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だが、ルーシィは違う。
魔法により舞人の能力を知ってしまったこともあるが、それ以上の理由があった。
(こいつ、詠唱もなしにツンデインを使った……)
舞人は確かに魔法を使う直前に謎の動作を見せたが、あれは明らかに詠唱とは違っていた。
このフォスタリアにおいて魔法を使うには、人間にしろ妖精にしろ魔族にしろ、呪文を詠唱する必要がある。
それらは、熟練になるにつれ詠唱にかかる時間は短くなっていくが、ゼロになることはない。
例え一言だけに短縮されようとも、詠唱呪文とそれに加え魔法の発動キー――大抵が魔法名――の発音が必要なのだ。
(それをこいつは発動キーだけで……素質は十分あるんだ……)
ルーシィはトゲトゲしい言葉とは裏腹に、内心では現実を受け止めているようだった。
(ボク、妬いてるんだ……ヤな女だな……)
勇者の血を引いて生まれ、素質と才能に恵まれ成長したが魔王に惨敗した勇者。
異世界から召喚され、才能はへっぽこの癖にこの世界の誰も持ち得ない特殊な素質を秘めた真勇者。
ルーシィの勇者としてのプライドが、この舞人という勇者を拒絶していた。

(これはフラグバッキバキじゃね?)
ルーシィがそんな自分の弱い心と向き合っている傍ら、舞人はやっぱり舞人だった。
(セクロスだなんて言ってる場合じゃないな……まずは仲良くなることからはじめないと!)
舞人は本来の目的を遂行すべく燃え上がる。
「俺は自分が弱いことくらい、よくわかってる」
「へぇ……それは何よりだ。なら、さっさと尻尾巻いて自分の世界へ帰ったらどう?」
(違う……ボクはこんなことが言いたいわけじゃないのに)
心にも思っていないわけではない。だけど、口に出してやっかむつもりもなかった。
(こいつと出会う前には、この世界を任せてもいいって思ってたこともあったのに……)
だが、舞人の弱みを知った途端、この様である。
(ボクは心が弱かったから魔王に負けたのかもしれないな……)
内心で自嘲の笑みを浮かべるルーシィ。
「そ、それは出来ない。魔王を放っておけるもんか」
舞人は建前上、毅然として言い切る。 @wikiへ

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最終更新:2007年12月09日 22:07