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「それじゃあ……ベア。あなたに任せるわ」
「……む」
ミレイアに指名されたベアは、渋い顔で一歩前に出た。
熊の獣人である堅物のこの男は、四天王唯一の常識人といっていい魔族だ。
傷だらけで苦痛に喘ぐルーシィに歩み寄るが、何をすればよいのか思案している様子だった。
「くっ……さっさとトドメをさしなよ!!」
ルーシィは唇をかみ締めて怒鳴るが、それでもベアは動かない。
「……敗者に鞭を打つ趣味はない」
だが、ミレイアの手前、何かをしなければなるまい。
散々悩んだあげく、ベアはおもむろに懐に手を突っ込んだ。
「……っ!!」
ルーシィは硬く目を閉じる。短刀でも取り出し、一思いに殺されると思ったからだ。

【SE:マジックで字を描く、きゅっきゅっ、きゅう~~的な音】

「……へ?」
ベアはルーシィの前髪を手でカチ上げ、ペンを使ってオデコに何事かを書き込んでいたのだ。
「な、なにを……」
「………見ろ」
ベアは無言で、どこに持っていたのやら手鏡を突き出してやった。
「……? ……ッ!!」
ルーシィは鏡に映る自分の顔を見て、顔を引きつらせた。
ルーシィのオデコには、達筆な字体で「肉」と書き込まれていたのだ。
「フヒヒヒヒヒヒヒwwwwwなんだおそれ、サイコー、サイコーだお!!」
「これはこれは……古典的ですが、意外に笑えますね」
それを見ていた四天王たちがたまらず爆笑した。
「プッ……クスクスクス……だ、だけどベア。まだ足りないんじゃなくて?」
とかいいつつ、笑いを堪えているミレイア。
「……むぅ」

【SE:マジック音】

ベアは無言でさらにペンをルーシィの顔に走らせる。
「ギャーハッハハハハッハ!! ヒゲっ、勇者にヒゲが生えたお!! マユゲもごんぶとだお!!」
「……ほう。なかなかの男前だな」
女に興味がないアーヴェの反応も得られた。

【SE:マジック】

さらに唇を分厚くされ、ほっぺたに渦巻きを書き込まれる。
「アハハハハ!! サイコー、勇者が魔族に小学生みたいなラクガキされてるって、どんだけ!!」
ついにミレイアも、腹を抱えて大声で笑い出した。
「よし、じゃあこの滑稽な姿をルネーニのみんなにも見てもらいましょ、これはウケるわ」
「へっ!? や、やめ……」
「やーめない♪」
言うが早いが、ミレイアは転移魔法の呪文詠唱を開始する。
「まっ……!!」
「じゃーね。バイバ~イ、勇者様」
呪文が締めくくられ、魔法陣がルーシィの足元に展開する。
ルーシィの体が光に包まれた後、


ざわ……ざわ……

ルーシィは顔中ラクガキだらけで、ルネーニ王城に放り出されていた。

ざわ……ざわ……

無慈悲にもちょうど謁見の時間で、玉座の間にはルネを含め、大勢の臣民が集まっていたのだった。



「……!! きぃぃぃやぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
っておい、そんな大げさに悲鳴あげるようなことか?

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最終更新:2007年12月09日 22:06