ゴジュウジャーVSエノルミータ

 「体の自由が効かん……なんやこれ一体何した!」

 「リモートコンドルは便利な機能がついてましてね、一時停止から早送りと人の体を自由に操作できます」

 マジアベーゼはゴジュウジャーを揉めさせてサルファに電波を指定させて一時停止で完全に無力化、後はベーゼが早送りで一気に遠くまで持ち運ぶという魂胆である。
 腕力に関しては完全に気合である。
 ただしこのリモートコンドル万能ではない、再度指示しないとずっと同じ行動をし続けるという欠点があった。

「ぜえぜえ……つ、疲れた、一旦私も一時停止!」

 速く走って息切れしたベーゼはリモコンを操作して自分も動きを止める、ぴくりともサルファは一歩も動けないが口だけら動くので音声認識を試してみることにした。
 自分の声が敵の怪人に効くわけないことは分かっているので頼れるのは……ポチがセンタイリングを加工して作ってくれたマジアソードである。
 時を遡ってポチがサルファに使い方を説明している所まで。

「センタイリングのうち半分はリアルワールドにもない戦隊だから詳細は分からない、けど残り半分の能力は分かったから音声認識で能力名を叫べば使えるようにしたよ」

 リアルワールドでも確認されている5つのリングに描かれた戦隊は『忍者戦隊カクレンジャー』『海賊戦隊ゴーカイジャー』『特命戦隊ゴーバスターズ』『動物戦隊ジュウオウジャー』『魔進戦隊キラメイジャー』の5つ、戦隊の話はどうでもいいだろうということでポチは簡潔にどういう能力かどこから来ているのかを説明済みである。
 使える能力は順に隠密(ステルス)、鍵開け(アンロック)、解析(アナライズ)、獣化(ビーストブースト)
、輝き(スパークル)の5種類。
 これらの能力についてサルファは考えてすぐに直接戦闘には使えなさそうなのばかりだが案外いけるなと作戦に移る。

「輝き!!」

「うあああ目がっ!!」

 サルファはまずキラメイジャーの力で力強い閃光を放ちベーゼの目を潰す、お姫様抱っこの要領で持ち上げてたので例えるなら至近距離で閃光玉ぶつけられて叩き落された飛竜種。
 目を抑えているうちにゴロゴロ回って脱出して隠密で完全に透明になる。

「むっ……透明にまでなれるんですか、えーとこういう時は確か……」

 ベーゼがうろうろしている間にサルファは次に解析を行う、ポチと話している時に思いついた事として「散々辱められた分、マジアベーゼに倍にして返してやりたい」と作戦を考えていたが思ってたよりその時が来た。
 なお、その作戦を一緒に聞いていたポチはうおっエロいよりも「君……なかなかいい性格してるよね……」と思い切りの良さに引いていた。
 その作戦とはまず解析でベーゼの着ている服の状態を確認、そこからボタンや留め具などを発見して鍵開けでニプレスをポロリさせて辱めてやろうというものである。
 自分達が散々ひん剥かれて醜態を晒されたが転んでもただでは起きない、マゼンタやアズールではこういう事は思いつきもしないのでちょっとした奇策だがサルファにとってはやり返さないと気が済まなかった。

「あっ見つけましたよサルファ」

「何!?」

 なんとベーゼはマガフォンを持っていた、持っていたというかポチを拉致した時にそのままポケットにしまってそのままにしていただけなのが真相であり、ポチは壊されてるだろうと思い新しく成分で使っていた。
 とりあえずこの件が終わったらまたサルファに殴られることは確定したがバレたものはしょうがないので即座に作戦に移行する。

「解析!」

「えっちょっと!?中の人探ろうとするのはタブーでは!?」

「あっそういえばそんな使い方あったわ、完全にお前を辱めることばかり頭に入れてた」

と、サルファとベーゼのわちゃわちゃ騒ぎを何やってんだこいつら……という顔でリモートコンドルは空から眺めている。
 ベーゼはわちゃわちゃしているが余裕はある、何故なら今回はめちゃくちゃ嫌な予感がしたので前もって別世界人は全力で相手するようにエノルミータ一斉出動を命令してある、ベーゼ達が追いつかれないように今頃は足止めをしていることだろう。


 改めてマゼンタは飛びながらゴジュウジャーの面々を確認する、妹の世話と留守番を頼んでいるのは遠野吠、同行せず一緒に手伝ってくれてるのは猛原禽次郎。
 現在2人と並走して乗せてもらっているのは百夜陸王、暴神竜儀、そして一河角乃である。
 2人に対して3人、アズールだけ2人分の負荷がのしかかっているがこの重みに興奮できるタチだったので何の問題(?)もないらしい。

