
ざっと50万ジーカはある。

「マグロイカタコイクラとにかく沢山買ってきて〜!時空通販じゃなくてスーパーで!」

「よし!」

それを担ぎ大急ぎで時空の渦に乗っていった。
ギンガはキウイに向かって詰め寄る。

「アンタ……親衛隊だからって柊うてなに甘いんじゃないのか!?あんな事で許していいわけないだろ!」

「まあ見てなって今晩」

…………

そして時は来た。
夜中……エノルミータ幹部格は檻に閉じ込めておいたぽぽりとネモの起点で別の場所を知らされたしゅくび以外でうてなの金で刺身を食べることになったのだが………


「…………」

とても食事をするとは思えない妙な空気になっていた。


「キウイ、これは何?」

「何って、こういうことだよ………うてなちゃんの女体盛り♡」

「どっひぇ〜〜〜〜〜!!!?」

うてなの買った刺身がうてなの体の上に乗っている。
女体盛りというものを噂で聞いたことはあるが、なんかやる側になると凄いベタベタする上に疲れる……そう思っていた。

「あ、あのキウイちゃん、これ私食べれな……」

「今は我慢して、存分に頂くから」

キウイは乗り気だったが真珠を初めとして他メンバーはこの光景に若干引いていた。

「人の体の上に乗ってるものとか食べるの気が引けるんだけど……」

「しかもコイツ足臭いからな………」

「ちゃんと風呂に入ってきたよ!!!」

「食べないなら私が全部食べ尽くすけど」

キウイは嬉しそうに舌なめずりして箸に手をつけるが、真珠とネモは生理的に無理と感じたのかこりすを連れて離れていく。

「いやアレは無理よ……勝手にイチャついてなさい」

「こりす、こっちでカップ麺食うぞ」

となるともう残るのはギンガしかないのだが、離れることなく箸を持ってキウイの隣に来る。

「え、ギンガさん!?ちょっと!?」

「考えてみればお前に仕返し出来るチャンスなんてここからあるか……?」

「ま、待って!乳首の件は謝りますから」

「今更遅い!」

「うっひゃあ〜〜〜〜」

キウイとギンガ、2人の獣の手によってうてなの表面に張り付いた刺身を次から次へと貪っていく。
刺身のべっとりとした液でぬるぬるまみれになったうてなの大事な所が次々と顕になっていき、綺麗で大きなうてなのイクラが箸で挟まれた。

「ちょっ、2人とも!?そこはイクラじゃな……あっ待って引っ張らないでっ!あっ、ああっ!」

今までやられた分存分にやり返すギンガと便乗するキウイ。
箸で撫で回して立派なイクラを掴み、ペロペロとじっくり味見する。
こうして柊うてなは2人の手によってしっかり反省するまで頂かれた。

…………

退散したロコルベコンビとこりすは、カップ麺片手に『ドラグレジスター』のDVDを視聴していた。
ギンガの事もあり、うてなから事前に戦う相手を把握しておけという命令……というのは建前で実際は定期的にうてなのお気に入りの魔法少女作品布教に付き合わされてるだけで、実際はこれ以外にも何本か勧められている。
全話視聴は前提で途中からグロッキーになるのが定番だ。


「なんで魔法少女アニメってこんななっがいんだよ……今何話?」

「まだ8話よ……これ全45話なんだからこんな所で弱音吐いてられないわよ」

テレビをぶっ通しで眺める真珠とネモ、しかし第9話に入った途端その雰囲気も変わる。

「ツキミ……?これがあいつの妹」

「え?」

ネモは前にギンガから聞いた妹、羽刈ツキミと呼ばれた者に釘付けになる。
テレビの中の彼女は健気で魔法少女が大好きで心優しくて………ギンガが大事にしているのも分かる。
実際の所ネモは興味があった、あの人々から尊敬され愛される魔法少女が一体どれだけの事をしたら憎悪の対象になるのか……

この話だけでも全力で見届けよう、そして判断しよう………


そして20分後。

「……………キツい話だったわね」

「まあな」

ツキミは死んだ。
ドラグレジスターと敵対する悪の組織『龍魔帝国』の幹部ドラグレアの手に堕ちて怪物化してしまい、ツキミの意思が怪物を止め、ドラグルビーが泣きながらそれを倒す………

「確かに、魔法少女が………妹を殺したってわけではあるわね」

こうして姉のギンガは復讐者となりエノルミータに足を運び、今にあたる………
ここまで見て、ネモは不思議と言葉が漏れた。

「だっせぇ………」


………

「あっちょっとまって!乳首!乳首ダメになる……あっキウイちゃんスマホとって」

半ばプレイとして楽しみ始めたうてなは、ネモからチャットが来ている事に気付き、手を拭いた上でそれに返信する。

【ドラグレジスター見たぞ、9話まで】

【10話以降は?】

【まだ見る気になれない、アイツの物語は9話で止まったままだ】

【私達が動かせばいいんだろ、マジアベーゼ】


「……………ふふふふふふふふ」


「羽刈ギンガ………もう少し、もう少しですからね」


「あふんそこっ♡」



…………


「マジアベーゼ様〜?女体盛りが見れるって聞いたから5時間分オナ禁してきたのに………」

一方キスマークは完全にいないものとされていた。
最終更新:2024年05月05日 23:46