「なんで一番長いこと居るのは彼なのにバイトを優先してるのよ」

「ああそれに関してはその、あたしの方から遠野さんに頼んだ形なので……」

「えっちょっと待ってマゼンタ、それって貴方が彼に給料を渡すってこと?ちょっと絵面的に……」

「2人とも、どうやら無駄話をしている余裕はないみたいだよ」

 ひたすら追いかけて進んだ先には迷宮のようなものが、穴は3つあるが出口は全て直通とご丁寧に書いてある、変なところで気が利くのがエノルミータだ。
 現在5人なのでどうしても偏ってしまう。
 陸王が耳を澄ませて穴を一つ一つ探ったりアズールが気温を確認して誰が居るのか確認していく。

「この穴は話し声が聞こえるから少なくとも2人以上はいると見えるね」

「二人組となると……ロコムジカとルベルブルーメの可能性があるわ、こっちはかなり暑い……レオパルトがいるわね」

 残った穴は消去法でネロアリスだとしてこういうものは全員一つの穴に入れないのがお決まりとして誰に挑みに行くか?と作戦会議を手短に済ませてアズールが単体でレオパルトに挑みロコルベを陸王と竜儀、ネロアリスをマゼンタと角乃が相手することに。
 陸王達も変身して入ろうと吠が持っていたものと同じ物を取り出す。

「エンゲージ!」

『グラッブユアハンズ!Wow wow wow……!ゴジュウレオン!ティラノ!ユニコーン!』


〜アズールside〜

「先手必勝!!」

 入って早々ミサイルが飛んでくるがアズールは走りながら切断して即戦闘に入る、これまたアズールには容赦なく散弾をぶちこむレオパルトだが臆すること無く接近戦まで持ち込まれてしまうがまだ余裕はある。

「なんだお前一人か……あいつはどうしたんだよあいつ、アタシらが前々から気に入らないオオカミの男だよ!」

「あのよく分からない男なら来ないわ!本当に来ない!」

「言い切りやがったな!まあこの際なんでもいい、アタシはお前一人とはいえ残り全員ぶっ倒してここから追い出すつもりなんでな!」

〜陸王・竜義side〜

走っていると開けた場所に出るが体が動かなくなる、前もってルベルブルーメの影を通して物体や体を操る能力は把握していたので別の方法を考えようとしていると広場は変形してライブステージのように派手な装飾となりロコムジカがスポットライトと共に現れる。

「なるほど、君が組織のアイドルということだね」

「エノルミータどころか時空に君臨するアイドル!それがロコムジカよ、覚えておきなさい」

「残念だけどそれは不可能だねお嬢さん、時空に君臨するナンバーワンのアイドルはこの僕、ゴジュウレオンの特等席になる予定なんだ」

「…………へえぇ、あんたもアイドルだったわけね、狙ってきたのかわざとかは知らないけど…………」

「遅かれ早かれ僕たちは競い合う運命が待っている、いっそのことこの場所でアイドルナンバーワンを決めるというのはどうだい?」

「上等じゃない、追い出すついでにアイドルとしての格の違いを見せてやるわ……ルベル!あいつを解放しなさい!」

「お前それでいいのかよ……まあ、やるけど」

「いや私は?」

 と、何故かアイドル勝負が始まることになりゴジュウレオンとロコムジカは謎の仕掛けで床が高く伸びながら名乗り口上を上げていく。
 ゴジュウジャーの周りに何故か現れる応援団と共にリングに2人は上がっていく。

「掴め〜っ!!ナンバーワン!!」

「時空を越えて愛を届ける!どんな生き物でも受け入れる、僕は皆のゴジュウレオン!新しい世界でも応援ありがとう!」

「キラキラ輝く一粒の原石!今回はマジの大真面目に大勝負!エノルミータアイドル志望宣伝部員、改め時空アイドルロコムジカ!」

『レディ・ゴー!!』

 しばらく経って取り残されたティラノの体が楽になり、影からルベルブルーメが現れる、向こうは好きにやっているので結果的に一対一になってしまったが肩を鳴らして戦闘態勢に入る。

「百夜もまた勝手なことを……まあ私は私でお前を確実に倒させてもらいます」

「先に言っとくがうちのロコはあんなキザ男には負けねぇ、お前もとっととぶっ倒してあいつのところに合流するかな」

「なら私もさっさと始末させてもらう、テガソード様よ異なる世界でも私にご加護を!」


「あ……あれ?」

 しばらくしてベーゼとサルファがバタバタしてるところにゴジュウユニコーンとマゼンタが追いついてくる。
 ネロアリスはどうしたのかというとセッティングと待機に時間がかかりすぎたので寝ていたのでそのまま通り過ぎたらしい。
 ベーゼは仕方ないのでリモートコンドルをけしかけてマゼンタと戦わせる、この星壁獣は時空ヒーロー達が袋叩きにしてようやく倒れるこれまでの中では最強格、それでもトレスマジアには負けるだろうがゴジュウジャーだけでも倒しておきたいので電波を発する。

「一時停止……は味気ないのでスローモーションにしておきましょうかね、それとも」

「ぎええええええ!!!」

 と、ベーゼがいじっている間に空から悲鳴と共にレオパルトが落ちてきて激突、ぶつかっても勢いが落ちず地面にぶっ刺さって丸出しのケツが突き出された状態に。
 さらにぶつかったときにリモートコンドルのリモコンを落としてしまった。

「れ、レオちゃん!?一体何があったらそんな綺麗なやられ方して……」

「まさかアズールが!?ここまで出来るなんてあたしもびっくり……」

「いやっふうううううううう!!!」

「ごめん!!あたしも勝ったのか負けたのか分かんなくなってきた!!」

 更に続いてマジアアズールが嬉しそうな顔をしながら同じように空から落下してきてちょうどリモコンがあるところに頭から突っ込んでこれまた隣でケツが突き出されるような形になってしまう、レオパルトがふっ飛ばされて間もないのでこれでは勝ったのか負けたのか全然分からないというか何をどうしたらそんなことになるのか全員分からなかった。
 ベーゼはリモコンを取るためにアズールを引っこ抜こうと主にパンツを引っ張りながら行動を取る、何故かマゼンタとゴジュウユニコーンも引っ張っており変態チックなおおきなかぶをサルファは呆然顔で眺めていた。

「レオちゃん!状況を説明してくれるかな!」

「いやそれがマジでめちゃくちゃでさー!」

「ケツで会話するな」

時は少し前というか、ゴジュウティラノがルベルブルーメと戦闘開始してすぐのこと。
 レオパルトの魔力切れを待つ長期戦も考えたがカウンター攻撃も決まらなければ無駄なダメージに終わる、勝つためには短期決戦の為の冷静に分析……と考えていたのだがその直後に壁が破壊されてルベルブルーメが吹っ飛んできたのだ、


「はあ!?」

「ふ……ふっざけんな……単純な馬鹿力はズルだろうが……」

ゴジュウティラノは指輪の加護で筋力がはちゃめちゃに増強されておりパンチしただけであっさりと魔力を混ぜてダイヤモンド並にした壁を破壊してしまったのだ。
 ルベルブルーメは直撃したのではなく影から影へ移動して咄嗟にかわしただけであるがどう考えても分が悪いと判断しロコムジカの元に逃走。

「あっお前逃げんな」

「きっつうううううう♡」

 そしてアズールは吹っ飛んだ壁の破片が顔面に当たって考えたことは全て吹っ飛んだが、これならいけると思いちょっと顔面が恍惚としたままレオパルトに突進していく。
 この魔法少女はまだまだダメじゃない、急ごしらえの正義の合体技『簡易版愛のアヴァランチ・暴れた数だけ優しさを知るタイプ』を発動してレオパルトを一撃で吹っ飛ばした。

「ふざけんなこのドM野郎ー!!」

「ふう……貴方のおかげで助かりました」

「私は敢えて『助かった』の意味を聞かないことにしておきます」

「それで差し支えなければ私をその怪力でぶん投げてくれないかしら」

「意味聞かなかったことにするって言ってるが?」

 そして現在に至る。

「つーことでその怪力野郎のせいで台無しだ〜、ベーゼちゃんなんとか引っこ抜いて」

「引っこ抜いてってああもうアズールの頭上にリモコンが!こうなったらもう1体星壁獣を作り出すしかない……」

 ベーゼは再度マガフォンを操作して時空通販局から注文、届いたダンボールに支配の鞭を叩いてシンプルなスライムの星壁獣を作り出す。

【星壁獣スラインド】
元にしたもの:レインボースライム
値段:700ジーカ
能力:スライムボディ、めっちゃ吸い付く。

「まずレオちゃんとアズールを同時に救出!」

 スラインドは包み込むようにレオパルトとアズールを体に入れて引っこ抜きそのまま内部に取り込んでしまう。
 怪物の不思議原理で中に入っても窒息とかはしないので安心、水分を操れるアズールは凍らされる心配があるので即座に吐き出してもらい、次の狙いはゴジュウユニコーン。
 ユニコーンは何かを警戒していたがそのまま呑み込まれてしまう。

「ううっ!」

「ユニコーンさん!」

「あっ、あったあったリモコン……ちょっと凹んでるけど使えますね、では邪魔者もいなくなったしそろそろサルファを再生っと」

「鍵開け」

「あっ忘れてたぎゃああああーー!!!」

 サルファは動けるようになって早々ゴーカイジャーのセンタイリングの力でベーゼのニプレスをポロリしてちょっとした嫌がらせ、主人に無礼をさせたリモートコンドルとスラインドは怒りを感じたのがサルファとマゼンタに一斉に襲いかかり魔法少女2人もスライムに取り込まれて服の中にスライムが侵入していき、更にスローをかけることで快感がゆっくりとやってくる。
 忘れてるかもしれないが星壁獣は元々トレスマジアにセクハラすることが本題で時空犯罪者に対する戦闘力はおまけである。
 残されたアズールはリモートコンドルが逆さ吊りにして捕まえて遠くまで飛んでいってしまった。

「い、意外と忠誠力とかあるんだ……もしもしロコちゃん?今ちょっと危ない感じで……」

『今ちょっと取り込み中!アイドルとしての頂点を決めてる最中だからあとにして!』

「一体そっち何が起きてるんですか!?えーとそれじゃあ残りはレオちゃんを吹っ飛ばした怪力ゴリラザウルス……あれ?」

 マガフォンを切るとスラインドの中に入れておいたはずのトレスマジアとゴジュウユニコーンがいなくなってあた、解放した様子も無いが突如背後から頬を掴まれてしまいスラインドが

「ヒッ!?」

「驚いたわ……あんな生物を作り出すだけはある、この年でこんなに頭の中がピンク色な子初めて見たわ」

「お前は人の心を読めるってわけか、なんやねんそのめちゃくちゃ集団」

「ど……どうやってスラインドから脱出したんですか!?ねばねばしてるしアズールも追い出したのに……」

「あのコンドルが離れたら普通に身体が動けるようになったからそのまま全力出して風穴開けただけ……」

「しまったこれ圏外とかあるんだ!!安易にアズールを海に放り出すんじゃなかった!」

 改めてピンチになる、更にここから黄色い怪力まで来るのであとは本当にレオパルトと自分でなんとかしなくてはならない、しかし諦めが悪いのが悪の幹部。
 この状況でも諦めず鞭から斬撃を飛ばして戦闘に入るが数では不利な上にマゼンタは魔力にまだまだ余裕があったので必殺技の準備に入る。
 ここでサルファはポチが作った武器の事をまた思い出す。

「魔法少女らしい必殺技もセッティングしておいた、必殺技といっても他の人の協力が必要なんだ、協力といっても大したことじゃない」

「マゼンタ!手を出すんや!」

「えっ、こう?」

『ハイタッチ承認!キズナファイブ!!』

 マゼンタとサルファが手を叩き合うとグローブが輝いて真っ赤に輝き両手でベーゼとレオパルトを掴んで腕力で振り回す。

「バンデージマゼンタフィンガー!!」


「アタシまたぶん投げられてるんだけど!!」

「ぎゃああああああ今日もまた負けた!トレスマジア……それとゴジュウジャー!!貴方達は絶対にこの世界から……」


「追い出してやる……か、俺たちだって出ていけるものならそうしたいところだがな」

 そもそもゴジュウジャーは時空監理局に一方的に『魔法少女にあこがれて』世界に叩き込まれた側で黒影に興味を向けられている限り出ようとしても出られない、ポチもまたこの状況を解決できる方法がないか考えていた。
 とりあえずそれまではテガソードの里でトレスマジア共々話し合って打開策を考えることに、エノルミータとしても他世界の人々が面白半分に邪魔されたくないという気持ちは理解できる。

「えっ!?あの手袋いらないの!?」

「ああ、やりたいことはもうやったしなんというかウチには合わへんかったわ」

 薫子も一回使ってこの武器は自分には相応しくないとポチに返却、仕方ないのでポチも即座にセンタイリングに戻してゴジュウジャーに渡すことにした。

「……はあ、局長も何考えてるんだろう、俺の仕事忘れてないかなぁ」

 しつこいようだが、ポチの本来の仕事は魔法少女とタイアップ契約してグッズを作り監理局の資金とすることである。
最終更新:2025年04月30日 20:39